Mental ray
開発元 | Nvidia |
---|---|
初版 | 1989年 |
最新版 |
3.14
|
対応OS | Linux, OS X, Microsoft Windows[1] |
サポート状況 | 終了。(買収のため) |
公式サイト |
www |
mental rayとは、NVIDIAが提供していたレイトレーシングベースの3次元コンピュータグラフィックスレンダリングエンジンである。
元々は独mental images GmbH (後のNVIDIA ARC GmbH) によって開発されていたが、2007年にGPUメーカーのNVIDIAがそれを買収し子会社化した。2017年、開発終了した[2]が、PTC Creo Parametricには未だ搭載されている。
歴史
[編集]1989年から2017年に至るまで継続して開発・更新が続いていた。最初、1993年にSOFTIMAGE Creative Environment (後のSoftimage 3D) が mental ray を内部レンダラーとして統合し、その後、その後継のSoftimage | XSI、Discreet Logic社の3ds Max、Alias SystemsのMayaが続いて内部レンダラーとして採用した。また、Autodesk社のCADであるAutoCADやRevitにも搭載された。
2008年、GPU対応REYESスキャンラインレンダラーのGelato (旧Entropy←BMRT[3]、Exlunaより買収)が開発終了となり、その開発チームがmental rayの開発に加わった[4]。
しかし、その後、Softimage社とAlias Systemsの買収を行ったAutodeskは、自社レンダラー「Autodesk Raytracer」 (別名Rapid RT)の開発を進め、また、2016年にArnoldの開発元であるSolid Angle社の買収を行って、同社の製品にそれらを付属することでmental rayを排除した。そのため、2017年にmental rayは開発終了となった。
特徴
[編集]フォトンマッピング技術により、物理的に正確なグローバルイルミネーションのシミュレーションを行なうことで、コースティクスのような光学現象を再現することが可能。スペクトルレンダリングにも対応していた[5]。
非写実レンダリング (NPR) 向けとしては、Softimageに付属するToonシェーダに定評があり、これを3ds MaxやMayaから使う方法も存在した[6]。
また、mental rayにはirayエンジンも統合されており[7] (Iray mode)、3ds Maxからはmental rayを通してirayを使うことが可能であった[8]。
NVIDIA Iray
[編集]NVIDIA Irayは、NVIDIAが開発するGPU対応レンダラーであり、そのレンダリングエンジンはMental Rayにも搭載されている[9]。
IrayはAutodesk 3ds Max 2011〜2017、DAZ Studio 4.8以降、CATIA V6R2011x以降、SOLIDWORKS Visualize (旧Bunkspeed)[10]、Siemens NX 11以降[11]、Substance Designer 5.3以降、Substance Painter 2以降[12]などに標準で搭載されている。分散レンダリング用としてNVIDIA Iray Serverが存在する。また、3DCG/3DCADソフトウェア用のプラグインとして以下が存在する:
- 現行
- Iray for 3ds Max (旧Iray+ for 3ds Max[13]) - Autodesk 3ds Max用。Lightwork Design開発[14] (後にシーメンスが買収[15])。
- Iray for Autodesk Maya (旧IrayForMaya) - Autodesk Maya用。[0x1] Software und Consulting開発[16]。2022年4月現在Maya 2020まで対応。
- 過去
- BIM IQ Render - Autodesk Revit用。Oldcastle BuildingEnvelope開発[17]。
- Allura Renderer - SketchUp用。Render Plus開発。
- Iray for Cinema 4D (旧m4d) - Cinema 4D用。at² Softwareが開発していた[18]。開発終了[19]。
- Iray for Rhino - Rhinoceros 3D用。migenius開発。2022年4月現在Rhinoderos 3D 6まで対応。2023年廃止[20]。
- ProWalker GPU - Cadalog開発。SketchUp用でIrayベースとなっていた[21]が廃止され、ProWalker CPUの後継のPodiumxRT[22]はIntel OSPrayベースとなっている[23]。
またクラウドレンダリング向けの migenius RealityServer も存在する (migenius は2021年にPTCに買収された[24])。
Iray+
[編集]Iray+ (旧Lightworks Iray+) は元々 Lightwork Design Ltd. が開発していた NVIDIA Irayベースのソフトウェア開発キット (SDK) であり、同社の「Iray for 3ds Max」を始め、様々なNVIDIA Irayベースのプラグインなどに使われている。
Lightworks Designは最初、独自のレンダリングソルーションのLightworks Authorを他社に提供していたものの、2013年よりNVIDIA Irayの総代理店となってそのサポートを提供するようになり、Lightworks Iray+はその利用を容易にするものとして開発されていた[25]。Lightworks Designは2019年にシーメンスに買収され[15]、その後、Iray+はシーメンスより提供されるようになった。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ “GPU Rendering Solutions for 3D Designers”. 2024年1月27日閲覧。
- ^ Mental Ray EOL announced CGPress 2017年11月18日
- ^ Renderman FAQ Larry Gritz
- ^ NVIDIA、GPUベースのレンダリングソフトウェア、NVIDIA Gelato Proの無償提供を開始 2008年5月30日 NVIDIA
- ^ Spectral Rendering Autodesk
- ^ MayaでsiToon! デジタル・フロンティア 2013年4月22日
- ^ mental ray 3.10 NVIDIA ARC
- ^ Changes to Rendering in 3ds Max 2018 Autodesk 2017年5月8日
- ^ mental images、レンダリングソリューションのirayを発表 NVIDIA 2009年9月30日
- ^ Bunkspeed Introduces PRO 2012 with integrated NVIDIA iray Peerless Media 2011年9月9日
- ^ Review: Siemens PLM NX 11 DEVELOP3D 2016年5月9日
- ^ Substance Painter 2 is out CGPress 2016年3月16日
- ^ Realising a Vision | Iray+ for 3ds Max Lightworks
- ^ Iray plugin renderer for Autodesk 3ds Max NVIDIA
- ^ a b Siemens acquires Lightwork Design to deliver advanced 3D data visualization Lightwork Design 2019年5月18日
- ^ Download Iray for Autodesk Maya 2016 PLUGIN FREE 2016年1月29日
- ^ Materials Based Rendering with Iray for Revit NVIDIA
- ^ m4d is now NVIDIA Iray for Cinema 4D at² Software
- ^ NVIDIA IRAY PLUGIN TRANSITION FAQ NVIDIA 2017年
- ^ Iray for Rhino Siemens Industry Software
- ^ ProWalker GPU - V1.2.4 Update Release Cadalog
- ^ Download ProWalker CPU for SketchUp Cadalog
- ^ PodiumxRT Cadalog
- ^ PTC acquires Migenius for the growing Onshape family GraphicSpeak 2021年2月8日
- ^ Lightworks Iray+ Technical Overview p.3 Lightworks Design