松之山温泉
松之山温泉 | |
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温泉情報 | |
所在地 | 新潟県十日町市 |
交通 | 北越急行まつだい駅より路線バスで約25分 |
泉質 | 塩化物泉 |
外部リンク | 松之山温泉組合 |
松之山温泉(まつのやまおんせん)は、新潟県十日町市松之山にある温泉。積雪が4 mを超えることもある国内有数の豪雪地帯に位置する[1]。
泉質
[編集]ホウ酸含有量は日本一で、1Lあたりの含有量は349.5mg。メタケイ酸も豊富に含む。2011年の長野県北部地震の影響で源泉の湯量が減少し新たな掘削も行っている。 山間の温泉ながら塩分濃度が高く、太平洋戦争中は塩の採取も行われていた。新潟大学の大木、佐藤らは、約1000万年前の化石海水が、地圧によって湧出してくる「ジオプレッシャー型温泉」である、としている。
群馬県の草津温泉、兵庫県の有馬温泉とともに「日本三大薬湯」と呼ばれているほか、日本経済新聞の日本百名湯にも選出された[3]。
温泉街
[編集]湯治宿を含めた十数軒の旅館や飲食店、共同浴場「鷹ノ湯」、足湯などが連なる小規模な温泉街が形成されている[4]。100年以上の歴史を持つ旅館[5]、国の登録有形文化財となっている旅館[6][7]もある。温泉街には観光案内所やカフェバー、コンドミニアムを備えた「里山ビジターセンター」がある[8]。
温泉街に隣接して、小正月には婿投げ・墨塗りの奇祭が行われることでも知られる薬師堂や、不動滝といったスポットがある[9]。また、日帰り入浴施設「ナステビュウ湯の山」も設けられている。
温泉街から離れた場所にある兎口源泉は松之山温泉と同質の源泉が湧出することから、松之山温泉に含めて紹介される場合が多い。兎口地区には一軒宿の旅館があったが、2017年1月末に廃業した[10]。かつては、市営の共同露天風呂の「翠(みどり)の湯」が営業していたが、近年、老朽化により廃止となった。
エネルギー利用
[編集]2010年度から、温泉熱を利用したバイナリー発電(地熱発電)の実証実験が行われている[11][12]。あわせて、河川水と温泉熱を利用した消雪パイプの敷設が行われ、その際の温泉街の景観づくりを含む一連の取り組みが2017年にグッドデザイン賞を受賞している[13]。これらの設備には、98 ℃という高い源泉温度と毎分100 L余るといわれる豊富な湯量が活かされている[14]。
2019年には発電のための新会社が設立され[15]、2020年に出力210 kW、年間発電量124万kWh(一般家庭約280世帯分)の発電施設が完成した[16]。
伝説
[編集]開湯伝説によれば、約700年前の南北朝時代に鷹が温泉で傷を癒していたところを発見したとされる。温泉地にある源泉の一つはこの開湯伝説にちなんで「鷹ノ湯」を名乗る。上杉謙信の隠し湯とも言われている。
歴史
[編集]- この湯についての記録は、1503年に始まる。越後守護代長尾能景の家臣黒田良忠が中条弾正左衛門尉(中条藤資)に充てた文亀三年(1503)の文書「黒田良忠書状」[17]に、守護代の娘が八月に結婚する予定であったが松山(松ノ山温泉)へ湯治に行くので十一月に延期する、とある。
- 文化九年(1812)以降[18]の『諸国温泉功能鑑』[19]にも記されており、越後国の5つの前頭(松之山、塩沢、出湯、関の山、田上)の中で筆頭となっていた。
アクセス
[編集]公共交通・タクシー
[編集]- 北越急行ほくほく線まつだい駅より、東頸バス松之山温泉行きで約25分[20]。
- 十日町駅東口からの直通便(所要約60分)もある。
- 越後湯沢駅から冬期間運行予約制バス「雪国豪雪ライナー」利用で約70分[21]。
- まつだい駅または津南駅より、タクシーで約25分。
車
[編集]レンタカー店は越後湯沢駅周辺や十日町駅周辺、飯山駅周辺などが最寄りとなる。
周辺
[編集]内陸の豪雪地帯に位置しており、「美人林」と呼ばれるブナ林や棚田など里山の自然を活かした周辺観光が行われている。また、「大地の芸術祭の里」として様々なアート作品が点在する。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “新潟県の雪情報 観測所一覧/降積雪資料:松之山”. 新潟県. 2022年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月13日閲覧。
- ^ 松之山温泉のプロフィール - 松之山.com.2019年4月7日閲覧。
- ^ “松之山温泉―豪雪の中、薬湯に沈む(日本百名湯)”. 日経プラスワン. (2002年3月16日). p. 16
- ^ “松之山温泉のおいしい店マップ” (PDF). 松之山温泉 和泉屋. 2021年1月13日閲覧。
- ^ “日本三大薬湯・松之山温泉の歴史を辿る”. 松之山温泉里山ビジターセンター. 2019年4月7日閲覧。
- ^ “凌雲閣について”. 松之山温泉 凌雲閣. 2019年4月7日閲覧。
- ^ 凌雲閣松之山ホテル本館 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ “松之山温泉に滞在型拠点、「ビジターセンター」一新 新潟・十日町 「湯治BAR」も”. 新潟日報. (2022年5月28日) 2022年6月12日閲覧。
- ^ “松之山温泉ご利益すぽっとマップ”. 松之山温泉 和泉屋. 2019年4月7日閲覧。
- ^ [1]
- ^ “松之山温泉で行われているバイナリー地熱発電の実証試験について”. 新潟県産業労働部 産業振興課. 2019年4月7日閲覧。
- ^ [リンク切れ]“松之山温泉で地熱発電を 十日町市 2月から事業者公募”. 新潟日報. (2019年1月9日) 2019年4月7日閲覧。
- ^ “受賞対象一覧:まちづくり 松之山温泉景観整備計画”. GOOD DESIGN AWARD. 2019年4月7日閲覧。
- ^ “旅行会社まんま代表柳一成氏―松之山温泉の魅力、ありのまま発信、昔の暮らし観光素材に”. 日本経済新聞. (2015年6月10日). p. 22 地方経済面 新潟
- ^ “新潟・十日町市の松之山温泉、蒸気利用し発電事業”. 日本経済新聞. (2019年8月22日) 2019年12月17日閲覧。
- ^ “地熱発電所完成 来月運転を開始 十日町・松之山温泉 源泉を活用”. 新潟日報. (2020年12月5日)
- ^ 『新潟県史』 4巻、新潟県〈資料編〉、1983年、p160頁。
- ^ ⽯川理夫「江⼾時代の温泉番付にみる温泉地の受容と変遷」『温泉地域研究』第27号、⽇本温泉地域学会、2016年9月、11-22頁。
- ^ “江戸時代の温泉番付”. 観光経済新聞社. 2021年9月26日閲覧。
- ^ “十日町市公共交通マップ 令和3年4月1日版”. 十日町市. 2021年4月29日閲覧。
- ^ 雪国豪雪ライナー運行開始! - 松之山.com.2019年4月7日閲覧。
関連項目
[編集]- 日本三大温泉、日本一の一覧
- 温泉関連の文化財一覧
- 松之山町
- 坂口安吾 - 当温泉を舞台とした文学作品「黒谷村」がある。
外部リンク
[編集]- 新潟県十日町市松之山ポータルサイト「松之山.com」
- 松之山温泉里山ビジターセンター
- 松之山温泉合同会社 まんま
- 各種パンフレットのダウンロード - 松之山温泉 和泉屋
- 松之山温泉の小正月の伝統行事「婿投げ」 新潟・十日町 - YouTube(朝日新聞社提供、2018年1月15日公開)
- ハイリスクの温泉権等に投資した地元銀行・県外信託の観光デザインの結末 : 越後・松之山温泉の温泉権一括譲渡を素材として小川功 (滋賀大学経済経営研究所, 2012-12-28) 彦根論叢. (394)