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INTERNET Watch編集部が選ぶ、2024年の印象的だったニュース30選

 本誌が2024年にお届けしたニュースの中から、特に印象的だったもの、2025年に向けて新たな展開が期待されるもの、引き続き注意すべきサイバー攻撃に関する情報など、年の終わりに読み直しておきたい記事を30本ピックアップし、紹介する。

 本誌で取り上げるトピックは、ネットワークに関連した技術や製品、およびセキュリティ関連の話題が多い。技術・製品関連では、Wi-Fi 7対応製品の登場が大きなニュースで、10Gbps対応の光回線の拡大も、高速通信の普及を後押ししそうだ。今年後半にはNTT東西が集合住宅の光配線化を推進する動きもあり、現在低速な回線しか利用できていない人も、来年以降はより快適な通信環境を手に入れられる可能性が高まりそうだ。

 セキュリティ関連の話題は、特定製品の脆弱性の情報から社会を揺るがしたサイバー犯罪までと幅広いが、あらためて今年の話題を振り返り、2025年にはこれらの問題がさらに大きくならないよう取り組みたい。また、個人や組織のレベルを超え、サイバーセキュリティに関する国際協力のような動向も多かった。

  1. 能登半島地震、被災エリアで自動車が通行できた道路をウェブ地図に表示開始~ITS Japan(1月1日)
    1月1日に能登半島地震が発生。NTTが災害用伝言版開設、ITS Japanが交通実績情報提供などの対応が取られた。
  2. バッファロー、Wi-Fi 7ルーターのフラッグシップモデル「WXR18000BE10P」を2月上旬に発売(1月24日)
    2023年12月にWi-Fi 7が解禁となり、今年は対応製品の普及が期待された。本製品は国内メーカーの家庭用Wi-Fiルーターとしては初のWi-Fi 7対応製品で、Wi-Fi 7の話題は、今年後半に向けて反響が徐々に大きくなっていく。
  3. IPA、「情報セキュリティ10大脅威 2024」発表。個人対象の脅威には順位を付けず(1月29日)
    毎年発表されている「情報セキュリティ10大脅威」だが、今年の個人対象の脅威では、順位が高い脅威から優先的に対応し、下位の脅威への対策が疎かになることを懸念し、順位が付けられなかった。
  4. KDDIら、南極昭和基地から「Starlink」による8K映像リアルタイム伝送に成功(2月28日)
    KDDIは2021年にStarlinkと提携し、以降さまざまな施策を展開。これは中でもインパクトが強かったニュースの1つ。
  5. NTTドコモ、スミッシング詐欺対策として「意図せぬ迷惑メッセージ送信に関するお知らせ」を7月から提供予定(3月29日)
    フィッシング/スミッシングからマルウェアをスマートフォンにインストールさせられ、知らない間に大量のSMSを送信してしまう、という被害が相次いでおり、その対策となるサービス。
  6. Wi-FiルーターやIoT機器の脆弱性を調査する「NOTICE」新バージョンを開始。総務省ら(4月1日)
    総務省らによる取り組み「NOTICE」が、今年4月から新しくなってスタート。「ネットにも戸締まりを」のコピーで啓発活動も行っている。
  7. 70歳以上の「サポート詐欺」相談が大幅増加! PCに突然表示される警告画面に、国民生活センターが注意喚起(4月4日)
    悪意のあるウェブサイトにアクセスすると、画面全体に表示されるメッセージや警告音で驚かせ、特定の電話番号に電話するよう指示するのが典型的手法。今年前半に大きな話題になったネット詐欺の1つ。
  8. NTT東日本、最大10Gbpsの「フレッツ 光クロス」提供エリアを24年度内に全県域へ拡大(5月10日)
    NTT東西が、ともに全圏域への「フレッツ 光クロス」提供エリア拡大を発表。Wi-Fi 7など高速ネットワーク普及の後押しにもなると思われる。NTT西日本のニュースはこちら
  9. 米CISAの国際ガイドラインに日本も署名。民主主義の価値を損なうサイバー攻撃から研究者・ジャーナリストらを保護(5月17日)
    人権保護や民主主義の推進に関与する組織や個人が、ロシア、中国、イラン、北朝鮮といった国家を背景とするサイバー攻撃グループからの攻撃にあうことを防ぐための「限られたリソースでサイバー脅威を軽減する、市民社会ためのガイダンス」に署名。リスク緩和策を講じていくことに。
  10. バッファローのWi-Fiルーター「WSR-1166DHP」シリーズほかのボット感染が増加、NICTER解析チームが警告(5月22日)
    家庭用Wi-Fiルーターなどネットワーク機器のセキュリティリスクを報じた記事の中で、最も反響が大きかったもの。
  11. ニコニコおよびKADOKAWAグループのサイトに週末から大規模なサイバー攻撃か。10日朝時点でも復旧せず(6月10日)
    今年のサイバー攻撃の話題の中でも特に大きかった、KADOKAWAグループのランサムウェア攻撃に関する本誌での第1報。
  12. 総務省、MetaほかのSNS事業者に、被害急増中の「なりすまし型偽広告」対策を要請(6月21日)
    有名人の写真を使って偽の投資セミナーなどに勧誘する詐欺広告(SNS型投資詐欺)の被害が拡大し、総務省が要請した。警察庁ではSNS型投資詐欺の詳細なレポートも公開しており、SNSのバナー広告が悪用されている。
  13. 「KUMON」委託先事業者のランサムウェア被害により、会員と指導者の個人情報が漏えい(7月4日)
    委託先のイセトーは、愛知県豊田市、徳島県、日本生命など多くの自治体や企業の業務を受託しており、大きな被害となった。
  14. 5Gの電波ばく露レベルは「4Gと同程度またはそれ以下」、NICTが測定結果を発表(7月5日)
    5Gサービスによる人体へ悪影響を与える可能性などを疑問視する声に対する回答に。携帯電話事業者でなく、公的研究機関が商用サービス中の5Gの電波強度を測定したのは、今回が初だという。
  15. 北海道電力、最大10Gbpsの光回線「ほくでん光」を提供開始、電気とセット契約で年間1000エネモポイント(7月16日)
    NTT東西だけでなく、ほかの事業者でも10Gbpsの光回線サービス開始やエリア拡大のニュースが相次いだ。ほかにイッツコムの10ギガコースなども。
  16. 電波で人の動きを検知する「Wi-Fiセンシング」による一人暮らし老人世帯の見守りサービス、シンクレイヤが実証実験(7月19日)
    Wi-Fiの電波により人の動きを検知するという、ちょっと意外な機能を使った新サービス。手軽な見守りサービスとしての一般提供開始が待たれる。
  17. 日本の音楽を違法アップロードして約10年間活動していた海賊版リーチサイトが閉鎖、日本レコード協会が発表(7月19日)
    海賊版サイトに関する話題の中で、本件はCloudflareに情報開示命令が行われたことで海賊版サイトが自主閉鎖されたという、少し変わったケース。
  18. NTT東西、天気予報サービス「177」を2025年3月末に終了。利用減少などにより(7月30日)
    1955年から提供されていた「177」が終了に。後続サービスはなく、気象情報サービスやアプリを利用してほしいとしている。
  19. 条件は「名探偵コナンへの愛にあふれている方」! 鳥取県北栄町が、まちづくり企画に参加するITエンジニアを募集(9月13日)
    ワーケーション、テレワーク、移住といった「インターネットがあるからこそ実現できる働き方」の話題も取り上げている本誌だが、そうした話題の中でも際立ってユニークだったのがこちら。
  20. NTT東日本、「VDSL/LAN配線のみ」かつ「現在利用なし」の集合住宅で、フレッツ光のVDSL/LAN配線方式での新規受付を10月24日に終了、光配線への移行促す(10月1日)
    サービス向上と環境負荷軽減を目的に、光配線化への取り組みが積極化した。11月には、集合住宅入居者からの光配線化リクエスト受付窓口が設置された。
  21. 意図せず不利な行動をさせるウェブの「ダークパターン」撲滅目指す組織設立、優良サイト認定制度の運用へ(10月3日)
    ユーザーに意図しない不利な行動をさせるウェブサイトの設計を「ダークパターン」と呼び、その撲滅を目指す組織が、IIJが主幹となって発足。誠実なウェブサイトの認定制度を2025年に開始予定。
  22. 豪州主導の「OTサイバーセキュリティの原則」に日本も署名、社会インフラのサイバー防衛のため国際連携を強化(10月3日)
    社会インフラなどの運用・制御技術(OT:Operational Technology)の設計および実装・管理に関する原則に共同署名。インフラ事業者のセキュリティ意識やサイバーセーフ文化の醸成から、国のセキュリティ強化にもつなげるもの。
  23. タリーズ オンラインストアでクレジットカード情報5万件以上が漏えいの可能性、心当たりの人は確認を(10月5日)
    今年の後半にはECサイトの情報漏えい事件が相次いだ。タリーズの発表では原因は明らかにされなかったが、多くは不正アクセスによりECサイトが改ざんされたことが原因。
  24. 「闇バイト」募集の大部分はXなどのSNS、「即日即金」「ホワイト案件」といったキーワードに注意―警察庁が特徴を発表(10月25日)
    大きな社会問題になった「闇バイト」問題に関し、警察庁がSNSにおける募集の手口を公開し、注意を呼び掛けた。
  25. 武蔵コーポレーションとNTT東日本、IEEE 802.11ahを活用し不動産管理業務を効率化する業界初の実証実験(11月8日)
    1km超の長距離通信が可能なWi-Fi HaLow(IEEE 802.11ah)対応製品やサービスの話題が多かった中で、その活用の一例。複数の物件にカメラを設置し、Wi-Fi HaLowにより広いエリアの物件を低コストで管理する。
  26. JCCAら官民11団体がフィッシング啓発キャンペーンを開始、注意喚起の動画も公開(11月18日)
    2023年はクレジットカード不正量被害額が過去最悪となり、その大きな原因として巧妙化するフィッシング詐欺による情報窃取があることから、日本クレジットカード協会(JCCA)らが啓発キャンペーンを実施。本誌ではクレジットカードのセキュリティについてアメリカン・エキスプレスによる寄稿記事も公開している。
  27. バッファロー監修で往年の人気モデルがカプセルトイに! 「手のひらWi-Fiルーター」11月21日発売(11月19日)
    手のひらネットワーク機器」シリーズに続いて、バッファローのWi-Fiルーターがカプセルトイに。
  28. NTT、既存光ファイバーと同サイズで大容量化を実現する4コアMCFの建設・運用・保守技術をラインアップ化(11月25日)
    将来の実用が期待される技術の実証実験成功などのニュースも多く紹介しているが、これは、そうした段階から一段階進んで、実用の準備ができたというニュース。陸上のデータセンターネットワークや海底ケーブルなどでの大容量化需要への対応が想定されている。
  29. NTT西日本、集合住宅における「VDSL/LAN方式」から「ひかり配線方式」への移行推進。対象となる建物での工事無料化など(12月6日)
    NTT西日本も、集合住宅のひかり配線化(東日本と表記が異なる)への取り組みを進めてきた。対象世帯にダイレクトメールなどで連絡し、工事申し込みを受け付ける。
  30. 老舗防災メーカーのホーチキが新サービス、クラウドから火災情報を通知する「HOCHIKI as a Service」(12月10日)
    老舗メーカーがクラウドサービスも展開、という例はいくつかあるが、そうした中でも名称のインパクトが強い。