ファイルメーカーProというデータベースは,バージョンアップを重ねて業務用の堅固さを備え,さらにクラウド対応にも進んだようである。筆者は,個人用データベースとして愛用を続けており,もはやクラウドベースの機能は理解できていない。
最初は,Mac用のv.2.1を仕事で使い始めた。個人的にはWindowsパソコンを使っていた。ファイルメーカーのいいところは,MacとWindowsで共有できる点である。同じデータを2つのパソコンで使える。これは現在でも同じである。その後は個人的にバージョンアップを続けているが,v.12で個人的には十分な機能が得られたため,そこで止めてしまっている。使い切れていない機能も入っているからである。
さて,最新バージョンでも実現していないのが,メール受信機能と正規表現である,ということは以前にこのブログでも書いた。それぞれ,他社が機能拡張できるプラグインを開発して販売している。ファイルメーカーをメーラーとして使うという需要がそれほどないからだろう。クラウドバージョンでは,業務用メールとして社員が使う可能性もあり,ひょっとしたら実装されるかもしれない。
メーラーとしてファイルメーカーを使うメリットは,業務との連携が可能になることである。あるプロジェクトの企画書をファイルメーカーで作ることを想定すると,そのプロジェクト参加者の情報は,住所録データとリンクして管理し,過去のやり取りはメールデータとリンクすることで履歴を同時表示する,といった使い方ができる。履歴調べのためにメーラーを検索する手間もなくなる。
筆者も,国内のソフトハウスが開発したプラグインを購入して使ってきた。機能的にはまったく申し分なかったのだが,たとえば新規メールを確認する際にかなり時間がかかっていた。ファイルメーカーのもう1つの欠点として,同時に2つの作業ができないことがある。メールの読み込みの数分間の間,ほかの作業ができない。頻繁に使うメーラーに時間を取られるのは望ましくない。通常は他のメーラーを使い,ファイルメーカーは1日まとめてバックアップ用にメールをダウンロードするという使い方をしてきた。
話が長くなったが,MBSというプラグインでメールの受信と送信ができることは以前に確認していた。「MBS」でメール受信をファイルメーカーで実現 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/5/21。送信は,ファイルメーカー単独でも実現できるのだが,複数ファイルの添付機能はv.16以降に実装されたため,送信には国産プラグインを使ってきた。
社のメールサーバーが変更されたのを機に,MBS+ファイルメーカーで送受信できるメーラーを統合してみようとしてみた。まず,新規メールが確認できるプラグイン機能として,IMAP対応のサンプルファイルを使ってみた。IMAPだと全メール情報をいちいちダウンロードしないため,新着メールの確認は数秒でできた。他のメーラーと遜色なかった。メールの内容確認には,その都度,メールサーバーと接続する必要があるが,不要なファイルは中を見る必要もないので,すぐに内容確認できる。20メール程度なら30秒もあればダウンロードできるので,メールに専有されているようには感じなかった。
海外ソフトハウスのプラグインのため,Shift-JISなどのエンコードにフル対応していない。最初は文字化けが発生したが,問い合わせてみるとエンコード用の関数が別途用意されていることを教えてもらった。スクリプトに1行加えるだけで文字化けは解消された。
一方,送信用のサンプルファイルでは,複数の添付ファイルに対応する方法が紹介されていた。なかなか手の込んだ方法で複数ファイルを添付するテクニックだった。このスクリプトを,受信用サンプルファイルに読み込み,スクリプトを少し修正することで,複数ファイルの添付送信もできるようになった。
メールの受信用のテーブル(データ一覧)と送信用のテーブルを同じファイルの中に用意し,それぞれをリンクして使う仕組みが,実現できた。現時点では,標準メーラーと併用している。標準メーラーは,定期的に15分ごとに新着メールの確認が行われている。サーバーにはこの確認アクションが負担になるため,ファイルメーカーメーラーからも同じようなアクションを送るのは控えたいと考えたからである。ちなみに,ファイルメーカー単独で,定期的なメール取得をしようとすると,スクリプトを動かし続ける必要があり,そうすると他の作業ができなくなるという欠点がある。これをWindows側で操作する方法はあるが,そこまでする必要はないと思っている。
残念ながら,これまで使っていた国産プラグインではたまに受信エラーが起きていた。MBSによる受信,送信は,今のところエラーが起きていないのも気に入っている。正式に使うには,MBSもサブスクリプションが必要なのだが,MBSを日本でもエバンジャイルしていることを伝え,そのまま使わせていただいている。