コンテンツにスキップ

能勢朝次

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
能勢 朝次
人物情報
生誕 (1894-04-01) 1894年4月1日
日本の旗 日本 京都府北桑田郡山国村
死没 1955年2月25日(1955-02-25)(60歳没)
出身校 京都帝国大学
学問
研究分野 文学、芸能史(能楽)
研究機関 大谷大学東京高等師範学校東京教育大学
学位 文学博士
テンプレートを表示

能勢 朝次(のせ あさじ、1894年明治27年〉4月1日 - 1955年昭和30年〉2月25日)は、日本能楽研究者・日本文学者。専門は、中世近世文学。奈良学芸大学学長等を歴任。能楽研究の分野では、膨大な史料を分析的に使う手法と卓抜した創見で斯界に一時代を画した。

経歴

[編集]

1894年、京都府北桑田郡山国村に生まれた。1923年京都帝国大学文学部国文科を卒業。

卒業後は、1924年より大谷大学教授となった。以降、京都帝国大学、東京高等師範学校東京文理科大学(1949年に新制移行後東京教育大学、後筑波大学)などでも教鞭をとった。1947年に学位論文『能楽源流考』を東京文理科大学に提出して文学博士学位を取得[1]。1954年、奈良学芸大学学長となった。

受賞・栄典

[編集]

研究内容・業績

[編集]

主著は1938年に上梓された『能楽源流考』(岩波書店)。「平安時代の猿楽」「鎌倉吉野時代の猿楽」の2篇と附篇の「田楽攷」からなり、能の発生から戦国末期までの能楽史を網羅する。以後、能楽史研究においては、本著の学説をいかに乗り越えるかが目標とさえいわれている[3]

他に岩波で『世阿弥十六部集評釈』上下巻、名著刊行会で『三冊子評釈』などの著書がある。『能勢朝次著作集』全10巻が1981~85年に思文閣出版で刊行された。

家族

[編集]

本姓は岩本で、1923年に結婚した際、能勢に改姓した[4]

著書

[編集]

単著

[編集]

編集

[編集]

共著

[編集]

共編

[編集]

監修

[編集]

校訂等

[編集]

著作集

[編集]

論文

[編集]
  • 芭蕉の風雅観」『仏教研究』第6巻第1号、大谷大学仏教研究会、1925年2月、148-163頁、NAID 120006304739 
  • 心敬僧都の芸術境」『大谷学報』第10巻第4号、大谷学会、1929年12月、1-39頁、NAID 120006015056 
  • 「発句の芸術的性格」『曲水』第32巻第9号、曲水社、1948年9月、4-7頁、NAID 40000755990 
  • 「海外詩と俳句」『寒雷』第9巻第10号、寒雷発行所、1948年10月、2-10頁、NAID 40000574978 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -6-」『国文学 解釈と鑑賞』第13巻第12号、至文堂、1948年12月、35-42頁、NAID 40001341304 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -7-」『国文学 解釈と鑑賞』第14巻第2号、至文堂、1949年2月、40-45頁、NAID 40001342169 
  • 「阿呆の疑問」『教育復興』第2巻第2号、東京書籍、1949年3月、56-59頁、NAID 40000726398 
  • 「貞門俳諧のねらひ」『曲水』第364号、曲水社、1949年3月、4-7頁、NAID 40000755991 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -8-」『国文学 解釈と鑑賞』第14巻第3号、至文堂、1949年3月、31-38頁、NAID 40001342146 
  • 「貞門俳諧の方法」『曲水』第33巻第4号、曲水社、1949年4月、4-7頁、NAID 40000755993 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -9-」『国文学 解釈と鑑賞』第14巻第4号、ぎょうせい、1949年4月、41-50頁、NAID 40001342235 
  • 「俳句性と短詩性」『奔流』第1巻第3号、奔流会、1949年4月、1-3頁、NAID 40004865361 
  • 「貞門の発句と連句」『曲水』第33巻第5号、曲水社、1949年5月、8-11頁、NAID 40000755989 
  • 「能と室町時代」『能』第3巻第8号、能楽協会、1949年8月、1-6頁、NAID 40003093582 
  • 「枯淡と近代」『俳句研究』第6巻第8号、富士見書房、1949年8月、4-10頁、NAID 40003176908 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -10-」『国文学 解釈と鑑賞』第14巻第9号、ぎょうせい、1949年9月、54-59頁、NAID 40001342243 
  • 「俳論研究の動向」『国文学 解釈と鑑賞』第14巻第11号、至文堂、1949年11月、22-28頁、NAID 40001342250 
  • 「芭蕉作風の成立 -1-」『寒雷』第88号、寒雷発行所、1950年1月、22-25頁、NAID 40000574969 
  • 「六輪一露評釈 -1-」『能』第4巻第1号、能楽協会、1950年1月、2-7頁、NAID 40003093622 
  • 「芭蕉作風の成立 -2-」『寒雷』第11巻第1号、寒雷発行所、1950年2月、12-15頁、NAID 40000574983 
  • 「人生の寂寥所」『現代俳句』第5巻第2号、現代俳句社、1950年2月、20-24頁、NAID 40001138494 
  • 「六輪一露評釈 -2-」『能』第4巻第2号、能楽協会、1950年2月、2-7頁、NAID 40003093421 
  • 「芭蕉作風の成立 -3-」『寒雷』第90号、寒雷発行所、1950年3月、28-30頁、NAID 40000574989 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -11-」『国文学 解釈と鑑賞』第15巻第3号、至文堂、1950年3月、47-53頁、NAID 40001342257 
  • 「六輪一露評釈 -3-」『能』第4巻第3号、能楽協会、1950年3月、1-6頁、NAID 40003093558 
  • 「芭蕉作風の成立 -4-」『寒雷』第11巻第4号、寒雷発行所、1950年4月、50-56頁、NAID 40000574963 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -12-」『国文学 解釈と鑑賞』第15巻第5号、至文堂、1950年5月、57-61頁、NAID 40001342089 
  • 「六輪一露評釈 -4-」『能』第4巻第5号、能楽協会、1950年5月、1-5頁、NAID 40003093466 
  • 「俳句の歩み -2-」『俳句の国』第6巻第5号、目黒書店、1950年5月、4-7頁、NAID 40003177600 
  • 「さま・姿・風体――まぎらはしい文芸批評語の知識」『国文学 解釈と鑑賞』第15巻第6号、至文堂、1950年6月、1-4頁、NAID 40001342134 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -13-」『国文学 解釈と鑑賞』第15巻第6号、至文堂、1950年6月、39-46頁、NAID 40001342138 
  • 「六輪一露評釈 -5-」『能』第4巻第6号、能楽協会、1950年6月、1-6頁、NAID 40003093619 
  • 「俳句の歩み -3-」『俳句の国』第6巻第6号、目黒書店、1950年6月、44-47頁、NAID 40003177583 
  • 「芭蕉作風の成立 -6-」『寒雷』第11巻第6・7号、寒雷発行所、1950年7月、2-5頁、NAID 40000574994 
  • 「謡曲研究法」『日本文学教室』第1号、蒼明社、1950年7月、11-16頁、NAID 40003035826 
  • 「六輪一露評釈 -6-」『能』第4巻第7号、能楽協会、1950年7月、1-4頁、NAID 40003093664 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -14-」『国文学 解釈と鑑賞』第15巻第9号、至文堂、1950年9月、56-58頁、NAID 40001342096 
  • 「国文学と国語教育」『教育研究 別冊』第2号、柏書院、1950年10月、18-24頁、NAID 40000698075 
  • 「連歌史研究法」『日本文学教室』第5号、蒼明社、1950年12月、4-8頁、NAID 40003035819 
  • 「散文精神と韻文精神」『雲母』第37巻第1号、雲母社、1951年1月、13-15頁、NAID 40000179971 
  • 「世阿弥の新解釈について」『国文学 解釈と鑑賞』第16巻第1号、至文堂、1951年1月、53-55頁、NAID 40001341423 
  • 「門外漢の感想」『馬酔木』第30巻第2号、馬酔木発行所、1951年2月、2-4頁、NAID 40000092747 
  • 「左近師追憶」『観世』第18巻第2号、檜書店、1951年2月、50-51頁、NAID 40000562411 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -15-」『国文学 解釈と鑑賞』第16巻第2号、至文堂、1951年2月、52-55頁、NAID 40001341510 
  • 「関根慶子氏の「更級日記私見」」『日本文学教室』第7号、蒼明社、1951年2月、34頁、NAID 40003035868 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -19-」『国文学 解釈と鑑賞』第16巻第7号、至文堂、1951年7月、56-59頁、NAID 40001341603 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -16-」『国文学』第16巻第9号、至文堂、1951年9月、33-40頁、NAID 40001341666 
  • 「劇場能からの連想」『観世』第19巻第1号、檜書店、1952年1月、27-28頁、NAID 40000562041 
  • 「勅題謡を謹作して」『観世』第19巻第1号、檜書店、1952年1月、47頁、NAID 40000562042 
  • 「求塚を見せてもらつて」『観世』第19巻第2号、檜書店、1952年2月、34-35頁、NAID 40000562319 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -17-」『国文学 解釈と鑑賞』第17巻第2号、至文堂、1952年2月、45-48頁、NAID 40001341520 
  • 「頴原退蔵著「芭蕉俳句新講」」『文学』第20巻第2号、岩波書店、1952年2月、180-182頁、NAID 40003388261 
  • 「老のすさみ――宗祇連歌論評釈 -18-」『国文学 解釈と鑑賞』第17巻第3号、至文堂、1952年3月、46-52頁、NAID 40001341679 
  • 「能作と仏教との関係――能はなぜ仏教臭いか」『観世』第19巻第5号、檜書店、1952年5月、1-3頁、NAID 40000562010 
  • 「中世に秘伝・家伝の生れたのは何故か」『国文学 解釈と鑑賞』第17巻第8号、至文堂、1952年8月、13-16頁、NAID 40001341484 
  • 「〔垣内松三〕――先生の学風」『実践国語』第13巻第147号、穂波出版社、1952年11月、3163-3164頁、NAID 40001570704 
  • 「研究題目はどんな風に選んだらよいか」『国文学 解釈と鑑賞』第18巻第2号、至文堂、1953年2月、7-9頁、NAID 40001341741 
  • 「津田左右吉著「日本文芸の研究」」『文学』第21巻第7号、岩波書店、1953年7月、746-748頁、NAID 40003388021 
  • 「芭蕉の連句」『国文学 解釈と鑑賞』第18巻第10号、至文堂、1953年10月、38-41頁、NAID 40001341945 
  • 「古典俳諧の世界的視野について」『俳句』第2巻第11号、角川書店、1953年11月、17-21頁、NAID 40003168268 
  • 「国語教育前進のために」『実践国語』第15巻第160号、穂波出版社、1954年1月、4422-4424頁、NAID 40001570851 
  • 「南都便り――遺稿」『国語』第4巻第2号、西東社、1955年9月、1-2頁、NAID 40001285834 
博士論文
  • 「能楽源流考」、東京文理科大学、1947年5月2日、NAID 500000491156 

校歌

[編集]
作詞
作曲

参考文献

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 審査要旨については能勢朝次君著「能楽源流考」に對する受賞審査要旨(日本学士院公式サイト)を参照のこと。

出典

[編集]
  1. ^ CiNii(学位論文)
  2. ^ 日本学士院.
  3. ^ 表章・天野文雄『岩波講座 能・狂言 I 能楽の歴史』(岩波書店1987年
  4. ^ 『能勢朝次著作集』 1巻、思文閣出版、1985年5月、392-395頁。 

外部リンク

[編集]