Block Rockin’ Codes

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Go の interface 設計

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13/3/31
Tag について追加

intro

Go を触ってて interface を用いた設計がまだまだよくわかってなかったので、一旦まとめることにしました。

Go には明示的な継承の機能は無く、 interface も例えば Java のそれとはかなり毛色が違うので、(Class ではなく) Struct の設計に結構癖があると感じます。

Go の interface は言語設計的にもかなり尖っていて、 Go という言語を強く特徴付けていると同時に、 Go 言語自体の開発者たちもこの機能をかなり重要視しています。


例えば、 Go の開発者の一人である Russ Cox 氏によれば

Go's interfaces―static, checked at compile time, dynamic when asked for―are,
for me, the most exciting part of Go from a language design point of view. If
I could export one feature of Go into other languages, it would be
interfaces.

http://research.swtch.com/interfaces

とのこと。


「Interface を制すものは Go を制す」


なのかもしれない、と思いまずこの機能を使い方の視点からまとめてみました。

(まあ、単にヤックの毛を狩り始めたら、随分遠くまで来てしまったという話。。)


ソース

今回の記事のもとになるソースは、こちらにあります。

https://gist.github.com/Jxck/5237600


Basic

まずは、基本的な Struct (Class 的なもの) とそのメソッド定義から。
(本当は下記の例は String() を実装するのが正解だけどそれは別で)

// 基本的な Struct
type Point struct {
	X int
	Y int
}

// Struct のメソッド
func (p Point) Coordinate() string {
	// p がレシーバ
	return fmt.Sprintf("(%d, %d)", p.X, p.Y)
}

func main1() {
	var a Point = Point{2, 3}
	fmt.Println(a.Coordinate()) // (2, 3)
}

既存の型も拡張できます。

// 既存の型を元にした独自の型を定義できる。
type trimmedString string

// そこにメソッドも追加できる。
func (t trimmedString) trim() trimmedString {
    return t[:3]
}

func main2() {
	var t trimmedString = "abcdefg"
	fmt.Println(t.trim())

	// 型変換
	var s string = string(t)

	// 型を変換したので、 trim() は無い
	// fmt.Println(s.trim())
	fmt.Println(s)
}


この辺は tour of go でもおなじみです。

interface

Go の interface の定義の内容は、単なるメソッドリストです。
リスト中のメソッドを全て実装していれば、その Interface を満たす(satisfy) とみなされます。


Java では実装(implements) と宣言されますが、そうした明示的な宣言はないのが Goの特徴です。

// Interface を宣言
type Accessor interface {
	GetText() string
	SetText(string)
}

// Accessor を満たす実装
// Interface の持つメソッド群を実装していれば、
// Interface を満たす(satisfy) といえる。
// 明示的な宣言は必要なく、実装と完全に分離している。
type Document struct {
	text string
}

func (d *Document) GetText() string {
	return d.text
}

func (d *Document) SetText(text string) {
	d.text = text
}

func main3() {
	// Document のインスタンスを直接変更しても
	// 値渡しになってしまうので
	// ポインタを使用
	var doc *Document = &Document{}
	doc.SetText("document")
	fmt.Println(doc.GetText())

	// Accessor Interface を実装しているので
	// Accessor 型に代入可能
	var acsr Accessor = &Document{}
	acsr.SetText("accessor")
	fmt.Println(acsr.GetText())
}

mixin

別の型を定義に含むと、含んだ型のメソッドが定義された状態になります。
これは継承というよりは mixin のイメージですね。
この場合、継承(引い継いだ、程度の意味での)されたメソッド内のレシーバの挙動に注意です。

type Page struct {
	Document // 匿名型を含むと、その型のメソッドが継承(というか mixin)される
	Page     int
}

func main4() {
	// Page は Document を継承しており
	// Accessor Interface を満たす。
	// この場合代入可能
	var acsr Accessor = &Page{}
	// この値は acsr.Document.text に設定されてる。
	// acsr の構造体がレシーバになっているわけではないということ
	acsr.SetText("page")
	fmt.Println(acsr.GetText())

	// Document と Page の間に代入可能な関係は無い
	// var page Page = Document{}
	// var doc Document = Page{}
}

Duck Typing

「アヒルのように鳴くなら、それはアヒル。」
動的な型付け言語では、「鳴く」ことができるかは実行時に試すか、予めメソッドの先頭などで調べる必要があります。


Go の場合は「鳴く」こと自体を interface で定義し、ランタイムではなくコンパイル時にチェックできます。
メソッドの引数に Interface 型を指定して、コンパイルが通った時点で、渡された値はアヒルのように鳴くことが保証されるわけです。

/*
	Duck Typing
	Accessor を満たしていれば、 Get, Set できるという例。
*/

func SetAndGet(acsr Accessor) {
	acsr.SetText("accessor")
	fmt.Println(acsr.GetText())
}

func main5() {
	// どちらも Accessor として振る舞える
	SetAndGet(&Page{})
	SetAndGet(&Document{})
}

Override

Override はそのまま。
細かいけど int -> string の変換は string(i) ではできず、 strconv.Itoa を使う。
(ただ、 Overload はできない、その辺はどうすればいいんだろう。。可変長引数かな?)

/*
	Override
*/
type ExtendedPage struct {
	Document
	Page int
}

// Document.GetText() のオーバーライド
func (ep *ExtendedPage) GetText() string {
	// int -> string は strconv.Itoa 使用
	return strconv.Itoa(ep.Page) + " : " + ep.Document.GetText()
}

func main6() {
	// Accessor を実装している
	var acsr Accessor = &ExtendedPage{
		Document{},
		2,
	}
	acsr.SetText("page")
	fmt.Println(acsr.GetText()) // 2 : page
}

Interface åž‹

Interface 型はメソッドを持たない Interface です。
つまり、メソッドを持たない struct を含めて、全ての struct は Interface 型を満たすと言えます。

例えば、下記のメソッドは全ての型の値を受け取ることができます。

func f(v interface {}) {
  // v
}

しかし、ここで重要なのは v の型は interface{} 型であるということ。
Go の runtime では、全ての値は必ず一つの型を持つので、型が不定といったことはなく、メソッドの引数などでは可能であれば型の変換が行われます。
上記 f() は全ての値を interface{} 型に変換します。
interface {} 型の struct が、任意の type であることは、型アサーションという機能を用いて行います。
型アサーションのシグニチャは以下。

e, ok := v.(type) // v が type を満たすかを調べる
// Interface åž‹

// Get() があるかを調べる
// er を付ける命名が慣習
type Getter interface {
	GetText() string
}

func dynamicIf(v interface{}) string {
	// v は Interface 型

	var result string
	g, ok := v.(Getter) // v が Get() を実装しているか調べる
	if ok {
		result = g.GetText()
	} else {
		result = "not implemented"
	}
	return result
}

func dynamicSwitch(v interface{}) string {
	// v は Interface 型

	var result string

	// v が実装している型でスイッチする
	switch checked := v.(type) {
	case Getter:
		result = checked.GetText()
	case string:
		result = "not implemented"
	}
	return result
}

func main7() {
	var ep *ExtendedPage = &ExtendedPage{
		Document{},
		3,
	}
	ep.SetText("page")

	// do は Interface 型を取り
	// ジェネリクス的なことができる
	fmt.Println(dynamicIf(ep))       // 3 : page
	fmt.Println(dynamicIf("string")) // not implemented

	// 型スイッチを使う場合
	fmt.Println(dynamicSwitch(ep))       // 3 : page
	fmt.Println(dynamicSwitch("string")) // not implemented
}

Generics

Go の wikiで紹介されている方法です。

interface{} をそのまま使わず、 Any 型を定義して置き換えているだけですが、これなら後で Any 型の定義をいじれるのでより良さそうです。

これにより、 Generics 的なことができます。(Java の Generics とまではいきませんが)

// 全ての型を許容するインタフェースのようなものを作っておく
type Any interface{}

// ジェネリクス的な
type GetValuer interface {
	GetValue() Any
}

// Any 型で実装
type Value struct {
	v Any
}

// GetValuer を実装
func (v *Value) GetValue() Any {
	return v.v
}

func main8() {
	// インタフェースで受け取る
	var i GetValuer = &Value{10}
	var s GetValuer = &Value{"vvv"}

	// インタフェース型のコレクションに格納
	var values []GetValuer = []GetValuer{i, s}

	// それぞれ GetValue() が Any で呼べる
	for _, val := range values {
		fmt.Println(val.GetValue())
	}
}

inerface の実装

interface の値は二つのポインタから成る。

  • 元になる型の、メソッドテーブル
  • 元の値が持つ値

これがわかっていれば、下記が間違っていることがわかる。
[]string のメソッドテーブルと値は持てるが、その中の値を interface には変換できないから。

参考 http://golang.org/doc/faq#convert_slice_of_interface

func PrintAll(vals []interface{}) {
	for _, val := range vals {
		fmt.Println(val)
	}
}

func main9() {
	names := []string{"one", "two", "three"}

	// これは間違い
	// PrintAll(names)

	// 明示的に変換が必要
	vals := make([]interface{}, len(names))
	for i, v := range names {
		vals[i] = v
	}
	PrintAll(vals)
}

Interface の設計例 1 (interface{})

interface の設計例として、下記に 2 つの例があるので、それを借用します。
http://jordanorelli.tumblr.com/post/32665860244/how-to-use-interfaces-in-go


1 つ目は Twitter API で受け取った JSON 内の日付の文字列をパースする例です。
JSON のパース自体は json.Unmarshal() で可能です。
パース先の型として map[string]interface{} を用いればどんな型でもとりあえずパース可能です。

// 1, twitter API から Time のパース

/*
	Twitter の JSON を map にパースする。
	twitter の JSON には、時間が Ruby フォーマットの文字列で格納されているので、
	それを考慮して型を考える。
	"Thu May 31 00:00:01 +0000 2012"
*/

var JSONString = `{ "created_at": "Thu May 31 00:00:01 +0000 2012" } `

func main10() {
	// map として、 {string: interface{}} としてしまえば
	// value がなんであれパースは可能
	var parsedMap map[string]interface{}

	if err := json.Unmarshal([]byte(JSONString), &parsedMap); err != nil {
		panic(err)
	}

	fmt.Println(parsedMap) // map[created_at:Thu May 31 00:00:01 +0000 2012]
	for k, v := range parsedMap {
		fmt.Println(k, reflect.TypeOf(v)) // created_at string
	}
}

Interface の設計例 1 (time.Time)

本来 Go の time.Time 型であると望ましいのですが、 Ruby の文字列フォーマットがtime.Time の文字列とデフォルトフォーマットが違います。
そこで、 time.Time を元に新たな型を定義します。

また、 JSON の Unmarshaller のインタフェースは下記のようになっているので、UnmershalJSON() を実装すれば、 Unmarshaller は満たされます。

type Unmarshaler interface {
  UnmarshalJSON([]byte) error
}


なんとデフォルトで time.RubyDate が用意されているのでそれを使えば終わりです。
http://golang.org/pkg/time/#pkg-constants (これぞ Battery Included !)

type Timestamp time.Time

// Unmarshaller を実装
func (t *Timestamp) UnmarshalJSON(b []byte) error {
	v, err := time.Parse(time.RubyDate, string(b[1:len(b)-1]))
	if err != nil {
		return err
	}
	*t = Timestamp(v)
	return nil
}

func main11() {
	var val map[string]Timestamp // 定義した型を使う

	if err := json.Unmarshal([]byte(JSONString), &val); err != nil {
		panic(err)
	}

	// パースされていることを確認
	for k, v := range val {
		fmt.Println(k, time.Time(v), reflect.TypeOf(v))
		// created_at 2012-05-31 00:00:01 +0000 +0000 main.Timestamp
	}
}

Interface の設計例 2 (JSON Entity)

HTTP リクエストから JSON を取得し、オブジェクトにパースする例です。

単純にシグネチャを考えると以下のようになります。

GetEntity(*http.Request) (interface{}, error)

これは、戻り値の方に汎用性を持たせて、どのような型のデータも取り出せるようにしています。
しかし、これだと戻り値は毎回型変換しないといけないし、 Postel の法則に反します。
(「送信するものに関しては厳密に、受信するものに関しては寛容に」)

しかし、例えば取り出す型を User として下記のようにシグネチャを変更すると、型の数だけ GetXXXX が必要になります。

GetUser(*http.Request) (User, error)

そこでインタフェースを導入します。


下記の例は、 http でやるとちょっと面倒なので、 JSON を文字列まで取り出せたと仮定して、 JSON をパースする例に置き換えています。

(JSON から、方に応じて違う値を取り出す例ですが、メソッドの中が同じになってしまったのであまり良い例ではないけど、力尽きたのでそのまま。。)

// 各型が、自身のパース実装を持てばよいので、そのメソッドだけ定義しておく。
type Entity interface {
	UnmarshallJSON([]byte) error
}

func GetEntity(b []byte, e Entity) error {
	// 各実装に処理を移譲
	return e.UnmarshallJSON(b)
}

// 型を定義
// User に関する必要なデータだけ取りたい型的な
type UserData struct {
	Id        int
	Name      string
	Time_Zone string
	Lang      string
}

// *_count だけ適当に取りたい型的な
type CountData struct {
	Followers_count  int
	Friends_count    int
	Listed_count     int
	Favourites_count int
	Statuses_count   int
}

// Entity を実装
// ここでは、 json モジュールになげるだけで
// 同じ実装でできてしまったが、
// 本来 Entity ごとに違う実装になる。
func (d *UserData) UnmarshallJSON(b []byte) error {
	err := json.Unmarshal(b, d)
	if err != nil {
		return err
	}
	return nil
}

func (d *CountData) UnmarshallJSON(b []byte) error {
	err := json.Unmarshal(b, d)
	if err != nil {
		return err
	}
	return nil
}

func main12() {
	// 対象の JSON 文字列
	EntityString := `{
		"id":51442629,
		"name":"Jxck",
		"followers_count":1620,
		"friends_count":617,
		"listed_count":204,
		"favourites_count":2895,
		"time_zone":"Tokyo",
		"statuses_count":17387,
		"lang":"ja"
	}`
	userData := &UserData{}
	countData := &CountData{}
	GetEntity([]byte(EntityString), userData)
	GetEntity([]byte(EntityString), countData)
	fmt.Println(*userData)  // {51442629 Jxck Tokyo ja}
	fmt.Println(*countData) // {1620 617 204 2895 17387}
}

Tag

ブコメで指摘されて初めて知ったのですが、 Struct には Tag を付けることができます。
このタグは、 reflect モジュールを使ってしかアクセスすることがでず、 Struct に対するメタ情報のような使い方をするようです。


まず、タグは以下のように Struct フィールドの型の次に記述し、 reflect で取り出すことができます。

// タグ付きの Struct を定義
type TaggedStruct struct {
	field string `tag:"tag1"`
}

func main13() {
	// reflect でタグを取得
	var ts = TaggedStruct{}
	var t reflect.Type = reflect.TypeOf(ts)
	var f reflect.StructField = t.Field(0)
	var tag reflect.StructTag = f.Tag
	var val string = tag.Get("json")
	fmt.Println(tag, val) // json:"emp_name" emp_name
}


現在標準ライブラリで Tag が使われているのは encoding/json と encoding/xml だけのようです。
例えば json では、 JSON のキー名と Struct のフィールド名が同じであればそのまま Unmarshal 可能ですが、もし二つが違った場合は、変換先の Struct とのフィールドのマッピングを `json:"fieldname"` という形式で記述することで解決できます。

// JSON をマッピングするために
// キー名のタグ付をつけた Struct を定義
type Employee struct {
	Name  string `json:"emp_name"`
	Email string `json:"emp_email"`
	Dept  string `json:"dept"`
}

func main14() {
	// フィールド名が Struct の Filed 名と違う JSON も
	// json:"fieldname" の形でタグを付けてあるので
	// マッピングすることができる。
	var jsonString = []byte(`
	{
		"emp_name": "john",
		"emp_email" :"[email protected]",
		"dept" :"HR"
	}`)

	var john Employee
	err := json.Unmarshal(jsonString, &john)
	if err != nil {
		fmt.Println("error:", err)
	}
	fmt.Printf("%+v\n", john) // {Name:john Email:[email protected] Dept:HR}
}

Wrap Up

ということで、浅いところですが interface の使い方と基本的な使い方をまとめました。


今回参考にした資料には Go の interface がその下の C++ のレイヤでどういった構造になっているかなども載っているので、今度はその辺まで踏み込んでまとめたいと思います。


しかし、慣れないと Go での interface 設計は慣れないと難しいですが、これができないと今作ってるものがまともに組めないので、最も良いお手本であろう標準ライブラリを読みながら勉強していきたいところです。