シャープは3月10日、液晶ディスプレイの新技術として紙とペンのような書き心地を実現する「フリードロイング技術」を発表した。これに合わせ、液晶事業における今後の方針説明や新技術を搭載したディスプレイなどを披露した。
シャープでは4月1日付でディスプレイデバイス事業本部に中型ディスプレイを担うディスプレイデバイス第二事業本部を新設。小型を担当する第一事業部、大型の第三事業部と3つの事業本部体制を敷く。
2月に開催された2015年3月期第3四半期決算発表では、亀山第2工場の中小型生産比率の向上、中国華南地区での営業体制の強化、IGZO液晶の高付加価値化とコスト革新などを直近の対応として発表。さらに2017年以降の中期対応として「車載、Industrial Appliance(IA)、医療など社会インフラを中心とした『BtoBtoB事業』の比重拡大」を目標に据える。
シャープ代表取締役専務執行役員デバイスビジネスグループ担当の方志教和(ほうし・のりかず)氏は「BtoBtoCの依存度を軽減し、BtoBtoBの比重を高める」と液晶事業におけるポートフォリオの変革を発表。2014年度に約15%だったBtoBtoBビジネスの構成比を、2021年度には約40%まで増やす計画を明らかにした。
方志氏は「現在の高精細、狭額縁という競争軸はいずれ飽和する。新規の独自技術開発による新たな競争軸の創出が市場をリードする」とし、デザイン性能、耐環境性能、ユーザーインターフェース(UI)革新の3つを新たな競争軸として掲げる。同日発表したフリードローイング技術は、UIの革新につながるものだという。
フリードローイング技術は、紙とペンの使用感をそのままタッチパネルで実現することを目指したディスプレイUIの総称。小型、中型、大型とサイズに関係なく、どのサイズでも統一した使用感を実現できることが特徴だ。
この使い勝手を実現するために開発されたのがタッチパネルの高感度化技術。従来、ラインごとに信号を検知していた「逐次駆動センシング」から全画面の信号検知ができる「並列駆動センシング」にすることによって、高精細、大画面ディスプレイでも検知速度の早いタッチパネルを実現するという。
これにより、筆の強弱まで読み取れる接触面積の検出や、ガラス越しや手袋での入力もできる厚板越しでの検出、同時に複数人数が書き込める多点検出なども可能になるとのこと。また、タッチパネル部分を液晶内部に収めることで、薄型化、軽量化ができる「インセル方式」においても、高感度化することでタッチ信号の検知力を高めた。
また、ディスプレイ形状とタッチ機能を融合させた「フリーフォームディスプレイ(FFD)UI」や、NFCカードリーダ機能を追加した「カードリーダー機能搭載ディスプレイ」も発表。「さまざまな機能を融合し、さらなる体験を提供していきたい」(方志氏)とした。
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