平成26年台風第9号
台風第9号(Rammasun、ラマスーン) | |
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カテゴリー5の スーパー・タイフーン (SSHWS) | |
アメリカ海軍研究所による衛星画像(7月18日) | |
発生期間 |
2014年7月12日 15:00 - 7月20日 9:00(JST) |
寿命 | 186時間 |
最低気圧 | 935hPa |
最大風速 (日気象庁解析) | 45m/s (90kt) |
最大風速 (米海軍解析) | 140kt |
平均速度 |
25.3km/時 606km/日 |
移動距離 | 4,696km |
死傷者数 | 死者114名 |
被害地域 | マリアナ諸島・フィリピン・中華人民共和国、ベトナム |
プロジェクト : 気象と気候/災害 |
平成26年台風第9号(へいせい26ねんたいふうだい9ごう、アジア名:Rammasun、命名国:タイ王国、意味:雷神[1]、フィリピン名:Glenda)は、2014年7月にフィリピンと中国に大きな影響を与えた台風である。
概要
[編集]7月9日、チューク諸島の東の海上で熱帯撹乱の形成が始まり、10日に熱帯低気圧にまで成長して低気圧番号09Wを与えられた。11日、合同台風警報センター(JTWC)は09Wがトロピカルストームにまで成長したと判断したが、同日中に「強度が低かった」としてこの判断を一旦取り下げている[2]。12日15時(協定世界時12日6時)、西進しながら成長した09Wはマリアナ諸島(北緯13度25分・東経142度40分)において台風となり[3]、アジア名「ラマスーン(Rammasun)」と命名された。13日にはフィリピンの監視エリアに入ったため、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)によってフィリピン名グレンダ(Glenda)と命名された[4][5]。
台風は急速に勢力を強めながら15日午後にルソン島東部のアルバイ州・ラプ・ラプ (アルバイ州)付近に上陸[6][7]、16日には首都のマニラを直撃した[8]。フィリピンではルソン島とヴィサヤ諸島の広範囲に暴風雨警報 (PSWS)が発表されたが[9]、50メートル以上の暴風と大雨に襲われた[10]。南シナ海に進んだ台風は再び勢力を増しながら中国に接近。中央気象台は18日8時からの24時間、海南省・広東省南部・広西チワン族自治区に暴雨警報を発令[11]。18日昼過ぎに海南島北部の文昌市に上陸したのち[12]、台風は同日夜には広東省湛江市に再上陸して[13]、華南の広範囲に被害をもたらし、19日には広西チワン族自治区に達した[14]。台風は上陸後に勢力を弱め、20日9時(協定世界時20日0時)に北緯23度・東経104度で熱帯低気圧になった[15][16]。
被害
[編集]フィリピン
[編集]20日朝までの時点で、死者97名、負傷者437名、行方不明者6名、家屋の被害は全壊27,874棟を含む111,372棟に及び[17]、インフラや農産物などへの被害額は約74億フィリピンペソ(約172億円)に達した[17][18]。
中華人民共和国
[編集]暴風雨の影響により華南の広範囲で停電や浸水が発生し、航空便の欠航が相次いだ[13]。広東省と海南省、広西チワン族自治区の130万人から500万人が影響を受け[14][19]、20日時点で少なくとも死者17名[14]。海南省では51,000棟の家屋と40,600ヘクタールの農地が被害を被り、経済的損失は47億元(約7億5000万ドル)以上と推計されている[14]。
被害の様子 (画像)
[編集]その他
[編集]この台風のアジア名Rammasunは、この台風限りで使用中止となり、次順からはBualoiというアジア名が使用されることになった。
脚注
[編集]- ^ “台風の番号と名前”. 気象庁. 2014年7月18日閲覧。
- ^ “Governor declares Condition of Readiness 4, tropical storm warning canceled”. Guampdn.com (2014年7月11日). 2014年7月18日閲覧。
- ^ “平成26年 台風第9号に関する情報”. 気象庁 (2014年7月12日). 2014年7月16日閲覧。
- ^ “PAGASA: Tropical Storm Rammasun to enter PAR Sunday night”. GMA News Online (2014年7月13日). 2014年7月18日閲覧。
- ^ “NDRRMC Update re Severe Weather Bulletin No.01 for TS "GLENDA"” (PDF). フィリピン国家災害リスク削減委員会 (2014年7月13日). 2014年7月18日閲覧。
- ^ “フィリピンの台風被害 死者38人に激増、35万人が避難”. CNN.co.jp (2014年7月17日). 2014年7月18日閲覧。
- ^ “(フィリピン)台風9号、比に上陸 マニラ直撃か”. バンコク週報 (2014年7月16日). 2014年7月18日閲覧。
- ^ “台風9号マニラ直撃で15万人に避難命令、金融市場は休場”. ロイター (2014年7月16日). 2014年7月18日閲覧。
- ^ “NDRRMC Update SitRep No. 06 re Typhoon GLENDA (RAMMASUN)” (PDF). フィリピン国家災害リスク削減委員会 (2014年7月15日). 2014年7月18日閲覧。
- ^ “Typhoon Rammasun/Glenda makes landfall in the Philippines”. Australia Network News (2014年7月16日). 2014年7月18日閲覧。
- ^ “台風9号接近 海南省、広東省南部、広西省に暴雨橙色警報”. エクスプロア広州 (2014年7月18日). 2014年7月18日閲覧。
- ^ “台風9号が中国南部に上陸、最高レベルの警報を発令”. CNN.co.jp (2014年7月19日). 2014年7月20日閲覧。
- ^ a b “史上最強台風上陸で海南省、広東省沿岸部、広西省大打撃”. エクスプロア上海 (2014年1月19日). 2014年7月20日閲覧。
- ^ a b c d “Super typhoon Rammasun batters China, killing 17”. China Economic Net (2014年7月20日). 2014年7月20日閲覧。
- ^ “台風9号が消滅 熱帯低気圧に”. MSN産経ニュース (2014年7月20日). 2014年8月11日閲覧。
- ^ “台風201409号 (RAMMASUN) - 詳細経路情報”. デジタル台風. 2014年7月20日閲覧。
- ^ a b “NDRRMC Update SitRep No. 18 re Typhoon GLENDA (RAMMASUN)” (PDF). フィリピン国家災害リスク削減委員会 (2014年7月21日). 2014年7月21日閲覧。
- ^ 7月21日の円・ペソのレート(約2.335円)を元に算出。
- ^ “台風9号の犠牲者17人に”. ロシアの声 (2014年7月20日). 2014年7月20日閲覧。
外部リンク
[編集]- デジタル台風:台風201409号(RAMMASUN)- 総合情報(気圧・経路図) - 国立情報学研究所(北本朝展)
- ウィキメディア・コモンズには、平成26年台風第9号に関するカテゴリがあります。