「Firefox」が「Internet Explorer(IE)」を打ち負かそうとする過程で、面白いことが起こった。Mozilla Foundationのブラウザの成功が、ほかの多くの競合ブラウザに扉を開いたのだ。
IEの市場シェアがほぼ1年のうちに8%も低下し65.5%まで落ち込んだというのに、Firefoxのプログラマーたちは意外な悩みに直面している。それは、自分たちはMicrosoftのプログラマーを意識した方がよいのだろうか、それとも、Appleの「Safari」や「Google Chrome」「Opera」のプログラマーをもっと意識した方がよいのだろうか、というものだ。
Net Applicationsの調査によると、Firefoxの市場シェアは2008年7月から約3%上昇し22.5%となった。Firefoxを提供するMozillaは間違いなく、米国時間6月30日にリリースした「Firefox 3.5」でさらなるシェア獲得を願っているだろう。しかし、AppleのSafariとGoogleのChromeも約2%ずつのシェアを獲得して、それぞれ8.4%と1.8%になっており、IEの代替品に対する需要が伸びていてFirefoxではそれを賄い切れていないことを示している。Operaのシェアはおよそ0.7%のままだ。
つまり、この市場で無謀な闘いに果敢に挑んでいるのはFirefoxだけでなく、Firefoxのファンが考える敵か味方かという単純な対立の構図は、もっと複雑な多元方程式に形を変えようとしている。
IEに対する挑戦者がほかにもいるということはFirefoxを正当化する助けとなる。IEという囲いの中からさまよい出るという考えが、より正当性を増すからだ。しかしこれらの代替ブラウザは、もっと遠く道を外れて冒険する一部の新規ユーザーも集めている。だがMozillaは、楽観的な考え方を好む。
Firefox担当ディレクターMike Beltzner氏は次のように語る。「われわれの最大の課題の1つは、ウェブブラウザには選択肢があること、その選択がもたらす違いがどれほど大きいかということを、人々が理解するのを手助けすることだ。われわれにとってあらゆるリリースが、成長し続けるわれわれのユーザーベースに直接進歩をもたらす機会であり、同時にMicrosoftに同社の製品を改良するよう圧力をかけることによって、間接的に多数のユーザーに役立つ機会でもある」
Firefox 3.5は比較的開発期間が長かった。当初は「Firefox 3.0」に対する迅速で適度なアップグレードのつもりで開発が始まったが、Mozillaのこのブラウザに対する野望が膨らむとともにバージョン番号も増していった。
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