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Skylakeマイクロアーキテクチャ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Skylake
生産時期 2015年8月から
生産者 インテル
プロセスルール 14nm
アーキテクチャ x64
マイクロアーキテクチャ Skylake
命令セット x86-64, Intel 64
コア数 2から28
(スレッド数:2から36)
ソケット
  • LGA 1151
  • LGA 2066
  • LGA 3647
前世代プロセッサ Broadwell
次世代プロセッサ Kaby Lake
Cascade Lake
L1キャッシュ コアあたり64KiB
(命令32+データ32)
L2キャッシュ コアあたり256KiB
L3キャッシュ コアあたり最大2MiB
ブランド名
  • Core m3
  • Core m5
  • Core m7
  • Core i3
  • Core i5
  • Core i7
  • Core i9
  • Celeron
  • Pentium
  • Xeon
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Skylakeマイクロアーキテクチャ(スカイレイク マイクロアーキテクチャ)とは、インテルによって開発されたマイクロプロセッサマイクロアーキテクチャである。Broadwellの後継となる第6世代Intel Coreプロセッサとして2015年8月に製品化された。

SkylakeマイクロアーキテクチャはBaniasConroeSandy Bridgeと同じイスラエルハイファが担当し、開発期間4年で性能増大を目指したが、途中4.5Wでの動作を追加することが決まり、省電力と性能のバランスを採る方向に設計が変更された[1]

2014年のIDFで動作デモが公開され[2]、14nmプロセスルールにおける製造に難航したBroadwellとは異なりモバイルからサーバーまでスケーラブルな製品展開を可能としたが、一般向けとハイエンド向けでアーキテクチャが分かれている[3]

デスクトップ向け10nmプロセスルールの開発が難航し移行が進まなかった中で、Kaby LakeCoffee LakeAmber LakeWhiskey LakeComet Lakeと6年にもわたってSkylakeマイクロアーキテクチャが使われ続けた。

特徴

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  • 14 nm プロセスルール
  • 最大5命令同時デコード、6 uOPs同時発行
  • アウトオブオーダリソースの増強
  • DDR4メモリに対応
  • ファイングレインパワーコントロール
  • Intel Speed Shift Technologyを搭載
  • デジタルPLL
  • Intel MPX(Memory Protection eXtentions)命令に対応

一般向け

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  • Intel SGX命令を搭載
  • Gen 9 Graphicsの統合
  • カメラ用のISPを統合
  • DMI3.0インターフェイス
  • FIVRのオミット

ハイエンド向け

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  • AVX-512
  • 実行ポートに512-bitのFMAユニットを追加
  • L2 1MB/コア、ノンインクルーシブ化されたLLC 1.375MB/コア
  • 最大6メモリーチャネル
  • メッシュバス
  • UPI

製品構成

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デスクトップ向け

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モデルナンバー末尾に「K」が付いたモデルはCPUクーラーが付属しない。

コア (スレッド) ブランド・型番 GPU CPU周波数

(GHz)

TDP

(W)

GPU周波数

(GHz)

L3

キャッシュ

(MB)

ソケット 発売日 価格

(US$)

ベース ターボ ベース 最大
18(36) Core i9 7980XE 2.6 4.4 165 24.75 LGA2066 2017年7月21日 1999
16(32) 7960X 2.8 22 1699
14(28) 7940X 3.1 19.25 1399
12(24) 7920X 2.9 140 16.5 1199
10(20) 7900X 3.3 4.5 13.75 2017年7月14日 999
8(16) Core i7 7820X 3.6 11 599
6(12) 7800X 3.5 4.0 8.25 389
4(8) 6700K HD 530 4.0 4.2 91 0.35 1.15 8 LGA1151 2015年8月5日 339
6700 3.4 4.0 65 2015年9月2日 303
6700T 2.8 3.6 35 1.1
4(4) Core i5 6600K 3.5 3.9 91 1.15 6 2015年8月5日 242
6600 3.3 65 2015年9月2日 213
6600T 2.7 3.5 35 1.1
6500 3.2 3.6 65 1.05 192
6500T 2.5 3.1 35 1.1
6402P HD 510 2.8 3.4 65 0.95 2016年1月28日 182
6400 HD 530 2.7 3.3 2015年9月2日 187
6400T 2.2 2.8 35 182
2(4) Core i3 6320 3.9 51 1.15 4 2015年10月30日
6300 3.8
6300T 3.3 35 0.95
6100 3.7 51 1.05 3
6100T 3.2 35 0.95 2015年9月27日
6098P HD 510 3.6 54 1.05 2016年1月28日 117
2(2) Pentium G4520 HD 530 51 2015年10月30日
G4500 3.5
G4500T 3.0 35 0.95 2015年9月27日
G4400 HD 510 3.3 54 1.0 2015年10月30日
G4400T 2.9 35 0.95
Celeron G3920 51 2 2015年Q4 52
G3900 2.8 42
G3900T 2.6 35 -

モバイル向け

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Xeonのモバイル向けモデルが初めてリリースされた。Core i7では、Extreme Editionではないオーバークロック対応モデル(6820HK)が初めてリリースされた。また従来モバイル向けでは2コア4スレッドモデルのみのリリースだったCore i5に、デスクトップ向けと同じ4コア4スレッドのモデルが初めてリリースされた。

Core mではCore m7/m5/m3とランク分けがなされた。

コア
(スレッド)
ブランド・型番 GPU CPU周波数
(GHz)
TDP
(W)
GPU
周波数
(GHz)
L3
キャッシュ
(MB)
ECC
メモリ
対応
発売日 価格
(US$)
定格 ターボ 定格 cTDP 定格 最大
1コア 2コア Up Down
4(8) Xeon E3 1535M v5 HD P530 2.9 3.8 3.6 45 35 0.35 1.05 8 はい 2015年10月27日 623
1505M v5 2.8 3.7 3.5 434
Core i7 6920HQ HD 530 2.9 3.8 3.6 いいえ 568
6820HQ 2.7 3.6 3.4 378
6820HK 2015年9月1日1
6700HQ 2.6 3.5 3.3 6
2(4) 6660U Iris 540 2.4 3.4 15 9.5 0.3 4 2016年Q1 415
6650U 2.2 3.2 2015年Q3
6600U HD 520 2.6 25 7.5 2015年9月1日1 393
6567U Iris 550 3.3 3.6 3.4 28 23 1.1 2015年Q3 -
6560U Iris 540 2.2 3.2 3.1 15 9.5 1.05 -
6500U HD 520 2.5 3.1 3.0 25 7.5 2015年9月1日1 393
4(4) Core i5 6440HQ HD 530 2.6 3.5 3.3 45 35 0.35 0.95 6 2015年10月27日 250
2(4) 6360U Iris 540 2.0 3.1 2.9 15 9.5 0.3 1.0 4 2015年Q3 304
4(4) 6300HQ HD 530 2.3 3.2 3.0 45 35 0.35 0.95 6 2015年9月1日1 250
2(4) 6300U HD 520 2.4 3.0 2.9 15 25 7.5 0.3 1.0 3 2015年Q3 281
6287U Iris 550 3.1 3.5 3.3 28 23 1.1 4 304
6267U 2.9 3.3 3.1 1.05
6260U Iris 540 1.8 2.9 2.7 15 9.5 0.95
6200U HD 520 2.3 2.8 25 7.5 1.0 3 2015年9月1日1 281
Core i3 6167U Iris 550 2.7 28 23 2015年Q3 304
6100H HD 530 35 0.35 0.9 2015年9月1日1 225
6100U HD 520 2.3 15 7.5 0.3 1.0 281
Pentium 4405U HD 510 2.1 10 0.95 2 2015年11月 161
4405Y 1.5 6 4.5 0.8
2(2) Celeron 3955U 2.0 15 10 0.9 2015年Q4 -
3855U 1.6 -
2(4) Core m7 6Y75 HD 515 1.2 3.1 2.9 4.5 7 3.5 1.0 4 2015年9月1日1 393
Core m5 6Y57 1.1 2.8 2.4 0.9 281
6Y54 2.7
Core m3 6Y30 0.9 2.2 2.0 3.8 0.85
  • 1アジア以外の地域では2015年9月27日の予定。

[4]

サーバー/ワークステーション向け

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コア
(スレッド)
ブランド・型番 GPU CPU周波数
(GHz)
TDP
(W)
GPU
周波数
(MHz)
L3
キャッシュ
(MB)
GPU
eDRAM
(MB)
ソケット 発売日 価格
(US$)
定格 ターボ 定格 トレイ ボックス
4(8) Xeon E3 1280v5 3.7 4 80 8 LGA1151 612 -
1275v5 HD P530 3.6 350 2015年11月11日 339 -
1270v5 328 339
1260Lv5 2.9 3.9 45 294 -
1245v5 HD P530 3.5 80 350 2015年11月11日 284 -
1240v5 272 282
1240Lv5 2.1 3.2 25 278 -
4(4) 1235Lv5 HD P530 2 3 350 250 -
4(8) 1230v5 3.4 3.8 80 2015年11月11日 261
4(4) 1225v5 HD P530 3.3 3.7 350 213 -
1220v5 3 3.5 193 -

後継

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後継製品の開発コードは当初Skymont[5]と言われていたがCannon Lakeとなった。その後10nmプロセスルールの遅延により予定は変更され、Skylakeと同じ14nmプロセスルールのKaby Lakeを挟むこととなった。Kaby Lakeは2016年9月に第7世代Intel CoreプロセッサとしてノートPC用の低電圧仕様が先行発表され、続いて2017年1月にノートPC用の標準電圧仕様およびデスクトップ用が発表された。更に14nmプロセスルールでCoffee Lakeを2018年に投入し、並行して10nmプロセスルールのCannon Lakeを投入する予定[6]とされたが、Coffee Lakeはやや前倒しされて2017年5月に第8世代Intel Coreプロセッサとして予告[7]、2017年10月より順次発売された。最終的にCannon Lakeは2018年5月にCore i3 8121Uとして出荷[8]されるに留った。

脆弱性対応

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Skylakeマイクロアーキテクチャには、多数の脆弱性がある。Intelや各メーカーは、ファームウェアやOSで脆弱性の緩和を図ったが、より効果的な対策には次世代のIce_Lakeマイクロアーキテクチャを待たねばならなかった。

脆弱性コード名 公称 概要 Coffee Lake Reflesh

Whisky Lakeの一部

Comet Lake
Variant 1 Spectre 条件付き分岐における

境界チェックの回避 (Bounds Check Bypass) CVE-2017-5753

オペレーティングシステム オペレーティングシステム
Variant 2 Spectre 分岐先のインジェクション

(Branch Target Injection) CVE-2017-5715

マイクロコード

オペレーティングシステム

マイクロコード

オペレーティングシステム

Variant 3 Meltdown 不正なデータキャッシュの読み込み

(Rogue Data Cache Load) CVE-2017-5754

ハードウェア ハードウェア
Variant 3a N/A 不正なシステムレジスタの読み取り

(Rogue System Register Read ) CVE-2018-3640

マイクロコード

オペレーティングシステム

マイクロコントローラ
Variant 4 N/A 書き込み前メモリの参照

(Speculative Store Bypass) CVE-2018-3639

マイクロコード

オペレーティングシステム

マイクロコード

オペレーティングシステム

L1TF Foreshadow L1キャッシュへの不正なアクセス

CVE-2018-3646

ハードウェア ハードウェア
MFBDS Zombieload

RIDL

ストアバッファに関する

サイドチャネルによる情報漏洩 CVE-2018-12130

マイクロコード ハードウェア
MSBDS Fallout フルバッファに関する

サイドチャネルによる情報漏洩 CVE-2018-12126

マイクロコード ハードウェア
MLPDS RIDL ロードポートに関する

サイドチャネルによる情報漏洩 CVE-2018-12127

マイクロコード ハードウェア
MDSUM RIDL キャッシュ不可メモリに関する

サイドチャネルによる情報漏洩 CVE-2019-11091

マイクロコード ハードウェア

その他

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Skylakeマイクロアーキテクチャを搭載したWindows 7Windows 8.1について、重要なセキュリティアップデートを除き、2017年7月17日まで(予定)のサポートに短縮されることがマイクロソフトから公式発表されていた[9] が、後にほぼ撤回[10] となった。またWindows 11へのアップデートの要件がSkylakeのCore Xシリーズ、Xeon Wシリーズへと緩和された[11]

脚注

[編集]
  1. ^ 笠原 一輝 (2015年9月7日). “Intelの開発責任者に聞く、Skylake開発秘話”. https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/719844.html 2020年5月31日閲覧。 
  2. ^ 「Skylake」が動いた! IntelがIDF14で次期アーキテクチャの動作デモを初公開”. ITMedia (2014年9月11日). 2015年9月7日閲覧。
  3. ^ 後藤 弘茂 (2018年2月13日). “28コアサーバーCPU「Skylake-SP」の詳細”. 2020年5月31日閲覧。
  4. ^ Skylakeのデスクトップ向け通常版およびモバイル版が一斉発表” (2015年9月2日). 2015年9月2日閲覧。
  5. ^ Demerjian, Charlie. “After Intel's Haswell comes Broadwell”. Semiaccurate.com. 2012年1月4日閲覧。
  6. ^ 【笠原一輝のユビキタス情報局】Intel、2018年に14nmの新CPU“Coffee Lake”を投入 ~10nmに微細化されるCannon Lakeと並列投入 - PC Watch
  7. ^ 若杉 紀彦 (2017年5月30日). “第8世代Coreは年内投入で、第7世代から3割性能向上”. https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1062440.html 2017年6月2日閲覧。 
  8. ^ 劉 尭 (2018年5月17日). “Cannon LakeのCore i3-8121Uがこっそり発表、AVX-512命令対応もGPUは無効か”. https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1122271.html 2020年5月31日閲覧。 
  9. ^ Microsoft、SkylakeでのWindows 7/8.1サポートを2017年7月までに短縮 ~Intel、AMD、Qualcommの次期SoCはWindows 10のみをサポート”. インプレス (2016年1月18日). 2016年2月14日閲覧。
  10. ^ Windows 7/8.1搭載Skylake PCのサポート期間短縮は結局撤回に”. インプレス (2016年8月12日). 2016年8月14日閲覧。
  11. ^ Microsoft、「Windows 11」にアップデートできるプロセッサを少し追加 チェックプログラムも再公開へ

関連項目

[編集]