「かぐや姫の物語」見たよ


かぐや姫は数ある星の中から、なぜ地球を選んだのか。この地で何を思い、なぜ月へ去らねばならなかったのか。彼女が犯した罪とは、そして、罰とはいったい何だったのか――。

『かぐや姫の物語』作品情報 | cinemacafe.net


フォーラム那須塩原でハホ*1とアオ*2といっしょに観てきました。


「竹取物語」という年代を問わずたくさんの人が知っているであろうたいへん有名な古典をベースにしていましたが、昔話っぽさを感じさせるやたらと味のある絵が印象的な作品でした。予告で観たときは「日本むかしばなしみたいなお手軽な絵だな...」などと思っていたのですが、実際に2時間ずっと観てみたら言葉にはしがたい不思議な魅力を感じました。


そして物語については原作にほぼ忠実に描かれていたことにとてもおどろきました。
原作は竹取物語だとしても、そのディテールは多少いじってオリジナルにするんじゃないかと思っていたのですが、ものの見事に原作のままでした。そして内容が原作のままだということにおどろいたのは、わたし自身の中に「有名な作品を原作にするのであればそれをアレンジしないなんてことはありえない」という思い込みがあったためです。

そしてわたしがそんなふうに思い込んでいたのは以下の2点の理由からでした。

    1. 誰でも知っている物語をそのまま語ってもおもしろくないんじゃないか?
    2. 原作のもつおもしろいテーマを別の切り口から描いてみたくなるんじゃないか?


「誰でも知っている物語をそのまま語ってもおもしろくないんじゃないか?」というのは、物語の展開をすべて知っている、つまり次の展開や結末を知ったうえで物語を追いかけることは知らずに追いかけることよりも楽しくないんじゃないかというネタバレ問題に近い理屈です。
物語の内容を知ってなお楽しめる作品というのもたくさん知っていますが、それでもなんとなく「知らない話のが楽しめる」と思ってしまっているのです。

そしてもうひとつの「原作のもつおもしろいテーマを別の切り口から描いてみたくなるんじゃないか?」というのは、おもしろい題材であればそれをベースに自分なりにアレンジしてみたくなるんじゃないかというこれはわたしの想像です。

たとえばライブに行ったら大好きな曲がアコースティックバージョンで歌われた...なんて経験が誰でもあると思いますが、いい題材というのは切り口や装飾を変えてあれこれいじりたくなるものなんだとわたしは思っています。だからこれだけの古典を描くのであれば、自分なりに物語に手を加えるんだろうなと想像していたのです。


ところがどっこい(死語)そんなわたしの予想を裏切り、原作に忠実に描いていたのがこの作品だったのですがこれがもうほんとうによかったです。古典を原作に忠実に描いてみせたことで、この物語の普遍性をあらためて実感することができました。


ちなみに「物語がほぼ原作のままであること」と「絵がたいへんなじみ深いものである」が功を奏したのか、子どもたちはたいへんおもしろかったようでとくに6歳になる次女は2時間みじろぎもせずに観ていました。ふだん、次女は映画を観に行っても途中で飽きることが多くて、たとえば大好きなクレヨンしんちゃんでさえもずっと観ていることができないのですがこの作品はエンドロールが終わるまでまったく動く気配がなくて寝てるのかと思ったほどでした。

観終えてから聞いたらすごくおもしろかったと言ってて*3、「既知の物語をなじみ深い絵で再現するというのは*4わりと受け入れられるんだな」といまさらながら感心しました。


あと「かぐや姫の罪と罰」については、予告やCMでちょっとアピールし過ぎかなというのが観終えて思った唯一のざんねんポイントでした。


公式サイトはこちら

*1:長女

*2:次女

*3:9歳の長女の感想は「まあまあよかった」でした。なにその上から目線!

*4:もちろんそれだけではないのですが