日銀型テイラールール

先日は、日銀が潜在成長率を低く見積もっていることを示したが、ANDY HARLESSが「テイラールールの弱点を修正」にて中銀が潜在成長率を見積もることを批判している。


そこで、OECDの需給ギャップとGDPデフレーターを利用して、日銀型テイラールールを推計する。
需給ギャップは内閣府より約2%需給ギャップを過小評価しているので、日銀型と置き換えている。参考:GDPギャップの概念について
デフレーターは、日銀の物価安定の考え方より「「物価の安定」とは、概念的には、計測誤差(バイアス)のない物価指数でみて変化率がゼロ%の状態である。」ということを踏まえCPIは誤差が考えられるためデフレーターを用いた。係数は0%からの乖離である。

系列1は実際のコールレート
系列2は日銀型テイラールール
系列3はその差である(右軸)


まず日銀型テイラールールである。



2000年のゼロ金利解除、2006年の量的緩和解除は日銀型テイラールールから見ると妥当と言える。
つまり、日銀のデフレから脱却できない根本は裁量性というよりも、潜在成長率の見積の誤りと物価目標(安定の理解)の低さにあると言える。


それを裏付ける事として、係数を調整してGDPと物価の変動を同じにしてもほぼ同じ結果となる。


そして、物価の変動に責任を負わずGDPの変動のみに係数を調整しても大きな変化とはならない。


では、需給ギャップの推計を内閣府並に2%拡大し、物価目標を3%におくとどうなるだろうか


潜在成長率を+2%に物価目標を0%のままにしてもほぼ全期間において金融が引き締めすぎていたことがわかる。


98年の法改正以後、常にマイナスになり量的緩和が必要だった結果となる。
つまり、日銀が潜在成長率を低く見積もる結果が金融引き締めの要因となってデフレが続いているのである。