加丁関係
カナダ |
デンマーク |
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加丁関係(かていかんけい、英: Canada–Denmark relations)は、北米の国家カナダと、北欧の国家デンマークの二国間関係のことである。その歴史は長く、カナダはコペンハーゲンに大使館を、デンマークはオタワに大使館を、トロントに総領事館を置いている[1][2] 。両国とも北大西洋条約機構(NATO)[3]と北極評議会の正式加盟国である[4]。この両国関係は、2022年に解決したハンス島をめぐる紛争で注目を集めた[5]。
関係史
[編集]1928年、カナディアン・ナショナル鉄道の社員がトマス・マスン=ミュデールと会談し、二国関係が強化された[6]。1949年の9月22日と10月14日にビザ要件協定が調印され、両国間で結ばれた最初の条約となった[7]ほか、1956年には、税に係る協定の署名がなされた[8]。1969年には、防衛科学における協力に合意し[9]、1983年に海洋環境、社会、経済に関する協定がコペンハーゲンで調印された[10]。2010年、デンマーク=アメリカ/カナダ・プログラム(Denmark–USA/Canada Program)が開始された[11]。 デンマークの教育プログラムの国際化を目的としたものである[11]。
ハンス島領土紛争(ウイスキー戦争)
[編集]ハンス島は、ネアズ海峡(Strait)のケネディ海峡(Channel)の中央に位置する、面積1.3 km2 (0.5 sq mi)の小さな無人島で、カナダとグリーンランドが領有を主張していた。1973年、加丁両国はこの地域一帯の国境を定める条約を批准した[12]が、ハンス島の国境については定めていなかったため、同島の帰属は未定義のままであった。1984年、デンマークのグリーンランド担当大臣であったトム・ヘーイェムがハンス島にデンマーク国旗を掲揚した[13]。2005年7月25日、カナダのビル・グラハム(ウィリアム・カーヴェル・グラハム)国防相がハンス島を訪問、デンマーク国内の怒りを買ったほか、デンマーク政府はカナダに抗議の書簡を送った[13]。カナダはまた、同じく2005年にハンス島に軍艦のHMCSショーウィニガンとHMCSグレースベイを派遣した[14]。
2009年9月19日、両国政府は紛争を終結させるための手続きを開始した。
As friendly countries, of course, it is our shared objective that we resolve this issue – that we put this issue behind us… "We now have a process – a process in which the officials will be working together, gathering all of the relative information and trying to find a way forward to do this…
(友好国として、当然、我々の共通の目標はこの問題を解決すること – つまりはこの問題を背後に置くことです… "そのための手段なら、今、我々のもとにあります – それは官僚たちが協力し、関連するすべての情報を総集し、事態進展に通ずる道を見つけんとする手段です…")—ピエール・ペティグルー[15](元カナダ外相)
2011年1月、島をめぐる問題の解決は近かった[16]が、2012年11月に調印された国境協定に紛争の解決策は盛り込まれなかった。
2022年6月10日、加紙『グローブ・アンド・メール』は、カナダ政府とデンマーク政府が島を横断し、カナダ領のヌナブト準州とデンマーク領のグリーンランドに分割する国境線を決定し、2022年6月14日に正式に発表すると報じた[17]。
高官等の往来・交流
[編集]マルグレーテ丁皇太子妃(後のデンマーク女王マルグレーテ2世)と夫のヘンリック皇太子(後の同王配)は、1967年9月に訪加しており[18]、マルグレーテは、1991年にも訪加した[19]。フレデリック皇太子(後のデンマーク王フレデリック10世)とメアリー皇太子妃(後の同王妃)も2014年にオタワとトロントを訪問している[20]ほか、ヨアキム皇太子がマリーと結婚した際には、新婚旅行先をカナダに選んだ[21]。
移民
[編集]カナダのニューブランズウィック州・ヴィクトリア郡に、ニューデンマークという地域がある。ニューデンマークの名は、1872年にこの地域に居住した数人のデンマーク人入植者に由来し、最終的にはカナダで最大かつ最古のデンマーク人コミュニティを形成したが、デンマークの影響は、ここ数十年、国外移住のために弱まりつつある[22]。
大使館
[編集]右にオタワにあるデンマーク大使館の情報を示す。
在オタワデンマーク大使館
Embassy of the Denmark in Ottawa | |
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Location | オタワ |
Address | 47 Clarence Street |
Coordinates | 北緯45度25分44秒 西経75度41分38秒 / 北緯45.42889度 西経75.69389度座標: 北緯45度25分44秒 西経75度41分38秒 / 北緯45.42889度 西経75.69389度 |
デンマークはカルガリー、ダートマス、エドモントン、イカルイト、モントリオール、セントジョンズ、トロント、バンクーバー、ウィニペグに領事館を設置している。
脚注
[編集]- ^ Government of Canada. “Canadian embassy in Copenhagen, Denmark”. Ministry of Foreign Affairs (Canada). 2011年5月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月1日閲覧。
- ^ Government of Denmark. “Danish embassy in Ottawa, Canada”. Ministry of Foreign Affairs (Denmark). 2020年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月1日閲覧。
- ^ NATO. “NATO — Member countries”. NATO. NATO. 24 September 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月1日閲覧。
- ^ Arctic Council. “Member states of the Arctic Council”. Arctic Council. Arctic Council. 2011年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月1日閲覧。
- ^ 「Canada and Denmark in Hans Island negotiations」『Menas Borders』2011年1月17日。オリジナルの2012年3月17日時点におけるアーカイブ。2011年4月1日閲覧。
- ^ Farmers meet Danish minister. The Morning Leader. (3 February 1928). pp. 18 2 April 2011閲覧。.
- ^ United Nations (1949). Exchange of notes constituting an agreement between Denmark and Canada modifying the visa requirements.... United Nations Treaty Series. pp. 3 2011年4月1日閲覧。.
- ^ Parliament of Canada『Debates: official report (Hansard)』Pennsylvania State University、1956年。オリジナルの2022年3月27日時点におけるアーカイブ 。2011年4月1日閲覧。
- ^ 『Treaty series: Recueil des traités 681–683』United Nations Treaty Series、University of Michigan、1969年。オリジナルの2022年3月27日時点におけるアーカイブ 。2011年4月1日閲覧。
- ^ Agreement for cooperation relating to the marine environment. (1983) 2011年4月1日閲覧。.
- ^ a b “The Denmark-USA/Canada Program”. Styrelsen for international uddannelse. (2010年10月8日). オリジナルの2011年7月19日時点におけるアーカイブ。 2011年4月1日閲覧。
- ^ Peter R. Dawes (1985) (デンマーク語). Hans Ø. pp. 13 2011年4月1日閲覧。.
- ^ a b “Canada island visit angers Danes”. BBC News. (2005年7月25日). オリジナルの2011年5月12日時点におけるアーカイブ。 2011年4月1日閲覧。
- ^ “Canada and Denmark at the brink of war”. The Uncoverer. 2022年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月1日閲覧。
- ^ “Canada, Denmark agree to Hans Island process”. CTV News. (19 September 2005) 2011年4月1日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Canada and Denmark in Hans Island negotiations”. Menas Borders. (17 January 2011). オリジナルの2012年3月17日時点におけるアーカイブ。 2011年4月1日閲覧。
- ^ Chase, Steven (2022年6月10日). “Canada and Denmark reach settlement over disputed Arctic island, sources say” (英語). The Globe and Mail 2022年6月12日閲覧。
- ^ 「Young Danish Royal Couple Recalls Bonds with Canada」『Edmonton Journal』、44面。オリジナルの2020年6月5日時点におけるアーカイブ。2011年4月4日閲覧。
- ^ 「Kongehuset debuterer i Mexico」『Jyllandsposten』2008年2月4日。オリジナルの20 March 2012時点におけるアーカイブ。2011年2月21日閲覧。
- ^ “Danish Crown Prince Couple to Visit Canada”. Denmark in Canada. Embassy of Denmark, Canada (2014年). 2015年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月4日閲覧。
- ^ “Princess Marie and Prince Joachim of Denmark at Royal Life” (英語). HELLO! (2008年6月29日). 2024年6月23日閲覧。
- ^ “New Denmark, New Brunswick: new approaches in the study of Danish migration to Canada, 1872-1901”. Amicus (Library and Archives Canada). (2005年). ISBN 0-494-06766-7 11 January 2010閲覧。