hituziのブログじゃがー

あべ・やすし。最近は ツイッターばー かきょーる。

はなしが ちがうじゃないか!(研修生制度も、わかりやすいニュースも)

 社会のなかで流通している情報というものは、そのままでは わかりにくいことが あります。ことばづかい、内容そのものが むずかしい。あるいは、文脈や背景の知識がないと わかりにくい。そういうことが あります。そこで、情報を みんなに とどけるために、かみくだいて説明する 必要が でてきます。


 たとえば、あたらしい法律が できたとき。その法律を わかりやすく説明するパンフレットを つくる。


 ひとつ 例を あげます。2016年 4月1日に、障害者差別解消法が施行されます。内閣府のページを みてください。


内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」


 うえのページを みると、法律の本文や概要などは「るびつき」PDF、「るびなし」PDF、テキストファイルの 3種類が 用意されています。ふりがなが あれば よみやすい人、ふりがなは ないほうが いい人、PDFファイルではなく テキストファイルが いい人、そういったニーズに対応しているわけです。


 「障害者差別解消法リーフレット」も つくって、さらに「わかりやすい版」を 用意しています。


 こんな とりくみを どんどん ひろげていこう! ことばの かべを とりのぞいて、大事なことを みんなに 知ってもらおう!


 政府が ながす情報だけじゃなくて、テレビのニュースや新聞も、わかりやすくする必要があります。バリアフリーにしていかないと いけません。



 ここで みなさんに宣伝したいのが、NHKの「ニュース ウェブ」の わかりやすい版です。「ニュース ウェブ EASY(イージー)」と いいます。名前が 英語で わかりにくい! だけど、中身は よく できてます。工夫してあります。


 NHKは、「ニュース ウェブ イージー」を つぎのように説明しています。

「NEWS WEB EASY」は、小学生・中学生のみなさんや、 日本に住んでいる外国人のみなさんに、わかりやすいことばでニュースを伝えるウェブサイトです。


 わたしは、NHK「ニュース ウェブ イージー」は いいなあ、大事だなあと おもっているので、『マイノリティの社会参加―障害者と多様なリテラシー』という本でも 紹介しました(第10章「情報のユニバーサルデザイン」)。


 それで、ですね。きょう、研究会で「ニュース ウェブ イージー」が話題になったんですね。で、そのとき、つい先日(3月26日)、ウェブで おおきく話題になった「”コンビニを外国人実習生の職種に” 協議へ」というニュースが、わかりやすく説明されているのを 知ったんです。どんなふうに説明してるんだろう?と 気になったわけです(すべてのニュースの わかりやすい版が つくられているわけではありません)。


 もとの記事と わかりやすい版「外国人がコンビニの仕事を習うことができるようにする」を みてみました。みなさんも、どうぞ。



 おかしい…。内容が ちがうように みえる…。


 気になったポイントは つぎの ふたつです。

  • 「コンビニの「店舗運営管理」」を 「コンビニの店の経営のしかた」と表現している。
  • 「国内のコンビ二の人手不足を補う目的に利用するのではないか」という「批判も予想される」ことと その対策の説明を はぶいている。


 一般に、コンビニの店舗運営管理というと、「コンビニを まわすこと」=「現場の仕事」ですよね。ちがいますか?
 一方、「お店の経営」だと、現場に でない場合も ありますよね。わたしは、経営というと、「本社に いる人」とか「社長」を イメージします。
 ちなみに、ニュース ウェブ イージーの ことばの説明を みると「事業をやっていくこと」とあります。


 こういう いいかえと省略は、ニュースを わかりやすくしているというよりも、「ごまかしている」というふうに感じてしまいます。べつに、意図的に ごまかしているとは おもっていません。でも、結果的に そうなっていると おもいます。


 はなしを まとめます。気になったのは、つぎの ふたつです。

  • 外国人実習生制度は、国際協力のための制度であり、日本企業の海外戦略のために利用するのは おかしい。制度を ねじまげて、悪用しようとしている。
  • わかりやすく説明するためのページなのに、誤解を あたえる内容になっている。問題点を はぶいている。


 日本政府は、外国人研修生制度を ねじまげて運用してきたと わたしは おもいます。人手不足を 解消するための道具にしてきたと おもいます。
 NHKに対しては、なにもかも ねじまげて報道してきたというふうには おもっていません。問題、批判すべき点は あるけれども、公共放送として、役割を はたそうとしていると おもっています。だからこそ、わかりやすい ことばで ニュースを つたえるという とりくみも、評価しているわけです。でも、今回の件は びっくりしました。こんな つたえかたを してしまえば、何重にも、「はなしが ちがう!」ということになるからです。


 わかりやすく つたえるということは、どういうことなのか。わたしが、わかりやすい版を つくるなら、どういうふうに表現するのか。かんがえてみたいと おもいます。
 NHKの みなさんも、あらためて かんがえてみてください。


関連記事:

追記:補足すると、わかりやすい版の記事名は「外国人がコンビニの仕事を習うことができるようにする」なので、いかにも「現場の仕事」を イメージさせますが…。「経営」は やっぱり おかしいだろうと おもいます。また、記事名としての情報量も、不十分だと感じます。