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建設機械

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
一般的な油圧ショベルコマツ製)

建設機械(けんせつきかい、英語: construction equipment)は、土木建築の作業(工事)に使われる機械の総称である。省略して建機(けんき)、または重機(じゅうき、heavy equipment)や土工機(どこうき。土木工事機械の略)とも呼称される。人力で施工することが困難な作業を機械化したものがほとんどである。

高度経済成長期に、高層建築物道路整備やダム建設で、建設機械が日本インフラストラクチャー整備に果たした実績は大きい。20世紀末から21世紀現在では、公共事業費の削減が叫ばれており、建設機械にはさらなる作業効率化の役割が求められる。

日本での建設機械需要の60%強は、レンタル機の活用に移ってきている。建設業者の経営合理化に向け、機械経費削減のために、この流れは加速している。


概説

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一般的になじみのある建設機械には、油圧ショベル(ショベルカー)やラフテレーンクレーン(クレーン車)などがある。

世界的に見れば、近代建設機械は18世紀後半の蒸気機関の発達に端を発したと言える。産業の発達により大きく進化してきたという事実は、建設機械が産業機械の一分野であるとも言える。

最近の建設機械の一般的な姿は、第一次世界大戦の終盤に掛けてその原型が現れており、第二次世界大戦時にはブルドーザが登場し、アメリカ軍の急速な進攻に大きく寄与した。

日本では、戦時中に少数のブルドーザが小松製作所により、また「ショベルバックホウではない)」も少数が神戸製鋼所日立製作所などで生産されていた。戦後、復興に伴う国土の早急な再構築が叫ばれ、機械化を図る機運が建設省を中心に高まり、ブルドーザー、パワーショベル(ワイヤ式)、油圧ショベル(バックホウ)などが次々に開発、発売された。

前述のように、産業機械の一部カテゴリーと捉えた場合、特に油圧ショベルなどはある種のロボットとも言え、「掘る」作業から、「掴む、砕く」などの作業が可能な装置(アタッチメント)を取り付け、製鉄所・リサイクル業など様々な産業で活躍しており、単に建設機械とは呼べなくなってきているほど活躍の場が広がっている。また無人用と有人用があり、特殊用途として災害救助や瓦礫撤去の工作車などとしても活用され始めており、東京電力福島第一原子力発電所事故では、多くの無人・有人の建設機械が投入された。レスキューロボット参照

「建設機械」の範囲と言葉の定義

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  • 広義では全ての作業機械を指す。
  • 日本建設機械化協会の狭義では一般土木工事用機械(河川・港湾・橋梁・農用地造成工事用機械を含み、ダム施工・除雪専用機械を含まない)のみを指すこともある。
  • 建設機械、重機、ロボットのそれぞれの明確な言葉の定義、区別はなく、建設機械の用途が広がるに連れ、かなり重複してきている。福島第一原発に瓦礫撤去の為に投入された無人遠隔操作が可能なボブキャットは建機だが、メディアはロボットと伝えた[1]。ところがコマツなどが投入した同種の建機は、無人重機と伝えた[2]。近年、このような用語の混乱が見られ、建機、無人重機、ロボットなどの境界は薄れてきている。

特徴

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  • オペレーター(操縦者)を必要とする機械は、操縦には専門の資格が必要になる(主に労働安全衛生法に基づく、後述)。
  • 小型のものは、ガソリンによる原動機を持つか電動式であることが多く、大型のものは軽油によるディーゼルエンジンを持っている。
  • 運用を誤ると重大な事故につながる場合があるので、視認しやすい色(多くは明るい黄色)で塗装されている車種が多い[3]
  • 建設機械には高価な機械も少なくないので、建設機械による作業を行う会社は購入するのではなく、レンタル会社より期間借りすることが多い。特殊な作業に用いる機械の場合は、使う頻度も少ないことから、そういった例がより多くなる(日本の建機レンタル依存度は50%を超える)。
    • 注: 一般的にレンタル会社とリース会社とは混同されがちではあるが、システム的な本質は全く異なり、建設機械に関しては、レンタルのシステムを用いることが主流である。
  • 同一車種の重機は、建設現場で複数人が乗り回すために、が3~6種類しか存在しなかったが、近年盗難事件や犯罪への悪用が絶えないことから、電子キーやGPSによる管理システムなどが装備されだしている[4]
  • 新開発工法など用途を限定した専門性の高い機械も、新規に開発されている(工法の開発と機械の開発が直結していることが多いため、主に大手ゼネコンなどが新工法の開発に取り組んでいる)。
  • 同じ目的で使用できる建設機械であっても作業現場内の距離や地理的条件、地質など施行条件によって使い分け、もしくは組み合わせて使用する。例えば土砂の運搬において短距離(70m程度以下)であればブルドーザ、ホイールローダーまたはモーターグレーダなどを選択し、それ以上の距離であればダンプトラック、パワーショベル、油圧ショベルとモータースクレイパーなど利用なども選択肢となる[5]

建設機械の一覧

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一般建設機械

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港湾・河川・海岸工事用機械

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ダム工事用機械

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除雪機械

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下水道工事用機械

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地雷除去機械

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  • 地雷除去 - 油圧ショベル型の地雷除去機械は、樹木伐採などの前処理から爆破処理に至る一連の作業を、アタッチメント交換無しで行うことができる。

免許・資格

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建設機械はその操作・運転に際し危険を伴うため、労働安全衛生法などで就業制限の規定が設けられている。事業主は、所定の技能講習等を受けていない者に操作・運転をさせてはならないし、労働者(作業者)はそれらの資格が無いのに運転してはならない。もし、資格を持たずに操作・運転したり、させた場合、事業主は6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、無資格で操作・運転した者は50万円以下の罰金に処せられる。

建設機械施工技士技能講習特別教育の建設機械の講習免除や講習科目の一部免除)

建設機械整備技能士技能検定の一つで建設機械整備における名称独占資格の一つ)

技能講習

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特別教育

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吊上荷重5トン以上移動式クレーンのように技能講習でなく免許が必要なものもある。一方、上述の括弧内の規模を下回るもの(最大荷重1トン未満フォークリフトなど)は、技能講習より講習時間の短い「特別教育」を修了すれば操作・運転することが可能である。

労働安全衛生教育

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また、新たに労働災害の原因を調べるとともに労働者の業務に対する知識や経験の不足によるものが大きな割合を占めてるので労働安全衛生法による事業を行う者に対し、安全と衛生に関する社員教育を行う義務を課している。安全衛生教育とは、この法律により行われる特別教育を含めての社員教育の総称であり、これにより、労働災害を防止することを目的としている。事業者は労働者を雇入れた時や作業内容を変更した時に安全衛生教育を行わなければならないとされている(労働安全衛生法第59条)。

建設機械における免許

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これらの免許により認められる業務にはそれぞれの下位資格(技能講習・特別教育)の運転・操作等が含まれる。※免許>技能講習>特別教育

建設機械製作会社

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日本

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コマツ
日本最大にして世界第2位の建設機械メーカー。フォークリフト産業機械をグループで展開。かつては建設電子部品農林機器をグループで展開していた。
日立建機
日立グループ。油圧ショベルを中心とした製品が中心。グループ内でホイールローダーフォークリフト農業機械周辺にも展開、関連会社でも鉱山機械の鉱研工業もある。中型油圧ショベルをクボタにOEM供給している。
キャタピラージャパン
世界第1位のキャタピラー社の日本法人、三菱重工と合弁で設立したキャタピラー三菱(のちに三菱重工業の大型建設機械部門(※兵庫の製造拠点を含む)を会社分割方式で統合して新キャタピラー三菱と社名変更)が前身。
コベルコ建機
神戸製鋼所の建設機械部門が独立。2016年4月に同じ神戸製鋼所グループのコベルコクレーンを吸収合併。旧コベルコクレーンはクローラークレーンにおいて、国内シェアー約50%、世界シェアー約17%。グローバル展開に力を入れ、日米欧の移動式クレーンメーカーとしても初めて、インドに独資でクローラークレーンの専用工場を建設。
ボーマクジャパン
ドイツBOMAG社の日本法人。2010年活動休止[7]
三菱重工業
かつては様々なモデルを手掛けていたが、キャタピラーと合弁で設立したキャタピラー三菱に引き継がれた。そのためキャタピラージャパンのアスファルトフィニッシャは、今でもMITSUBISHIブランドである。現在はフォークリフト準大手の三菱ロジスネクスト(旧:日本輸送機)を傘下に収めて同事業を強化。
川崎重工業KCM
主にホイールローダーを本州中心(主に関西圏中京圏首都圏)で販路展開。2009年をもって分社化、翌年5月中に同業大手の日立建機と資本業務提携・第三者割当増資を締結。
KYBカヤバシステムマシナリー
国内最大のコンクリートミキサー車メーカー。国内シェアは約80%に至る。極東開発工業にはOEM供給。インドのコンクリート建設機器メーカーを買収し、インドにも事業展開。また、子会社カヤバシステムマシナリーは自由断面掘削機などの建設機械を製造。
酒井重工業
転圧機械では日本を代表する会社。関電グループ旧三和グループと資本・取引的に関係が強い。
住友建機
住友重機械から分離独立した住友グループの建設機械大手で道路機械では国内トップ。油圧ショベルをベースとした製品に力を入れている。本体は旧会社(※下記参照)より大型クレーン以外の全事業を継承し純粋持株会社に移行し、製造・販売はそれぞれの事業子会社に一任。なお、2010年度以降は製造子会社を吸収、住友建機は事業(持株)会社へ移行した。
住友重機械建機クレーン
旧住友建機に残った大型クレーン事業で設立した旧住友重機械建機クレーンに日立建機が出資。住友重機械と日立建機の合弁事業として再出発。なお、合弁化当初は住友重機械の連結決算対象から外れていたが、その後出資比率が見直され住友主導の体制に変わった
新明和工業
日立系[注釈 1]ダンプトラックミキサー車など特装車架装の大手メーカー。航空機部品や水処理関連でも大手。
極東開発工業
ダンプトラックコンクリートポンプなど特装車架装の大手メーカー。国内自動車メーカーの地場有力ディーラーを傘下に持つ。中小トラック用部品メーカー・日本トレクス住友軽金属から全株式取得、子会社化。
古河機械金属
事業子会社にて建機事業を展開。
古河ロックドリルは油圧クローラドリルで国内首位、世界第3位。油圧ブレーカ・油圧圧砕機では国内大手の一角。
古河ユニックはトラック搭載型クレーン(通称:ユニッククレーン)で国内最大手。
NICHIJO(旧日本除雪機製作所)
川崎重工傘下で除雪機の代表的メーカー。
加藤製作所
クレーン、油圧ショベルが事業の大部分を占めるが、基礎工事機械や路面清掃車なども手がける。油圧ショベルは根強いユーザーが多い。
KATO HICOM(旧石川島建機→IHI建機)
加藤製作所の子会社。ミニショベル、クレーンを中心にしている。TEREX-DEMAGのクレーンも扱っている。かつてはIHIの子会社であった。
竹内製作所
ミニショベル、クローラーローダーを中心に展開。
ヤンマー建機
ヤンマーグループは農機および船舶エンジンで有名だが、油圧ショベルやホイールローダなど建設機械も手がける。建機事業子会社のヤンマー建機はヤンマーの全額出資子会社。販売は同系列のヤンマー販売に継承されている。
ロジスネクストユニキャリア
前身会社の一つであるTCM株式会社は丹羽家が発祥のフォークリフト大手で、クラーク社(米国)の技術をもとに国産第一号となるフォークリフトを製作した。戦後、日立造船日立建機と資本・業務提携して旧日産系に急接近。2009年12月に日立建機の完全子会社となり日立グループの一員に。2013年、日産フォークリフトを吸収合併した上で商号変更したが、2016年にニチユ三菱フォークリフト傘下に入り、2017年のニチユ三菱フォークリフトとの経営統合に伴い製造は三菱ロジスネクストへ一本化され、ユニキャリアはロジスネクストユニキャリアへ商号変更され、三菱ロジスネクスト製品の販売会社となった。
タダノ
ホイールクレーン専業大手で高所作業車も手がける。ラフテレーンクレーンオールテレーンクレーンでは日本を代表するメーカー。
クボタ
農機のイメージが強いが、小型建機(ミニバックホー)は世界最大手。かつてはクレーンも技術提携で製造実績あり。日立建機に生産を委託した油圧ショベルの販売もしている。
諸岡
ゴムクローラキャリアダンプで有名。大型ゴムクローラを世界初開発した。林業機械、環境機械、農業機械など不整地に特化した車両製造販売を行う。かつてはブルドーザ、バックホウ、トラクターも製造していた。
子会社がアメリカやドイツに存在する。
ウインブルヤマグチ
かつては自社でミニショベルを設計、製造していた。
筑水キャニコム
ネーミング大賞を受賞するなど製品名のユニークさが特徴[8]。村の鍛冶屋から農業機械メーカーとして成長し、現在は農業用・土木建設用・林業用運搬車・草刈作業車および産業用機械の製造販売を行う。
S・K・K(柴田建機研究所)
日本車輌製造
クレーン以外にもスクレープドーザー、クローラクレーン、掘削機を製造。現在はJR東海の連結会社となり、主力の鉄道車両関連を強化中。
アイチコーポレーション
豊田織機のグループ会社。上記と同じく中京圏出身の高所作業車国内最大手。
範多機械
主に小型アスファルトフィニッシャのメーカーとして有名。除雪用機械も製造している。
北越工業
エンジンコンプレッサー、モーターコンプレッサー、高所作業車、ミニバックホーを製造している。
MB Japan
イタリアを本社に置く世界を代表する建設機械アタッチメントメーカーの日本法人。バケットクラッシャーで世界のリーダーカンパニー。
長野工業
主にミニショベル、高所作業車を製造している。
オノデラ製作所
アタッチメントの製造を行っている。

日本国外

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日本の建機レンタル会社

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注釈

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  1. ^ 但し春光系関連では現在も日立系扱いになっている

出典

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  1. ^ 杉本崇 (2011年5月17日). “がれき撤去へロボット集結 3号機へ次々投入”. 朝日新聞デジタル. 2011年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月8日閲覧。
  2. ^ 東京電力株式会社 (2011年4月28日). “福島第一原子力発電所事故対策におけるロボット(遠隔操作化機器)の活用” (PDF). 東京電力株式会社. 2012年6月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月8日閲覧。
  3. ^ トラックファイブ
  4. ^ (社)日本建設機械工業会: あなたの大切な機械が狙われています!
  5. ^ 運搬用建設機械『新版 2級土木施工管理技士 受験用図解テキスト5 用語集』p32 土木施工管理技士テキスト編集委員会編 1987年
  6. ^ 伊藤廣 1994, p. 5-6.
  7. ^ BOMAG JAPAN(ボーマクジャパン㈱)の直接販売事業引継ぎについて”. www2.kobelco-kenki.co.jp. 2023年6月24日閲覧。
  8. ^ 木村元紀 2009, p. 40-43.

参考文献

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  • 伊藤廣『移動式クレーンの知識』(新)鹿島出版会、1994年12月、5-6頁。ISBN 4306023028 
  • 木村元紀「地方から大マーケットで勝負 どうせやるなら世界一(Vol.18)筑水キャニコム」『Fole みずほ総合研究所株式会社 編』2009年6月、40-43頁。 

関連項目

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外部リンク

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