急遽テレワーク導入!の顛末記

「Fire TV StickでPCの画面をテレビに! デスクトップPCをリビングでも使う方法」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(99)

無線キーボード&マウスで別室のデスクトップPCを操作

テレビなどに装着して利用する、Amazon「Fire TV Stick」

 以前に「popIn Aladdin」をPCのマルチディスプレイとして利用したことがあったが、プロジェクターを使うには部屋の明かりを落とす必要があるので、長時間作業していると目にわるい気がしてきた。

……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから61日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は別のアプローチから、2階にあるデスクトップPCを1階リビングで遠隔操作する方法を考えてみた。

【今回のハイライト】
ノートPCで遠隔操作してもよいが……
Miracastだと映像遅延が気になる
専用アプリを使うのが最適解か?

5月16日(月):リビングのテレビで、自室のデスクトップPCを遠隔操作したい!

「popIn Aladdin」にPCの映像を無線LAN経由で投影

 「Aladdin Connector」を購入したことで、1階リビングの「popIn Aladdin」で、2階の自室にあるデスクトップPCの映像を遠隔投影できるようになった。いちいちノートPCに作業データを移したり、そのノートPCを持ち歩くことなく、リビングで仕事ができるのは結構便利だ。ファイルをノートPCにコピーした時とは違い、作業状態をそのまま引き継げるので、ファイルのバージョン管理に伴うミスもない。

 ただ、プロジェクターは起動に少し時間がかかるし、解像度がいまいちなので小さい文字が読みにくい。どちらかというと、リビングにあるテレビを同じように仕事に使った方が、作業の効率はアップしそうだ。

 以前にMiracastでデスクトップPCの映像を投影した時は、映像の遅延が気になった。そこで、今回はノートPCをHDMIケーブルでテレビに接続。さらに、Chrome Remote Desktopを利用することで、自室のデスクトップPCの映像をテレビに出力しつつ、リビングにあるノートPC経由での遠隔操作が可能になった。

ノートPCをテレビにHDMI接続し、Chrome Remote Desktopで自室のデスクトップPCを遠隔操作

 これなら、「popIn Aladdin」を利用した時のようにファイルをコピーする手間がないし、映像の遅延もMiracastを使った時ほどには気にならない。ただ、リビングの机の上で、ほぼ何の機能も使わないノートPCが場所を取ることになった。できれば、もうちょっとスマートな方法はないものだろうか?

5月17日(火):「Fire TV Stick」を使って、デスクトップ画面を遅延なくテレビに出力

 あれから“デスクトップPCの映像を、Wi-Fi経由でテレビに投影する機器”を探してみたのだが、どうやら「Fire TV Stick」がノートPCの代わりに使えそうだ。

 というのも、以前にタブレットからデスクトップPCを遠隔操作した時に、「spacedesk」というアプリを利用したのだが、このアプリには「Fire TV Stick」版も用意されている。

「Fire TV Stick」をリビングのテレビに装着
「spacedesk」をデスクトップPCと「Fire TV Stick」にインストール

 そこで、リビングのテレビに装着した「Fire TV Stick」と、2階の自室にあるデスクトップPCに「spacedesk」をインストール。「Fire TV Stick」側から接続操作を行ったところ、テレビにデスクトップPCの映像を表示することができた。

 手持ちの無線マウスとキーボードが、階をまたいでデスクトップPCを操作できることは、前回の検証で確認しているので、後はこれをリビングに持って来れば準備は完了。これで、ノートPCがなくても、マウスとキーボードだけで、1階リビング→2階自室での遠隔操作が可能になった。テレビなら細かい文字もくっきり読めるので、書類仕事もはかどりそうだ。

 ちなみに、「Fire TV Stick」には標準で「ディスプレイミラーリングを有効にする」機能が用意されており、Miracastに対応したPCのサブディスプレイとして、テレビを利用することができる。この機能なら映像だけでなく、音声もテレビに出力できるようになるのだが……。こちらは、マウスでの操作が難しくなるほど、映像の遅延が大きい。仕事に利用するなら、映像の遠隔出力には「spacedesk」を利用するのがよさそうだ。

Miracastでも「Fire TV Stick」を接続したテレビに、デスクトップ画面を出力できる。ただし、映像の遅延が大きい

5月18日(水):音声の出力には、同じくアマゾン製の“あの”デバイスを使用

 「Fire TV Stick」を使うことで、PCの画面を、よりスマートに遠隔投影できるようになった。ただ、この仕組みでは音声の遠隔出力ができないので、何か別のアプローチが必要になる。

リビングに置いてある「Amazon Echo Dot」を、自室のデスクトップPCとBluetooth接続する

 そこで目を付けたのが、リビングに置いてある「Amazon Echo Dot」。これをBluetoothスピーカーとしてデスクトップPCに接続することで、ようやく音声についても階をまたいで遠隔出力できるようになった。ほかにも、AirpodsなどのBluetoothデバイスも、音声の遠隔出力に使えそうだ。

スマホで「Amazon Alexa」アプリを起動。歯車型のアイコンから「デバイスの設定」画面を表示し、「スピーカー」→「Bluetooth」→「新しいデバイスをペアリング」と操作する
PC側で「設定」から「Bluetoothとその他のデバイス」画面を表示し、「Amazon Echo Dot」とのペアリングを行う

5月19日(木):「Amazon Echo Dot」が常時ペアリング状態になった……

 朝に自室のデスクトップPCを立ち上げたところ、「Amazon Echo Dot」と自動的に接続。音声の出力先が「Amazon Echo Dot」に変更された。どうやら、標準でBluetooth接続するデバイスとして、デスクトップPCが設定されたらしい。

 その後、出力デバイスを変更したところ、自動で音声の出力先が「Amazon Echo Dot」に変更されることはなくなった。ただ、2階でデスクトップPCを起動させると、「(PC名)に接続しました」と1階のアレクサが必ず言ってくるように……。

 どうやら、「Amazon Echo Dot」への自動接続は、何回デスクトップPCを起動しても、変わらなく行われるようだ。このままでも特に害はないのだが……。一応気になったので、“Windows側で「切断」操作をする”、“「Amazon Echo Dot」の電源を一度落とすなど”、いろいろと試してみたが状況は変わらない。どうやらこの状況を元に戻すには、「デバイスを削除」の操作を行って、ペアリングを一度解消する必要があるらしい。

デスクトップPCを起動すると、「Amazon Echo Dot」と常時Bluetooth接続するようになった

 ともあれ、これで2階のデスクトップPCを、1階のテレビを使って遠隔操作できるようになった。というかHDMI端子があれば不要になったモニターでも同じことができるので、実質的にPCが1台増えたような感覚だ。寝室などのPCがない部屋には、「Fire TV Stick」を装着したモニターを置いておけば、ちょっとした作業がしたい時にPC代わりに使えるかもしれない。

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※編集部より
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飛田九十九