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アニメを楽しく見てもらいたいです。

アドコレとドミコレを駆け抜けた人の感想

 

サークルオブザムーン

 初探索型悪魔城となった1作故に思い入れも深い。

 初見の時は「そうか!これが悪魔城らしさなんだな!」とか思ったけど全然そんなことなかった1作。

 妙に落ちるのが速すぎるジャンプ挙動、ダッシュが方向キーを2回押しというカービィ式、強烈な敵の猛攻、ショップがないのに滅茶苦茶装備が落ちる、ポーションは全然落ちないうえに回復量がカス

 などの様々な要素が組み合わさり結構な高難易度を強いられることとなった。

 しかし、高難易度の中でもボスに使いやすいサブウェポンの配置や、マップ構造などがとにかく良くできている。

 あ、ここにつながるんだ!となったり新たなアイテムを手に入れてアクションで抜けられるようになった時のマップの移動のしやすさやアイテムの探索の楽しさが非常に高かった。

 そしてサークルオブザムーンといえば特筆すべきBGMのすばらしさ。

 新エリアに辿り着いたらどんな素晴らしいBGMが待ってるんだろう、というわくわく感すらあったほどBGMが素晴らしい。

 実際どれも過去作悪魔城の名曲をアレンジしたものらしく、過去作を間接的に知ることができるのもうれしさがあった。

 目玉システムのDSSは楽しい… 楽しいけど!こっちもドロップを狙わないと中々辛かったり、またドロップ依存のせいでマップ攻略に相性のいいDSSを手に入れてなかったりすることも多々ある。

 ただ、そういう構造のおかげで結果的に手元にあるDSSでのやりくりの中でプレイヤー個々の思い入れが湧く能力が変わってきそうなのはこのゲームのいいところなのかもしれない…。

 にしてもショップくらいはあってくれよと常に思い続けるゲームではあった。

 好きなんだけど問題あり、問題ありだけど確実に名作。

 みんなもやろうサークルオブザムーン!

 

白夜の協奏曲

 ある意味一番有名かもしれない悪魔城。実際自分は月下の夜想曲等は全然アドコレをやるまでは知らなくて、事実上白夜しか知らなかったといえる。

 サークルオブザムーンと打って変わってあまりにも難易度が低くて驚く悪魔城。

 ある意味探索やアクションの楽しさの方面を誰もが好き勝手楽しめるゲームといえる。

 鞭を使う大元の悪魔城らしさと、サブウェポンと魔法、そしてスペルフュージョンという必殺技で画面全体攻撃や防御魔法、攻撃魔法で無双する楽しさがすさまじい。

 敵にダメージを与えたときのダメージ表示がポコポコポコ~と表示されるのも気持ちがいい。

 ただそのうえで語らざるを得ないのはなんか全体的にこのゲームは質感がヘンテコに感じる面が多かったこと。

 敵や背景、演出等様々なグラフィックが非常に良いのに対して主人公のグラフィックだけ変なオーラが出てるし動きがちょいカクカクしてるし…みたいな感じで浮いている。

 しかもジャンプの挙動はサークルオブザムーンとは逆に落ちるのが遅すぎてふわふわしていて変。

 遊び心に溢れすぎてる仕掛けやすっげえ悪い顔してるように見えるのに思ったより好青年な主人公ジュストと相棒のマクシーム。

 急に悪魔城に家具を飾り始めるジュスト…。 みたいななんかシュールなシーンが多い

 しかし空中挙動のふわふわ感はプレイしてる最中は慣れるとかなり操作がしやすいというか難易度の低さに拍車をかけてくれている。

 素早く下りたいなと思えばキックでさっさと下りればいいし、おりたくないならふわふわと空中挙動をすればいい。

 また回避面もLとRで前と後ろにダッシュできる直感操作のおかげで常に悩むことがない。

 素早く悪魔城を駆け抜けられるし敵とも素早く戦闘できるノーストレスさ。

これだけ語るだけあって戦闘は正直場合によっては味気ない。ボスもやろうと思えば必殺技連打してたら勝手に死ぬ。

 でも本当に戦闘のしやすさのおかげで探索が楽しかったし、マップに配置された工夫の凝らされた演出や仕掛けもとにかく楽しい。

 いろいろな悪魔城をやった後だからこそ感じられるが、能力がないと解けない謎ではなくて敵を利用したりその場のオブジェクトで謎解きをするような作りがある悪魔城って正直白夜くらい。

 個人的にはその特色はかなりデカイと感じられるゲームだったし、初心者でも簡単に楽しめる悪魔城としては個人的におすすめの部類。

 そして完全クリアするとマクシームも使えてなんか爆速で悪魔城を駆け抜けていくのが楽しいし、結構装甲が薄いので白夜本編とは結構違った感覚で楽しめる。

 RTAの視聴だけでなく、自分でやってみて そのうえで「なんか…ちょっとこのゲームのテンション変かもしれん…」

 とその身で感じてみよう!

 

暁月の円舞曲

 よく初心者向けにおすすめされている印象が個人的にはあった1作。

 実際現代の話なのでとっつきやすいうえで過去作キャラが絡んでくるストーリー、敵すべてに能力が用意されているソウルシステム、低いか高いかといえばまあまあくらいの感覚の難易度。

 全体的に絶妙なゲームだと感じる。そのうえで個人的に感じたのはなんかびみょ~に洗練されてないゲームだということ。

 ソウルシステムもなんかどの程度のドロップ率にするかがあんまりはっきりしてないような感覚があたり、ソウルシステムを絡めたクリア条件も微妙にわかりにくいしソウルを持ってる敵がどれだかわかりにくかったり見つけにくかったりするし。

 そしてソウルシステムというシステムに対してその様々なシーンで使うMPが思ったより消費と回復が間に合わない感覚がある。

 楽しいんだけどなんか微妙に足りてない、と個人的には感じてしまったゲーム。

 それでも強い武器やソウルを手に入れたときの楽しさ、能力を持っての探索、様々な面で楽しめた1作。

 アドコレでもし発売順でのプレイ以外で順番に悩んだときは確かにおすすめの1作かも。

 個人的にストーリーという面ではドミナスコレクションから振り返ってもかなり上位に位置する良さがあった作品。

 

蒼月の十字架

 あの暁月の面子が……DSに帰ってきた~!

 しかも今度は悪い教団のダンジョンで大暴れ~!?みたいな作品。

 暁月のソウルシステムを受け継ぎつつ様々な面で改善やパワーアップが施されている。

 とにかく個人的に暁月のシステムの改善がデカイうえでマップ、演出、ゲームバランス等全体的にパワーアップしてるのがとにかくうれしかった1作。

 暁月で「ここが良くなったらな~…」みたいなのが全部良くなってる本当に!

 ソウルも使いすぎると足りなくなるが、それでいてMPの回復もそこまで遅いわけではないので多少待てばすぐ使える… みたいなバランスになっててめっちゃ遊びやすい。

 難易度が高めであると聞いていたが、正直実際のところはそこまででもなく、まあ時計塔みたいな高難易度ステージは高難易度ではあるけど難易度にメリハリがついててむしろ良い。

 蒼月で個人的に特筆すべきはボス戦のすばらしさ。

 とにかくどのボスも印象的かつド派手。戦闘の難易度もそれなりでボス戦闘がずーっと楽しかった。

 またBGMも最高でボス戦の良さに拍車をかける。

 DSの頃はあんまり評判がよくなかったらしい魔封陣も移植で仕様が変わってるおかげでそれなりに楽しめたしで過不足のない1作。

 まあストーリーに関してはなんっていうか暁月でやることやっちゃってたので今回は暁月のサブストーリーっぽい味だったのはまあそんなにそこまでストーリーに期待してたわけでもないからな…くらいの距離感。

 とはいえ魔王ソウマifストーリーのユリウスモードでの演出は全体的に良い。

 個人的にアドコレからドミコレを通した中で最もバランスが良い悪魔城はこれかな、って感じる。

 ただ慣れてないとそれなりに難易度が高い敵が多かったりするのは無論ある。

 いろいろな意味でうれしい1作。暁月しかやってない人は是非やってくれ!

 

ギャラリーオブラビリンス

 俺個人には合わなかった悪魔城トップの作品。

 という触れから始まるのは申し訳ないが、それでもとにかくマップや敵のデザイン、ゲームの遊び心、そして何よりタッグシステムなどのおかげで全体的に楽しさの幅がデカイゲーム。

 自分なりの楽しさを模索できるゲームという意味ではめちゃくちゃ強い悪魔城。

 キャラが二人いるシステムなのでそのシステムを活かして遊ぶか、そうでなく遊ぶか、どんな装備で構成するか、何を主力にするか… そういうのを模索する楽しさがあると思う。

 ただ、個人的には全体的な難易度が高く、敵が結構こっちの動きに対応して動くような感じだったりするので攻撃を当てるのが結構大変。

 場合によってはあんまり暁月や蒼月ほどのソウルシステムを使ったようなごり押しや敵ごとの対応策などがとりにくい面もある。

 あんまり自分に合わなかったところかもと思う部分で、タッグシステムでのプレイヤーではない方のキャラはダメージがMP側で食らうため魔法を別に勝手に撃ってくれるわけでもないシャーロットの方をお供にするとなんか本当にいまいちな感じ。

 しかも画面でちょろちょろしてると正直ちょっと邪魔だったりするし、ボスの攻撃をよけてMP使ってサブウェポンで攻めるならもう一人いるのはむしろ邪魔。

 なんかそういうのもあって最後までタッグ方式の構造を楽しみ切れなかった印象。

 ただ、ここに関してはむしろシャーロットメインでジョナサンをサブにするなら解決されるっぽさがあり、魔法を後方から撃ちつつジョナサンが前で盾になったり近距離戦闘を担う戦闘が楽しめる。

 ただ、自分は基本ジョナサンだったので最後までそういう楽しさはなかったかもな…という距離感。

 おかげで全体的に通常より難易度高めに感じてしまったような部分があり、唯一不満が残った悪魔城。

 マップもクエストシステムと絵画システムのせいでそれぞれのマップと悪魔城のサイズがこじんまりしている印象となってしまい、なんか悪魔城に自分が求めてるものではなかったかもなという感情がある。

 まあ合わない作品もこれだけあればあるよねということで。

 かわいい女の子主人公で遊びたい人にはお勧めの1作。シャーロットみたいなキャラでのプレイは実際もっとやりたい、悪魔城で。

 

奪われた刻印

 名作としか言いようのない悪魔城。

 ギャラリーオブラビリンスを踏まえて小さいマップをそれぞれクリアして進んでいくような構造と探索型が合体してるような構造となっており、おかげでマップをサクっとクリアして町で準備を整える。

 もし次のマップで辛いなら別のマップで色々整えたりしつつ… みたいなことをして行けるのが個人的にかなり肌にあっていた。

 そのうえで難易度はまあまあ高い。まあまあ高いが、ちゃんとその場その場で敵の弱点を突く武器や魔法を使えば楽に乗り切れるようになっていて、自分なりの乗り越え方を模索するのが常に楽しい。

 普段の悪魔城だと好みやステータス的に使わない武器や能力を使っていくのも楽しかったし、そのうえでグリフの組み合わせや必殺技を模索するのもずーっと楽しい。

 プレイしていて探索の中で緊張感が途切れることがない楽しさ。「高難易度」というのが真の意味で楽しめる1作だと感じられた。

 そして特筆すべきはストーリーと演出。流石にアドコレドミコレの中だとストーリーに関しては最高傑作だと思う。

 様々なステージを攻略しつつ進んでいく構造がよりプレイヤーにストーリーの一体感を強めつつのラストの展開。プレイヤーのゲーム体験と物語が一致する気持ちよさがめちゃくちゃ好き。

 マップも難易度高めだが非常に出来がいいし、そしてやっぱり真の後半戦でのボスはどれもこれも演出も派手で難易度が程よく高い。

 難易度は高いが明確にパターンが存在していてこちらもうまく弱点をついていったりプレイングを変化させることで難易度が変化する。

 探索型悪魔城の今までの要素である「装備」「必殺技」「MP管理」「敵からの能力奪取」などをフルに使うことが試される。システムの総決算が見事にかみ合っている意味で本当にアドコレからドミコレまで通してきたからこその感動があった1作。

 いろいろあったけど本当に素晴らしい1作だと感じたゲーム。

 もしこれからスイッチで悪魔城をやりたい人は是非、刻印を目指してプレイしてほしい。ただ一番最初にやるべきかどうかといわれると悩みどころではある。

 まあ好みでええんじゃないかな!名作!!!!

 

総括

 そういうわけで悪魔城を駆け抜けた感想でした。

 悪魔城というゲームは実際全く触ったことがなくて、なんか難しそうだなとか、怖そうだなとかいう硬派な印象の方が強くあった。

 しかし、実際に触ってみると硬派な世界観に対して結構遊び心にあふれててとっつきやすい。

 そして難易度もシリーズにはよるが、プレイ時間はどれも割合サクっとプレイできるボリューム感と難易度。

 想定よりも遥かにずっと遊びやすいユーザーライクなゲームだったといえる。

 そして同時に素晴らしいのは移植で更に遊びやすく改善されているシステムたち。

 そういう部分がなかったらもっとつらかったかもって思うシーンもそれなりにあった。

 とにもかくにも本当に2024年でシリーズで通して遊んで楽しんでお気に入りのシリーズになりました。

 是非、コナミさんは悪魔城新作作ってほしい。悪魔城には悪魔城にしかない魅力がある!と胸を張って言える。きっとそれはどんな作り手が作るにしても。

 その時はまあ、期待半分お布施半分くらいの気持ちでプレイしてみたいと思う。

 まあ実はステージ型悪魔城の事実上の新作がドミコレに含まれてるのだが…。

 いつかスタッフが独立して作ったらしいやつのほうや、月下の夜想曲とか悪魔城リスペクト作品をもっともっと遊んでみたいなってかなり思わせてくれた。

 ありがとう悪魔城。 時代が求める限り、悪魔城はきっとよみがえると信じて…。

2024度 好きなアニメのOP、ED10選

 今年は記事にチョイスをまとめたいと思っての10選。

 2024年も多くのアニメがあったが、2024年は「MV的な新しい形のOP」と「元々のOPの形式の進化系」が混じり合いつつ、違った進化を経ている最中のように感じている。

 そういう意味でも振り返るのが楽しい時期だったといえるかもしれない。

 

 

 

好きなOP、ED10選

 

真の仲間じゃないと勇者のパーティを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2ndSeason

 OP

youtu.be

 なぜかyoutube上の公式では英語版のOP映像しか存在しないのでそちらを掲載。

 「routine life」ゆいにしお 作詞作曲:ゆいにしお 編曲:水口浩次

 絵コンテ・演出 星野真

 

 「本当にスローライフのワンシーンだけをOPにしている」というところに作品のテーマが詰まっているOP。

 そして真の仲間という作品の1期を見てきた人には、このOPの映像の感動がひとしお沁みる。

 家でだらけて、準備をして出発して、出かけてお店を回ったりサウナに行ったりして、そして家に帰ってくる。ただそれだけのルーティーンをOPに完璧に当てはめる。

 OPテーマの曲名「routine life」をそのまま体現したといえるOP。今期様々な異世界モノアニメがあったが、今年のアニメ全体で見てもこのOPのキャラクター2人のみに注力している構造の大胆さは珍しい部類なのではないだろうか。

 今年の始まりのクールにこのようなOPが出たという意味でも印象深いOPだ。

 

ダンジョン飯

 第一シーズンOP

youtu.be

「Sleep Walking Orchestra」BUMP OF CHICKIEN 作詞作曲:藤原基央 編曲:BUMP OF CHICKEN

 絵コンテ 宮島善博

 絵コンテ協力 竹田直樹 佐竹秀幸 清田千萌

 演出 佐竹秀幸

 

 今年のアニメの中でもかなり人気が出た部類のアニメである1作ダンジョン飯のOP。

 このOPの印象的な部分は、OPにおいてキャラクターたちが印象的なシーン以外では非常に没個性的に描かれていることだ。

 風景の中に立つメインキャラクターたちはあくまで風景の一部として描かれており、サビに入るシーンの手を伸ばすメインキャラクターたちのシーンに入るまでは基本的にメインキャラクターたちの顔や行動が明示的に提示されるシーンは少ない。

 カメラ目線でこちらを見つめてくるキャラもファリンのみに絞られるし、ラストのあたりのカットでも基本的に顔はわざと隠されているシーンが多い。

 そしてOPのラストカットではメインパーティーであるライオス一行をそれなりのロングショットで食事をしているシーンが描かれる。

 物語の目的となるファリン以外、あくまでライオスたちメインキャラクターは、ダンジョンの冒険者の一人であり、ダンジョンの一部であって、何か特別な存在かと言うとそうではない。

 冒険者たちを没個性的に描き、ライオスたちもその一人であることを感じさせるOPは、ダンジョン飯という作品が描く世界観が何よりも主役であることを感じさせてくれるような気が自分にはする。

 そのうえで作中でライオスたちが出会ったキャラクターたちはそれぞれのつながりで手を伸ばす。映像的に意図を感じるOPとしてかなり好きなOPだと思う。

変人のサラダボウル

 OP

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 「ギフにテッド」和ぬか 作詞作曲:和ぬか 編曲:100回嘔吐・和ぬか

 絵コンテ・演出・CG 脇克典

 

 先述のダンジョン飯のOPとは描き方が違いながらも同じ方向性の「群像劇」を描く故のOP構成がされていると感じるOP。

 作中で活躍するキャラクターたちがアニメの舞台である岐阜の風景の中で賑やかに動き回る。

 このOPの印象的なところは、OP自体のポップさに対して歌詞が想像以上に後ろ向きな歌詞であり、同時にその歌詞に対してOPは全くもってその歌詞を踏襲しながらも前向きである構造な点だ。

 「変人のサラダボウル」という作品がとめどない日常の中に放り込まれた異世界人とその周囲の人間を描く群像劇である部分を踏まえ、いろいろな人間たちがそれぞれなんだかんだ生きている。そういったアニメ自体の世界観が妙に伝わってくる。

 今年の中でもかなり印象的な作品の一つであると同時にそれを象徴するOPだと思う。

 岐阜という世界観をキャラクターが動き回り、そして背景を好き勝手に動かしているようにも感じるOPは、先述のダンジョン飯OPとは真逆の作りをしているが世界観を表現するという意味では同じ魅力を持っているという意味で面白い対比が感じられるかもしれない。

 

 ED

youtu.be

 「今晩の喧嘩」 名誉伝説 作詞・作曲 けっさく

 絵コンテ 三沢伸

 演出 福地和浩

 

 EDの方もチョイス。EDではキャラクターたちの日常が描かれる。

 このEDの最も特筆すべき点は、EDの最後のカットで描写される絵馬に書かれた内容が毎回変わる部分である。

 変人のサラダボウルという作品がそれぞれのキャラクターたちの群像劇であるという点において、このEDの演出は非常に素晴らしい部分である。

 それぞれのキャラクターたちがどういう願いを絵馬に書いているかで掘り下げを感じられる点も踏まえてこのアニメ全体の完成度に付与していると感じられる。

 まだこの作品を見たことがない人も、ぜひEDの最後まで視聴して作品を楽しんでいただきたい。

 

ダンジョンの中のひと

 ED

youtu.be

 「ブループリント」 ナナヲアカリ 作詞:ナユタセイジ・ナナヲアカリ 作曲:ナユタセイジ 編曲:Hajime Taguchi

 絵コンテ・演出 志村錠児

 

 非常にハイセンスな映像でありつつ、ほんわかとしたやわらかな作風を併せ持つED。

 一色の色彩で描かれるEDながらも、カラフルなように感じられる演出やセンスが印象的。

 なんとも抽象的な表現ではあるが、深夜アニメという枠においてはこのEDの「深夜感」のような感じは非常に好ましいものであると思う。

 ダンジョンの中のひとという作品の描く世界観や日常性、そしてメインキャラクターの二人のすれ違いながらもお互いに共有するものを感じられる今年でもかなり良かった1作の個人的好みとして印象的なEDだ。

 

モブから始まる探索英雄譚

 OP

youtu.be

 「Up Start」 天月-あまつき-

 絵コンテ・演出 羽迫凱

 

 ああああああああああああああああああああああああああらたあああああああああああああああああああああああああな記憶のまくあけええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

 

 ある意味めちゃくちゃ古典的な構成で作られているOPだと感じるOPだが、故に妙な気持ちよさにあふれるOP。

 本編をみてからこのOPを見ると「なんかこのシーンで戦ってるやつとか全然本編でそんなことなくないか!?」みたいになるのもなんだか懐かしみがある良さがある。

 このOPの良さはやはりキャラクターそれぞれの見せ場などを描く面でのそれぞれのカットタイミングの良さにあると思う。

 個別キャラを見せるサビ前からのサビに入ってのハイテンポなシーン切り替えとアクションシーン。

 「ベタな作りではあっても、それをちゃんとやれば当然良いOPになる」

 そういう単純に良くできたOPだと思う。

 モブからはEDではヒロイン2人に注目して作られており、こちらも非常に良いので是非おすすめしたいところ。

 

youtu.be

逃げ上手の若君

 ED

youtu.be

 「鎌倉STYLE」 作詞・作曲・編曲:ぼっちぼろまる

 絵コンテ・演出 米森雄紀

 

 今年のOPやEDの中でもかなりインパクトを残した1作なんじゃないかと思うこのED。

 わざと古いアニメのテイストを用いつつ、それをしっかり現代的に落とし込んだEDであり、現代はMV的なOPが流行りになりつつあると感じる中で このEDはある意味「アニメというスタイルをMV的に再構成した」ようなEDだと思う。

 今後色々なOPやEDが作られていくであろうアニメの歴史において、個人的にはOPも併せて結構な影響を及ぼすのではないかなと感じられるEDであると思う。

 また、わざわざ文章にするのは野暮ではあるが、鎌倉の修学旅行とひっかけてのED構成も魅力的。作中では基本的に敵対関係にあるキャラクターたちが仲良くしているような映像というのは、アニメ本編がしっかりと殺伐としているからこそファンにとって楽しくみていけるEDと言えるのではないだろうか。

 

真夜中ぱんチ

 OP

 

youtu.be

 「ギミギミ」 作詞:松井洋平 作曲・編曲:神田ジョン

 OPディレクター・画コンテ・演出 10GAUGE 松木大祐

 演出 古田丈司

 

 テーマであるyoutuberという部分を取り込みつつ、それぞれのキャラクターがにぎやかに動き回る印象的なOP。

 正直下手すると割合真面目寄りな構成をしている本編以上にはっちゃけているOPといえる。

 ギミギミという主題歌の作品へのマッチ度の高さに加え、その曲のポテンシャルに合ったOPになっていると感じられる。個人的にはOPのオチとしてPCを閉じるカットで「PCを閉じる音」が入るのがかなり好き。

 真夜中ぱんチというアニメ自体を象徴するOPといって差し支えないものであると思う。

 真夜中ぱんチはこのOPにあわせて、EDの方も演出として現代的な描写を面白い使い方をしているので、ぜひ本編も見ていただきたい。

 

アクロトリップ

 ED

youtu.be

 「リバーシブルベイべー」 作詞・作曲:カノエラナ 編曲:菊谷知樹

 絵コンテ 大森貴弘

 演出 後藤康徳

 

 OPやEDは基本的にクレジットありで見てほしいと思う身であるのだが、このEDは是非ノンクレとクレジットありを見比べてほしいと感じるED。

 映像的にはそれなりの距離でカメラを離したシーンが続いており、おそらくノンクレジットでの映像だと舞台の上をそのまま映したような妙に殺風景な映像に感じるかもしれない。

 しかし、クレジットありだと終始飽きることがないEDとして仕上がっており、これはEDの映像においてスタッフクレジットが前提になっている故である。

 いわばキャラクターたちはスタッフクレジットと共に踊るダンサー。そしてこのスタッフロールと共に動き回るキャラクターたちを眺めるのが非常に楽しいEDになっている。

 アクロトリップの作中キャラたちが一緒に踊る映像の楽しさも然ることながら、そのかわいらしさが引き立てられるデフォルメや色彩も魅力的。

 OPやEDは構成として「スタッフロール」であることとアニメの看板であることを同時に成り立たせていることを改めて感じさせてくれるEDだと思う。

 今回紹介したOP、EDの多くもスタッフロールとの両立を兼ねて作られているのが当然成り立っており、そういったシンプルな視線誘導の巧みさを改めて振り返らせてくれるといえるだろう。

 

魔法使いになれなかった女の子の話

 OP

youtu.be

 「コラージュ」 PUFFYとついでにTOOBOE 作詞・作曲:TOOBOE

 絵コンテ・演出:松根マサト

 

 今年のアニメの中でもかなりOPの構成が現代的ではないといえるかもしれないOP。

 作中に登場するキャラクターたちの紹介を主体とした構成になっており、派手なアクションやカメラワークはそこまで多くはなく、基本的にはサビのシーン等以外でカメラの距離感がある程度一定に作られている。

 少し古臭さも感じる構成である故に現代では一つ際立ったものがある作風を感じさせてくれるOPだ。

 また、曲も非常に特徴的で特にイントロの「デンドンデンドン」という音にあわせてのタイトル出しはかなり印象的。

 一つのコンセプトをもって作られているOPと感じられるものとして、今年の様々なアニメのOPがある中でチョイスしたいと感じられた1作。

 

特別枠

即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。

 OP

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 「KiLLer Bars」 Hilcrhyme 作詞:TOC 作曲:TOC・WAPLAN 編曲:WAPLAN

 絵コンテ・演出 菱田正和

 

 ある意味今年のOPの問題作の1つ。とんでもない構成をしているOPであり、初見のときは呆気にとられたOPである。

 作中キャラクターたちの立ち絵のような姿がパッパと表現され、そして消えていく映像がヒルクライムのしっとりとした曲調に合わせてお出しされる映像はなんだか悪い夢を見ているような気分になる。

 しかし本編を見ていくとOPに込められた意味もなんとなく理解できてきた。

 それでもかなり独特すぎるOPであり、大胆すぎるというか、本当になんというか忘れられないOPだ。

 「ベスト」に選ぶのとは違うかなとは感じるのだが、2024年のアニメでもここまで異質なものはやはり書き残しておきたいと思えるOPだと思う。

 

龍族 -The Blazing Dawn-

 OP

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 「IVORY TOWER feat.SennaRin」 作詞:Benjamin mpi 作曲・編曲:澤野弘之

 監督 山下清悟

 演出 許尹嘉

 

 呪術廻戦などのOPも担当した有名アニメーターである山下清悟さんが監督を担い、海外のアニメ制作会社がメインとなって作られているOP。

 カメラワークが目まぐるしく回り、そして絵画のような色彩で世界観を描くOPとしては非常にリッチな作りを感じさせる。

 ある意味映画的であったりするUfotable制作のアニメなどを想起させる現代的なOPの要素を孕んだOPであるといえるだろう。

 しかし個人的にはこのOPには色々と辛口ながら問題が存在する。

 まずあまり主要キャラクターの顔が覚えられない点だ。あまりに逆光や引きでのアクションやエフェクトでの映像にこだわりすぎて、キャラクターの顔に注目できる機会が少ないし、それぞれのキャラがどういったテーマカラーやデザインを持っているかに注目することが視聴者目線だとやや厳しい。

 そのうえで主人公の淡泊なキャラクターデザインに対し、それぞれの煌びやかなキャラクターが素早いカメラワークで出される点において何に注目し、キャラクターを認識すればいいのかあまりしっくりこない。

 映像も何度も引きの映像を素早いカメラワークで出されるので正直アクション以外でどういう部分に注目すればいいのかわかりにくい。

 しかし、そういった慣れのなさ、映像に振り回されている感を持つ映像はかなり独特のセンスを持っている。

 なんだかんだ個人的にはこの模索されたリッチ感と共にあるこのOPの空気が結果的に作品を通して好きになったのだ。

 なんというか、粗削りなところに良さがあり、「良い映像を全部やってみたい」という気持ちにあふれたOPは 何か忘れたものを思い出せてくれるような気が そんな気がする。

 

 ビォオ~ン(OPが終わったあとのタイトルが出る時の音)

 

やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中

 OP

youtu.be

 「淡く微か」 saijou no hana 作詞・作曲:渡辺翔

 絵コンテ 鈴木健太郎

 演出 石田美由紀

 

 こちらも今年問題作なOP。たぶん1度見ると謎のインパクトで中々忘れられないものがあるだろう。

 アニメ本編を見るとある意味良くも悪くもアニメを象徴しているOPだと感じられるものであり、1分30秒に喜怒哀楽が全部詰め込まれたような勢いがあるこのOPの忙しなさは特筆すべきものがある。

 そもそも主題歌の曲が別になんというかこういうOPのテンションではないような気がするのに本当に全部詰め込んできて制圧している。

 もしかしたらOPというのはこういうことをしてもいいのかもしれない。そんな風に感じさせてくれる。なんだかとにかく変なOPだ。

 どのへんが「淡く微か」なんだ。

 

嘆きの亡霊は引退したい

 OP

www.youtube.com

 「葛藤Tomorrow」 Lezel 作詞・作曲:松隈ケンタ 編曲:SCRAMBLES

 絵コンテ・演出 倉谷涼一

 

 このOPも是非、是非アニメ本編で見てほしいと感じるOP。

 近年OPやED演出において定評のある「たかたまさひろ」監督作品のOP。

 作中シーンをOPに絡めて紹介しつつ、段々とOPが話数によって公開される範囲が変わっていくというかなり搦手が使われたOPとなっており、ノンクレジットと本編、それどころか話数によって印象が変わるOPといえるだろう。

 「アニメのOP」をアニメ本編に組み込む演出をするたかた監督の新境地といえるOP…… であるが、少々OPとして出来が良すぎる部分すらある。

 今年の10選には選ばなかったのだが、アニメというコンテンツの面白さを引き出す意味で非常に面白いOP構成は是非今後も様々なアニメで見たいものである。

 

 ED

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「すくりぃむ!」 P丸様。 作詞・作曲・編曲 ピノキオピー

 コンセプトデザイン たかたまさひろ

 ガイドパフォーマンス 久保田未夢

 

 流石に今年のOPとEDの話をするならば外せない…!とどうしてもなる嘆きの亡霊のEDの方。

 こちらもとにかくハイセンスかつ非常にかわいらしいEDとなっており、嘆きの亡霊という作品の魅力をある意味引き出しすぎている。

 アニメ本編ではシームレスにこのEDに移行しつつ次回予告も行うまさにEDや次回予告までアニメの一部とする演出が行われており是非ノンクレジットEDだけでなく本編での使われ方も見てほしい1作。

 スタッフロールが前提のEDであるので、殺風景に見える部分にスタッフロールが入って完成される。

 

youtu.be

 ヒロインである作中キャラのティノを務める声優の久保田未夢さん自身がEDの映像のガイドパフォーマンスも行っている映像が公式により投稿されているので、そういった部分も知るとより楽しめるだろう。

 

るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 京都動乱

youtu.be

 「いらないもの」キタニタツヤ×なとり 作詞・作曲:Tatuya Kitani・なとり 編曲:Naoki Itai・Tatsuya Kitani・なとり

 絵コンテ・演出 尾崎隆晴

 

「!????????????????????????????????????」

 

 知らないおじさんたちが斬られてびっくりするシーンや、刀からめちゃくちゃ水がでてくるシーンとかが印象深いOP。

 音ハメが気持ちいいと同時にキャラクター紹介が見やすく提示されているある意味少年漫画らしさのあるOPであるともいえる。

 逆刃刀が向かう先に京都があるというレイアウトもるろうに剣心らしさが出ていて非常に良いOPだ。

 京都編などでのメインキャラクターたちにカメラを向けたシンプルめなOPであるがゆえに余計に途中で剣心に斬られてびっくりするモブの人たちが印象的に映る。

 誰なんだよこいつらマジで!

 

ドラゴンボールDAIMA

 

youtu.be

 「ジャカ☆ジャ~ン」 ゼッドfeat. C&K 作詞:森雪之丞 作曲:Anton Zaslavski・KEEN(C&K)

演出 小牧文

 

 満を持して発表されたドラゴンボールのアニメ新作。

 ドラゴンボールのOP曲として印象的な今までを踏まえたうえで、なんとめちゃくちゃしっとりとした曲調のOPなのが印象的。

 この曲をもらった作り手はどうやってドラゴンボールのOPにするべきかもしかしたら悩んだりしたのかもしれないとか考えてしまう。

 OPとして印象的なのがとにかく作中で冒険する舞台となる魔界を印象付けるシーンが多いことと、ドラゴンボールのバトルという部分に合わせて「旅」や「冒険」としての部分が多いことである。

 ドラゴンボールといえばドラゴンボールを集める旅や冒険ですよね!という感じは、ドラゴンボールの初期に立ち戻るようなものを感じさせてくれるし、知らない世界を冒険することが今作の主題の一つであると否応無しに教えてくれる。

 なんというかフジテレビ主導のドラゴンボールのアニメ、東映アニメーションのアニメ!という味付けを感じさせてくれる そういうOPであるというのは意外とアニメという歴史において結構大事なことなんじゃないかと感じられる。

 今年は様々なOPがあったが、その中でも深夜帯に放送しているにも関わらず、男児向けも意識して素で明らかにキッズアニメとしての構成をしてるであろうOPというのはこのアニメがある意味ターゲット層がまさに男児も含まれているであろうことを踏まえて特殊ではないだろうか。

 ビックコンテンツだからこその変な部分を君も確かめろ!ドラゴンボールDAIMA!

2023年 個人的アニメ単話10選

 2023年の個人的に良かったアニメの1話単体で選んだベストになってます。

 

テクノロイド オーバーマインド 12話 

 脚本:関根アユミ コンテ:岡宗次郎 演出:イムガヒ

「もし何にも縛られずに、自分の心のまま生きられるとしたらみんなは何をしたい? それが『自由』だよ。」

 

 人間とAIアンドロイドの心の成長が描かれるソーシャルゲーム原作のメディアミックス作品。

 12話かけて積み重ねられたKNoCC(ノックス)の成長が文脈として載せられたライブ、そして人間とAIがそれぞれ絡まって描かれたストーリーの着地が描かれる1クールでの構成の気持ちよさが強い回。

 特に一番好きなのがアンドロイドたちが心を認められる代わりに『寿命』が設定された結果として、主人公であるエソラがアンドロイドの家族たちであるKNoCCに、自分たちのやりたいことを決まった寿命の間に自由に選んでほしいという選択をする最後。

 そのうえでエンディングでそれぞれのメンツが自分たちのやりたかったことを選んでやっているのかなと感じられる演出が非常に心に強く響く。

 1クール、そして1話単体での完成度が見事な回だと思う。

 

トモちゃんは女の子! 10話『勝負の行方』『親友でいるために……』 

 脚本:西谷一希 コンテ:三條なみみ 演出:水本葉月

「俺たちは変わらないと思ってた。変わらないのがいいんだって。 けど、俺は変わっちまった… たぶんアイツも。なら考えるしかないだろ。それでもアイツと一緒にいられる方法を。」

 

 すれ違いラブコメとして主人公である淳一郎が自分たちがかつてから変わったことを受け止め、それと向き合うことを心に決める回。

 そういったボーイッシュなヒロインを男子と勘違いしている「すれ違いラブコメ」の構造を踏まえて、「男子と勘違いしているラブコメからもう一歩踏み込む作品」という特殊性を持つ作品でのストーリーにおいて、大事な要素である様々なポイントや変化、そして変わらないものの再確認が明確に訪れる構成からの淳一郎目線の特殊エンディングが非常に強い演出となっている。

 現在から過去、過去から現在という1話での構成が非常に強い単体話としてチョイスした。

 

アリス・ギア・アイギスExpasion 5話「恐怖のハイキング!?/戦えヴェイパーヘイズ!?」

脚本:杉原研二 コンテ:山田浩之 演出:佐藤友一

「この駄肉のせいか!?おのれ!駄肉風情が!持てる者の傲慢かぁ?!」 

 

 かわいい女の子が宇宙生物と戦うSFシューティングのソーシャルゲームであるアリス・ギア・アイギスのメディアミックスアニメ作品。

 アリスギアのよくわからないテンションのイベントをそのままアニメにしたかのような回が連打されるアニメにおいて、かなりその解像度が高い回として5話をチョイス。

 「恐怖のハイキング!?」は一応この回自体がアニメオリジナル主人公である「高幡のどか」の個人的なパーソナリティである山登りが好きという要素を活かした回でもあり、またアリスギアの世界観としてコロニーに地球の環境を再現しているので本来の現実の山とは恐らく地形などが違っている特徴が活かされてる回でもある(どうしてこんなことに…)

 「戦えヴェイパーヘイズ!?」はアリスギアアイギスのキャラクターである吾妻楓についてピックアップ(?)した回で、こちらも「どうしてこんなことに…」となる回なのでおすすめ。

 またアリスギアEXというアニメにおいて印象的なもののひとつとして「BGM」も大きなものであり、BGMの使い方が非常に印象的だった意味でも5話は個人的に好きな回。

 

東京ミュウミュウにゅ~♡ 第2期 第14話 「みんとが家出!? わたくしが世界を変えますわ!」

脚本:岡田邦彦 絵コンテ:於地紘仁 演出:石山タカ明

 

「決して忘れませんわ。ここから始まるのです、わたくしのやりたいことは。」

 

 現代のSDGsをテーマに組みこんで令和に帰ってきた東京ミュウミュウである、東京ミュウミュウにゅ~。

 14話は東京ミュウミュウの一人、ミュウミントである藍沢みんとをピックアップした回。お金持ちのお嬢様であるみんとは家族の会社である藍沢グループの経営等において重要な仕事を任されないことに不服を感じ、家を飛び出して主人公である桃宮いちごの家にお泊りする。

 そしてみんとは家族に認められるために、自分の事業計画プランを実現するために兄の会社の工場に潜入し(!?) そこにあるテスト機を奪い(!?) 発電機を試作するためミュウミュウのメンツに助けを借りることとなる。

 この回は東京ミュウミュウにゅ~という作品において旧作ではなくにゅ~の独自の味を強く感じられる回となっており、特にみんとの兄との関係性やそれらを踏まえた環境問題への取り組みの描写などはミュウミュウにゅ~ならではの勢いだ。

 ストーリーとしての破天荒さは然ることながら、「自分が本当にやりたかったことを見つめなおす」という地に足の着いてるような気がするオチのギャップもこの回の独特の味を強めている。

 そして東京ミュウミュウにゅ~という作品の後半戦では藍沢グループの存在がかなり大きいものとなっており、この回はそういった描写のある種のターニングポイント的な回といって過言ではないだろう。

 にゅ~独自の味やみんとを掘り下げた回として非常に印象的であり、今年の単体エピソードに選んだ。

 

英雄教室 第5話「魔王の娘」

脚本:ハヤシナオキ 絵コンテ:川口敬一郎、高田淳 演出:吉本雅一

「いつまでこんなところで引きこもっているつもりだ?我はポンコツに勝ってもうれしくないぞ?」

 

 かつて世界を救った勇者の少年「ブレイド」が普通の一般人として生活していけるよう学園の生徒として日々を送るライトノベル作品である英雄教室。そのアニメ化作品。

 アニメは川口敬一郎監督や中野英明副監督における超ハイテンポな構造が印象的なものとなっており、毎週視聴者から「本当に30分だった?1時間くらいの内容じゃなかった?」と言われるようなアニメとなっている。

 5話は生徒の一人であるマリアというキャラクターの掘り下げと問題の解決を1話にまとめあげた回であり、マリアのキャラ紹介、抱える問題、向き合い、解決をすべて1話でやっておきながらも全く過不足を感じない回だ。(が、英雄教室というアニメはこんな回ばかりのアニメである。)

 英雄教室という作品自体がそれぞれのキャラが様々な事情を抱えながらも、ある意味当たり前の楽しい日常や学園生活を送ることを目指すような作品であり、そういったテーマ性の面でもこの回のまとまりの良さはものすごい形となっている。

 単体話数という意味では英雄教室はどの回も猛烈な完成度を誇っているが、キャラクター個人が1話で猛烈な勢いで立ち上がっていく1話として個人的に印象的だったこの回をチョイスした。

 

BanG Dream! It's MyGO!!!!! 10話「ずっと迷子」

シナリオ:後藤みどり 絵コンテ、演出:梅津朋美

「全て消えてしまったのでないのなら、戻りたい、伝えたい、許されるのなら僕はあきらめたくない!」

 

 ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」の新作アニメであり、新キャラクターたちのバンドの結成を描く作品。

 それぞれの葛藤や悩みが絡み合い、バラバラになりながらももう一度バンドとして集まる回である10話は今までのカタルシスが着地する回であり、ようやくMyGOのメンツが自分たちを見つめあうことができる回となっている。

 この回の印象的な部分はバンドリという作品がガールズバンドというテーマであり今までのアニメでやってきた演出としてのライブ演出、「ライブハウスの中」であるという部分を構成的に組み込んでいる部分であり、

観客席からバンドメンツを引っ張り上げて、そして完全に観客の方を見ないで行われるライブというのはバンドリアニメの構造だからこそ印象的に行えている演出だ。

 この1話単体でバラバラなところからの再結成、そしてライブでの着地を描いた1話の密度。単話として個人的にチョイスしたい回として非常に評価の高い回だ。

 ライブアニメが増えてきた昨今だからこそ、ライブが「ライブハウスで行われている」という部分が物語的にも強く輝いてるという意味で色々なライブアニメに興味がある人は是非見てほしい。

 

絆のアリル セカンドシーズン 20話 「~羽ばたきの行方~」

脚本:赤尾でこ コンテ:加藤もえ 演出:仲畑ひな

「必ず外に出る時が来る。その時は、次の自分の形を決めて、殻を壊すの。 じゃないと次の世界にいけないよ。」

 

 Vtunerのキズナアイから始まったプロジェクトである絆のリアルプロジェクトのアニメ作品。

 バーチャル世界で活躍する人材を育成するADENアカデミーを舞台に、バーチャルアーティストを志す少女たちを描く物語。

 絆のアリルにおいてはバーチャルで見つかる新しい自分、そして繋がったことで生まれる新しい出会い、その結果として生まれるものをテーマに描いており、絆のアリル20話は主人公であるミラクが自分自身に立ち直り見つめなおす。そして新しい自分をPathTLiveの仲間であるクオンに見せて自分の思いを伝えることを決意する回となっている。

 この回の強いところはPathTLiveのメンツが積み重ねの中でミラクのことを理解してる故の行動が光るところであり、ミラクが行うソロ曲もクリスが書き下ろしてくるなど クオンが揃っていないPathTLiveが確かにミラクを中心にしてクオンのために繋がっていることを感じられる構成になっている。

 2クール目前半がこの回にある意味結実する意味でも、1クール目の内容が積み重なったことを感じられる意味でも色々な意味で単体話として強い回としてチョイスした。

 

でこぼこ魔女の親子事情 6話「薔薇園のおしりあい事情」

脚本:たかたまさひろ コンテ:たかたまさひろ 演出:渡辺万里恵

「マジスッゲー!イケイケ超絶ビューティーじゃん!アガる~!」

 

 血の繋がらないながらも親子である魔女の師弟「アリッサ」と「ビオラ」の日々を描く作品「でこぼこ魔女の親子事情」。

 本作品はテーマとして「親子」が一貫したものとなっており、基本的にどのエピソードもドタバタとしたギャグや世界観を魅せながらも根底に親と子が存在している。

 6話の内容も親子が一つのテーマとなっており、薔薇園の妖精がかつてより見てきた家主の少女が結婚する婚約者と共に家を出ることを認めらないことを説得する回になっている。

 薔薇園の妖精を親と見立てつつ、親をはやくに亡くした少女への寄り添い、それらを普段2話構成のでこぼこ魔女が30分をかけて描くに値する回となっており、でこぼこ魔女をみてきた視聴者に明確にテーマと作品の空気を感じさせる回となっている。

 今年「冰剣の魔術師が世界を統べる」も手掛けたたかたまさひろ監督の脚本演出回として非常に印象的な回となっており、冰剣が作品のあらゆる要素全体で視聴者を楽しませたアニメであるならば、でこぼこ魔女はそれぞれの単話ごとのテンポや楽しさで視聴者を楽しませる意味でそれぞれ違った形でアニメのポテンシャルを出し切ったアニメであると感じさせるものとなっている。

 

川越ボーイズ・シング 7話「松ぼっくり」

脚本:川越学園文芸部 コンテ:松本淳、室谷靖 演出:日巻裕二

「あなたの音符が奏でられるのを待っている。」

 

 クラシックの指揮者をクビになり、学生クワイア部を日本一にすることで指揮者に戻れるようにしてもらうことを条件にクワイア部の顧問を任された主人公「響春男」がクワイア部の学生たちと共に成長していく(?)物語。

 アニメとしては非常に独特の空気感があり、あまり作劇において「歌が上手くなったりする成長」がストーリーのメインに組まれてないの特徴的。

 高校生の様々な悩みがある日常や、クワイア部という居場所で変わっていくもの等、春男と共に音楽が日常に入り込んだことで少しだけ変わっていくものが描かれていく。

 合唱という少々地味な要素ながら、そのテーマが常に中心という感じはしないのに何故か物語がクワイア部という居場所でまとまっていく。バラバラだった要素が合唱という形で一つになっていく。それが確かに感じられるアニメである。

 

 かなりこの作品の空気感を口で表すのは難しいが、しかし強烈な魅力があり、それが爆発する瞬間や積み重ねが猛烈に美しく見える気持ちの良い怪作といえる。

 7話はこの作品におけるテーマが非常にセリフで象徴的に表現されてる作品と言える回で、春男のクワイア部に対するパーソナリティ的な部分に踏み込んだものといえる。

 仮に川越ボーイズ・シングを見ていく場合、この回をある種の指標的に見ていくと他の回への見方も変わるかもしれない。また、この回以外もどれも非常に素晴らしい回となっており、是非興味を持った人は見てほしい作品。

 ただ惜しむべくはこのアニメがBDの販売が中止となり、2023年内に最終回を放送できなかったことに尽きる。

 単体話だけでなく、2023年秋を代表するオリジナルアニメとして1作オススメだ。

 

攻略うぉんてっど~異世界救います!?~ 12話 「最終章 ノアを救う」

「私は2年前ライライン様に忠告したんだ。全ての希望を得体のしれない救世主に任せちゃダメだって。」

 

 中国のbilibiliで製作されたCGアニメーション作品。ゲームの異世界に転生した主人公のイノーが、異世界で出会ったかつての教え子エンヤァと共にゲームをクリアし現世に戻るため冒険する物語。

 ゲームのメタネタ的な部分が非常に多く盛り込まれており、ゲームについて知っている人だとニヤリとする描写が多く また、ストーリーもそういったゲームのメタネタ的な部分が組み込まれている。

 アニメ自体がゲーム的なトゥーンレンダリングで描かれているのも印象的であり、とにかくゲームへの造詣が深い作品であり、そのあたりのネタの取り回しが非常に上手なのが印象的。

 EDの映像なども作中のストーリーのある部分とリンクしており、意味が分かると結構感動する形となっている。

 また、最終回の構成も中々挑戦的で、エンヤァが実際に作成された鬼畜ゲームをクリアするのを描く構造になっており この作品が描いてきたゲームネタがある種付き詰まったものとなっていると言える。

 近年多くなっているそういったゲームネタ作品としては作品全体としてそれを強く意識した作品というのはある種特殊であり、またイノーとエンヤァでゲームを楽しむ態度が違っている部分もゲームというコンテンツを多面的に描いているといえる。

 終わり方などの良さも含めて単話として最終回をチョイス。

 

まとめ

 なんだかんだ今年も面白いアニメが多かったですが、今年は個人的に単純に「面白い」とは違うアニメともまあまあ出会えたのが良かったところかなと思ってます。

 ものによってはあんまり出来がいいとは言えなかったり、また何でこんなことになっちゃってるんだろうみたいなアニメもそれなりにあったのだけど、それでもそういうアニメが存在し、また出会えるということは非常に貴重。

 こういう10選や例の評価されるべきアニメなどではそういうアニメはピックアップしにくく、また自分でもどうやってそういうアニメを話題に上げるかという意味では結構なやましいのだけど、そういったアニメがあったこともまた2023年だったということで包括していきたい思いです。

 2023年のアニメを作ってくれたすべての人にありがとう!

星屑テレパスを読んだらアルジェントソーマと繋がった話

 星屑テレパスは現在まんがタイムきららで連載中の大熊らすこ先生による4コマ漫画作品であり、アニメ化も決定している作品である。

 主人公の小ノ星海果は他人とのコミュニケーション能力に難があり、自身が理解される場所を地球以外のどこかに存在するのではないかと夢想している女子高生である。

 そんな海果は自称宇宙人であり、おでこを合わせることで相手の考えていることがわかる能力を持つ明内ユウと出会ったことをきっかけに日常が変化していくのが星屑テレパスの物語である。

 星屑テレパスは作品のモチーフや物語の展開において宇宙やロケットなどの描写が多く出てくる。そのうえで「相互理解を持ちえない人間の内なる孤独」と「それを埋め合わせるコミュニケーション」が、この作品の根幹として強く表現されるテーマだ。

 そんな星屑テレパスをきらら本誌を定期購読している身でありながら最近までしっかりと触れてなかった筆者が最近読んだ結果、この作品からある作品を連想した。

 それがアルジェントソーマである。

 

 「黙ってちゃわからないだろう」

 アルジェントソーマは2000年から2001年に放送されたサンライズ制作のSFアニメだ。

 舞台は2059年、エイリアンの襲来によって多大な被害を受け、人類が対エイリアン対策にエイリアン対策特殊部隊「フューネラル」を作り上げた地球。

 主人公のタクト・カネシロは恋人のマキ・アガタとマキの師事するアーネスト・ノグチ教授が行うエイリアンの死体を繋ぎ合わせ、その死体 通称「フランク」を蘇生する実験に立ち会う最中、実験の事故により目の前で恋人を亡くしてしまう。

 フランクは実験により蘇生され逃亡、その最中でハリエットという少女と出会いフランクはハリエットを守るために行動するようになる。

 フランクはその後、フューネラルによって捕獲され タクトは恋人を失った復讐としてフランクを殺害するため、裏取引を経てタクト・シロガネの名と顔を捨て「リウ・ソーマ」としてフューネラルに入隊し、そしてフューネラルでエイリアンとの戦いに身を投じていく。

 

 色々とあるアルジェントソーマだが、そのテーマの一つはまさに星屑テレパスと同じ、「コミュニケーション」である。

 タクトは恋人、マキに対してマキが自分とのやり取りの中で黙ってしまうことに対し、口癖のように「黙っていちゃわからないだろう!」と強く当たり、死の直前の会話ではタクトは彼女の為に作った指輪を目の前で捨ててしまう。

 タクトとマキの間にはディスコミュニケーションがあり、タクトはアルジェントソーマ本編の中で幾度となくマキに対して強く当たったことを後悔し思い出す描写が入る。

 「黙っていちゃわからないだろう」は作中で何度もリフレインされ、同時に様々なキャラが口にするキーワードだ。

 そしてこれはまさに星屑テレパスと同じテーマを持つ作品たる部分である。

 星屑テレパスでは主人公の海果は極度のあがり症やコンプレックスにより、人前で上手に喋ったり思いを伝えることができない故に多くの場面で「会話」、「口にする」こと自体に辿りつけずにいる。

 その結果として、様々な亀裂やすれ違いを産んでしまう故に孤独を感じている構造だ。

 これはまさにアルジェントソーマの構造とそのまま繋がる。

 アルジェントソーマのキャラクターは海果のように、何らかの形で様々な孤独を抱えており、ディスコミュニケーションの中ですれ違っている。

 そんな彼らの間は時間と会話、心を通して少しずつ溝が埋まっていく。

 

 知ること、知りたいこと 傷つけることへの恐怖

 「探求心と好奇心と行動力、どれひとつ欠けても真実に到達はしない。」

 これはアルジェントソーマ本編で幾度となく出てくるセリフだ。

 作中でこれは科学者として、何かを探求する研究することへの心構えとして提示される言葉であるが、しかしこれがそのまま作中ではコミュニケーション、他者への理解、そして他者への思い、愛の原則の一つとして明示されている。

 しかし、同時に主人公のタクト・シロガネ(リウ・ソーマ)は、愛ゆえに他者を傷つけること、そしてその傷つけた自分を責め、自分の殻に閉じこもることで他者とのコミュニケーションの溝が埋まりにくくなってしまう。

 星屑テレパスの作中で提示されるキャラクターたちもまた同じだ。

 相手を知りたいと感じる、逆に自分が知りたいと思う故に傷つける可能性を恐れる。

 他者とのコミュニケーション、関りを求める故に畏れ、他者を遠ざけようとする。

 他者への探求心好奇心、そしてそれらを結びつける行動力があって初めて関係性は前に進むのだ。

 アルジェントソーマで提示されるテーマや言葉の多くは星屑テレパスに共通したものを持つ部分の一つだ。

 

 居場所の話

 アルジェントソーマで、主人公のリウ・ソーマは復讐のためにフューネラルに所属する。

 しかし、そんなフューネラルという場所が、ソーマにとっての一つの居場所となり、そして仲間たちにとっても フランクにとっても居場所であり「我が家」となっていく。

 星屑テレパスもまた、居場所が一つ機能的に作品内で提示されている。

 ロケット研究同好会は海果たちメインキャラクターたちが集う場所であり、孤独を感じる彼女たちが自分たちで作り出したコミュニティとしての居場所だ。

 「孤独を感じるものたちが集う場所」という形でのモチーフで描かれるフューネラルとロケット研究同好会は、2つの作品が『コミュニケーション』をテーマとしてるうえで大きな機能性を果たしているのだ。

 

 アルジェントソーマという作品のコミュニケーションという部分は非常に強く強調されている部分だ。しかし、この作品において初見ではそれ以外の部分を追いかけることに精一杯な作品でもある。

 しかし何故傷つくのか?何故傷つけあうのか そういった部分への着目やコミュニケーションにおける作りへの丁寧さは、何度も見返すことでより深く掘り下げられるだろう。

 それは星屑テレパスも同じである。星屑テレパスが明確に提示するコミュニケーションと宇宙、エイリアンとの要素的かみ合わせがアルジェントソーマへの理解をより深めてくれた。

 作品は1つの側面だけではなく、他作品から別の側面を見出すこともできる。

 そういった形で、またアルジェントソーマを見返す機会を与えてくれた星屑テレパスという作品に感謝したい。

 そして星屑テレパスの今後の展開にも期待している。

 

これはアルジェントソーマのエンディングにでてくるおっさん



備忘録的感想 Sh15uya-シブヤフィフティーン-

 ここは渋谷であって渋谷ではない……

 バーチャルワールドに生きる15歳たち

 Sh15uya ーシブヤフィフティーンー!

 この痛みだけは……現実(リアル)!

 

 

 『Sh15uya(シブヤフィフティーン)』は2005年に放送された深夜特撮テレビドラマ作品。

 平成ライダーでタッグを組んだ白倉伸一郎P、武部直美Pと田崎竜太監督、鈴村展弘監督等平成ライダーでよく見かけるメンツによって手掛けられている作品である。

 また、アクション監督には牙狼シリーズで印象深い横山誠監督が関わっている。そういう意味では牙狼と仮面ライダーの合いの子的存在ともいえるかもしれない。(ちなみに横山監督は仮面ライダーTHE FIRST等のアクションにも関わっている。)

 元々それなりに特撮ファンには有名な作品でもあるのだが、TTFC(東映特撮ファンクラブ)等でも配信されており気になっていた作品で、DMMTVが現在東映作品を配信しているおかげで視聴する機会を得られた。

 

 シブヤフィフティーンで印象的なのはまず「仮想空間」という設定だ。

 なんとこの作品、OP時点で「仮想空間で生きる15歳たち」と言い切っている。そう、仮想空間という真実はこの作品にとってはギミックではありながら隠している部分ではない。ここが一つのこの作品の強みであり1クールで駆け抜ける構造の一助となっている。

 仮想空間である前提で作品を見ることで、「あぁ、この変な動きをしているキャラや描写はつまり仮想空間でのNPC(ノンプレイヤーキャラ)なのだな」というのが視聴者に共有されているのだ。

 また、何となく1話や2話の時点での謎の大枠も視聴者には見えている部分があるだろう。

 意外というか、この視聴感が独特で、ではかなり独特な風味のあるシブヤフィフティーンの味で「シブヤ」の世界をどうやって解体していくのだろう?という形で視聴者を引っ張るというのは存外面白かった。

 自分の中ではやはりADV(アドベンチャー)ゲームに近い味と言えるかもしれない。

 

 この作品で魅力的に映る部分が、非常に独特というか前時代的で退廃した雰囲気の映像、汚れた渋谷の描かれ方、そしてそこに生きるティーンたちの描写だ。

 元々こういったかつての不良グループ、チーマーの存在は90年代に存在し、それらが文化的に様々なところで取り入れられていったものでそれらのコンテンツ的源流として印象深いのはやはり「池袋ウエストゲートパーク」と言える(あくまでミーハー的目線というか、大衆的な目線からではあるが)

 自分はこういった時代を反映したような映像の暗さや閉塞感、そして若者の憤りを描く作品の空気が結構好みで、ここにおいてSFとそれらを組み合わせ実写でそれを出力するという意味で非常にシブヤフィフティーンは個性的かつ魅力的な作品だと思える。

 その代償といってはなんだが、とにかくこのドラマは画面が暗い。低予算なドラマであるゆえに、映像を誤魔化している部分もあるのかもしれないが、とにかく画面が暗い。

 ある意味そういう時代の作品っぽいともいえる。しかしながら場合によっては演者の顔もちょっと判断し辛いくらいは画面が暗い。

 しかしそれが本当にこの作品を良い意味で「息苦しい」ものにしていると感じられる。

 生き苦しい渋谷でわけもわからないまま放りだされて異様なノリのヤンキーたちに絡まれ、そしてピースという異常な存在に殺されそうになるヒリヒリとした空気。

 シブヤフィフティーンだからこそ感じられる味だろう。

 そういった方向で個人的に好みな「serial experiments lain」や「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」のような画面の暗さ、生き苦しさ、空気。

 これらが好きな人には是非おすすめしたい作品だ。多少映像やCGが粗い部分も個人的には好みな部分だ。

 

 また、この作品でキャッチーな部分といえばやはりヒロインであるエマを演じる新垣結衣さんが「変身」して戦うことだ。

 今となっては「新垣結衣」といえばこのような低予算作品に出演していたのが信じられない有名俳優の一人と言える。

 前述のとおり牙狼の横山誠監督が関わっている結果、牙狼でも活躍したマーク武蔵さん演じるピースとの迫真のアクションシーンが魅力的。

 牙狼の時もマーク武蔵さんがアクションするシーンになると今までにも増して戦闘が猛烈に激しくなって、「なんかアニメで急にアクションシーンで作画が良くなるやつみたいんだな」と思うことが多く、そういった現象がシブヤフィフティーンでも楽しめる。

 そういう意味で個人的にシブヤフィフティーンは「牙狼っぽい」側面も持ち合わせていると言える。

 

 シブヤフィフティーンは常に偽物の世界ではなく、現実に戻ることが作品のメイン目的でありテーマだ。しかし、それだけがこの作品の大切な部分ではない。

 主人公のツヨシにとって、エマを現実に戻す。エマや仲間たちと共に現実に戻る、向き合うことがこの作品にとって大事な部分となっている。

 しかし、ラストでエマは植物人間状態故に実際はシブヤ以外で意識をもって生きることが出来ないという現実にツヨシは向き合うこととなる。

 ではどうやってこの辛いことが待ち受ける現実に立ち向かい、未来に向かっていくのか?

 最終的に物語としてエマはそれらの事実をある程度知りながら、ツヨシと共に現実に戻ることを選択した。「自分から」辛い現実と向き合うという選択、そしてその現実に立ち向かうために寄り添う そういった関係性がこの作品の最終的な着地地点であると自分は思う。

 最終的にこの物語を見て、人によっては「なんだ、結局問題は解決してないじゃないか」と思うかもしれない。

 しかし、エマが「自分という存在を取り戻し」、そして「自ら一歩踏み出す」という自己選択に至ったこと。そしてそれに寄り添う人たちと出会えたことがこの作品の着地であり大きな進展なのだ。

 「内面の革新」と「関係性の広がり」はループで閉じられたシブヤでは得られなかったことを、シブヤに来た当初のエマの経験を通して描かれている。

 この作品が提示する「未来」とはそういうことなんだと自分は思う。

 

2023年冬クールは誰が統べるのか おすすめのアニメを紹介

 2023年冬アニメも始まって3話ほどに差し掛かり、多くのアニメ視聴者の大方の見るアニメも決まってきている頃かもしれない。

 少し遅いかもしれないがそれぞれの今期注目アニメを羅列し、冬アニメを統べるアニメをチェックしていきたい。

 

お兄ちゃんはおしまい!

 お兄ちゃんはおしまい!はスタジオバインドがアニメーション制作の、同人作品から書籍化に至った漫画原作のアニメ化作品。(現在は月間ComicREX等で連載中)

 妹に薬を飲まされ、女の子になってしまった主人公「緒山まひろ」を主役にしたコメディ作品。

 このアニメの特筆すべきポイントの一つはコメディを輝かせるアニメーションのクオリティの高さ。

 監督はGo!プリンセスプリキュアでの戦闘シーンやアニメぱすてるメモリーズのED等で評判になった、無職転生でアクション監修として活躍したアニメーターである藤井慎吾監督。

 そのほかにも様々な仕事で非常に評価が高いので藤井慎吾監督の様々な仕事を個別に追いかけてみるのもおすすめだ。

 そしてキャラクターデザインは化物語など、シャフトの印象深い仕事で活躍した今村亮さん。

 これらのスタッフが全力で取り組むアニメーションとテンポよく繰り出される映像が作品の魅力を確実なものにしているのは言うまでもないだろう。

 そしておにまい!本作の最大の魅力はやはり「TS(トランスセクシャル)」というギミックと「兄妹」の関係性により描かれるストーリーだ。

 兄であるまひろは完璧すぎる妹に対してのコンプレックスを抱えた結果として現在の引きこもりとしての人物形成が為され、それに対して妹は兄に対する羨望から兄を引き離す天才として成長しているアンバランスさ。

 ここのバランスに対して「兄がかわいい女の子となる」というTSという要素によってお互いの関係性を1からやり直しお互いのアイデンティティが段々と解体されていく構造となっている。

 兄としてのアイデンティティの解体と兄妹の関係性を再構築。二人の関係の向かう先が気になるアニメとして注目だ。

 

 

 

 

 ところでTSにおける女性への性転換といえば男性しかできない男らしい行為といえるが、男らしいといえば、2023年冬アニメの一つである「冰剣の魔術師が世界を統べる」である。

 冰剣の魔術師が世界を統べるでは男らしいバルクを持った主人公、「レイ・ホワイト」が活躍する2023年でも注目のアニメだ。

 おにまいと繋がる部分があるこの作品にもぜひ注目してほしい。

 

アルスの巨獣

 アルスの巨獣はDMM.comと旭プロダクションが企画したアニメで、人類よりはるかに巨大な力と巨体を持つ「巨獣」が蔓延る世界を舞台に、主人公の「クウミ」と巨獣狩りの「ジイロ」が出会い、冒険が始まるファンタジーアニメ。

 アルスの巨獣の注目のポイントはまず非常に綿密に描かれる世界観描写だ。作中のキャラクターたちにはそれぞれ文化や生活が存在することを示唆する食事の前の彼ら独特の祈りをささげるシーンや、巨獣を狩ることで生活をしていることを示唆する街の生活構造や狩りの様子が細かくアニメーションで描かれる。

 ファンタジー作品としてこのあたりが丁寧なのは魅力として大きく、世界観が1話1話描かれていくだけで一つのワクワク感が生まれる。

 そしてそれに伴って描かれるストーリー面はオーソドックスながらも軽快に描かれるボーイズミーツガール的な側面を持つ構造であり、「ナギモリ」と「カンナギ」という作中における重要な要素を持つ二人がそれぞれどのように物語が巡っていくか注目だ。

 またアルスの巨獣を制作している旭プロダクションは基本的に多くのアニメ会社の撮影業を担うことが多いアニメ会社であり、そういった点からも今回旭プロダクションとしては珍しく元請けでアニメを作っているうえでの撮影効果の点も注目できるポイントかもしれない。

 

 

 ところでファンタジー描写といえば「冰剣の魔術師が世界を統べる」も注目だ。

 冰剣の魔術師が世界を統べるの世界観では魔術体系が脳から発露する能力であることが示されており、その結果プログラミングのように魔術を組み合わせる形で利用するものとなっている。

 魔術の説明もアニメ作中で事細かく説明してくれるので、ぜひアニメ本編をチェックして冰剣の世界観を統べてほしい。

HIGH CARD

 HIGH CARDはスタジオ雲雀がアニメーション制作しているメディアミックスコンテンツで、異能力を与えるカード「エクスプレイングカード」を回収するために戦う「ハイカード」の活躍を描く異能力バトルモノスタイリッシュアニメだ。

 原作に「ビルディバイド」のアニメ等でも好評を受けた賭ケグルイの原作者河本ほむら、武野光のコンビが企画に参加している。

 売り文句のようにスタイリッシュな世界観と作風、そして「賭け」が一つのテーマ性に食い込むストーリーがポイント。

 主人公のフィン・オールドマンはポーカーにおける最弱の札であるスペードの2のエクスプレイングカードのプレイヤーであり、そんな彼が如何にして物語で異能力を「賭けて」活かせるかが作品の注目部分だ。

 また参加しているアニメーター等が非常に豪華な部分も注目。アクション作画監督としてSAKUGAN等で活躍した望月俊平さんと、アクションアニメーターとして言わずもがなのベテラン、羽山淳一さんがタッグを組む。

 エフェクト作画監督にもベテラン橋本敬史さんが担当し、作中のアニメーションに関しては確実な期待値を持っていい作品と言えるだろう。

 個人的にはEDの映像が非常に良いのでおすすめだ。

youtu.be

 

 ところでアクションと言えば「冰剣の魔術師が世界を統べる」だ。

 冰剣の魔術師が世界を統べるでも非常に魅力的なアクションが楽しめる。主人公のレイ・ホワイトが元軍人のようなキャラクター故の描かれ方だ。

 このようにアニメで描かれるアクションシーンにも注目していくことでよりアニメーションからキャラクターやストーリーを楽しめるだろう。

 

テクノロイド オーバーマインド

 テクノロイドOVERMINDは動画工房がアニメーション制作のメディアミックスコンテンツであり、大規模な気候変動によって外出などにリスクが生まれるようになった世界観で、主人公のアンドロイドたちがアイドル活動を通して様々な人物と出会い成長していくと共に、その裏にある謎がひも解かれるストーリーとなっている。

 テクノロイドの魅力としてはライブアニメとしての完成度だ。主役グループである「KNoCC」が他者と出会いそのめぐり逢いからくる物語がある程度1話完結のうえでその物語がライブに繋がり着地するというオーソドックスながら王道のライブアニメの構成としてよく出来ている。

 また、テクノロイドの魅力はこれらのライブアニメとしての構造に加えて描かれるSF的な物語要素であり、「アンドロイドによる事件」や「気候変動により上昇した海面」等の世界観的部分が小出しにされ描かれることで作中世界におけるアンドロイドが必要になった理由もうっすらと見えてくる。

 そしてアンドロイドを人類がどのように受け止めているかも描かれ、それに伴って主役のアンドロイドたちが如何なる存在なのかも掘り下げられていく。

 監督のイムガヒ監督はサンライズ系列で活躍したアニメ監督であり、近年ではククルスドアンの島の副監督を務めていたのが印象的。

 様々な面で今後も眼を離せない一作といえるだろう。

 

 

 ところでSF的要素といえば「冰剣の魔術師が世界を統べる」も見逃せない。

 先ほども説明した通り冰剣の世界観では魔術の世界観設定がプログラミングのように描かれ、SF的な面も持ち合わせているといえるだろう。

 そんな魔術を悪用するために暗躍する敵と戦う対立構造も冰剣の魔術師が世界を統べるのストーリーの注目ポイントだ。

 

トモちゃんは女の子!

 トモちゃんは女の子!は主人公の相沢智が、好意を寄せる相手である幼なじみの久保田淳一郎に女の子扱いしてもらえないことを中心に転がるラブコメディ作品である。

 しかしこの作品の面白いところは一見普通の鈍感系ラブコメディを最初は装っているところにある。よくある鈍感系の主人公のように見える淳一郎だが、その裏腹に淳一郎には明らかに相沢智の好意に気づいている素振りがあり、そしてそれを元に見ていくと彼の智ちゃんに対する複雑な感情が見えてくる。

 つまりこの作品のポイントは「鈍感ラブコメディ」という形式をメタ的に利用した複雑な人間関係をひも解くドラマ部分なのだ。

 原作のトモちゃんは女の子!をアニメに落とし込むにあたって、アニメは非常にこの淳一郎目線より智ちゃん目線を優先し、淳一郎の要素を視聴者が客観的にひも解く構造をしていると言える。

 もしアニメを少し触れて興味を持った人はぜひ原作もチェックしてほしい。

 

 

 原作の落とし込みといえば「冰剣の魔術師が世界を統べる」も非常に興味深い形に落とし込んでいるアニメだ。

 冰剣の魔術師が世界を統べるのアニメの作中描写、演出をたどると、実は原作の描写をアニメ向けに落とし込んだ結果として出力されていることがわかる。

 冰剣の魔術師が世界を統べるはアニメ、漫画版でそれぞれ原作解釈が異なっており、漫画版が独自のアレンジ色を強くしてテンポよく描かれる少年漫画的な作品に仕上げているのに対して 原作を再解釈し、主人公のレイ・ホワイトを天然が入ったキャラとして解釈したオリジナルシーンを加えるなどの工夫が凝らされている。

 冰剣の魔術師が世界を統べるに興味を持った人はぜひ、原作や漫画版も手に取ってそれぞれの媒体の違いを楽しんでいただきたい。

 

もういっぽん!

 もういっぽん!はBAKKEN RECORDが制作する週刊少年チャンピオン連載中の漫画作品をアニメ化したものであり、主人公の園田未知が中学の頃にやっていた柔道にもう一度高校生活でかつて大会で出会った相手との再会等を通じてのめり込む、柔道部での活動を描く作品。

 この作品の魅力的なポイント、それはテーマとなる「一本勝ち」の気持ちよさをアニメーションで実際に提示できているところだ。

 柔道という競技の気持ちよさというのを柔道に興味がない人にも共有することを映像を通して行い、そしてそれにのめりこむ主人公の感情も構造的に提示されている。

 学園生活などでの群像劇としてのキャラクター描写も柔道の描写と合わさり、青春を絡めたスポーツものとして魅力的なものとなっている。

 あまり柔道に興味がない人でも触れやすい作品となっていると感じられる作品であるので、ぜひ一度触れてみて欲しい。

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 ところで学園生活と青春といえばそう、「冰剣の魔術師が世界を統べる」もそういった側面を持ち合わせている。

 冰剣の魔術師が世界を統べるでは学園生活とは離れた人生を送っていた主人公、レイ・ホワイトが学校の仲間や生徒たちと交流することで今まで経験できなかった人間関係を築いていくのもこの作品の魅力の一つだ。



 

 いかがだっただろうか?見てないアニメがあればぜひこの記事も活用して様々なアニメに触れる一助になれれば幸いである。

 そして今期のアニメを統べるのが一体だれなのか、是非注目していってほしい。

 

ハートフル騙しあいバトル…開幕! 実写版嘘喰い 感想

 見てきました実写版嘘喰い。

 すごい楽しみにしていた実写版で、なんだかんだ映画としてはちゃんとした映画で安心しつつ感想を書いていきます。

 そんなにネタバレになって困る部分がある映画な気もしないのですが、ネタバレが嫌な人は気を付けてください。

 

 

この映画の魅力は…萌え!

 「嘘喰い」はギャンブルを題材とした作品であり、主人公の「斑目獏」が様々な強敵とのイカサマ暴力なんでもありのギャンブルに勝利し、巨大組織「賭郎(かけろう)」のトップであるお屋形様への勝利 通称「屋形越え」を目指す作品である。

 「嘘喰い」の魅力といえばギャンブルにおける高度な騙し合いによる駆け引き。命を賭けるギャンブルに身を投じる主人公の獏さんのミステリアスかつ危険な魅力。

 そして嘘喰いに欠かせない要素といえば「立会人」や多くのキャラクターたちが織り成す「暴」のバトル。

 多角的かつ独特の魅力を持つ漫画、それが「嘘喰い」。

 

 そして今回、その実写化映画である映画版「嘘喰い」であるが、

 まず大きな差異であり、映画独自の魅力。それは横浜流星君が演じる斑目獏がめちゃくちゃかわいいことである。

 原作の獏さんもかわいいところはあれど、基本的には危険な香りを漂わせるギャンブラーであるが、映画の獏さんはとにかく柔和で気のいい人という感触である。

 賭け事もとにかくキャッキャと楽しんでいる感じで、ある意味これはこれで非常に魅力的な青年といえるキャラクター性といえる。

 ただまあ「獏さん」っぽいか?と言われると… となるが待ってほしい。 とにかく実際に映画を見るとめちゃくちゃにかわいいし とにかく良い人オーラがすごい。

 こんな人に「今から一緒にギャンブルいかね?w」と言われたら…俺も楽しくいってしまうかも… そんな確かに「付いていきたくなる人物」の魅力が横浜流星獏さんにはあるのだ。

 そして原作でも「萌えキャラ」と言えば欠かせないのが相棒キャラこと梶隆臣 通称梶くん。

 梶君に関してはキャスティングされた佐野勇斗君が「完璧」である。もうこれ梶くんじゃない?ってくらいは梶くん。

 ただこっちも梶くんの良さを引き出しすぎて完全に「萌え萌え」になっている。 なんだこのかわいい生き物?

 そして実写映画版嘘喰いの魅力はこの二人の「絡み」によってかわいさが完成される。 二人がギャンブルに勝利し、シャァ!イェイ!みたいな感じで喜んでいるだけでめちゃくちゃにかわいい。

 原作と比較して獏さんがすごくフレンドリーでいい人なので、この二人の絡みが異常に可愛くなっているのだ。

 更に更に、ギャンブルを取り仕切る賄郎から派遣され、獏さんたちの勝負の立会人となる夜行妃古壱 通称夜行さんのキャスティングもかなりいい感じだ。

 いい感じなのだがすごくちゃんと再現してくれてるせいかものすごく毛がフワフワしている。ヒゲもフワフワしていてとてもかわいい。

 原作でも見せてくれるような柔和かつカッコイイ態度がしっかり再現されているのだが、おかげでもうフワフワ髭のかわいいおじちゃんがとてもかわいい。

 そんな夜行さんが獏さんの勝利宣言をして、獏さんと梶くんが一緒に喜ぶシーンなんて画面全部がかわいいもので埋まっている感じがする。

 当然原作にも登場するマルコ(ロデム)も登場する。 マルコもかなりキャスティングがいい感じだ。そうそう、マルコってこんな感じだよねっていう。

 そして原作を知ってる人なら当然知ってると思うがマルコも例に漏れず萌えキャラだ。 マルコはなんと原作にはない萌えシーンが入ってくる。もうなんかみんなで一緒にご飯を食べるシーンはめちゃくちゃかわいすぎてヤバイ。

 そしてここは賛否両論ありそうな鞍馬蘭子。

 そう!嘘喰いといえば…ヒロインの鞍馬蘭子でありまする! なわけはないだろ!!!!!

 って原作ファンはなれる実写版で活躍シーンが増えている鞍馬蘭子である。(鞍馬蘭子がヒロインってマジかよってなる。俺もなる。)

 鞍馬蘭子のシーンはとにかく「頼む…!変な方向に話が転がらないでくれ…!」と祈ることになるのだが、とりあえず映画では基本的に梶くんルートにいくので安心。

 ただ蘭子もこれはこれでかわいいキャラに仕上がっている。もうなんか蘭子も加わってご飯を食べてるシーンはあまりにもかわいい。まぁ映画ではそこまで邪魔ではなかったので自分としてはアリではある。

 原作はこんなかわいい感触ではないはずなのだけど、ある意味原作を知っているからこそ余計に来る「かわいさ」の良さがある。それが実写版嘘喰いの良さなのだ。

 

実写版嘘喰いの原作と全く違うポイント、佐田国一輝

 恐らく実写映画の前情報でもわかる通り、最もわかりやすく別人となっているキャラが、三浦翔平演じる佐田国一輝だ。

 原作だと本当にとにかく過激な愛国テロリストであり、見た目通り危険なやつといった感じである。

 そんな佐田国は要するに「命を賭けるギャンブル」での相手として作中で向き合うキャラクターとしては「国の為ならば命は安い」とする「ギャンブルのためならば命を厭わない」とする獏さんと対比的に描かれる。

 だからこそ、逆に表面的なキャラクター性とは裏腹に割と姑息な手が目立つというか、ある意味底の浅さが最終的に露呈するあたりが魅力的なキャラクターである。

 それと対比して、映画の佐田国は実写版嘘喰いにおけるもう一人の主人公というべきか、しっかりとした「敵」としてラインが立てられている。

 そして内情について語られるとなんだかんだ良い人みたいな感じであり、それなりに最終的に良いオチを貰える。

 死に方も含めて本当に原作の佐田国とは明確に別モノだ。

 ここは原作ファンとしてはやはり、「あのものすごくすっきりする佐田国の負け方も見たかった!」という気持ちは非常にあるし、そういった部分においては原作の「嘘喰い」における重要なラインである「命を賭ける危険なギャンブル」が映画では強く押し出されてないとも言える。

 しかし、割と映画の佐田国も「まあこれはこれとして、ええんでない?」くらいになれるキャラ性をしている。

 まあそもそも佐田国っていうキャラクター自体、そこまで要素を盛られたりしても大して困らないキャラというのもある。

 良くも悪くも「アク」が抜かれている実写版嘘喰いの代表的なキャラクター。それが実写版佐田国一輝だといえるだろう。

 

良くも悪くも「アク」が抜かれている

 ここまで語ってきて言えること、それは実写版嘘喰いはものすごーく「見やすい」作品だということだ。

 キャラクターのクセが非常に原作より柔らかくなっており、損なわれてはいないものの確実に味付けは別物となっている。

 そして映画自体のテンポが結構良いのですらすら見れる。 原作の嘘喰いはとても面白い作品であるが、ある意味ものすごくアクが強い作品だ。

 故に、映画でそのアクが抜かれているというのは非常に賛否両論分かれるポイントと言えるだろう。

 特に先ほども述べた「命を賭けるギャンブルとしてのキャラクター対比」が弱まっているのは、この映画の良いところであり悪いところだ。

 嘘喰いの良さとは常に命を失う恐ろしさと裏腹に存在するスリルであり、だからこそそこに向かっていく獏さんの魅力が強まる。

 映画ではしっかり命の駆け引き自体はあるものの、そこが重要視されてるかというと個人的には微妙なラインだ。

 しかしだからこそ映画の獏さんは獏さんで魅力的な部分があり、ここは一長一短と言える。

 誰にでも楽しみやすい、親しみやすい嘘喰い。良いか悪いかはあなた次第。

 

映画嘘喰い 明確によくなかった部分

 個人的には実写嘘喰いには概ね満足なのだが、ここだけは不満があると語っておかねばならない。

 それはとにかく「明らかに金がない!!!!!!!!!!!!!」

 ということである。金が 金がない。 金が足りてない!

 映像や演出、俳優の人たちにもかなりやる気が見受けられる。しかしそれでは隠し通せない安さがだいぶある。

 ちょいちょい「うぉっ!画面が安い!」となってしまうのだが、みんなが頑張っているおかげでギリギリ見れるみたいな感触だ。

 ロデムの戦闘シーンなんてめちゃくちゃ安い。安すぎてかわいい。でもすごい頑張ってる。 正直受け入れてあげたい。でもこれでドティ編の戦闘とかはあんまりやってほしくない。

 そんな感じである。

 しかし逆に言えばとにかく金が足りなそうなのをものすごいがんばってカバーしている映画とも言える。戦闘もかなり頑張っている。 ちゃんと映画でも存在している立会人の戦闘にはそれなりに満足できるアクションの良さがあった。

 しかしながら明らかにそこに金をかけるような余裕があるような感じがあるとは言えない。

 もし続編があるならばもっと予算を上げてほしいところであるが、逆に言えば嘘喰い前半の前半を映画化したからこそ このくらいの予算で映画化できたとも言えるかもしれない。

 

ストーリーの再構成部分について

 実写映画において、漫画原作のストーリー再構成はつきものだ。嘘喰い実写版も前述の鞍馬蘭子を筆頭にだいぶ再構成されている。

 カットされてる部分も多く、故に「命を賭けたやり取り」という過激でアクの強い原作の要素は弱まっているといえるだろう。

 しかしながら、個人的には非常に評価できる再構成ではあったと思う。ちゃんと出ているキャラクター同士が絡み合い、最終的なギャンブル勝負に繋がってくる。(この時点ではあまり役割がまだないマルコは仕方ないのだが)

 序盤のビル脱出勝負なんかは森での勝負になっているのだが、正直ハッタリ度合いとしては原作もこの程度はよくやりそうなやつと言えるだろう。

 また、ロデム(マルコ)が森で飼われているような扱いなのも、それなりに納得感がある。

 全体的な構成自体はそこまで変わってない、故に誰でも見やすいお手軽嘘喰いみたいな感じになっている。

 原作嘘喰いを読んだ人ならそれなりに関心できる作りとなっているだろう。

 逆に言えば「死と隣り合わせのギャンブル」という文脈部分については原作特有の良さとなり、映画から入ったファンは原作を違った形で楽しめるかもしれない。

 まあ割と手堅い実写化というのが個人的な評価だ。

 しかし佐田国の話については好みがわかれるだろう。言うなればよくいうところの「人間ドラマ」的要素として佐田国は再構成されている。

 しかし言うほどこの映画単体では佐田国の要素はノイジーとも言い辛い。 原作ファンとしては佐田国のキャラ性が変化して残念というくらいである。

 また、とにかくやはりこの映画はテンポがいい。全然ストレスがない。話がポンポン進む。

 ここは再構成された結果として良かった部分であり、無理せずにストーリーを回したのが良い結果となった部分といえる。映画を見たときは本当にすがすがしい気分で終われたところはあった。

 

でもやっぱり原作が好き

 実写版を結構満足したぜ!とは語りながらも、やっぱり嘘喰いにおける大事なエピソードの多くが欠けているのは認めざるを得ないのが実写版だ。(映画なので尺的にもテンポ的にも仕方がないことであるが、それが許せない人も当然いるだろう。)

 実写版で仮に原作読者が増えるならばそれは本当に素晴らしいことである。

 是非、是非原作を読んでもらいたい。

 

tonarinoyj.jp

 おっ… なんと原作嘘喰いが2022年2月20日まで隣のヤングジャンプで10巻分読めちゃうらしいぞ!!!

嘘喰いと賭郎立会人 (ヤングジャンプコミックス) | 迫 稔雄 |本 | 通販 | Amazon

 しかも「嘘喰いと立会人」なるスピンオフまで最近発売しているらしい。

tonarinoyj.jp

 更に嘘喰い原作者が現在連載中の漫画、「バトゥーキ」も2022年2月20日まで11巻分無料だ!

 さぁみんなも読もう嘘喰い!

 ということで宣伝でした。 良い映画でした。