2024年12月20日午後3時10分より、東京都千代田区の外務省にて、岩屋毅外務大臣の定例記者会見が行われた。
冒頭、岩屋大臣より、旅券(パスポート)の変更について説明があった。
岩屋大臣は、「日本のパスポートは高い信頼を得ており、ビザなしで渡航できる国・地域は190以上に上る」とした上で、「国際的には、偽造対策、変造対策の強化が求められており、来年(2025年)3月24日から、顔写真ページを、プラスチック製に変更する」こと、また、「申請から交付までに、2週間程度かかる」こと、「現在保持しているパスポートは、有効期間まで使える」旨の説明を行った。
- 旅券(パスポート)の変更について(外務省、2024年12月20日)
岩屋大臣の冒頭発言に続いて、各社記者と岩屋大臣との質疑応答が行われた。
各社記者からは、「日米関係(石破総理とトランプ次期大統領の会談の調整状況)」「日中関係(中国人の査証申請手続の緩和)」「新しい旅券」「米軍横田基地からのPFOS等の流出」などについて、質問があった。
IWJ記者は、来年(2025年)、日本とサウジアラビアの外交関係樹立70周年を迎えるにあたり、以下の通り質問した。
IWJ記者「来年、2025年で、サウジアラビアと日本の国交樹立70周年を迎える件について質問します。
プロボクシングの世界スーパー・バンタム級4団体統一チャンピオンの井上尚弥選手が、12月2日、サウジアラビア政府の総合娯楽庁が主催するサウジアラビア最大のエンターテイメント・フェスティバル『リヤド・シーズン』と、推定総額30億円の大型スポンサーシップ契約を結び、同イベントのアンバサダーとなりました。
サウジアラビアの王子の1人で、総合娯楽庁長官のトウルキ・アラルクシ氏は、井上選手との契約について、2025年のビッグサプライズ、――このビッグサプライズというのは、来年、井上選手が、サウジアラビアでファイトするということらしいですけれども――に向けて、『サウジアラビアと日本の外交関係樹立70周年を象徴する関係を築いていく』との声明を出しています。
中東の産油国であるサウジアラビアは、日本にとって、大事な存在です。
日本政府、または外務省として、国交樹立70周年を迎える来年に向けて、サウジアラビアとの国交関係、友好関係を歓迎・祝福するためのサプライズのようなものを用意しているのでしょうか?」
岩屋大臣「珍しく、明るい話題の御質問で、ありがとうございます。
サウジアラビアは、我が国にとって、言うまでもなく、大切な国でございます。エネルギー安全保障上の重要なパートナーであるとともに、この地域の大国でもありますので、中東地域の平和と安定において、重要な役割を担っておられる国だと思います。
したがって、今、お話のあった来年の外交関係樹立70周年、この節目を活用して、より幅広く、かつ深いレベルで、相互理解・協力を推進していきたいと考えております。
したがって、両国において、各種の記念事業の公募を行うとともに、政府間でも、計画・検討を、今、進めているところでございます。
こうした中で、両国関係の一層の強化に資するような、来年の周年事業をやりたいと考えております。
そこで、今回、井上選手が、『リヤド・シーズン』とスポンサー契約を結んだ。これは、朗報だと思います。
我が国が誇る選手でいらっしゃいますので、大いにサウジにおいても活躍していただきたいと願っております。
とても前向きな話題でございまして、歓迎しているところでございます」。
- 日本・サウジアラビア王国外交関係樹立70周年事業(2025年)記念事業認定申請(2024. 9. 30 外務省ウェブサイト)
日本は現在、世界196の国々との国交を承認している。岩屋大臣は、会見冒頭で「日本のパスポートは高い信頼を得ており、ビザなしで渡航できる国・地域は、190以上に上る」と述べたが、ある国のパスポートへの信頼の高さは、その国の外交力の高さを示すものとも言える。「G7」の加盟国だけと、特別に緊密な関係を結んでいれば、それで外交が成り立つかといえば、そんなことはない。
岩屋大臣は、2024年10月2日の外務大臣就任時の会見で、「外交の失策は、国を誤ることにつながりかねません。日本の外務大臣として、誠心誠意、『至誠通天』という言葉を胸に、しっかりと、この重責に取り組んでまいりたい」と自身の抱負を述べた。
サウジアラビアとの国交樹立70周年を皮切りに、今後も、「G7」以外の、グローバル・サウスの国々との友好に目を向け、日本の外交力の信頼度をどんどん上げていくべきであろう。
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。