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『炎症 ちょっとした不調から命に関わる病まで』ナショナルジオグラフィック別冊(2024/11/14)


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もくじはこちら


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 人の死因に、「○○炎」と書いてあることが多々ある。

 人を死に追い詰めるのだから炎症は、人間にとってない方がいいものだ、と思っていた。

 だが、高校の生物で、免疫の働きの授業で、外部から侵入したウィルスや菌と戦うために、炎症が起こっている、と習った。となると炎症は外部からの侵入者を倒すためになくてはならないものだ。ではなぜ死因に「○○炎」となるのだろう。外敵が強大で、負けたのか?

 本書を読むと、そんな疑問に答えてくれるのか、と期待して読み始めた。

 

 驚いたのは、炎症という現象が実はまだよくわかっていない、ということだ。

 だから、炎症を止めるための確実な方法も、明確にはなっていない。

 わかっているのは、加齢により、炎症のコントロールが効かなくなることだ。

 一般人には、適度な運動、適切な食事、腸内細菌叢を整えることしかないようだ。

 わかりやすい説明で、簡単に読めて面白いムックだ。

 

p.4 炎症が持つ2つの顔 

 「炎症は悪者扱いされている。」いきなり、私が思った通りの文で始まった。

 「そして現在では、炎症が敵であるのと同じくらいヒーローでもあることが分かっている。」

 「ただ、人生と同じく「過ぎたるは及ばざるがごとし」だ。最初の感染症や怪我が治まったあとも炎症のレベルが慢性的に高い状態が続くと・・・長期的な疾患を引き起こしかねない。」

 しかもこの症状が加齢と共によく見られるようになる。

 「炎症が制御不能になると、免疫系が体自体の組織を攻撃し」様々な疾患を引き起こすのだ。

 なるほど。最初に私が思っていた疑問については、ここまで読んでわかった。

 

p.8 炎症とは何か

 複雑なプロセスだが、結局、まだよくわかっていないようだ。

 痛みを伴う炎症に対して、-110℃で冷やした方がいいのか、暖めた方がいいのか、確定的なエビデンスがないようだ。

 老化すると炎症が増えることは確かなようだ。

 老化を防ぐには、定期的に活発な運動を行うことと、全粒穀物、野菜、ナッツ、魚などの地中海風料理をとるのがいいそうだ。

 

p.30 炎症と戦う

 1日1個のリンゴ、食物繊維、腸内の細菌叢が重要だそうだ。

 

p.52 炎症を治療する

 うつ病にも炎症の影響があるそうだ。最近の精神安定薬やメンタルヘルスの薬にはすでに抗炎症作用があるそうだ。

 炎症はいい面と悪い面があるので、要はコントロールできるといいわけだ。コントロールする方法について、盛んに研究が進んでいる。ワクチンの働きを助ける「助っ人」アジュバンドと呼ばれる物質群について、研究が進んでいる。

 

p.74 炎症を解決する

 外部から菌やウィルスが侵入すると、炎症が発生し、外敵との戦いが始まる。外敵がいなくなると、炎症は収束するのだが、加齢にともない、炎症収束経路の一部が失われている可能性があるそうだ。ということは、どのように炎症を収束させているか、がわかれば、加齢による炎症も収束させることができるわけだ。

 これは朗報だが、私が生きている間に明確になり、実用化されるかは未知数だ。

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