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コイネー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コイネー・ギリシア語
Κοινὴ Ἑλληνική
話される国 地中海東部・中東
消滅時期

4世紀東ローマ帝国では1453年まで公用語)

言語系統
表記体系 ギリシア文字
言語コード
ISO 639-2 grc
ISO 639-3 -
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コイネー(コイネーギリシア語: ἡ κοινή διάλεκτος エ・キネ・デャレクトス、古代ギリシア語: Κοινὴ Ἑλληνική コイネー・ヘッレーニケー、ギリシア語: Ελληνιστική Κοινή エリニスティキ・キニ)は、アレクサンドロス大王帝国とその後継であるヘレニズム諸国で公用語として使用されたギリシア語。コイネーは「共通の」という意味で、古代ギリシア語アッティカ方言イオニア方言を基盤としており、現代ギリシア語の基礎となった。

なお、文脈によっては(社会的、地域的その他の)方言が他の方言と影響を及ぼしあうなどして成立し、より広い範囲で通用するようになったことば全般を指すこともある[1][2]。この意味でのコイネーについては、コイネー言語も参照。

歴史

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マケドニア王国ではもともと古代マケドニア語が使われていたが、コイネーに取って代わられた。コイネーは、マケドニアが外交言語として採用したアッティカ方言に、イオニア方言をはじめとする他の方言が混入し、変化と単純化が起こって形成された言語である[3]

ヘレニズム諸国がローマ帝国に征服された後も東地中海世界共通語として機能し、新約聖書もこれで書かれた。ローマ帝国分裂後も東ローマ帝国で公用語、通商語として話され、中世ギリシア語(東ローマ帝国時代のギリシア語)を経て現代ギリシア語の基礎となった。

コイネーは後1世紀頃からはじまる音韻構造の移行の特徴を有しており、現代ギリシア語の発音とその語彙形態素はコイネーのそれと基本的に同一のものである。

コイネーの主な使用者として、パウロ福音書記者たちをはじめとする新約聖書の著者たちのほか、ポリュビオスシケリアのディオドロスストラボンプルタルコスエピクテトスアルテミドロスアポロドーロスウェッティウス・ウァレンス英語版らがいる[4]

聖書との関係

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新約聖書はコイネーの時代に書かれた。さらに、アレクサンドリアで作られた七十人訳聖書と、紀元2世紀前半のキリスト教著作に密接に関連している。

新約聖書のコイネーは、同一時代の文書に比べて文体が異なっているが、文学的でない日常語のパピルス文書とは一致している。さらに、新約聖書はヘブル語アラム語等のセム語の影響を強く受けている[5]

通時言語学的な「コイネー」への変遷の音韻変化

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アッティカ方言 コイネー、現代ギリシア語 意味
-ττ- -σσ-
γλῶττα γλῶσσα
φυλάττω φυλάσσω 監視する
τέτταρες τέσσαρες
-ρρ- -ρσ-
ρρην ρσην
-εως -αος
νεώς ναός 宮、社
λεώς λαός
λεώς (複数対格) λαούς 人民を
-αα -αια
ἐλάα ἐλαία オリーブ

参考文献

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脚注

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  1. ^ 田原憲和「ルクセンブルク語コイネーと正書法:都市における共通語創出とその広がり」『都市文化研究』第11号、大阪市立大学大学院文学研究科 : 都市文化研究センター、2009年3月、2-13頁、doi:10.24544/ocu.20171213-132ISSN 13483293NAID 1200060069472022年2月22日閲覧 
  2. ^ 阿部新「日本語小笠原諸島方言のコイネー(Koine)の可能性 : 老年層の動詞・形容詞」『言語・地域文化研究』第6巻、東京外国語大学、2000年3月、1-14頁、ISSN 13419587NAID 1200014510822022年2月22日閲覧 
  3. ^ マルティン・チエシュコ 著、平山 晃司 訳『古典ギリシア語文典』白水社、2016年。ISBN 9784560086964 353頁。
  4. ^ W.Bauer,A Greek-English Lexion
  5. ^ グレシャム・メイチェン『新約聖書ギリシャ語原典入門』3-6ページ

関連項目

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外部リンク

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