サイボウズが米国で展開するクラウドサービスの運用基盤にAmazon Web Services(AWS)を採用することを決めた。その理由は何か。同社の青野慶久社長と佐藤鉄平執行役員グローバル開発本部長に聞いた。
米国での開発スピードの向上や攻めの事業展開へ
「米国で展開している『kintone.com』の運用基盤としてAWSを採用することに決めた」――。サイボウズの青野氏は、同社が2月26日に開いた2018年度の事業戦略説明会でこう明らかにした。kintone.comとは、同社のPaaS「kintone」における米国市場でのサービスブランドである。その運用基盤を、これまでの自前のIaaSからAWSに移行すると、この会見で発表した格好だ。
実は、同社は2017年9月に、kintone.comの運用基盤として汎用IaaSを採用する方針を明らかにしていた。その際に青野氏から聞いた話については、同年9月15日掲載の本連載「サイボウズが米国PaaS事業で汎用IaaSを採用する理由」に記したのでご覧いただきたい。今回の発表は、その汎用IaaSがAWSになったということだ。
同社はAWSの採用について、「日本と米国の運用基盤を切り離すことで、米国での開発スピードの向上や攻めの事業展開が可能になる」(青野氏)としている。AWSによるkintone.comの運用は2019年1月に開始する予定。なお、日本でのサービスは従来通り自前のIaaSにて運用していくという。
また、kintone.comを独立させた形で投資することにより、「米国内のデータセンターから高速にサービスを提供できる」「他の製品に影響なくスピーディなアップデートができる」「クラウドネイティブかつ効率的なリリースプロセスを確立できる」「米国市場向けのサブスクリプションモデルや販売施策を展開しやすくなる」といったメリットが得られると見ている。
会見に臨むサイボウズの青野慶久社長