Buhitterの件について訂正と謝罪/私の話を聞いてくれ

※なるべく大勢の人に読んでほしいので拡散希望です。

※理由は後述。

 

訂正と謝罪

まずは謝罪から始めないといけない。

 

ここ数日TLで騒ぎになっていたBuhitterの件について、昨日、行きすぎた対処を促す私のツイートが拡散した。拡散停止のためツイート自体を削除したため記憶ベースになるが、おおむね以下のような内容のツイートだった。

 

“無断転載のやつ、削除請求じゃなくて掲載料請求をしたらいいんじゃない? 多分光の速さで削除されるしそのうちサイトごと消えると思うよ”

 

先に言っておくと、これはお門違いのツイートだ。

 

後から指摘をいただいて理解したが、BuhitterはAPIを利用してAIで検索したツイートを自動引用しているwebサービスで、Twitter規約上許されている運用だ。

ユーザーはそもそもTwitterの利用を開始した時点で利用規約に同意しているので、こうした引用に許可を出したことになっている。つまり、ユーザーは、Buhitterによる引用の差止め請求をする立場にない(なぜなら権利侵害は生じていないから)。

したがって、特に問題はないのだ。

 

釈明のため、ツイートに至った経緯を説明させてほしい。大体以下のような流れだった。

 

①トレンドを見て炎上を把握→Buhitterにアクセスしてトップ画面を目視

②ここでツイート埋込表示であると気づくべきところ、TLの炎上状態から、「よくある著作権侵害のアフィリエイトサイトが無断転載(repost)しているのだな」と解釈

③いわゆる海賊版サイトの一種と見なし、この手のサイトの常として、削除請求ではなく掲載料請求をすれば、厄介事を回避しようとサイト運営者は該当の画像をただちに削除するであろう、と推測

④上記の旨をツイート

 

単純に私の早合点によるもので、その点に弁解の余地はない。

事実誤認に基づいたツイートを行ったことをお詫びしたい。

 

みんな私の話を聞いてくれ

で、これだけだと訂正記事が拡散しないので、拡散しやすいように(?)私見を述べたい。

特に元ツイートが拡散したであろう、私と同じ属性の人たち、いわゆる二次元オタク(あえてこう呼ぶ)に向けて。

 

本来正当なビジネスである(はず。少なくとも外から観察する限り)Buhitterを激しい言葉で叩く人たちに対し、「(Buhitterは)ルールを守っているのだから問題はない」という意見を見かけた。

これは正しい。少なくとも法的責任は問われないという意味において。

 

しかし、当たり前だが、「ルールを守っていれば“何をしても”問題はない」訳ではないと思う。私たちは冷静にこの意見に向き合う必要がある。

 

そもそもなぜ炎上したのか

思うに今回Buhitterが炎上したのは、以下の理由による。

 

①年齢指定作品・二次創作物を含む個人のイラストのキュレーションサイトだった

②イラストの作者が認識していないところで引用が行われていた

 

特に①の要素が原因として大きいと思う。

 

Togetterのような第三者の外部サイトとBuhitterは、この点で性質が異なる。

たとえばTogetterは個人のイラストのキュレーションが主たる目的のサービスではない。もちろん探せばTogetterにも個人イラストを集めたまとめはあるのだろうが、その数は相対的に少ないだろう。対してBuhitterの記事はほぼ全てそういった内容だ。

ここは明確に違う。少なくともユーザーの受け取り方と、社会的な影響という点においては。

 

なおかつ、Buhitterの想定ユーザー層は、こうしたイラストに興味がある人たち、すなわちオタク層のはずだ。そのオタクコミュニティーのローカル文化、すなわち、少なくとも年齢指定作品や二次創作物は限られたコミュニティーで公開し*1、主に内輪の人間でシェアするもの、というコードにBuhitterは真っ向から反している。

 

つまり、感情論として当然に「コードを尊重されなかった不快感」「嫌なものは嫌」という反発が生じる。

「Twitter利用規約の内容に無知だからこんなことで炎上するのだ」という意見も見かけたが(そして実際利用規約の内容を知らない人は多いだろうが)、それは炎上を加速させた一因ではあるものの、問題の本質ではないと思う。知っていようといまいと、不快なものは不快だからだ。

 

そして、その感情自体は“正当なもの”だと考えている。

この記事の議論の本質ではないのでここでは詳しく述べないが、日本のオタクコミュニティーで上記のようなコードが形成されてきた背景には、それなりに合理的な理由が存在する。いくら法律上も利用規約上も問題がなくとも、それではこの感情の問題を解決することはできない。

 

対等に尊重されるべき

誤解しないでほしいのは、感情論として「嫌だ。やめてほしい」からといって、無邪気にそして無制限に他者の権利やビジネスを制約してもよいと言いたい訳ではない、ということだ。

 

Buhitter側には自己のビジネスを行って利益を追求する自由と権利がある。

双方の立場と利害は対等に尊重されるべきだ。

 

今回の場合、一方は正当な手続きを経て活動しているので、ツイートを引用された側に可能なのは、「これは私にとって不快なのでやめてほしい」「あなたのビジネスは私たちのコミュニティーの秩序を乱すので配慮してほしい」と“依頼(お願い)”することだ。

 

ここで初めに述べた「ルールを守っていれば何をしても問題はない」理論を持ち出して、「Twitter利用規約に同意した以上、ツイートの埋込引用を拒否することはできないはずだ。サービスはこれまで通り継続する」みたいな原理原則論で突っぱねられると議論にならない。

当然、想定ユーザーだったはずのオタク層はサービスにそっぽを向き、誰も幸せにならない。

 

その点Buhitterや類似サービスのツイコミ(仮)は誠実というか冷静で、引用されたユーザーの求めに応じて削除依頼を受け付けている。この調子で適切な落としどころを見つけられたらよい、と思って状況を注視している。

 

利用規約は永久不変のものではない

「Twitter規約の内容が不満なら、他のSNSを使えばよい」という意見も見かけた。

 

手っ取り早い解決策として、これは正しい。

しかし、重要な点が一つ見落とされていると思う。

 

私たちは「(FacebookやInstagramやTik Tokやマストドンではなく)Twitterが使いたい」のだ。

それも、快適に、自分たちにとって望ましい形で。

 

私たちは消費者としてTwitter社に自分たちにとって好ましい改良や変更を提案・要望することができる。

それはたとえば、「いいね」は「ふぁぼ」に戻してほしいとか、「いいね」は時系列に並べてほしいとか、「いいね」はTLに表示しないでほしいとか、「いいね」一覧はPixivの非公開ブクマと同じく他ユーザーに見えないように(中略)というような、利用者として常識的な範囲の要望を出すことが認められる、ということだ。

 

企業サービスの利用規約は永久不変の神の法ではない。

「このような外部サービスにツイートを引用されるのは困るので規約を変えてほしい」、あるいは「YouTubeのように埋込引用OKなツイートとそうでないものを選択できるようにしてほしい」というようなことを、私たちはTwitter社に要望することができる。

 

念のため言っておくと、「それでは自由なツイートデータの利用が妨げられる。新しい技術やビジネスの発展を阻害するのはいかがなものか」という意見にも一理あると考えている。

ただ、自由な技術開発のためなら、誰がどんなに不快に感じても仕方ない、という訳ではないはずだ。究極的には程度の問題だから、妥協点は議論して決める必要がある。

 

私たちは、節度をもって、冷静に、正当な手続きによって意見を述べるべきだ。

 

二次元オタクの諸氏には、落ち着いた対応をしてもらいたい。

私のように早とちりするのではなく。

*1:もちろんツイッターに公開した時点で矛盾した態度ではあるのだが…