自分は荷物が極めて少ないので定義によりバックパッカーでは無いのだけれど、やってい
る事はバックパックです。
社会人になるまでは旅行などにはほとんど関心が無かった。
だが、最初の職場がいろいろな事情で極めて出張が多く、しかも三ヶ月くらいの、それな
りにまとまった期間の物が連続していた。一年の半分以上は日本に居なかった。
この経験はとても刺激になった。
知らない国の知らない文化を持つ人と仕事をするのはとても面白かった。
町も日本とは全然違う街並みで、マーケットの様子も自分には新しく、買うものも食べる
ものも見たこともないものばかり。
本当に毎日が楽しかった。
出張は仕事でいくものだ。これには良い面も悪い面もある。
悪い面から行くと、当然だが新しい物を見るのが目的ではなく、仕事をするのが本題とな
る。
そしてプログラマの仕事は、人と向き合わない時間がそれなりに必要だ。
せっかく知らない人が目の前にいるのにコードを書くのは、何かもったいない気がした。
しかも知らない町にいながら普段はビルの中。回りを探検するのは休憩を兼ねてのついで
か週末だけだ。
また、出張は仕事がある地域にしか行けない。当時の仕事の内容だと、先進国に限られて
いた。数年すると、さしあたって行きたい先進国は行ってしまった。
また、仕事で行くので滞在期間の自由度が低い。具体的には仕事が終わってしまったりす
る。もっと長く居たいのに、、、という事もちらほら。
仕事の内容という点でも問題がある。当時、私は日本の会社に勤めていた。海外は、主に
支社に滞在して仕事をするパターンが多かった。当時の状況としては、エンジニアとして
興味深い案件は本社の方が多かった。支社にある案件はいつも似通っていて、何度かやっ
たらもうやり方を覚えてしまった。厳しさは違うが火消しに近い。会社には価値があるん
だろうが自分にはあまり価値が無かった。この仕事にあまり価値がなかった、というのが
、出張よりもプログラマとしてのやりがいを追求しようと言う思いを育て転職するに至る
のだが、それはまた別の話。
良い所に移ろう。
まず何か共同でやるべきことがある、というのは、ただ観光をするよりも深いコミュニケ
ーションを必要とする。それはより文化の違いなどが理解出来て面白い。また成功した時
の達成感もあるし、そういうのを知らない文化の人と共有していき、だんだんと仲間にな
っていくのは、面白い。
また、給料が出る。当たり前だが。
そしてバックパッカーよりも、より生活を楽しめる。自分は知らない所で新しい生活をす
る、というのが好きなので、その点では出張の方がいい。仕事の仲間というコミュニティ
があって自分の存在が明確に役に立つ(本社へのパイプが太いからね)というのは、お金
を払ってお客様をするのとは大分違った風景が見える。私はそちらの風景の方が好きだ。
そういう訳で自分の中では出張で行くのとバックパッカーとして行くのは一長一短。どち
らがいいのかは未だに結論は出ていない。
なんにせよ、自分の旅好きの始まりは出張の日々だった。
働いていた時でも二週間から一ヶ月くらいの期間の休みを取って旅行には行っていた。短
期で楽しそうな所はかなり回ったつもり。そろそろインドとか、長く滞在してみたい所が
目に着く、という段になったので、会社を一旦辞めて長く時間をかけて回りたい所を回ろ
う、と思うようになっていった。