10を超える言語を操る人々
「Babel No More」は多くの言語を習得した人々(hyperpolyglot)を調査・取材した筆者の報告である。存命中の人については取材をし、過去の人については調査をしている。hyperpolyglotとは言うまでもなくhyperなpolyglotということで、polyは複数を表す接頭辞、glotとは舌または言語で、hyperpolyglotを訳すとすると超多言語話者ということになる。筆者は最初hyperpolygotと呼べるのは6あるいはそれ以上の言語を習得した人であろうと考えていたが、調査を進めるうちに、6言語を習得している人はそれほど珍しくないので、11あるいはそれ以上とするのが適当だと考えるに至っている。
印象に残ったのは以下の点である。
- 南インドではドラヴィダ語族の言語、タミール語、カンナダ語、テルグ語などが話されているが、そこに住む人々はそれらの複数を使わざるを得ず、その結果、それらの言語の文法が酷似することになった。例えばタミール語話者は、カンナダ語の単語を覚えればカンナダ語が使えることになる。
- 20を超える言語を習得した人は確かに存在するが、そういう人でも、ある時点で使える言語は5から9で、それ以外の言語は休眠状態にあり、使うためには慣らし運転が必要である。
- 生まれつき言語習得に有利な脳というのはある。
- 多くの言語を習得している人は、言語習得自体に喜びを感じて、かなりの時間を習得・維持に充てている。
- 言語習得に魔法のような方法は存在しない。いくつかコツがある程度である。
Babel No More: The Search for the World's Most Extraordinary Language Learners
- 作者: Michael Erard
- 出版社/メーカー: Free Press
- 発売日: 2012/01/10
- メディア: ハードカバー
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