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さいとう・たかを『ゴルゴ13 30 アサシン暗殺教団』(リイド社)(1978/11/15)

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====もくじ=====

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第112話 アサシン暗殺教団(1976/09作品)

ページ数:85ページ

依頼者:イスラム教イスマーイール派アサシン団長老と秘書のイブン・グルセル
ターゲット:トルコ陸軍参謀長アブドル・モハマッド
依頼金額:20万ドル(そのうち手付金5万ドル)
殺害場所:イスタンブール革命広場
殺害人数:1人
殺害相手:トルコ陸軍参謀長アブドル・モハマッド
H:0人

 

Part1 寺院の奥深く
 イスタンブール・トルコ共和国
 イスラム教寺院の奥深くでハッシシを吸う3人の男達。
 イスラム教イスマーイール派アサシン団の寺院だった。
 彼等はトルコ陸軍参謀長アブドゥル・モハマッド暗殺に向かった。
 見送った長老は、「今度こそは絶対に成功させねばならぬ!!伝統あるアサシン団の名誉にかけても・・・」と言う。
 
Part2 暗殺団の狼狽(ろうばい)
 ダーダネルス海峡に3人の死体が浮かんだ。
 これで6回目の失敗で、合計19人が死んだ。
 長老は幹部の七司教を集めた。
 
Part3 改革への提案
 7司教を集めた会議は4時間経過したがいい解決策はなかった。
 長老の秘書イブン・グルセルが発言権がないことを承知の上で、話し始めた。
 アサシン団の暗殺技術が古いことに原因があり、一流の暗殺者から新しい技術を学ぶことが必要だ、と言った。
 その超一流のプロフェッショナルとしてゴルゴ13の名前と写真が提示された。
 長老はイブン・グルセルに任せることにした。
 
Part4 やって来た"教官"
 イスタンブール空港にゴルゴ13が到着したところまでは確認したが、空港でアサシン団はゴルゴ13を見失った。
 ゴルゴ13は、約束の時刻に、長老とイブン・グルセルの前に現れた。
 長老の依頼は、革命記念日にアブドル・モハマッドを抹殺することだった。手付金は5万ドル。残金は15万ドルだ。
 イブン・グルセルは、これまで6回の暗殺に失敗していることを話し、条件としてゴルゴ13の仕事ぶりを見学することを伝えた。
 断ったゴルゴ13。イブン・グルセルは条件を撤回し、ゴルゴ13の仕事を勝手に見学することを許してほしい、ゴルゴ13の仕事の邪魔をしないしゴルゴ13に殺されても文句を言わない、と依頼する。
 
Part5 "教官"が消えた!
 ゴルゴ13を尾行していたアサシン団だったが見失った。
 長老はゴルゴ13の写真を信者達に配り見かけたら報告するように手配した。
 
Part6 革命広場はいま・・・
 革命広場で軍事パレードが行われていた。
 アブドル・モハマッドが演説を始めた。戦車や歩兵達がアブドル・モハマッドや大統領らの前を行進する。
 
Part7 "教官"はどこに!?
 アサシン団の面々はどこにゴルゴ13がいるか捜すが見つからない。
 サングラスをかけたゴルゴ13に似た男を発見したアサシン団の男達が、サングラスをかけた男を追う。
 
Part8 屋上からの眺め
 男はビルに入っていった。
 イブン・グルセルはそのビルの屋上から狙撃する、と読んだ。
 屋上についた男は三脚を立てカメラをつけた。
 男は革命広場の写真を撮るように依頼されたカメラマンでゴルゴ13とは別人だった。
 アサシン暗殺教団の男が彼をナイフで刺して殺した。
 
Part9 狙撃の一瞬
 戦車がアブドル・モハマッドの前を通る。砲塔から顔を出している戦車の社長の一人がゴルゴ13だった。
 ゴルゴ13は腕に隠した銃でアブドル・モハマッドを狙撃した。
 カメラマンの男のカメラでその様子を見ていたイブン・グルセルは、仲間に広場に戻るよう命令する。
 
Part10 教官は静かに
 ゴルゴ13を発見したイブン・グルセルは、ゴルゴ13がトルコ軍にもぐりこみ、戦車長としてパレードに参加し隠し持った特殊銃で狙撃したことに気づいた。
 しかし、アサシン団の暗殺技術の欠点はわからないままだった。
 
Part11 いま一度の機会(チャンス)を
 長老は、アサシン団の暗殺技術の欠点はわからないままだったことに、苛立っていた。
 イブン・グルセルは自分にいま一度機会をください、と言う。
 イブン・グルセル自身がゴルゴ13を狙うのだ。
 
Part12 アサシンの名のもとに
 ゴルゴ13がイスタンブール空港からエール・フランス機でパリに向かうことがわかった。
 アサシン団の伝統通りにハッシシを吸ったイブン・グルセルは空港に向かう。
 
Part13 機内の対決
 機内で、トイレに立ったゴルゴ13。
 トイレで何かに気づき、先に入ろうとした少女を突き飛ばした。
 客室乗務員のワゴンに乗っていたフォークを手にしたゴルゴ13を、トイレに隠れていたイブン・グルセルがナイフで襲った。
 ゴルゴ13は、フォークでイブン・グルセルの左目をつぶした。
 攻撃が失敗した理由を、イブン・グルセルがきくと、ハッシシの匂いのためだ、とゴルゴ13が答えた。
 それを聞いたイブン・グルセルは自らの首をナイフで斬って自決した。
 
Part14 暗殺教団の黄昏(たそがれ)
 長老は一人でアサシン団の像の前でたたずんでいた。
 
【感想】
 アサシンという英語の単語が暗殺を意味するが、私はこの話で、アサシン=暗殺と覚えた。
 ハッシシを吸って暗殺する暗殺教団だと言う。
 ゴルゴ13の暗殺技術を盗もうとするが、断られた。当然だ。
 アサシン暗殺教団の暗殺が6度も失敗したのはハッシシの匂いのせいだった。
 イブン・グルセルは自分の命を賭けてそれを聞き出したが、アサシン団の長老まで伝わっただろうか?
 ゴルゴ13に依頼されアサシン暗殺教団に殺されたカメラマンは気の毒だ。

 この話でのトルコ軍の敬礼だが、ナチス式に見える。当時のトルコ軍の敬礼はこの形だったのだろうか?また、アサシン暗殺教団はイスラム教だが、創設者を思わせる像が飾ってあった。イスラム教は偶像崇拝禁止なのにあっていいのだろうか?

 

第111話 氷結海峡(1976/08作品)

85ページ
依頼者:
 ソビエト海軍
ターゲット:ウェーレン基地強化と新基地建設の情報を持ち出したアメリカ海軍情報部に雇われたスパイで"超人イヌイット"と呼ばれるジョー・アガスラック
依頼金額:不明
殺害場所:ベーリング海峡リトル・ダイオミード島近く
殺害人数:1人
殺害相手:ウェーレン基地強化と新基地建設の情報を持ち出したアメリカ海軍情報部に雇われたスパイで"超人イヌイット"と呼ばれるジョー・アガスラック
H:1人(ジョー・アガスラックの婚約者スージー・マガズック)

 

Part1 吹雪をついて!
 ベーリング海峡に面するソビエト海軍・ウェーレン基地
 激しいブリザードの中、サイレンが鳴り響く基地内。
 ソ連軍は犬ぞりを使って追うことにしたが、氷山が割れた時に海上に投げ出された。
 追われるイヌイットのは徒歩で移動する。
 
Part2 超人イヌイット
 モスクワ-ソビエト-
 ヘリコプターが一機降りてきてゴルゴ13が中から出てきた。
 ソビエト海軍の司令官がゴルゴ13に一人のイヌイット殺害を依頼した。
 そのイヌイットはウェーレン基地近くで救出したが、実はアメリカ海軍情報部に雇われたスパイで、ウェーレン基地強化と新基地建設の情報を持ち出したのだ。
 そのイヌイットの名はジョー・アガスラック、31歳で、"超人イヌイット"と呼ばれていた。
 
Part3 快活な逃亡者
 ジョー・アガスラックはロープでアザラシを釣り上げ、生肉を食べて、ブリザードの中を徒歩で進む。
 胸には恋人のスージーの写真を持っていた。
 
Part4 ジョー・アガスラックの噂
 アラスカ・ノーム市
 ゴルゴ13が現れた。乞食のように金をせびるイヌイット達。
 ゴルゴ13は酒場に入って彼等にジョー・アガスラックの噂を聞く。
彼がイヌイットの伝統的な狩りや生活ができてナイフの名手だが、唯一の弱点が恋人で婚約者のスージー・マガズックであることをゴルゴ13は聞いた。

 

Part5 確かな自信
 ホッキョクグマと対峙していたジョー・アガスラックがナイフでホッキョクグマを退治した。
 
Part6 予期せぬ来訪者
 アラスカ・ノーム市
 スージーが自分の家で家族と話をしていた。そこへゴルゴ13が現れ、彼女を気絶させて別な小屋に監禁した。
 そしてゴルゴ13はスージーを襲った。悲鳴をあげるスージー。
 
Part7 標的(ターゲット)の進路
 リトル・ダイオミード島
 犬ぞりでゴルゴ13はブリザードの中を進む。
 ジョー・アガスラックはもう少しでアメリカ領に入ろうとしていた。

 

Part8 吉報を待つ基地
 ソビエト海軍・ウェーレン基地でソ連海軍の面々がゴルゴ13からの吉報を待っていた。
 
Part9 対決の氷上
 1マイル以内に人間がいることに、ジョー・アガスラックが気づいた。
 ブリザードのため視界はよくないが、超人イヌイットの彼は気づいたのだ。
 ゴルゴ13は犬ぞりのイヌの様子を見て、ジョー・アガスラックが近くにいることに気づき、銃を取り出した。その銃にはソ連海軍に依頼したスターライト・スコープがついていた。
 
Part10 闇の雪嵐(ブリザード)を貫(つらぬ)く
 ジョー・アガスラックは徒歩でブリザードの中を歩く。
そして人間が近くにいることに気づく。
 ゴルゴ13も犬ぞりのイヌの様子でジョー・アガスラックが近いことに気づく。かれは犬ぞりにテープを置き、自分は犬ぞりを離れた。
 そしてスージーを襲った時に録音した彼女の声を流す。
 愛するスージーの悲鳴を聞いたジョー・アガスラックが走る。ゴルゴ13のスターライト・スコープがジョー・アガスラックの姿をとらえた!
 ゴルゴ13の銃弾がジョー・アガスラックの胸を貫き、二発目が眉間を撃ち抜きとどめを刺した。

 

【感想】
 この作品発表当時、スターライト・スコープは最新式だった。それを使って仕事をやり遂げたゴルゴ13は見事だ。
 『孫子』では、「敵を知り、己を知れば百戦、危うからず」と言うが、まさにゴルゴ13は、それを実践して、ジョー・アガスラックの弱点を調べ、婚約者の悲鳴を使って、ジョー・アガスラックをおびき寄せた。
 氷上のイヌイットの凄さも同時に描写している作品だ。

 

第103話 配役<キャスティング>(1976/01作品)

83ページ
依頼者:ポルノ女優のジーン・バーバラ
ターゲット:ジーン・バーバラを捨てたトップ男優のポール・ドミニック
依頼金額:2万ドル
殺害場所:1)ジーン・バーバラの部屋
     2)ロスアンゼルスの道路上
殺害人数:
     1)1人
     2)2人
殺害相手:
     1)ポルノ女優のジーン・バーバラ
     2)ゴルゴ13のセミ・ドキュメント映画を撮影していたエリックと彼のスタジオの仲間
H:0人

 

Part1 映画海賊たち
 ロスアンゼルス・ハリウッド-U.S.A.-
 ポルノ映画を撮っているスタジオで、フィルムの売り込みに苦戦していた。
 そのスタジオのエリックは口ひげの紳士と会話していた。紳士は飛鷹無制限という企画を持ってきた。
 
Part2 セミ・ドキュメント
 クルーザーに呼ばれたエリックにシナリオが渡された。
 この映画はセミ・ドキュメントだった。
 主演は若手男優のトップ・スターのポール・ドミニック。女優はポルノ女優のジーン・バーバラだ。
 シナリオを読んだエリックの顔に汗がにじむ。クルーザーのスポンサーの太った男は、殺し屋は本物を使い、ポールが台本通り死ぬことになる、と平然と言った。
 ジーンはかつて恋人に捨てられ殺し屋を雇ったことがあった。
 またシナリオはエリック用でスタッフにはポールが死ぬことを伏せた台本を渡し、殺し屋はゴルゴ13だ、と話した。
 
Part3 相手役はポルノ女優
 エリックのスタジオのメンバーは隠し撮りするための技術的な検討をしていた。
 エリックはジーン・バーバラと話していた。ジーン・バーバラはポール・ドミニックと共演できることを喜んでいた。
 一方、ポール・ドミニックは共演者のジーン・バーバラがポルノ女優と聞いて怒ってしまった。
 
Part4 引き受けたポール
 エリックのもとにスポンサーから電話があり、ゴルゴ13が動きだしたことと、ポールが引き受けることを、伝えた。
 
Part5 撮影開始
 ゴルゴ13が飛行場に姿を現した。
 
Part6 その顔を忘れるな!
 ポール・ドミニックがジーンを捨てて殴り飛ばすシーンを撮影していた。
 エリックはジーンにゴルゴ13の顔写真を見せ、彼に殺害依頼をする時に絶対気づかれないよう思い詰めた気持ちでのぞむように指示する。
 
Part7 接触
 U.S.A.
 ジーン・バーバラにゴルゴ13から電話がかかってきた。20分後にアパートの前の通りに立ちその時来たタクシーに乗れ、と指示された。
 エリックのスタッフたちは隠し撮りのために準備する。
 
Part8 熱演のジーン
 ゴルゴ13に言われたとおりタクシーに乗ると、運転手がゴルゴ13だった。
 ジーン・バーバラはゴルゴ13にポール・ドミニック暗殺を依頼する。その時のセリフはシナリオ通りだがすごい迫力だった。
 タクシーは270ヤードのトンネルに入った。そのためジーンにつけた隠しマイクからの電波が入らなくなった。
 トンネル内で、ジーンは、左利きの彼のために自分が左腕になったのに、トップスターになった途端足蹴にした、と言った。
 ゴルゴ13はジーン・バーバラの依頼を引き受けた。
 明日、サンディエゴのゴルフ場にポール・ドミニックが向かうのでその時を狙ってほしい、とジーン・バーバラが依頼した。
 
Part9 静かなゴルフ場
 ポール・ドミニックはその日は休暇で、ゴルフをしていた。
 エリックだけはゴルゴ13が狙撃することを知っていたが、スタッフはなぜポール・ドミニックを撮るのか半信半疑だった。
 ゴルゴ13は林からポール・ドミニックをスコープに捉えた。
 ポール・ドミニックのスイングを見たゴルゴ13は何かに気づき、狙撃せずに去った。

 
Part10 出番は終わった
 ジーン・バーバラの部屋に入ったゴルゴ13。
 ポール・ドミニックが生まれながらの右利きだ、とゴルゴ13はジーン・バーバラに言った。
 ジーン・バーバラは、ポール・ドミニックと彼女を捨てた現実の男を混同してしまったのだ。
 ゴルゴ13はジーン・バーバラに知っていること全てを話せ、と言う。
 
Part11 惨劇の部屋
 ジーン・バーバラは殺されてしまった。
 
Part12 炎上
 エリックは撮影済のフィルムを持って現像所に向かう。
 その車をゴルゴ13の銃弾が貫いた。車はガードレールを越え下を走る列車に落ち炎上した。
 
 クルーザーでは、エリックに話を持っていった口ひげの紳士とスポンサーの男が、ゴルゴ13の顔を映画で大衆に知らせる作戦が水泡に帰したことを知った。
 
 
【感想】
 途中までとはいえゴルゴ13に撮影だと気づかせずに隠し撮りしていたエリックのスタッフは凄い。
 ジーン・バーバラの彼が左利きでなかったら、クルーザーの二人の作戦は成功していたかもしれない。
 この話の中では描かれなかったが、クルーザーの二人のその後が気になる。ゴルゴ13のルールだったら当然命はないはずだが・・・

 

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