技術とビジネスの狭間

DRM(Digital Rights Management,デジタル著作権管理)について質… - 人力検索はてな

自分も、ブレーンストーミングのつもりで回答してみたけど、技術者の立場から考えると、今の DRM 技術の未熟さと、運用の難しさを考えると、現時点での DRM では、権利者保護と消費者の利便性のバランスを解決できていない気がする。

普段、iTunes Store で購入する事が多いけど、実は iPod は持っていない。携帯音楽プレイヤーとして、iPod よりも Sony とかの方が良さそうに思うけど、じゃぁ、SonicStage で Mora から購入すれば、と考えると、いや、Panasonic の方が良いかも、ってなるかもしれない。じゃぁ、無難に Mora win とかで Windows Media の形式で買おうとすると、普段、メイン PC とノート PC の2台を使っているんで、両方の PC で楽しむ、という訳にはいかなくなる。しかも、Windows Media 11 からは、ライセンスのバックアップ・復元機能が無くなったらしく、PC が壊れたら、ファイルをバックアップしていても無駄。

一般の人から見れば、私の使い方は特殊な部類かも知れない。iTunes の FairPlay でも、Mora win の Windows Media の DRM でも、CD に書くことができるので、それで回避は出来る。しかし、CD に焼いて回避する、というのは「CD に焼くことは出来るんで、そうすれば迂回できますよ」という結果論であって、DRM の機能として提供しているわけではない。

DRM で複製範囲に制限するのは構わないけど、例えば、複数の PC で再生したい、と思ったら、追加料金いくらで何台分、とか、PC が壊れたときに備えて、再ダウンロード権はいくら、とか、そういったフォロー無しに、「別の PC で再生したら買いなおして」「PC が壊れたら買いなおして」という現状は良いのだろうか?

「DRM による著作権の保護」といった時に、消費者と権利者の間で、「どこまで複製を許可するか」「その際の対価はいくらにするか」といったことが自由に決められる、といった論調を聞くことがあるが、果たして、そうなるのか? 実際に権利者側がそんな細かい条件や金額調整までするのだろうか? そういった DRM の運用が技術的に可能だったとしても、運用できるのだろうか?

運用に関する疑問であれば、デジタル放送での「コピーワンス」問題も、本当にコンテンツの作成者がコピーワンスを求めなくても、放送局側の運用が難しくなるので、一括してコピーワンスとしている実態がある。音楽の DRM にしても、仮に技術的に「CD への書き込みは1回しか出来ないけど、PC 間の複製は3台まで」といった DRM が可能だったとしても、レーベル毎に思惑が違って、用意できるメニューがばらばらになるとしたら、そんな運用は出来ないということで、現在のような「同一条件」でしか提供されないのではないか?

などと考えると、確かに DRM の「未来」に、消費者と権利者の双方にメリットがある状況を作ることができる「可能性」はあるけど、それがビジネスとして成立するのか?、そもそもそんなばら色の仕組みを開発できるのか? そのコストはビジネス的にリーズナブルなのか? といったところが漠然としているように思う。