感性価値創造の話
11月17日、18日と開催された経営情報学会に行ってきました。
無料で聞くことのできた特別セッションを聞いていたのですが、普通の学会と違った試みをいろいろとやっていたので面白かったです。
特別セッションの中で興味深かったは1日目の午後からあった「事業展開における感性価値創出」でした。
感性価値という言葉はただのバズワードのような気もするのですが、考え方が参考になったのでメモしておきます。
感性価値とは
感性価値とは、商品のデザインや文章にこめられたメッセージに消費者が共感、感動することによって生まれる+α価値のことです。
今までは、機能やコストパフォーマンスといったモノに対して注力していたのですが、消費者から共感を得られるか、といった人への注力が今後重要になってくると考えられています。
つまり、いかにして商品に消費者の共感できるストーリーを創造するかということが必要になってくるわけです。
これは、Webサービスを作る上でも非常に参考になる話でした。
ちなみに、感性という言葉は日本独自のものらしく英語でもKanseiとなるそうです。
また、商品自体でなく、商品に対してマーケティングの領域で価値を創造することが実際のビジネスでは多いようです。
例2
shi3zさんも絶賛!
データベース研究で有名な石川氏が書いたアルゴリズム設計の決定版です!
例1のようにただ貼っても閲覧者はまったく買う気にはならないでしょう。
例2のようにあおりをつけると、少しは興味を持ってもらえたのではないかと思います。
さらに、内容の具体的な紹介があるとよいですね。
という感じで、商品に対して何らかの感性情報をつけることで消費者に消費動機を喚起させることができるそうです。
しかし、考えると広告代理店はこういう研究を常に行っているわけで、怖いですね。
Webにおける感性価値
今回聞いた話の中ですと、製造者やマーケターなどの実際に商品を提供する側の話だったのですが、Web上でもいろいろな人が感性価値を創造しているのでは?と思いました。
本などは、映像化でもされない限り、実際に本を読んでみないとその価値はわかりません。
しかし、たとえば、dankogai氏が書評をすれば氏のRSSを購読している人は購買意欲を刺激されますし、最近話題になってた「http://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-195.html」もある意味では感性に訴えるものを持っていますね。
こういったクチコミのようなものも立派な価値創造といえるのではないでしょうか。
このような消費者からの価値創造のような話についても研究が進むと面白いですね。
あと、今回の話を聞いて真っ先に思い浮かんだのはYoutubeやニコニコ動画などの動画共有サービスのことでした。
深夜アニメを全て見れる人はほとんどいないので、DVDを買う人がどうやってそのアニメの価値を知るのかというと動画共有サービスが出る以前はクチコミ情報しかなかったわけで、ほとんど感性情報を得ることができなかったわけです。
こういったサービスが出てくることによって、
実際に視聴→共感→買ってみようか
というような流れができたのではないかと思います。
その商品が持つ本当の価値に触れる機会を得たことで、逆にあまり勝ちの高くない商品は淘汰される可能性もあるかもしれません。
終わりに
感性価値という言葉にあまりとらわれる必要はないのですが、商品にストーリーを持たせ、いかにその価値を消費者に認知してもらうか、そして共感をしてもらうか、を考える上でモノ指向ではなく、ヒト指向の思考方法が必要になってくるのだと思います。