IBMは2月21~25日の5日間、ネバダ州ラスベガスで同社の年次コンファレンス「IBM Interconnect 2016」を開催している。クラウドとモバイルに焦点を当てた同コンファレンスのテーマは「Outthink Limits」。直訳すれば「限界を熟考する」だが、「既存の限界を突破し、新たなステージに到達する意味合いが込められている」(IBM関係者)という。
期間中は1500超のセッションが開催され、世界各国から約2万3000人を超えるパートナーや顧客らが参加。日本からも約300人が参加した。
今回のコンファレンスで特徴的なのは、IBMのパートナーが主催するセッションが多いことだ。IBMによると、半数以上のセッションがパートナーの事例紹介、PaaS「IBM Bluemix」上で構築されたアプリやサービスを紹介するものだという。
テーマは「Outthink Limits」。“限界を突き抜けろ”的な意味が強いそうだ
顧客もIBMも「Outthink Limits」
「IBMは今も、そしてこれからもハイブリッドクラウドに注力していく。(企業にとって)クラウド化は終着点ではなく、イノベーションのプラットフォームを手に入れることだ。現在、クラウドは転換点を迎えている。あらゆる業界で既存のビジネスモデルや枠組みの破壊が起こっている。企業はコンポーネント化を進め、リーン(筋肉質)になる必要がある。外部からの変化によって破壊されるのではなく、既存の枠組みと限界を自らが破壊しなければならない」
IBMクラウド担当シニアバイスプレジデント Robert LeBlanc氏
2月22日の基調講演に登壇した米IBMのIBMクラウド担当シニアバイスプレジデントであるRobert LeBlanc氏が開口一番に訴えたのは、ハイブリッドクラウド戦略の強化と、現状打破の重要性だ。IoTやAPIを活用してビジネスを興す「APIエコノミー」の台頭で、企業は新たな価値の提供と、ビジネスモデルの変革を求められている。それらを実現するために必要なのが、ハイブリッドクラウドであり、膨大なデータから効率よく知見を得られるコグニティブであるというのが、IBMの主張だ。
現状打破の重要性は、IBMにも当てはまる。2015年、同社の最高経営責任者(CEO)であるGinni Rometty氏は、「クラウド」と「コグニティブ」をIBMのビジネスの2本柱に据えた。以降、すべてのIBMソフトウェアをクラウドに移行したり、200超の新たなクラウドサービスを発表したりと、矢継ぎ早に施策を打ち出している。
その“目玉”となったのが、VMwareとの戦略的協業だ。VMwareのSDDC(Software-Defined Data Center)環境をIBMがグローバルで有する45のデータセンターで提供する。今回の協業で顧客は、オンプレミスとクラウド環境をシームレスに連携させられ、一貫したデプロイやプロビジョニングが可能となる。
ゲストとして登壇したVMwareのプレジデント兼最高執行責任者(COO)であるCarl Eschenbach氏(右)は、「VMwareの顧客は世界45カ所にあるIBMのクラウドデータセンターでSDDCを展開できるようになる」と語った