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生成消滅論

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生成消滅論』(せいせいしょうめつろん、: Περὶ γενέσεως καὶ φθορᾶς: De Generatione et Corruptione: On Generation and Corruption)とは、古代ギリシャ哲学アリストテレスによって書かれた、文字通り、物理的実体の(化学的な)「生成消滅」についての自然哲学書。

アリストテレスの自然学著作の中では、『自然学』『天体論』に次ぐ、第3の書物であり、内容的にも、『天体論』と本書の後に続く第4の書籍である『気象論』を橋渡しするものとなっている[1]

構成

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全2巻から成る。

  • 第1巻 - 全10章。
    • 第1章 - 一元論と多元論にまつわる諸説の考察。
    • 第2章 - 原子論の考察。
    • 第3章 - 生成の差異。
    • 第4章 - 生成消滅と質的変化の間の差異。
    • 第5章 - 生成消滅と増大・減少の間の差異。
    • 第6章 - 接触について。
    • 第7章 - 「作用-被作用」に関する諸見解。
    • 第8章 - エンペドクレスの説。
    • 第9章 - 被作用の原因・範囲。
    • 第10章 - 混合について。
  • 第2巻 - 全11章。
    • 第1章 - 四元素の原理、「第一質料」と「対立性質」。
    • 第2章 - 第1の「対立性質」である「温-冷」「乾-湿」。
    • 第3章 - 基本的四性質としての「温」「冷」「乾」「湿」。
    • 第4章 - 単純物体の相互変化、変化の難易・遅速による三分類。
    • 第5章 - 変化の円環性。
    • 第6章 - 相互変化を認めないエンペドクレス説の限界。
    • 第7章 - 結合体・同質体の生成。
    • 第8章 - 結合体の諸要素含有性。
    • 第9章 - 生成の諸原因、質料因・形相因(目的因)と動力因。
    • 第10章 - 生成消滅の動力因としての太陽の二重運動。
    • 第11章 - 生成の永遠性・必然性・円環性。

内容

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存在者の生成消滅を可能態(デュナミス)から現実態(エネルゲイア)への変化と考える。

  • 例:生卵は、可能態における目玉焼き。―現実態における目玉焼きは、可能態におけるゴミ。

日本語訳

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脚注・出典

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  1. ^ 『アリストテレス全集 4』 岩波書店 pp405-410

関連項目

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