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5Gの電波ばく露レベルは「4Gと同程度またはそれ以下」、NICTが測定結果を発表

公的機関による測定は世界初、電波防護指針の基準値の1万分の1以下

測定の様子

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は7月5日、第5世代通信システム(5G)携帯電話基地局からの電波ばく露レベルを複数地点で測定する実験を行い、従来の4Gのレベルと同程度またはそれ以下であったことが明らかになったと発表した。

 日本では、電波防護指針に基づき、人体に悪影響を及ぼさない範囲で無線機器の電波が利用されている。その一方、2020年より提供開始された5G通信における健康不安の声が一部で上がっている。今回、NICTは5G携帯電話基地局からの電波ばく露レベルを複数地点で、測定を行った。

 5Gで使われる2つの周波数帯であるFR1(3.7 GHz帯および4.5 GHz帯/sub6)とFR2(28GHz帯/ミリ波)について、それぞれ測定を実施。FR1は東京都周辺の51カ所、FR2は東京都心3カ所にそれぞれ測定器を設置し、付近でスマートフォンを使ってデータをダウンロードしながらの測定も行った。

測定の結果

 測定の結果、4Gの基地局の過去の測定結果と比較すると、データダウンロード時でも、レベルは同程度またはそれ以下であることが分かった。また、ダウンロード有無におけるレベルを比較すると、データのダウンロードありの場合は、ない場合に比べ、中央値でFR1は70倍、FR2は1000倍大きくなることが分かった。

 いずれの場合も、電波防護指針に対し、中央値で約1万分の1以下と、低いレベルであることが明らかになったという。

 NICTは、今後も、少なくとも2040年まで長期的に測定を継続していく。また、海外における電波ばく露レベルの調査活動とも連携し、国際的に相互比較できるデータの取得・蓄積・活用の実現に取り組んでいくとしている。

 なお、NICTは2019年から、国内初の大規模電波ばく露レベルの長期測定を行い、生活環境における電波ばく露レベルのデータを取得してきた。携帯電話基地局からの電波ばく露レベルの測定は、これまで携帯電話事業者自身によって行われてきたものの、公的研究機関が商用サービス中の5G基地局周辺の電波強度を測定したのは、今回が初めてとなる。