ランレベル
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ランレベル(英: Runlevel)とは、UNIX System V 系のinit処理を実装したオペレーティングシステムに見られる動作モードを意味する。一般に 0 から 6 までの7つのランレベルか、0 から 9 までの10のランレベルを使うことが多い。
通常、ランレベル 0 になるとコンピュータは停止し、ランレベル 6 ではリブートされる。それらの中間のランレベル(1 - 5)は、マウントするディスクドライブ、ネットワークサービスを起動するか否かなどで差異がある。低いランレベルは、保守や緊急の事態への対処に使われ、ネットワークサービスを起動しないことが多い。ランレベルの詳細はオペレーティングシステムによって異なるし、システムアドミニストレータによる設定も可能なので、システムによっても異なる。
ランレベルのシステムは、Version 7 Unix で使われていた /etc/rc
スクリプトを置き換えたものである。
標準のランレベル
[編集]ID | 名称 | 説明 |
---|---|---|
0 | 停止 | システムの停止、またはシャットダウン |
S | シングルユーザモード | ネットワーク機能(デーモン)を起動しない(注1) |
6 | リブート | システムのリブート |
- 注1)ほとんどのシステムでランレベル 1 をこの目的に使っている。システム保守のための安全な環境を提供するためのモードである。本来は、コンソール端末だけが動作しスーパーユーザー向けのログインシェルが動作した。ブート処理の変化により、このランレベルの位置づけが変わってきている。
Linux
[編集]Linuxでは、sysvinitプロジェクトによってランレベルが取り入れられた。Linuxカーネルがブートされると、init
プログラムが /etc/inittab
ファイルを読み込んで、各ランレベルでの動作を決定する。ユーザーがカーネルのブートパラメータとして指定しない限り、システムはデフォルトのランレベルで動作を開始する。
多くのシステムで、現在のランレベルを以下のようなコマンドで確認できる。
$ runlevel # as root
$ who -r # as any user
多くのLinuxディストリビューションでは、標準のランレベルに加えて、次のようなランレベルを定義している。
ID | 名称 | 説明 |
---|---|---|
1 | シングルユーザーモード | ネットワークやデーモンを起動せず、root 以外のログインを許可しない(注2) |
2 | マルチユーザーモード | ネットワークを起動しない(注3) |
3 | ネットワーク有のマルチユーザーモード | 通常のモード(注3) |
4 | 未使用 | |
5 | X11 | ランレベル 3 + Xディスプレイマネージャ起動 |
- 注2)上記以外のこのランレベルの動作はシステムによって異なる。どのディストリビューションでも少なくとも1つの仮想端末を提供する。ディストリビューションによっては、スーパーユーザー向けログインシェルを起動させ、パスワードの入力を求められる。別のディストリビューションでは、任意のユーザーがログインできるログインシェルを起動させる。
- 注3)ランレベル2 と 3 が全く同じ場合もある(ネットワーク有のマルチユーザーモード)。
- Debian
- Debian 系の多くのディストリビューションでは、ランレベル 2 から 5 を区別しない。[1]
- 0 - 停止
- 1 - シングル
- 2 から 5 - マルチユーザーモードで、Xディスプレイマネージャも起動
- 6 - リブート
- Ubuntu
- 6.10(Edgy Eft)以降、Upstart を代替として採用しているが、スクリプトは従来通りで、互換ツールによって従来のランレベルをエミュレートしている。
- Red Hat Linux[2]
- レッドハット系のディストリビューションでは、ランレベルは次のようになっている。
- 0 - 停止
- 1 - シングルユーザー
- 2 - 未使用/ユーザー定義可能
- 3 - マルチユーザー、コンソールログインのみ
- 4 - 未使用/ユーザー定義可能
- 5 - ランレベル 3 + Xディスプレイマネージャ起動
- 6 - リブート
- どのサービスがどのランレベルで起動するかは、chkconfig ツールで管理できる。
- SUSE Linux
- Red Hat とほぼ同じ設定である。
- 0 - 停止
- 1 - シングル
- 2 - マルチユーザー(ネットワーク無)
- 3 - マルチユーザー(ネットワーク有、Xディスプレイマネージャ無)
- 4 - 未使用/ユーザー定義可能
- 5 - ランレベル 3 + Xディスプレイマネージャ起動
- 6 - リブート
- Slackware [3]
- Slackware では、ランレベル 1 を保守用とし、ランレベル 2,3 は同じ設定で、ランレベル 4 では X Window System も起動する。
- 0 - 停止
- 1 - シングル
- 2 - マルチユーザー(Xディスプレイマネージャ無)
- 3 - マルチユーザー(Xディスプレイマネージャ無)
- 4 - マルチユーザー(Xディスプレイマネージャ有)
- 5 - 未使用/ユーザー定義可能
- 6 - リブート
- Gentoo Linux[4]
-
- 0 - 停止
- 1 - シングル
- 2 - マルチユーザー、ネットワーク無し
- 3 - マルチユーザー、ネットワーク+Xディスプレイマネージャ
- 4 - ランレベル 3 と同じ
- 5 - ランレベル 3 と同じ
- 6 - リブート
UNIX
[編集]- UNIX System V Releases 3 および 4
-
- 0 - シャットダウンを実行。ハードウェアがサポートしている場合、そのまま電源を切る。コンソールからのみ実行可能。
- 1 - シングルユーザーモード。root 以外のファイルシステムはマウントされない(既にマウントされていたらアンマウント)。コンソールプロセス以外のプロセスを終了させる。
- 2 - マルチユーザーモード
- 3 - マルチユーザーモード + RFS(Release 4 では NFS も)のファイルシステムをエクスポート
- 4 - マルチユーザー、ユーザー定義
- 5 - オペレーティングシステムを停止し、ファームウェアへ移行
- 6 - システムを停止し、デフォールトのランレベルを再起動
- s, S - 1 と同じだが、現在の端末がコンソールとなる。
- HP-UX
-
- 0 - システム停止
- S - シングルユーザー、コンソールのみ起動、root ファイルシステムのみをマウント(リードオンリー)
- s - シングルユーザー、S とほぼ同じだが、現在の端末がコンソールとなる。
- 1 - シングルユーザー、全ローカルファイルシステムをマウント(リード/ライト)
- 2 - マルチユーザー、ほとんどのデーモンと Common Desktop Environment を起動
- 3 - マルチユーザー、2 に加えて、NFS のエクスポートを行う。
- 4 - マルチユーザー、CDE ではなく VUE を起動
- 5 - ユーザー定義
- 6 - ユーザー定義
- AIX
- UNIX System V Release 4 のランレベル定義に従っていない。0 から 9 までのランレベルがあり、0 と 1 は予約されている。2 が通常のマルチユーザーモードで、3 以降はアドミニストレータが定義する。
脚注
[編集]- ^ Debian FAQ on booting
- ^ SysV Init Runrevels Red Hat Linux 9: Red Hat Linux Reference Guide
- ^ [1]
- ^ Initscripts Gentoo Linux x86 Handbook
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Runlevel Definition - by The Linux Information Project (LINFO)