haruichibanの読書&視聴のおと

読書メモや映画やテレビ番組視聴メモです

さいとう・たかを『ゴルゴ13 31 落日の死影』(リイド社)(1979/01/10)

 

Amazon Kindle版へのリンク

Amazon 紙版へのリンク

 

 

 

====もくじ=====

=============

 

第116話 レイプ数え唄(1977/01作品)

ページ数:86ページ

依頼者:オルガ・シュトラウス
ターゲット:オルガを犯して数え唄を歌ったあの男
依頼金額:不明

殺害場所:

     1)ウィーン郊外の山道

     2)カール・キルマイヤー邸

殺害人数:

     1)3人

     2)2人

殺害相手:

     1)ゴルゴ13を尾行したフランツと2人

     2)オルガを犯して数え唄を歌ったあの男、ことカール・キルマイヤー

      エーリッヒ・フォン・ユルゲンス警部   

H:0人

 

Part1 盲目の依頼人
 オーストリア-ウィーン郊外-

 ゴルゴ13は盲目の依頼人オルガは14歳の誕生日をナチスの強制収容所で迎え、あの男(原文では傍点)に毎日犯された。彼女は戦後成功して財産を築いたが男を受けつけない女になってしまった。彼女を犯したあの男を殺すことが、オルガの依頼だった。

 

Part2 あの男は3人の中に!

 オルガは、あの男の名前も正体も知らないが、戦後南米へ脱出し4,5年前にウィーンに舞い戻ってきたことを知った。その結果、次の3人の誰かがあの男だとわかったのだ。しかしオルガは盲目ゆえにわからない。

 ペーター・ロシュマン 61歳 旅行代理店経営

 レオン・シュナイダー 60歳 雑貨店経営

 カール・キルマイヤー 59歳 貿易商

 

Part3 嵐の夜の訪問者

 あの男は、オルガを犯した後、不気味な数え唄を歌った。オルガは三人を屋敷に招待し、その唄を聞かせる。その時の反応を見て、殺してくれ、とオルガはゴルゴ13に依頼する。三人の男達がオルガの城にやってきた。

 

Part4 閃光とともに!!

 オルガが数え唄を歌い始めると、雷のために停電になり部屋が真っ暗になった。その時、銃声がしてオルガが撃たれて死んだ。

 ゴルゴ13は「この中に・・・"依頼人"のいう"あの男"がいることは・・・たしかになった・・・」と思うが誰だか特定できなかった。

 

Part5 ゲーレン機関

 オルガが殺害されたことで、デューク東郷も取り調べを受けていた。取り調べるのはエーリッヒ・フォン・ユルゲンス警部だ。彼は元ヒトラー・ユーゲントにいた。3人からは硝煙反応が出なかった。窓の外に捨てられていた拳銃に指紋がなかった。

 エーリッヒ・フォン・ユルゲンス警部がゴルゴ13を釈放すると、電話がかかってきて、デューク東郷がゴルゴ13だと知らされた。エーリッヒ・フォン・ユルゲンス警部はゲーレン機関の一員で、あの男のために、硝煙反応や拳銃の指紋の証拠をもみ消したのだ。ゲーレン機関はラインハルト・ゲーレンが作った秘密機関で西ドイツ連邦情報局(BND)の一部としてこの作品作成時点でも存在していた。

 

Part6 ウィーンの街角で

 ゴルゴ13は薬局を装った情報屋の所に行き、オデッサ・ファイル、NATO情報関係者リスト、ゲーレン機関協力者のファイルを依頼した。ゴルゴ13を3人の男が尾行する。ゴルゴ13はオルガの城へ戻った。3人の男はエーリッヒ・フォン・ユルゲンス警部に無線で連絡した。警部はオルガの城には3カ所の出入り口がある、と言った。デューク東郷は別な出入り口から出て行った。

 

Part7 警部の脅迫

 エーリッヒ・フォン・ユルゲンス警部は、ゴルゴ13が依頼した情報屋に入り、そこにいる男の口に拳銃を突きつけゴルゴ13が何の情報を入手しようとしているか脅す。

 

Part8 奴をぶっとばせ!!

 ゴルゴ13は空港で情報屋から情報を受け取った。3人の男が尾行し、車の屋根を開けてゴルゴ13の車に向けてバズーカを撃ち込んだ。ゴルゴ13は一発目をかわしたが、二発目は命中した。その直前にゴルゴ13は社外に脱出し納屋に向けて走る。しかしバズーカによって受け取った情報の書類が燃えてしまった。

 納屋に入ったゴルゴ13。3人の男はバズーカで納屋を狙う。ゴルゴ13がバズーカを持った男を狙撃して殺した。バズーカを取ろうとした男も狙撃して殺害した。

残った男は車で逃亡しようとしたが、ゴルゴ13がこめかみを撃った。

 男の車に無線で、始末したか、資料をとりあげたか、フランツ応答せよ、と入ってきた。ゴルゴ13は無線機を拳銃で破壊した。

 

Part9 ユルゲンスの狼狽

 3人の男が死んだ現場にユルゲンス警部たちがやってきた。ゴルゴ13がいないので、ゴルゴ13があの男の所に向かっている、と判断したユルゲンス。

 

Part10 数え唄のあの男

 あの男の数え唄を歌う子どもが庭で遊んでいた。彼のおじいちゃんが酒を飲むといつも歌っている唄だった。そこへユルゲンス警部達がやって来た。

 そこへゴルゴ13がやって来た。ゲーレン機関の協力者のリストが燃えてしまったので、ユルゲンス警部の後をゴルゴ13はつけてきたのだ。

 ゴルゴ13は、二人をサイレンサー付きの拳銃で撃ち殺す。

 

Part11 オルガの眠る城

 ゴルゴ13はオルガの城を見て、車で去って行った。

 

[感想]

 依頼人が殺されても契約を果たすゴルゴ13。

 ナチス時代の人間関係を維持していた西ドイツのゲーレン機関。ナチスによって男を受けつけなくなったオルガ。ナチスの戦争犯罪の一端を描いた作品だ。

 私が、哀しい女シリーズと名付けている作品群の一つと言える。

 

第109話 ハワード・ヒューズ氏の息子(1976/07作品)

85ページ
依頼者:コルシカ島出身者によって構成され、暗黒街をマフィアと二分する団体ユニオン・コルス

ターゲット:ハワード・ヒューズの息子で新進俳優のチャーリー・ウェスト
依頼金額:不明
殺害場所:ロサンゼルスの撮影現場

殺害人数:1人

殺害相手:ハワード・ヒューズの息子で新進俳優のチャーリー・ウェスト

H:0人


Part1 人気スターチャーリー
 映画スターのチャーリーは、4人のボディーガードに守られ映画の撮影をしていた。チャーリーはユニオン・コルスの刺客に狙われているため、あと10日は安全を確保しないといけないのだった。彼等は交差点で見つけた殺し屋にペン型の爆弾を仕掛けて殺した。

 

Part2 遺産の行方

 ジーン・ハロー、ジューン・ラッセル、オリビア・デ・ハビランド、ラナ・ターナー、キャサリン・ヘップバーンら・・・ハワード・ヒューズド氏が浮名を流した女優達だ。ハワード・ヒューズの遺産は200億ドルは下らない。ハワード・ヒューズに子どもはいなかったのでアメリカ政府が遺産を没収するはずだったが、チャーリー・ウェストがハワード・ヒューズの息子だと判明した。

 チャーリーの背後にはマフィアがいるので、ユニオン・コルスとしては、とても困るので、ゴルゴ13にチャーリー殺害を依頼した。

 

Part3 狼への"鎖"

 チャーリー・ウェストの命を守るために、マフィアのボッサノ・ポンティはゴルゴ13を警察に追わせるように企む。

 

Part4 深夜の悪魔

 ゴルゴ13の顔をした男がレイプ未遂をする。しかもその男は財布を落とし、その中にはゴルゴ13の顔写真があった。レイプ未遂事件後、また男はレイプ未遂をしようとした。その時、街灯で顔をはっきり見た被害者は、ゴルゴ13の顔だと証言した。

 その男はゴルゴ13のマスクをかぶった全然別の男だった。

 

Part5 ”裏”をあばけ!!

 ゴルゴ13の顔写真はタブロイド紙にも出た。ロサンゼルス市警では、スキンヘッドで口ひげのハモンド警部が、部下のジムに、顔写真がゴルゴ13と呼ばれるスナイパーで、強姦魔ではないはずだ、何か裏がある、と言った。

 

Part6 ”狼”はどこに!?

 マフィアのボッサノ・ポンティの企みによって、ゴルゴ13は身動きがとれなくなった。

 あと2日しかないので、ユニオン・コルスのボスは焦っていた。

 そこにゴルゴ13から電話が入り、マフィアが使ったゴルゴ13の替え玉を捜すよう依頼があった。

 

Part7 相続を待つ息子

 あと1日でチャーリー・ウェストに遺産が転がり込んでくる。

 

Part8 ”裏”を追え!!

 ハモンド警部は、ボッサノ・ポンティの事務所に行き、ゴルゴ13を強姦魔に仕立て上げたのは、ボッサノ・ポンティだと確信した。

 ユニオン・コルスのボスにはゴルゴ13からの連絡はなく、ゴルゴ13の依頼だった替え玉探索の結果もまだだった。

 

Part9 撮影所のさわぎ

 チャーリー・ウェストの撮影現場にはボッサノ・ポンティの部下達60人が警護を固めていた。

 ハモンド警部に、ジムがチャーリー・ウェストがハワード・ヒューズの落とし子と報告した。ハモンド警部はチャーリー・ウェストの撮影現場に向かう。

 

Part10 最後の決闘

 西部劇の決闘シーンの撮影中、チャーリーは殺された。

 ハモンド警部はゴルゴ13が地下水道のマンホールから狙撃したと見抜いた!!

 

Part11 地下水道の"G"

 ハモンド警部は地下水道でゴルゴ13を発見した!!しかしゴルゴ13は凶器の銃を持っていなかった。

 

Part12 狼、小雨に帰る

 ハモンド警部はゴルゴ13の銃を探すが見つからない。一方、変装屋のビルという男が自供してきたため、強姦魔事件は解決した。

 結局、ゴルゴ13は釈放された。

 

[感想]

 タブロイド紙とはいえ、ゴルゴ13の写真がロスアンゼルス市内で広まってしまった。ゴルゴ13はボッサノ・ポンティを許したのだろうか?

 ゴルゴ13が、どの銃を使い、どう始末したのか、とても気になる。

 

 

第105話 落日の死影(1976/03作品)

83ページ
依頼者:西側のある機関

ターゲット:致死性毒物の製造工場

依頼金額:不明

殺害場所:
 1)ミクロネシア・パラオ諸島コロール
 2)パパイン工場

 3)ミクロネシア・パラオ諸島アンガウル島の洞窟内部

 4)ミクロネシア・パラオ諸島アンガウル島の洞窟出口

殺害人数:
 1)1人
 2)5人

 3)6人以上

 4)1人

殺害相手:
 1)薬学者を紹介するムルザングという男
 2)パパイン工場の用心棒たち

 3)アンガウル島の洞窟の見張り5人

  アンガウル島の秘密工場の化学者3人

  秘密工場の警備員や化学者多数

 4)東側に雇われたコードネームAX-3と呼ばれるプロフェッショナル

H:1人(ミクロネシア・パラオ諸島の娼婦でマヌの元情婦)


Part1 委員会の発表

 上院情報活動調査特別委員会の調査によって、CIA(米中央情報局)が大統領命令に背いて、致死性毒物を大量に秘かに貯蔵していることが判明した、と同委員会委員長のチャーチによって発表された。それはジュネーブ議定書への違反であり、しかもコルビーCIA長官の知らない間に行われていた。

 テレビを見ている男は毒物工場から化学者まですべての証拠を消し去るために最高のプロフェッショナルを雇え、と命令した。

 

Part2 ミクロネシアの苦悩

 南太平洋パラオ諸島ーミクロネシア-

 基地化か独立かで揺れるパラオ諸島でゴルゴ13と寝た娼婦が、ゴルゴ13と寝た前夜に来たお客さんがゴルゴ13同様で、マヌという男の居場所を聞いてきた。女がマヌの情婦だったのはずっと以前のことだった。

 

Part3 もうひとりのプロ

 酒場で酒を飲む、ゴルゴ13は、職を求めてやって来た薬学者だと言った。パパイアを原料にしたパパインというタンパク質分解酵素をつくる工場ができたため、薬学者には職があるのだ。その経営者は変わっていて、コロールに住んでいながら街に姿を見せたことがないのだった。

 酒場を後にしたゴルゴ13に、男が近づいてきて、ムルザングという男を紹介する。そして、今日、他の薬学者にも紹介した、と言った。男はマヌだった。

 

Part4 先行者の足跡

 マヌの指示に従って、ムルザングという男の家を訪ねたゴルゴ13。イヌが3匹、眉間を撃たれて射殺されていた。男が縛られていた。その男の縄をほどくと、男はムルザングで、ボスに電話しようとした。ゴルゴ13は、拳銃を突きつけて、デューク・東郷がやってきた、とだけ言え、と伝えた。ゴルゴ13がムルザングを殺したかどうか本編にはないが、目撃者を行かしておくとは考えにくいので、殺しただろう。

 

Part5 パパイン工場の”裏”

 パパイン工場の経営者はアントン・ルーカスという男だった。その晚は、宿舎を用意し、翌朝、工場を案内するという。

 宿舎にはマジックミラーが仕組まれていて、様子を監視できるようになっていた。

 ゴルゴ13はベッドから抜け出し、アントン・ルーカスの部屋に向かった。そこにはすでに一人いて、アントン・ルーカスを拳銃で脅し工場の場所を聞きだしていた。工場はアンガウル島の洞窟の中だった。

 ゴルゴ13はその場を離れようとした。そこへ五人の男がやって来たのでゴルゴ13が撃ち殺した。

 もう一人のプロが手榴弾でアントン・ルーカスの部屋を爆破させた。ゴルゴ13が仕掛けたと思われる時限爆弾があちこちで爆発した。

 

Part6 月の夜の海

 1000ドルで発動機無しのカヌーを買うもうひとりのプロ。フランシスコの所にも同じような男(ゴルゴ13)が来てカヌーを買っていった。

 

Part7 髑髏の島

 アンガウル島の洞窟に着いたプロだったが、ゴルゴ13はすでに着いており、見張りが4人死んでいた。

 

Part8 静かな毒物工場

 静かな毒物工場で、プロは2人の見張りを殺した。

 ゴルゴ13はプロが逃がした男をM16で狙撃した。

 プロとゴルゴ13が目と目を合わせ会話する。標的が個人ではないのでおたがいじゃまをしないで勝手にビジネスをしよう、とプロが言う。ゴルゴ13は「・・・・」だ。

 

Part9 午前10時の殺戮

 ゴルゴ13とプロは、午前10時になり、化学者達が働き始めると同時に、狙撃を開始した。2人の放った銃弾が一人の化学者の両こめかみを撃った。

 二人のプロが銃と手榴弾で警備員や薬学者を次々と斃していく。

 殺戮が終わると、プロの男が「皮肉にも”東西”が力を合わせたってことになったな・・・」と言う。

 

Part10 友なき”商売(ビジネス)”

 二人のプロが洞窟内を帰路に向かって歩く。日本兵の白骨を見ながら雑談する。

 プロが契約義務遂行の通信をすると、新たな依頼が入った。西側のある機関がやとったプロを始末することだった。

 二人は洞窟の出口近くで対峙することになった。

 ゴルゴ13が洞窟内部、外にコードネームAX-3が立った。

 

Part11 対峙の極限

 満ち潮になったため、洞窟内から出てくる毒を持った動物たちに襲われる可能性がなくなったゴルゴ13。その後引き潮になった。毒を持った動物たちが迫ってくる。

 二人が動いた。ゴルゴ13お右肩に、AX-3の放った銃弾が、当たった。AX-3は懐から拳銃を抜こうとしたが、それより一瞬速く、ゴルゴ13の投げた旧日本軍の白骨死体が持っていた銃剣が、AX-3の胸を貫いた。

 「じゅ・・・銃では・・・ご・・・互角だったぜ・・・銃では・・・」と言ってAX-3は絶命した。

 

[感想]

 コードネームAX-3と呼ばれたプロフェッショナルの殺し屋はゴルゴ13と同じように行動して、契約を遂行した。その直後、ゴルゴ13を殺すことを依頼され、対決することになった。

 彼とゴルゴ13はいい友人になれただろうに、残念な結果だ。

 第105話『スキャンダルの未払い金』と同じように太くて荒々しいペンタッチのゴルゴ13が印象に残る作品だ。

 

haruichiban0707-books.hatenadiary.com

 

haruichiban0707-books.hatenadiary.com

 

haruichiban0707-books.hatenadiary.com

Â