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リンブー語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リンブー語
ᤕᤰᤌᤢᤱ ᤐᤠᤴ
yakthung pān
話される国 ネパールの旗 ネパール
インドの旗 インド
話者数 38万人 (2011年)[1]
言語系統
表記体系 リンブー文字
言語コード
ISO 639-3 lif
消滅危険度評価
Definitely endangered (Moseley 2010)
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リンブー語(ᤕᤰᤌᤢᤱ ᤐᤠᤴ, yakthung pān)は、シナ・チベット語族に属するキランティ諸語英語版の一つである。ネパール東部やインドシッキム州及びダージリン県英語版に居住するリンブー人英語版により話されている。

リンブー人による言語の自称Yakthuŋ paːŋないしYakthuŋba paːŋである[2]Yakthuŋbaはリンブー人を指す。なお、「リンブー」はネパール語による外名である[2]

この言語はリンブー文字で表記される。

話者分布

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エスノローグによるネパールにおける話者分布

リンブー文字。灰色の文字は現在では廃れている。

音韻論

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母音

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母音には長短の区別がある。以下の表はリンブー語における母音の音素の一覧である[3]。なお、声調の区別は見られない[4]

母音の音素目録
前舌母音 中舌母音 後舌母音
short long short long short long
狭母音 i u
半狭母音
中央母音 ə
半広母音 ɛ ɛː ʌ ʌː
広母音 a

子音

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以下の表は、リンブー語の子音一覧を示したものである[5]。丸括弧内の音素はネパール語からの借用語にしか現れない。

子音の音素目録
両唇音 歯音 歯茎音 反舌音 後部歯茎音/
硬口蓋音
軟口蓋音 声門音
鼻音 m n (ɳ) ŋ
破裂音/
破擦音
無声音 p t (ʈ) t͡ɕ k ʔ
無声有気音 (ʈʰ)
有声音 b () (ɖ) (d͡ʑ) (ɡ)
無声有気音 () (ɖʱ) (d͡ʑʱ) (ɡʱ)
r
摩擦音 s ɦ
接近音 w l j

動詞形態論

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動詞には時制人称などを表す様々な接辞が付く。語幹をΣとすると、自動詞肯定形の語形変化は次のように模式化できる[6]

リンブー語の自動詞活用表
非過去 過去
一人称単数 Σ-ʔɛ Σ-aŋ
一人称双数包括形 a-Σ-si a-Σ-ɛ-tchi
一人称双数除外形 Σ-si-ge Σ-ɛ-tchi-ge
一人称複数包括形 a-Σ a-Σ-ɛ
一人称複数除外形 Σ-i-ge Σ-ŋʔna
二人称単数 kɛ-Σ kɛ-Σ-ɛ
二人称双数 kɛ-Σ-si kɛ-Σ-ɛ-tchi
二人称複数 kɛ-Σ-i kɛ-Σ-i
三人称単数 Σ Σ-ɛ
三人称双数 Σ-si Σ-ɛ-tchi
三人称複数 mɛ-Σ mɛ-Σ-ɛ

否定形の人称変化は、これとは異なる。

また、他動詞においては主語の人称のみならず、目的語の人称も語形変化に関与する[7]

脚注

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  1. ^ Limbu at Ethnologue (18th ed., 2015)
  2. ^ a b Driem 1987, p. xix.
  3. ^ Driem 1987, p. 13-14.
  4. ^ 西 1993, p. 422.
  5. ^ Driem 1987, p. 1.
  6. ^ 西 1993, p. 429.
  7. ^ 西 1993, pp. 430–431.

参考文献

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  • Driem, George van (1987). A grammar of Limbu. Berlin: Mouton de Gruyter. ISBN 0-89925-345-8. OCLC 16352958. https://www.worldcat.org/oclc/16352958 
  • 西義郎「リンブ語」『言語学大辞典』 5巻、三省堂、1993年、418-447頁。 

外部リンク

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