筆者が4月にコーディング支援ツール「Gemini Code Assist」を利用した時、同ツールはまだプレリリース版だった。Code Assistは当時、「Gemini 1.5」で稼働していた。現在は正式提供されており、Googleによると、より高性能な「Gemini 2.0」に更新されたという。
Googleは米国時間12月17日、「Code Assist tools」を発表した。製品管理担当シニアディレクターのRyan J. Salva氏とグループ製品マネージャーのPrithpal Bhogill氏は、同日のブログ投稿において、同ツールを「接続された開発エコシステム」と説明している。
彼らは「アプリの構築と管理に必要な情報を開発者が入手する方法におけるパラダイムシフト」とも表現している。
筆者の「テクノロジーマーケティングにおける第一のルール」は、製品マネージャーがメリットの説明方法を気に入った場合、その表現はマーケティングコピーで使用しないことである。このルールに対する結論は、エンジニアが製品の説明方法を気に入った場合、技術方面の顧客も気に入るということだ。
製品マネージャーは、自社の製品を「パラダイムシフト」と呼ぶのが大好きだ。
公平に見て、この製品は生成AIと「Google」の組み合わせであり、われわれはほぼ毎日のようにパラダイムシフトを経験している。変化のスピードは目が回るほど速い。しかし、この現実はSalva氏とBhogill氏のマーケティングを誇張表現としてすぐに切り捨てられないことも意味する。
それでは、Code Assist toolsが提供するものを見ていこう。そうすれば、今回の「パラダイムシフト」が誇張表現なのか、それともゲームチェンジャーなのかを判断できるだろう。
Code Assistは、「Visual Studio Code」(VS Code)や「Jetbrains」のような開発環境内に存在するコードヘルパーだ。コードの編集時にプロンプト(指示文)を入力すると、同ツールから応答が得られる。
Salva氏とBhogill氏が発表した内容は、サードパーティーツールをCode Assistに統合し、編集環境からそれらのツールを利用できるようにするというものだ。つまり、プログラマーはツールを使うためにウィンドウを切り替える必要がなくなる。必要なものは、文字通りキーを押した直後に手元にあるのだ。
現在、Googleは非公開プレビュー版として以下のツールとの統合を発表している。
- GitHub:誰もが愛用するソースコード管理リソース
- GitLab:DevOps向けで、GitHubの強化版のような位置付け
- Googleドキュメント:文書に基づくアクセス制御された洞察
- Sentry.io:動的メトリクスとデバッグツール
- Atlassian(Rovo):企業知識を取得できる対話型AI
- Snyk:安全なコード開発のためのセキュリティ管理ツール
米Snyk 最高技術責任者(CTO)のDanny Allan氏によると、「Google Cloudと協力して専用Geminiツールを構築することで、開発者はGeminiでコードを書き、Snykでテストと修正を行えるようになる。全てはIDE(統合開発環境)内で完結する」
Allan氏は、IDEにとどまることで、開発者がコーディング中に集中力を維持できると述べる。「この統合により、開発者はクリエーティブな流れを維持し、最高水準の安全性を維持しながら、AIを活用してイノベーションを加速させることが可能となる」
Code Assistの利用例
上記のリストにあるようなツールは、開発者が目標を達成するのに役立つ。とはいえ、GitHubを含む理由が筆者には理解できない。ほとんどのIDEは、最初からGitHubとの緊密な統合機能を搭載しているからだ。おそらくGoogleがプライベートプレビューを拡大するにつれ、GitHubとの統合に適用されるAI機能が明らかになるだろう。
Salva氏とBhogill氏は「拡張性が高く安全なアプリケーションを本番環境で稼働させるには、優れたコードを書くだけでは不十分だ。開発者は生産性、オブザーバビリティ、セキュリティ、データベースなどに関するソリューションを必要とする」と述べる。
Code Assistは開発者向けのツールだが、Googleの発表はパートナービジネス開発の売り込みともいえる。同社の2人の製品専門家は、パートナー企業が開発者とのつながりを深め、「成長とエンゲージメント向上の機会」を増やせると指摘している。
Googleは「パートナー企業と共同で積極的にマーケティングを行い、露出度を最大化し、一貫性のあるストーリーを伝える」ことも約束している。
Code Assistの利用料は、年間契約の場合、標準サービスがユーザー1人当たり月額19ドルから。エンタープライズ版は、年間契約の場合、1ユーザー当たり月額45ドルから。エンタープライズ版では、ほぼ全てのコードベースを認識できる。
Code Assist toolsはプライベートプレビュー中だが、こちらをクリックしてフォームに記入し、アクセスをリクエストできる。
提供:Yuichiro Chino/Getty Images
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。