コンテンツにスキップ

八九升

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

八九升(はっくしょう)は、古典落語の演目の一つ。

わかりやすい、典型的な滑稽噺であるが、今で言う聴覚障害者を題材にしており侮蔑的用語が含まれるため、差別的であるとして現在では口演を忌避される噺である。

6代目三遊亭圓生が弟子に対して最初に教える噺であった[1][2][3]。これは圓生一門にも引き継がれている[2][3][4]

あらすじ

[編集]

隠居は耳が遠くなってしまって何も聞こえない。

女中が食事の用意が出来ました、と告げに行くが、隠居は女中のことが気に入らず、自分のことをバカにしたな、と勘違いして怒り出す。

理不尽に叱られた女中は困り、番頭に相談する。番頭は「やれやれ、私に任せておけ」と隠居のもとへ。

番頭、ニコニコしながら「やい、このつんぼじじい」などと隠居をけなす言葉を吐き続ける。

ところが隠居は何を言われているか聞こえないので、番頭の笑顔にだまされて気分が良くなり、あの女中とお前はえらい違いだ、と番頭を褒める始末。

その番頭はと言えば、始終隠居のことをボロカスに言っているだけなのである。

隠居は「あの火鉢、どこで買った」と質問。番頭は「めんどくせえなあ」などと笑顔で言いながら、帳面を横にして見せ「ああ、横丁で買ったのか」。

「米はあとどのくらい残っている?」という質問をされ、番頭はまたも笑顔でぼやきつつ、こよりを作って隠居の鼻にブスリ。

隠居おもわずくしゃみをし、「ハックション! …ああ、八、九升ってとこか」。

脚注

[編集]
  1. ^ 川柳川柳『寄席爆笑王 ガーコン落語一代』河出書房新社〈河出文庫〉、2009年、67頁。ISBN 978-4-309-40988-7 
  2. ^ a b 川柳つくし「インタビュー 三遊亭円丈」『女落語家の『二つ目』修行』双葉社、2010年、73頁。ISBN 978-4-575-30237-0 
  3. ^ a b 三遊亭兼好 (2017年8月25日). “インタビュー 三遊亭兼好”. 三鷹市スポーツと文化財団. 2022年9月12日閲覧。
  4. ^ 三遊亭天どん. “古典落語「からぬけ」”. 三遊亭天どん公式ホームページ. 2022年9月12日閲覧。