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CRMS 2周年 放射能ワークショップ Vol.2 小出裕章パネルディスカッション 「30年後の未来」 2013.6.23

記事公開日:2013.6.23取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 2013年6月23日(日)13時より、福島県福島市にある福島学院大学において「CRMS 2周年 放射能ワークショップ Vol.2 小出裕章パネルディスカッション『30年後の未来』」が行われた。CRMSの活動報告などのあと、小出裕章氏が登壇し「30年後には、石棺で埋め込むしか方法はない」と、福島原発事故の現状と課題などを説明した。また、「子どもを守らないと、私自身を許せない」と心情を吐露し、そのための方策について語った。パネルディスカッションでは、各有識者のさまざまな視点から、被曝への対処方法や課題について、意見が寄せられた。

■全編動画
※配信状況により、パネルディスカッション途中で録画が中断しております。何卒ご了承ください。

  • 内容
    13:00~ CRMS活動報告
    13:30~ 講演 小出裕章氏(京都大学原子炉実験所 助教)
    14:30~ パネルディスカッション
    黒部信一氏(小児科医、未来の福島こども基金 代表)/山田真氏(小児科医、こどもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク 代表)/後藤忍氏(福島大学 准教授)/石井秀樹氏(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター産業復興支援部門 特任准教授)/長谷川浩氏(市民放射能測定所)/岩田渉氏(市民放射能測定所)

 冒頭部分で、市民放射能測定所(CRMS)の活動についての紹介があった。CRMSの岩田渉氏は、各地の測定結果、ホールボディカウンターでの測定の様子、測定値の分析の仕方、福島県伊達市小国の除染作業後の放射線測定の結果、ガラスバッチの特性と反応値の真偽などを報告した。次に、CRMSの丸森あや氏が、独自に行なっている健康相談会の報告をした。健康相談会で行なう内容、趣旨、組織の紹介と、活動状況を報告した。

 続いて、小出裕章氏が講演した。まず、今回のメインテーマ「30年後の未来」を考えるにあたって、福島第一原発の敷地の説明から始めた。「当時、1~3号機は稼働中だった。4号機は定期点検中で、使用済み燃料が貯蔵されていた。1~3号機は炉心が溶け落ちて、どこにあるか、まったくわからない状態だ。現状は、それに水をかけ続け、冷やし続けている。4号機は建屋が破壊され、貯蔵プールは宙釣りの状態だ」と言い、写真を使って説明した。

 小出氏は「4号機には1331本の使用済み燃料の集合体がある。そのうちの783本が完全燃焼、548本がまだ使用中で、広島原爆の1万4000発分のセシウム137を含む」と分析した。そして、原子炉の構造と、使用済み燃料の撤去方法を解説した。「1~3号機にも燃料プールがあり、撤去に10年はかかる。そのあとで、溶け落ちた炉心の撤去になるが、1~3号機の事故の現状から、チェルノブイリのように、石棺で埋め込む方法しかない」と、事故の状況分析を試みた。

 次に小出氏は、過去の放射能汚染について話した。「1950~60年代の大気圏内核実験、チェルノブイリ、そして福島原発事故。大気圏内核実験のセシウムは福島の20倍で、いまだに汚染を続けている。福島原発事故では、広島原爆の168発分のセシウムを放出した、と政府は公表しているが、過小評価だ。その上、現在でも放射性物質を垂れ流し続けている」と、放射能汚染の実態を説明した。

 そして、「現行の法律では、1平方メートルあたり4万ベクレル以上の汚染がある場所は、放射線管理区域として、とても厳しく管理される」と、放射線管理区域の規則について説明した。「しかし、政府は、1平方メートルあたり60万ベクレルを超える地域のみの立入禁止措置をしているだけだ。これからも、セシウム134、137には注意を要する」と話した。また、「これから何を一番優先するかといえば、子どもを守りたい」と述べ、「健康被害を減らすには、まず、避難すること。それができないなら、疎開など、汚染地帯から少しでも離れることだ。そして、子どもの接する時間が長い校庭や、園庭のような場所の土をはぎ取ること。そして、給食材料の厳選だ」と、被曝を避ける具体的な対策を語った。

 さらに、「国は『今は緊急時』と言い、1平方メートルあたり4万ベクレル以上でも管理をしない。原発の安全神話を垂れ流した電力会社、関連組織の誰も責任をとらない。かつ、原発を推進したのは自民党なのに、もう再稼働を進めて、原発の輸出もしようとしている」と、原子力村の体制を批判した。最後に小出氏は「被害者には、泣き寝入りしないでほしい。子どもたちを守ってあげたいという、押し付けがましい善意ではない。なぜなら、今、子どもたちを守れないなら、自分を許せないからだ」と本音を語り、講演を終えた。

 休憩後、パネルディスカッションに移った。CRMSの岩田氏が司会を務め、「今、福島県には、現在の状況での防災計画がない。原発過酷事故での時間的猶予、避難ルートの提示もない」と話し、問題定義をした。まず、CRMSの長谷川浩氏が、福島の食材を測定した結果などを報告した。次に、福島大学の石井秀樹准教授から、安全な野菜を供給する方法について、課題と提案が示された。小児科医の山田真氏が「復興庁の水野晴久参事官の暴言ツイートは、私のことを言ったのだと思う」と、会場の笑いを誘った。「あの会合で、私は『政府は意図的に、甲状腺だけに健康被害を集中させている』と指摘した。政府は、子ども・被災者支援法を放置し、時間切れにしようとしている」などと、国の姿勢を批判した。

 続けて、小児科医で、未来の福島子ども基金代表の黒部信一氏が、今までの保養推進の活動、放射能への啓蒙運動などを報告した。「チェルノブイリでの保養活動では、被曝した子どもたちに年間24日間ほど保養をさせると、体内のセシウムが30%弱減少したという報告がある。また、子どもたちに希望を与えられることも重要だ」と語った。福島大学准教授の後藤忍氏も活動状況の報告をした。そして、小出氏が「黒い土と呼ぶ、高放射性物質がある。側溝や排水溝などにたまっている黒い泥で、東京でも見つかっている。何万ベクレル/キロというものもあり、子どもたちに触れさせないように注意してほしい」と呼びかけた。

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