ささやかな終末

小説がすきです。

#2024年もあと少しなのでいいねの数だけ来年やりたいことをつぶやく

こんにちは、菅谷理瑚です。年末年始も終わりますね。いかがお過ごしだったでしょうか。お仕事や勉強があった方もいらっしゃると思います。お疲れさまでした。何かの機会で絶対、休んでくださいね! 私はせっかくのお休みだったので、集中して本を読んでいました。結構たくさん読めました! 同じくお休みだった方、よく休めましたか? 明日からちょっとずつ、できる範囲でやっていけたらいいですよね。私もそうします。

休みも終盤になってようやく、重い腰を上げてブログを書きました。新年最初のブログです。年末にXで「#2024年もあと少しなのでいいねの数だけ来年やりたいことをつぶやく」というつぶやきを放ったところ、うれしいことにたくさんのいいねをいただきました。いいねを下さった47名のみなさまありがとうございました! おかげさまでやりたいことをたくさん考えることができました。いいねした方もそうでない方もよろしければぜひ、ご覧になっていってください。

 

 

1.初日の出を見に行く

 

驚くべきことに1つ目のやりたいことはもうやり終えている。2025年元日、初日の出を見た。人生ではじめてだった。1月1日のそれに限らず、太陽が顔を覗かせる瞬間をじっと待つことが。薄暗かった空の下のほうがオレンジに染まり、やがて朝日が現れたとき、静かな川面が光に照らされていて、ふと、ひょっとしたら世界はとても美しい場所なのかもしれないな、とおもった。だからたぶん、今年はいい1年だ。

2.体力をつくる


昨年のちょうど今頃、人知れずジムに入会したのだけれど、4回ほどで行きたくなくなり、以後数か月にわたって行かないジムの月会費を払い続けていた。それで分かったのは、お金を払っていようといまいと私は身体を動かすのがとても嫌いということ。体育の授業やスポーツ系のアクティビティを楽しいと思った経験がほぼない。例外はバッティングくらいである。でも身体は資本で体力は宝なので、今年は何とかしたい。

3.バッティングに行く


バッティングが好きだ。高校の体育の授業もソフトボールの試合だけは楽しかった思い出がある。去年はフォロワーさんと2回、職場のひとと1回バッティングセンターに行った。11月にフォロワーさんと遊んだ時にはなんと、明らかにヒットの当たりのバッティングをすることにも成功した。今年も行きたい。目指せスラッガー! 目指せ霧栖弥一郎!

4.サイクリングをする


自転車に乗らなくなってもうすぐ10年の記念日を迎える。最後に自転車を漕いだのは忘れもしない2015年9月17日、修学旅行のアクティビティだった美瑛の丘サイクリングでのことである。軽い気持ちでチョイスしたそれがかなり本格的なサイクリングだったために大いに苦しめられ、もう自転車なんか乗るもんかと固く心に誓った17歳の誕生日であった。さすがにそろそろ克服したくなってきたので、サイクリングをしてみたい。

5.小旅行に出かける


旅行へ行くと元気が保てない。2日目以降は常に寝不足である。さすがに懲りて昨年はまったく旅行をしなかったのだけれど、ずっとそれではちょっと寂しい。1泊2日ならなんとか楽しめそうなので、ちょっとしたところに行きたい。それか日帰りか。知らない土地を踏んでみたい。

6.島へ行く


島に行きたい。地図に載っていなかったり、常夏だったりする島じゃなくて、ふつうの島がいい。島のいいところはまわりが海に囲まれている点だ。私は海が好きだ。だから島のことも好きなのだろう。好きなわりにあまり島に行ったことがないので、今年は行ってみたい。

7.星を見る


星を見たい。昨年フォロワーさんたちが世にもきれいな星を見に行っていて、いいなぁと思ったのだ。しかし車がない。車がなくても美しい星空が安全に見られる方法を知っている方は、ぜひ教えてほしい。調べてみてもよく分からなかったので……。

8.知らない駅で降りる


生まれてこの方知らない駅で降りたことがない。知らない駅、というのは目的地ではない駅の意である。ふとしたときにふらっと、必要がない駅で降りてみたい。これが意外と難しい。いつだって時間と予定に追われていて早く帰って眠りにつきたい、悲しいかな一現代人なのである。だからこそこれができたら幸せだろうなと想像する。すべてから自由になれる気がする。

9.去年会えなかった友人と会う


すごく好きなお友だちがいて、大学で知り合った子なのだけれど、大学を卒業してからも年に1回は会っていたのに昨年は会えなかった。今度その子の誕生日なので、おめでとうメッセージと一緒にデートの誘いをかけたい。甘いもの食べに行かない? とか、『冬期限定ボンボンショコラ事件』読んだ? とか(彼女と私は小説の趣味が似ているのだ)、話題はなんでもいい。とても素敵なひとなのだ。

10.フォロワーさんを誘って遊ぶ


ありがたいことにここ数年でフォロワーさんと会う機会が増えた。しかしいつも誘ってもらってばかりである。たまには自分から誘ってみたい! 私はどちらかというと誘われ待ちの人間なので、そうすると同じく誘われ待ちのフォロワーさんとは一生遊びに行けないのだった。というわけで、我こそは誘われ待ち人間だという方がいましたら、なんらかの方法で合図を下さい。勇気が出たら誘いに行きます。

11.猫カフェに行く


猫が好きなのだが、触れ合う機会があまりない。猫カフェ、というものの存在は昔から知っているものの、人生で一度も行ったことがない。今年こそは猫カフェで猫ちゃんを撫でさせていただきたい。おやつもあげたい。もふもふにゃんにゃんしたい。

12.仏像展に行く


一昨年仏像を見るとやけに心が落ち着くということに気づいたので、去年も数回仏像を見に行った。やっぱり落ち着いた。大学の友人(9番の子とは違うお友だちだが、彼女もとても素敵なひとだ)と美術館へ行くことを続けており、カフェなどで気づいたところや感想を言い合ったりするのがとても楽しい。何百年、場合によっては千年の時を経ていま目の前に展示されているのだ、と意識すると、時間を忘れられる。自分が生きる年数のどれほど短いことか。私は死後数年でも残る何かを生み出せるだろうか、と考えると気が遠くなる。

13.角川武蔵野ミュージアムに行く


どこに住んでいても日帰りで行くには微妙に遠い距離でいまだに一度も行けていないところざわサクラタウン。私にとってはもはや5番の「小旅行に出かける」並みの大仕事である。でも今年こそ行きたい。ラノベ図書館で『ロクメンダイス』を読みたいという野望が。

14.海外ミステリを読む


海外ミステリを読みたい。クイーンの国名シリーズを、結局去年は1冊も読めなかったので、心機一転読み進めていきたい。その後はライツヴィルや悲劇四部作にも挑戦したい。他にも話題作や名作をいろいろ。

15.国内ミステリを読む


矢吹駆シリーズの残りと、百鬼夜行シリーズの続きを読みたい。買い初めで『オイディプス症候群』をゲットしてきた。他にも話題作や名作をいろいろ。積読も一掃したい。

16.SFを読む


上半期はSFにも力を入れていきたい。読書ラジオ(ポッドキャスト)『備忘録音』のSF回やその後の回でおすすめをいただいたり、とっておきのリストをもらったりしたので、いろいろ読もうと奮起している。

17.ライトノベルを読む


ラノベを読みたい。新作や好きなシリーズの続き(これが去年はなかなかできなかった!)はもちろんのこと、シリーズもので未読の中から『デュラララ!!』『妹さえいればいい。』『現実でラブコメできないとだれが決めた?』『公務員、中田忍の悪徳』あたりを狙っている。

18.漫画を読む


漫画を読みたい。昨年は漫画おすすめスペースをフォロワーさんと行ったり、少女漫画を少し読んだりした。今年は、年末にフォロワーさんから『SKET DANCE』を読んだほうがいいとおすすめされたので、何らかの機会を待って読もうと考えている。

19.評論を読む


世の中には数多の評論があり、その氷山の一角も読めていない今日この頃なので、今年は意識して読みたい。文学フリマで購入した評論系の同人誌が手付かずのまま家にあり、そのあたりから攻めていきたいものだ。参考文献の中から気になったものに手を伸ばしたりするとおもしろそう。

20.フォロワーさんのおすすめ作品を読む


去年は刺さったり印象深かったりする読書が大変多かった。理由を考えているうちに、話したひとから直接すすめられたり貸してもらったりした本を読むことが多かったからだと分かった。ほかにも、ラジオや読書会で話したり聞いたりして、自分では気づけなかった新たな魅力に気づいた本も多い。今年もそういう読書をしていきたいと心から思う。根気強くすすめてくださったみなさん、ほんとうにありがとう。今年もどうぞよろしくお願いします。

21.読書会を主催する


昨年は山ほど読書会に出た。いちばんおもしろかったのは小市民シリーズの読書会が所属している2団体で催され、『夏期限定トロピカルパフェ事件』の読書会に4日で2回参加したときだ。それぞれの団体で注目して語られることが異なり、どちらもとても楽しかった。そんな感じで世は大読書会時代、平均すると月に4回以上は読書会に参加している私だが、自分で主催することはあまりない。ちょうど1年前くらいに某所で『すべてがFになる』の読書会をやったのと、ラジオ『備忘録音』の夏回で『サマータイム』読書会を共同主催したくらいだ。読書会を主催することのメリットはやはり参加者に作品を読んできてもらえることではないだろうか。読んでほしいあれやこれやをセレクトして、いろいろな感想を聞いてみたいものだ。

22.アニメを観る


アニメを観たい。私はアニメをあまり観ない。昨年は『化物語』『小市民シリーズ』『負けヒロインが多すぎる!』『月がきれい』を観られて楽しかった。『アオのハコ』も途中まで観ている。今年は『響け! ユーフォニアム』を観る約束があり、楽しみである。他にもちょこちょこ観ていきたい。小市民の続きも楽しみ。

23.ドラマを観る


ドラマを観たい。昨年は結局あまり観られなかった。今は『青い海の伝説』という韓国ドラマを観ている。それが観終わったら、Netflixに加入して『星がウワサするから』を観たい。韓国放送とほぼ同時に配信されるドラマで、とても期待している。国内ドラマは『MIU404』を完走したい。

24.ノベルゲームをプレイする


ノベルゲームをやりたい。『WHITE ALBUM2』のいまだ読めていないおまけシナリオを読みたい。型月伝奇研究センターの『Binder.』第三号を読んで非常に興味が湧いた『月姫 -A piece of blue glass moon-』もプレイしたい。

25.『アイドルマスターシャイニーカラーズ』をプレイする


昨年、シャニマス友だちができた。もともとはミステリが好きなフォロワーさんの集まりだったが、ミステリ目的よりもシャニマス目的で集まることのほうが多いので、私の中ではシャニマス友だちと呼ばれつつある。展示を見に行った。ライブの視聴会を行った。スタンプラリーをしに行った。やはりここで多発するのが、「私あんまり最近シャニマスやれてないな……」という気持ちである。今年はコミュを読んだりしたい。月岡恋鐘さんのこともたくさん愛でたい。12番で触れた美術館に行く友だちはミリオンとsideMが好きで、アイマス友だちでもある。そのうちシャニアニとミリアニの視聴会をする約束をしている。

26.ライブに行く


2024年は2回ライブに行った。4月5日に横浜スタジアムで開催された日向坂46「齊藤京子 卒業コンサート」と8月25日に横浜BUNTAIで開催されたASIAN KUNG-FU GENERATION Anniversary Special Live「ファン感謝祭2024」2日目である。どちらもとても楽しかった。実はあまりそう頻繁にライブに行ける身分でもないのだけれど、2025年も行けたら行きたい。すでに1件予定があり、フォロワーさんと5人くらいで観に行けるみたいなのでワクワクしている。そういえば去年は音楽を聴く時間が増えた1年だった。わざわざ「音楽を聴く」という項目をやりたいことリストに入れなくてもいいくらい、イヤホンを耳にはめることが日常となった。今年もおそらく何かを聴き続けるだろう。

27.観劇に行く


演劇を観に行きたい。ミュージカルでもいい。ひむミュこと本格ミステリー歌劇『46番目の密室』の第2弾がいちばん観たいのでぜひ企画が動いていてほしい。あれはほんとうに素敵な作品だったのだけれど、生では観られなかったのだ。同じく館ものの『スウェーデン館の謎』なんていかがか?

28.写真を撮る


写真を上手に撮れるようになりたい。今朝も「どうやったらこんなに素敵に写真が撮れるのだろう」と感心しながら、高校時代の同窓生のInstagramを凝視していた。彼女とは1年次の音楽のクラスが一緒で席が近く、たまに話したものだ。ダンス部に所属していて、笑顔の素敵なきれいな子だったが、写真の中でも彼女は変わらず楽しそうに微笑んでいた。ここ数年は雪国で暮らしていたようだが、今年から東京で働くらしい。この先の人生で会うことはないだろうし、「高1のときに音楽の授業が一緒だった者なのですが写真の撮り方のコツを教えていただけないでしょうか」とDMを送ることも当然ない。それでも私はずっと彼女の人生を追い続けるのだろう。何の話だっけ、そう、写真の撮り方のコツを知っている優しい方がいましたらぜひ教えていただければと思います。よろしくおねがいします。

29.手帳を持ち歩く


去年は人生で初めて手帳を使うことに成功した1年だった。それくらい読書会やらなんやらの予定が多かったのである。しかし、このまえ職場のひとと話していて気づいたのだが、私は手帳をまったく持ち歩いていなかったのである。手帳なのに、なぜ……。というわけで今年はなるべく手帳を肌身離さず持ち歩きたい。

30.睡眠環境を整える


引っ越してからこっち、わりと酷い環境で寝ている。明らかに敷布団が薄い。なんとなく背中のしたが硬い気がする。これではホラー小説を読んだ後てきめんに悪夢を見るわけである。今年は敷布団を厚くしたい。厄介なことにただ厚くすればいいわけではないらしい。いい敷布団やマットレスの情報を持っているひとがいましたら、こちらもぜひ教えていただけますと幸いです。よろしくおねがいします。

31.メイクをがんばる


美容系YouTuberさんは全員芸術家だとおもう。近年のメイクテクニックの発達はすさまじい。先述の通り私の高校時代の芸術の選択科目は音楽であり、すなわちそれは美術も書道も苦手という意味である。でもまわりのひとたちが(美容系YouTuberさんほどではないにせよ)がんばっているので、私もちょっとくらいはがんばりたい。47個のやりたいことの中でいちばん、方向性が固まっていない目標かもしれない。

32.髪を巻けるようになる


髪を巻けるようになりたいと思い始めて早何年か。もう半ばあきらめていたのだけれど、この前美容院に行ったとき美容師さんに仕上げで巻いてもらったらとてもかわいかったので、がんばってみるか、という気持ちになっている。『少女は卒業しない』(小説のほう)の作田さんよろしくがんばりたい2。そういえばドラマ『コールミー・バイ・ノーネーム』の束ちゃんは『少女は卒業しない』の映画のほうの作田さん役の子だった。中井友望さん。友望で「とも」と読むそうだ。とてもかわいくてちょっと気になっている。

33.りぼんを付ける


まわりで日常的にりぼんを付けているひとと言えば職場のディズニー好きのお姉さま(残念ながら話したことは一度もない)と月岡恋鐘さん(残念ながら話したことは一度もない)が二強だが、年末に紅白歌合戦をみていたら乃木坂46の好きなメンバーである筒井あやめちゃんがりぼんを付けていて「かわいい~」と体温が上がり、私も付けたくなった。残念ながら彼女とも話したことは一度もない。アイドルは遠くにありて思うもの、が持論である。

34.お茶をしばく


お茶をすることを「茶をしばく」と言うそうだ。TLでたまに見かけるので、フォロワーさんだけの間で使われている言葉かと思っていたのだが、どうやら関西弁らしい。どうして私が知らないのだろう。生まれも育ちも関西なのに。もしかしたらそのプロフィールは虚構なのかもしれない。閑話休題。おいしいお茶やケーキをいただきながらお茶をバシバシしたい。すでに今月、バシバシできる予定がある。素晴らしきかな。来月以降もバシバシしていきたい。

35.クリスマスケーキを買う


昨年、年始に読んだ朝井リョウのエッセイ集『そして誰もゆとらなくなった』に「ホールケーキの乱」と名の付いた章があった。東京に出てきてからかなり経つのに一度もホテルのクリスマスケーキを食べたことがないことに気づいた朝井リョウが、その年のクリスマスシーズンに5個のホールケーキを独り占めする計画を立てた顛末が書かれたエッセイである。結果はみなさんにも読んで確かめてもらうとして、読んだ私は思ったわけだ。「私も今年はおいしいクリスマスケーキを食べたい」と。そして2024年のクリスマス、満を持して食べたブッシュ・ドゥ・ノエル モンブランのおいしさと言ったら……! ほぼ1年越しの悲願にふさわしいお味だった。しかし挑戦はまだまだ終わらない。今年のクリスマスにはまた別のクリスマスケーキを食べるのだ。すでに目星を付けているお店がある。今から12月に楽しみがあるというのは、とてもしあわせなことだ。

36.Gong chaのタピオカミルクティーを飲む


タピオカミルクティーが好きだ。世の中の飲み物の中でも上位に入ってくるくらいには。にもかかわらず昨年は飲み損ねた。由々しき事態である。よって今年は飲まねばならない。必ずGong chaを訪れる。そしてタピオカミルクティーを飲むのだ。

37.ベーコンエピを食べる


ベーコンエピを知っているだろうか。そう、『クドリャフカの順番』で伊原摩耶花が小さくちぎって食べていた、あのパンである。長らく存在を知っていながらいまだベーコンエピを食べたことがなかった私だが、ついに昨年末、職場の近くのパン屋さんで売っているのを目撃した。なるほどたしかにちぎりたくなるフォルムである! しかしちぎっていたら昼休みが終わる! 「今日の昼休みはベーコンエピを食べる!」と気合いを入れて買いに行きたいものだ。

38.冷やし中華を食べに行く


昨夏、ラジオのおたよりで冷やし中華を始めたかどうかを確認する内容のものが届いた。そのとき気づいたのだが、私はお店で冷やし中華を食べたことがない。家でもほとんどない。冷やし中華経験値がほぼゼロに等しい、これでは負ける……と思って夏の終わり頃にコンビニで冷やし中華を買って食べたら、予想の数倍おいしかった。これは皆がこぞって始めたがるわけである。というわけで今年はおいしい冷やし中華を食べに行きたい。おいしい冷やし中華が食べられるお店を知っている方がいましたら、ぜひ私にご一報を。

39.モーニングを開拓する


最近たまにモーニングを食べに行く。休日の充実度がそれだけで半端でなく高くなるのでとても好きだ。お腹がいっぱいになってお昼寝を3時間してしまっても、モーニングを食べたことで一日が素晴らしくなっているので総量としてはOKである。2025年もおいしいモーニングのお店を探し出したい。

40.料理のレパートリーを増やす


昨年のリストにも入っていたし、なんなら4年前に作った同様のリストにも入っていた項目。料理のレパートリーはいくら多くてもいい。直近の半年くらいでだいぶ増えた実感はある。茄子と豚肉を甘辛く炒めるのが好き。この前、麻婆豆腐を作るときに豆腐の代わりに茄子を入れたら麻婆茄子になるのでは! と天啓が舞い降りてきたのでやってみたい。茄子のことが好き。

41.ブログを書く


もしかしたら薄々お気づきの方もいるかもしれないが、書くブログが溜まっているのである。読書日記と読書記録のアーカイブも4か月分書かないと追いつかないし(つまり8記事分)、2024年に読んだ本ベスト10ブログは別で書きたい。追いついた暁には読書日記と読書記録で月2回の更新を目指したいのだけれど、いつ追いつくことやら。私はまだこの場所では2024年にいるらしい。がんばります。

42.同人誌に寄稿する


2024年は型月伝奇研究センターの『型伝研通信 Vol.2』と『Binder.』第三号に寄稿させていただいた。2年にわたって行っている試みだが、今年もぜひ続けたい。ほかのところにももしかしたら何か書くかもしれない。人生に締め切りがあると、その壁の前で一旦、自分と向き合うことができる。とてもありがたい機会だし、ほかの誰かによろこばれるのであればなおのことうれしい。1年でも長く続けられるといい。

43.打ち上げに出る


寄稿と打ち上げはセットである。寄稿なくして打ち上げなし。しかし立案者なくして打ち上げなし。ここ3回ほど、文学フリマの後は型月伝奇研究センターの打ち上げに参加しているのだけれど、とても楽しい。打ち上げ奉行の方、いつもありがとうございます。今年もぜひ開催してくださると、私はすごくうれしいです。

44.勉強する


大学を卒業した頃は「勉強なんてもう二度と御免だわ」と鼻を鳴らしていたはずなのに、年々勉強したくなってくる。批評に関してはここ2年で少しずつ(ほんとうに少しずつだけれども)学んでいるので、しばらくはこちらを継続したい。文章の書き方それ自体に対しても、一度かえりみたいところではある。

45.国語辞典を買う


曲がりなりにもひとに読んでいただくつもりの文章を書いているのに、しばらく辞書のない家で暮らしている。今はインターネットがいくらでも辞書代わりになるとはいえ、紙の辞書がそろそろ恋しい。お気に入りの国語辞典を見つけて、枕元に置いておきたいものだ。

46.ラジオをやる


Xのスペースで読書ラジオ『備忘録音』が始まってから、今年の3月で1年になる。どれだけ続くかは決まっていなかったが、かと言って1回で終わらせる気もなかったので、続いているのは驚くことでもないが、聴いてくれている方が多いことにはかなり驚いている。ラジオ聴いてます、びぼろく楽しみですと言ってくださる方がいろいろなところにいて、うれしい。今年もがんばりたい。リスナーさん、いつもありがとうございます。コイづミさん、この前はゲストで来てくださってありがとうございました。片貝さん、引き受けてくださってありがとうございます、再来週はよろしくお願いします。それから虚無さん、ほんとうにありがとうございます。これからも行けるところまで行きましょう。

47.小説を書く


小説を書くことよりも、書くべきものを見つけるほうが難しい、というような内容のことを、昨年6年ぶりに新作を発表した作家が書いていた。ほんとうにその通りだ、と、その苦しみを0.1パーセントも理解できていないくせに言ってみる。世の中に無数の小説が溢れている中で、自分が書くべきものはどこにあるのか。まわりを見渡せば分からなくなる。だからたぶん、私は世界でただ一人、私のためだけに書く。書くべきものを探すために書く。今年は書けないかもしれない。でもいつか必ず書く。きっとそれが最後の小説になる。

 

おわりに

 

ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました! 1万字くらいあったみたいです。書いている間、私はとても楽しかったですが、果たして読んで楽しいものになっていたでしょうか。優しいあなたには今年絶対いいことあります! 2025年もどうぞよろしくお願いいたします。菅谷理瑚でした!

 

odaibako.net

↑ご感想・耳より情報などはこちらにいただけますと大変よろこびます……!

 

文学フリマ東京39(2024/12/1)寄稿お知らせなどなど(H-54 型月伝奇研究センター『Binder.』)

みなさんこんばんは! 菅谷理瑚です!
とうとう明日、12月1日㈰に東京ビッグサイトで開催される「文学フリマ東京39」にまつわるブログです。
文フリ楽しみです。楽しみじゃないですか? 私はとっても楽しみです。そんな感じです。よかったら読んでください。


今回の文フリでは型月伝奇研究センターの奈須きのこ・TYPE-MOON評論誌『Binder.』第三号に寄稿しております。

巻頭特集は「奈須きのこクロニクル」。 奈須きのこの主要な30作の著作解題が掲載されています。
すでにコアなファンの方はもちろん、「奈須きのこのことは前々から気になっているけれど、どこから入門したらいいか分からない!」という、2年前の私のような方にもおすすめです。私自身もまだまだ触れられていない作品だらけなので、こちらをガイドに2025年はよりいっそう型月伝奇研究に注力していきたいなと考えています!
これだけでも充分に素晴らしい評論誌なのですが、その後には計8本の論考・エッセイが待ち構えております。私はこちらに参加させていただきました。「なぜ迦遼海江の四肢は切断されているか?─『DDD』論─」と銘打ち、奈須きのこ『DDD』を論じています。講談社BOXから刊行されている『DDD』は、全4巻での完結が予告されていながらも、2巻で刊行が長らくストップしています。3巻と4巻……読みたいですよね……! 本稿では3巻以降が刊行される未来を願いながら、奈須の狙いを浮かび上がらせることを試みました。
『DDD』を既読の方には改めて読み返したくなっていただけるような、未読の方には興味を持っていただけるような文章を目指しました。型月伝奇研究センターのみなさまのお力添えのおかげで、よいものに仕上がったと自負しています。他の論考・エッセイも力作ぞろいです。ぜひお手に取っていただけますとうれしいです!

1枚目の画像で1ページ目を読んでいただけます。よろしければぜひ!

 

また、こちらのnoteの記事で今号の巻頭言が公開されております。

note.com

『Binder.』の刊行目的が今一度簡潔かつ明瞭にまとめられている文章です。ぜひ一読していただきたいなと思うのですが、私のお気に入りは特にここです。

「巻頭特集=奈須きのこクロニクル」を冠する本誌本号は、作家・奈須きのこの真価を問うべく今一度その作品を吟味し、適切な応答の在り方を模索するものである。過度な賞賛や侮りを退け、より合意的で妥当な価値づけを目指して踊り狂うものである。踊りに連なる者(ダンシングマニア)が一人でも多く現れんことを切に願いながら、われわれは四肢を振り乱している。

イギリス文学者・批評家の北村紗衣はその著書『批評の教室 ――チョウのように読み、ハチのように書く』(2021,ちくま新書)の序盤で、作品批評の目的をこうまとめています。

批評というのは、何をするものなのでしょうか? これについてはややこしい議論がいろいろあるのですが、ものすごく雑にまとめると、作品の中から一見したところではよくわからないかもしれない隠れた意味を引き出すこと(解釈)と、その作品の位置づけや質がどういうものなのかを判断すること(価値づけ)が、批評が果たすべき大きな役割としてよくあげられるものだと思います。

この「価値づけ」が可能であるというところが批評のおもしろいところであると常々私は思っています。ある作品を読んでいて、自分はおもしろいと思ったのに評判を調べると酷評されていて気分が落ち込んだ、なんて経験をしたことがあるひとはいませんか? おそらくほとんどのひとが何度となく繰り返している経験のはずです。

ではあなたはそこで何を「おもしろい」と感じたのでしょう。すなわちどこに価値を見出したのでしょう。これを言葉にしたり、理由を付けて説明できるようになると、『Binder.』第三号の巻頭言で触れられている「より合意的で妥当な価値づけ」に繋がっていきます。読み手が「なるほど!」「それはたしかにおもしろい!」と膝を打ってくれれば、それはもうあなたなりの価値づけであり、批評になるのです。

もっとも解釈が妥当でなければ妥当な価値づけとは遠くなってしまうのですが、さいわい型月伝奇研究センターは団体なので、「これ違うかも……」という部分は他のメンバーが優しく的確に教えてくれます。私も今回の原稿でもこれまでの原稿でも何度も助けられました。改めてありがとうございます! そして奈須きのこ・TYPE-MOONについて何か気になることや考えているということがある、考えてみたいというそこのあなた! ぜひ私(たち)と一緒に踊ってくれたらうれしいです。私は実は踊りは苦手です。でも思いのほか楽しいですよ!

 

なお『Binder.』第三号はメロンブックスでの通販がございます。すでに予約開始しておりますので、気になった方はぜひご予約お願いいたします!

 

では、明日文学フリマ東京に参加される方はお気をつけて! お互い楽しい一日にしましょう! 私も今日は早く寝ます! おやすみなさい、また明日!

2024年8月の読書日記/佐藤多佳子『サマータイム』ほか

今夏の読書日記、その1。


①佐藤多佳子『サマータイム』(新潮文庫,2003)

www.shinchosha.co.jp

今年に入ってから読書ラジオ『備忘録音』を始めた。SNSでの5年来の相互フォロワーである虚無さんと、本にまつわる話をしたりお互いの未読本を紹介し合ったりする音声配信だ。X上のスペース機能を使って生配信したり、Spotifyのポッドキャストでアーカイブしたりしている。その企画の一環で読書会を行った。リスナーのみなさんにあらかじめ告知して期日までにある小説を読んでもらい、感想のおたよりを送ってもらう。のちにラジオを収録し、みなさんの感想を取り上げながら自分たちの感想もしゃべっていく、というやり方だ。何の本なら気軽に参加してもらえるだろう、と虚無さんと考えた末に選んだのがこの佐藤多佳子『サマータイム』だった。

『サマータイム』は4編からなる連作短編集である。初めて読んだのは小学生の時分だった。明確に覚えている内容が一つだけあって、それは表題作で登場人物の3人の子どもが大きなゼリーを食べるシーンだった。今回久方ぶりに再読して、その場面の瑞々しさに驚いたと同時に、一文一文がこんなにもきらめきと切なさに満ちた小説だったのか、と目を瞠った。表題の「サマータイム」だけでなく、「五月の道しるべ」「九月の雨」「ホワイト・ピアノ」すべてが素晴らしかった。永久に読み継がれるべき名作だろう。

短編「サマータイム」はこんな物語だ。小5の進は台風の日のプールで左腕のない少年・広一に出会う。素敵なタイトルは、ジャズ・ピアニストの母を持つ広一が片手で器用に弾いてくれた曲の名前から。1つ年上の姉・佳奈も加わり3人は夏のひと時を過ごすのだが、徐々に距離を縮めていた佳奈と広一が仲たがいしてしまい、広一は秋の頃に引っ越していってしまう。しかし6年後、ドアのブザーは唐突に鳴る。姉と憧れのひとが仲を深めていくときに現れる疎外感や近づきたくて自分もピアノを始めてみる背伸びしたいような気持ちが素朴で美しい文体により活写されていて、胸が張り裂けそうなほどときめいた。プールの水面、ゼリーの表面、8月の路面。すべてがもう戻らない色にしゃらしゃらと輝いている、とっておきの1編である。

それ以外の3編も、佳奈が生命を奪う残酷さに気づく瞬間が収められている「五月の道しるべ」、母の再婚相手を嫌っていた広一に転機が訪れる「九月の雨」、ふたたび佳奈が己の淡い独占欲と終わらない初恋に気づく「ホワイト・ピアノ」と、すさまじい名編ばかりである。夏、春、秋、冬と季節を巡れる作品集になっているところも好きだ。何人もの方の『サマータイム』の感想を読みながらラジオを録った夕暮れ時は、2024年の夏の思い出の大切な1ページとして私の心に収められている。

open.spotify.com

 

②有栖川有栖『日本扇の謎』(講談社ノベルス,2024)

bookclub.kodansha.co.jp

有栖川有栖の火村ものと言えば8年半以上にわたり愛読しているシリーズだが、今回はとりわけ忘れがたい物語だった。舞鶴は布引浜で見つかった記憶喪失の男は、富士山の描かれた扇だけを所持していた。身元が判明して家族の元に帰るも、その家でまた事件が起きて――? という導入である。

17の冬、ドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理』を視聴したことがきっかけで火村シリーズに出会ったのは、いろいろなものの見方の転機であったかもしれないと今になってよく思う。人は誰でも殺人者になりうること。共感はできかねても理解しようとする姿勢は持つべきであること。人間の心は複雑で、事件が解決しても割り切れないものは残ること。どんなに呑み込みづらい理屈でも、人が行動する理由には足りること。そしてそれらにどういったまなざしを向けるかということ。作中人物の推理作家有栖川有栖(以下アリス)はしばしば「自分は何も教える立場ではないから」と「先生」と呼ばれることを避けたがる。しかし私にしてみれば、そういう理由であるならばアリスも「先生」だし、作者である有栖川有栖もまた私の大切な「先生」の一人なのである。

『日本扇の謎』はシリーズ全体を通してみても、いまだかつてなかったほどやるせない物語であった。本作で探偵役の火村英生は真相に思い当たったときに悲しい顔をする。読み終わってみれば、むべなるかな。読み終えてから随分経つが、抜けない棘となって心に刺さり続けている。テーマとしては、居場所(が失われること)や(血のつながりは問わない)家族の話になっており、かなり普遍的であると言えよう。また、前作の『捜査線上の夕映え』(文春文庫,2022)が関西圏すら飛び出す広域の話だったのに比べ、本作が京都のある屋敷の敷地内で短時間で解決するコンパクトさで、その振れ幅の大きさもまた火村シリーズを読む愉しみであろう。その生涯に謎のある男を追う点では、『鍵の掛かった男』(2015,幻冬舎文庫)との併読もおすすめしたい。

居心地の悪さ、折り合いのつかなさ、反対に居場所をもらえたうれしさ、だからこそ生まれる恐怖。何も知らぬまま死んだ男も、巻き込まれた者たちも、たったひと時しか擦れ違えなかった藤枝も、みな孤独でさみしい。そんな中、火村がアリスというよき友を持ち、心を配ってくれる大家の時絵と暮らせている(猫も3匹いる!)ことはせめての救いであった。彼もまたその過去に秘密を隠し持つ男であるが、果たしてそこに手が伸びる日は来るのか。今後も続くであろうシリーズを楽しみに追い続けたい。

books.bunshun.jp

www.gentosha.co.jp

 

③青葉寄『夏に溺れる』(ガガガ文庫,2024)

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受賞が決まったときからずっと読みたかった、小学館ライトノベル大賞大賞受賞作。ガガガ文庫の青い背表紙には、やはり青の表紙がよく似合うので、出来上がった文庫を手に取ったとき、これほど一冊の本として完璧な物体があるのか、と息を呑んだ。炙場メロの非現実的で透き通るようなイラストも素晴らしい。

あらすじはこんな感じ。高校2年の夜凪凛は8月24日、2学期の始業式の日に、留年する前のクラスメイトだった夏乃光から母親を殺してきたと告白される。1年ほど前、光が自殺しようとしていたのを止めなかった日からゆるく、しかし心の深いところで交流を続けてきた2人。彼女に彼は手を差し伸べる。8月31日まで自分たちの殺したい相手を交互に1人ずつ殺していかないか、と。

こうしてあらすじを綴っているだけでも、彼と彼女が過ごした1週間が瞼の裏に浮かんで、寒さではない感覚で体が震える。感傷、退廃、孤独、信仰。あらんばかりの夏表象を詰め込んだデイパックを背負って、季節の奥深くまで潜っていったあのときの感覚を、ありありと思い出せる。たしかに夏だった。暑いあつい逃避行の最中で見た、夕暮れ時の黄金の海、雨に降り込められたバス停、体育祭の喧騒から置き去りにされた中庭のベンチ。読み終わってから振り返ってみればすべてが懐かしい色に輝いている、美しい思い出たち。ずっと2人はどこに辿り着くのだろうと息を殺して読んでいた。概要を見たときに連想したのは三秋縋の『いたいのいたいの、とんでゆけ』と、今夏になって聴く機会に恵まれたカンザキイオリの『あの夏が飽和する』で、たぶんこの作家はそれらとは違うものを見せてくれるのだろうと予感しながらも、予想はまったくできなかった。終わりの場所に立ち込めていたむせかえるような真夏の匂いを、私は生涯忘れないだろうとおもう。そして記憶が掠めるたびに噛みしめるのだ、あれはたしかに夏だったと、やるせない気持ちで。

死にたいわけでも生きたいわけでもない光と凛の倫理観がどんどんズレていく気持ち悪さが常にあり、読んでいる最中はずっと寄る辺ない気持ちだった。今になって考えると、あれは生死の価値も重みももはや感じられないほど追い詰められた少年少女の静かな悲鳴だったのではないかと感じる。先ほど『日本扇の謎』の項で書いたように、そんな2人を「理解できない」と突き放すことは、私にはやはりできないのだった。それに10年前に出会っていたらきっと、私だって自分だけの夏乃光を求めてさまよう亡霊になっていたことだろう。彼らになんと言葉をかけるべきだったのか思案することは、かつての自分を許す言葉を探すことにすこし似ている。青葉寄という作家がもしもこの先の作家人生でその命題に向き合うのだとしたら、それほどうれしいことも他にない。

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④葉月文『天使の胸に、さよならの花束を ~余命マイナスな私が死ぬまでにしたい1つのこと~』(ガガガ文庫,2024)

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葉月文のデビュー作『Hello,Hello and Hello』(電撃文庫,2018)は知る人ぞ知る名作である。表紙もタイトルも語り口もストーリーも何もかもがきれいで心地よいのだ。切ないけれど優しくて、きっと世界でいちばん幸福な物語。新作の『天使の胸に、さよならの花束を』もその系統の小説のようだったので、読みたいなと思っていたところ、SNSのフォロワーであるゆ~た◢◣さんが急に電子書籍のギフトで送ってきてくれた。素敵な物語との出会いをくれたことに多大なる感謝を。

天使のアイと、ぬいぐるみの姿をしている悪魔のディア。もっとも会いたい相手にさよならを告げず亡くなってしまった人たちに、アイは身体を貸すことができる。アイを媒介して、彼らはさよならする。4年待ってとお願いしたのに再会できなかったせんせーに。誕生日を祝う約束を果たせなかった大事な女の子に。家を飛び出したまま今生の別れとなった母親に。叶わなかった最初で最後のデートをしてくれたあなたに。不器用な幼なじみに。5つの再会とさよならが描かれ、最終的にはアイとディアの背景も明かされる。毎話胸が熱くなり、喉が震えた。

とりわけ好きだったのは第2話の晴と虹夏のエピソードだ。雨ばかりだった彼女の人生を晴れ晴れしたものに変えてくれた大切な男の子。誕生日を祝ってくれる約束は叶わなかったけれど、アイの姿を借りた晴と虹夏があることを成し遂げるクライマックスは、どう転んでも美しくて晴れやかなものだった。連作短編集なので、虹夏はその後ちょっぴり再登場したりもする。うれしくさせてくれる演出だ。全体を通してちょっとした文章や表現が巧みなのは、デビュー作から変わらない。登場人物全員の幸福を、純粋に祈りたくなる。

アイとディア、2人の旅がもっと続いてほしいなと希っていたら、2巻の制作が進行中との情報が飛び込んできて、笑顔になった。アイとディアが未練なくさよならできるその日まで、どうか見守らせてほしいなと思う。

 

おわりに

振り返れば。8月はある地点でぷつんと断ち切られたはずのものが再開されるさまを見つめていた記憶ばかりが残っている。佳奈や進と広一の関係は終わったはずだった。彼は家を飛び出し戻らないはずだった。夜凪凛は出会ったとき夏乃光に背を向けたはずだった。一度命を落とせばふたたび会うことは叶わないはずだった。今回挙げた4作以外にも多くの本を読んだが、印象に残っている箇所をなぞったら、自然とそういう話になった、ので、最後にそういう話をする。

いくつもの「はずだった」の先にきょうび私は立っていて、一人になった瞬間にふと、この先にほんとうに道が続いているのか、不安に襲われる時間が多い夏だった。考えるという行為が怖くて、だから筆も進まず、休んでいたら焦りが募って、どうしたものかなと悩んでいたら、いつの間にか秋が終わって冬が来た。ああ、こんな風に続いていくんだな、と分かって、いくらか気が軽くなった。

つながりたい、と願っている限りひととひととの関係がそう簡単に終わらないように、進みたい、と望んでいる限り目の前の道は生半可なことでは途切れないのだろう。であるならば、あとはどこに行きたいか、それだけで、その「それだけ」を決めるのがおそろしく難しい。今、ここで「それっぽい」結論を出していい感じにブログを締めることは、もう少し考えたらできるとは思うのだけれど、たぶんそれは嘘、にしかならないんじゃないかという気がするので、やめておく。「それっぽい」ではない、胸を張って「これ!」と言える「それ」を、きちんと探したい。できれば冬が終わる前に、みつけられればいいなとおもう。

2014年8月の読書記録/七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』ほか

前回の記事の最後で予告した通り、十年続いた読書ノートから十年前の読了本をいくつか取り出して並べてみる。できれば十年間、毎月続けられればいいなと思うのだが、さて。

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ひとまず第一回、2014年8月の記録。

 

 

①七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(宝島社文庫,2014)

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高校1年生の夏休み。たぶんだいたい8月8日くらいのこと。いつものように最寄りの本屋さんに出かけると、ひときわ目を惹かれる新刊を見つけた。不思議なタイトルだった。イラストは有川ひろ『植物図鑑』でおなじみのカスヤナガトさんで、著者名にもどこか見覚えがある。当時の私はすでに「書店での運命の出会い」をあまり経験しなくなっていたのだけれど(新刊情報をいち早く入手することはこの時点でライフワークとなっていた)、久々に一目惚れだった。それは本作で南山高寿が福寿愛美に対して落ちた恋と似ていた。

当時の感想にはこうある。

帯に「彼女の秘密を知ったとき、もう一度読み返したくなる」と書いてあるけれど、本当だった。二度目は、愛美の心情を追いながら読んでみたい。

二度読み必至系の惹句は、当時はまだあまりなかったように記憶している。2014年といえば住野よる『きみの膵臓をたべたい』やスターツ出版文庫発刊の前年だ。体感としては、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』のヒットから同系統の作品が増えてきたように捉えている。『ぼく明日』『キミスイ』の2年連続大ヒットはなかなかに印象深い。その頃はすでに「もう100万部売れる新刊は出ないでしょうね」との言説が出回っていたのだが、そんなことはないでしょう、小説もまだまだやるでしょうと、世界に対して何目線なのか分からないほくそえみ方をしていた記憶がある。

『ぼく明日』のあらすじはこうだ。ある日、大学生の高寿は通学電車の中で一目惚れをする。途中下車した彼女を追いかけて声を掛けると、別れのときに彼女が泣き出してしまう。その後、再会した二人は付き合うようになるのだが、彼女――愛美はよく何でもないところで涙を流す。次第に言動にも不可解な点が混ざりはじめ……?

秘密を抱えた彼女が、それでも目を円くして微笑んだとき、その笑顔を覚えているからこそ、私たちは高寿と一緒に過去を振り返って彼女の気持ちに寄り添いたくなる。避けがたい運命を二人で受け入れ、心を一つに歩いていくということ、のまぶしいきらめきが残されている一冊だ。

口コミでじわじわと火が付き、いつの間にか爆発的に売れていた。私はそれを、文化祭のステージで音を奏でる雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣を体育館の後ろで眺めていた比企谷八幡のように、満足げな顔で見守ったものである。

 

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②野﨑まど『[映]アムリタ』~『2』(メディアワークス文庫,2009-2012)

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野﨑まどという作家がいる。しばらく新作を出していなかったので、そろそろ名前に聞き覚えのないひとも増えてきたかもしれない。しかし、いるのである。時に奇才と称される、私のとても好きな作家だ。初めて知ったというひとも安心してほしい。再来月、実に4年半ぶりの新作を携えて帰ってくる予定だ。

野﨑まどと私の出会いは、2014年8月、からさらに数年遡る。この作家はメディアワークス文庫の創刊ラインナップにいたひとで、その年の電撃小説大賞でメディアワークス文庫賞を取ってデビューした。『[映]アムリタ』という小説を、私はいわゆる「ジャケ買い」した。表紙の女の子がべらぼうに好みの顔をしていたからである。彼女が最原最早という名前であることも、とんでもない人物であることも、知らずに読んだ。

今でこそ『[映]アムリタ』~『2』の野﨑まど初期6部作が一続きの物語であることは隠されていないが(新装版では6作とも森井しづきさんがイラストを担当するなど明らかに連作である顔をしている)、昔は周知されていなかった。2012年8月25日に『2』が出るまでは、おそらく誰もそのことに気づいていなかっただろう。当時の私はSNSをやっておらず、たまに同好の士を求めて2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の「野﨑まどスレ」を見に行っていたものだが、5冊がすべて同一世界上の物語であると予測できていたファンはいなかった。私も3冊目の『死なない生徒殺人事件』を読んでいない状態で『2』を読んでしまったくらいである。これは私の長い読書人生の中でもトップクラスの失敗だ。なので、今から野﨑まどを読むそこのあなた! 初期6部作は刊行順に読みましょう。厳密には刊行順でなくてもいい部分のだけれど(『パーフェクトフレンド』の前に『[映]アムリタ』を読むことと、『2』の前に5作全部読むことさえ守れば問題ない)、たぶん刊行順が楽だとおもう。

ここでは1作目の『[映]アムリタ』のあらすじを説明しておく。大学生の二見遭一は最原最早という少女に「映画に出ませんか」とスカウトされる。監督・脚本・絵コンテすべてを彼女が担っている作品だ。その「月の海」という作品の絵コンテを読んだ二見の身に異常なことが起きる。なんと彼は56時間その絵コンテを読み続けてしまったのだ。

公式のあらすじには「異色の青春ミステリ」とある。たしかに謎があり、青春がある。しかしほんとうに異色だ。初読の感想は残念ながら残っていないが、どうやら2014年8月に久しぶりに読み返した私は綺麗さっぱり、オチまで忘れた状態で読み返すことができたらしい。なんて幸福なひと。今の私は筋をすべて説明できるが、そういえばこのとき以来読み返した記憶はない。読み返さなくとも、最後の一文までもをはっきりと思い出すことができる。この月に私は『[映]アムリタ』から『2』までの6作を読み返しているのだが、『2』の感想だけは空欄になっている。読書ノートを始め立てであの小説の感想を書くのはきつかったらしい。どこから手を付ければいいか分からなかったのだろう。しばらくぶりに読み返して宿題を取りに行くのも一興かもしれない。

そういえば『2』を読んだときのような衝撃は久しく味わえていないし、野﨑まどに代わる奇才にも出会えていない。かくなる上は野﨑まどに4年分が詰まった新作を引っ提げて帰ってきてもらうしかない……と思っていたら、数日前に新作のタイトルが発表された。『小説』というタイトルであるらしい。今のところ、詳細不明。とてもうれしい。

 

③河野裕『いなくなれ、群青』(新潮文庫nex,2014)

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2014年8月28日を、私は数か月前から楽しみにしていた。この日は新潮文庫nexの創刊日。『サクラダリセット』の河野裕や『とらドラ!』の竹宮ゆゆこが第一回配本のラインナップにいるだけでもワクワクするのに、好きな作家の名前が複数あるアンソロジーが出たり、次の月には相沢沙呼の新作も出るのだからたまらない。幸いにも学校が昼までの授業だったので、一緒に下校した友人と連れ立って駅の書店に行き、越谷オサムが好きな彼女にアンソロジー『この部屋で君と』を勧めて、自分は『この部屋で君と』と『いなくなれ、群青』を買って帰った。

あらすじはこんな感じ。語り手の高校生・七草少年は「捨てられた人々の島」で穏やかに暮らしている。そこでは携帯電話の電波は届かず、インターネットに書き込むこともできない。島に来た人間はもれなく島に来る前後の記憶を失っていて、どうやって自分がここに来たか説明できない。何よりその島からは普通のやり方では脱出することができず、出るためには「失くしたものをみつけないといけない」とされている。島の中央には長い長い階段があり、のぼり切った先では魔女が暮らしているらしいけれど、ほんとうのところは誰も知らない。七草少年はある朝、海沿いの道でセーラー服の少女をみつける。彼女の名前は真辺由宇。七草の昔の知り合いにして、彼がもっとも会いたくなかった相手だった。真辺は島から出ようと試み、七草はそれを手伝うのだが……。

『いなくなれ、群青』から始まる階段島シリーズは全6巻、ちょうど平成の終わりと共に完結した。しかし単体でも(いくつかのさりげない伏線は残るものの)とてもおもしろく読める。五感に訴えかける美しい情景描写、七草から真辺由宇へのひと言では言い表せない複雑な感情、真辺由宇のまっすぐな性格、そして階段島の真実。それらが落書き犯捜しや島からの脱出といったメインストーリーにおごそかに絡みつき、一つの物語を形成している。十年前の私は、間違いなく一瞬で心奪われた。今の私にとっても、どうしようもなく忘れられない小説の一つだ。

河野裕は現在もコンスタントに執筆活動を続けており、階段島シリーズの完結後、新潮文庫nexからはシリーズもの『さよならの言い方なんて知らない。』を刊行したり、いくつもの出版社から単巻完結作品を発表したりしている。最新作は『彗星を追うヴァンパイア』。素晴らしい小説だった。未読の方はぜひこちらもチェックされたい。

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④庵田定夏『アオイハルノスベテ』(ファミ通文庫,2014)

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かすかな記憶を保持したまま高校生活をやり直すことになった少年・横須賀浩人が、うだつの上がらなかった三年間を変えるために全力で足掻く物語。『ココロコネクト』を完結させた庵田定夏が打ち出した次のシリーズで、舞台となる輪月高校内でしか効果を発揮しない輪月症候群という能力が登場する。なぜ浩人が三年やり直すことになったのか、巻き戻す能力を発動した少女は誰なのか。いくつもの謎が散りばめられているほか、青春小説としてもラブコメとしても魅力的な物語が展開され、お気に入りの作品である。

私はこの頃ファミ通文庫の新刊を毎月の勢いで購入していた。なんせ野村美月が2シリーズをおそろしいまでの正確さで刊行しており、他にも複数シリーズ読んでいる作品があったからである。この『アオイハルノスベテ』についても、非常に楽しみにしており、うまく完結すれば自分の中で『ココロコネクト』を超える作品になるだろうとの予感が1巻を読んだ時点ですでにあった。

ライトノベルでクオリティの高い青春小説が読めるレーベルといえば、間違いなくファミ通文庫であった。青春の青は私にとって、ファミ通文庫の青だったのである。

しかしファミ通文庫も異世界人気の波には耐えられず、看板作家に次々と異世界ものの小説を書かせていった。『アオイハルノスベテ』もまたその余波を受けたシリーズである、と私は思っている。なんせ3巻までと4,5巻で話の進むペースがまるで違うのである。世界設定が足早に明かされていくのを、2年後の私は悔しい気持ちで見守ることになる。でもこのときの私はそんなことは知らない。物語の行く末に、純粋に心躍らせていた。全5巻の『アオイハルノスベテ』はたしかに名作である。しかしながら、庵田定夏が当初想定していた速度での『アオイハルノスベテ』は、きっと傑作だったろうと想像するのである。

庵田定夏の最新作は一昨年MF文庫Jより刊行された『僕たち、私たちは、『本気の勉強』がしたい。』。田舎の町から東大を目指す受験ものだ。続刊や新作を心待ちにしている作家の一人である。

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おわりに

十年前を振り返りながら、十年経った今でも話したくなる、そして十年後にも語り継がれていてほしい4作を選んで取り上げた。これは一つの私なりの価値づけであり、十年続ければ何らかの体系が立ち上ってくるものなのかもしれない。ささやかな期待を込めつつ、一歩踏み出してみる。

そしてやはり十年前だけ記録するのではバランスが悪いので、2024年現在についても同タイプの記事を書きたい。なんせおもしろい小説は、今も無数に発表されているのである。

読書ノートを十年続けた話

きっと十年後、この毎日のことを惜しまない。

 

高校一年の夏から付けている読書ノートが、先月めでたく十周年を迎えた。

 

書き始めたきっかけは、よく思い出せる。七月隆文の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を読み終えた直後、この感情をどこかに残しておきたいという衝動が突然生まれた。手を動かして文章を書く機会が減ったことに、ちょうど危機感を覚えていた頃だった。黒板の板書を写したり、問題を解いたりする場面は多いものの、自分が考えたくて考えた内容を記しておく場所を、そのときの私はもうすっかり失っていたのだ。

 

いつまで続けるか、書いた感想をどうするか、まったく考えていなかった。ノートの一文字目に①と書いた高一の私の耳元に、そのノート十年続くよ、と囁いたら、彼女はどう反応するだろう? 想像できない。十年前、十年後の未来を想像できたためしなんてなかった。今の私が十年後の未来を思い描けないのと同じように。

 

十年前の自分が何を考えていたか再現することは困難だけれど、書いた感想の端々から、彼女が何に心惹かれ、何を楽しみに生きていたかを感じ取れる。今とそう変わらない。おそらく読書ノートを始めて張り切ったのだろう、野﨑まどの六部作や米澤穂信の小市民シリーズの再読に勤しんでいる。『秋期限定栗きんとん事件 下』の感想には「ここまで大きな事件を扱ったからには、『冬期~』にはもっとすごい事件を……と思ってしまう。気長に待っておこう」と書いてあった。ねえ、約十年待ってやっと読めたよ! うらやましい?

 

また、その月の終わりには怒涛の新刊ラッシュがあったらしく、新潮文庫nex創刊に合わせて河野裕『いなくなれ、群青』とアンソロジー『この部屋で君と』を、ファミ通文庫の発売に際して野村美月『吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる②』と庵田定夏『アオイハルノスベテ』を読んでいる。もう二学期がスタートしていたはずなのに、綺麗に一日一冊。素晴らしい、当時の私はそういえば、積読をまったくしなかった。

 

先月、SNSのアカウントで「読書ノートが十周年を迎えました!」と報告すると、大きな反響があった。十年の継続はそれなりにインパクトを与えるものらしい。続けられた理由は、いくつかある。感想を胸の内だけに留めておくと苦しくなってしまうようなおもしろい小説がたくさんあったから。ナンバリングと題名と作者と版元と読み終えた日付と感想のみをシャーペンで書く、というシンプルな中身にしていたから、一冊ごとに書ける分量が決まっているノートではなく、ごく普通の罫線ノートを使うことで二行でも十行でも一ページでもいい形にしていたから。そしていちばんは、他の誰に見せるためでもなく自分一人のためだけに書いていたから。

 

冒頭に引用した一文は、米澤穂信『氷菓』の一節だ。「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」をモットーとして生きる主人公・折木奉太郎に、海外を旅してまわっている奔放な姉・供恵が送った手紙、その中にあった文章を、最近は折に触れて思い出す。

 

十年前の私はどこに行ける自由もなく部屋にこもってひたすら小説を読んでいた。読むことと書くことだけは唯一好きにできる場所だった。あの時代については正直に言えば惜しむことだらけだし、彼女はいろいろをもっとうまくやるべきだったのではないかとおもう。しかしながらたくさんの本を読んで今の私の血肉となる部分を作ってくれたこと、読みながら考えた内容まで残してくれたことは、とにかく感謝の念に堪えない。だから私はこれからも読書ノートを作り続けると決めている。この一文が、一言が、もしかしたら十年後の、どこにいるかも分からない私を助けるかもしれないと想像しながら書き続ける。

 

振り返ってみると十年前の読書もなかなか充実のラインナップだったので、ひと月ごとに三~四冊ピックアップして雑感を書いていってもいいのでは、とは思っている。しかしそれだとバランスが悪い気がして、今読んでいる本についても同じことをしたくなる。そろそろこのブログについても定期的に動かしていきたいものだ。十年続いたら素敵だし、なんかこう気軽な感じで。

文学フリマ東京38(2024/5/19)寄稿お知らせなどなど

みなさんこんばんは、菅谷理瑚です。今日はお知らせブログなので敬体です!

5月19日㈰に開催される文学フリマ東京38で頒布される2冊の本に寄稿しています! 1冊はレプリカ編集委員会『レプリカ vol.2』、もう1冊は型月伝奇研究センター『型伝研通信Vol.2』です。それぞれ簡単に概要をまとめましたので、気になっている方はぜひぜひご覧ください! 前者は通販があり、後者はWebでの無料公開が予定されているので、文フリに来られない方もチェックしていただけたらものすごくうれしいです。

 

①レプリカ編集委員会(俺ガイル研究会)『レプリカ vol.2』(第一展示場K-18)

 

ご縁があり参加させていただいている俺ガイル研究会の『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』考察集に寄稿しています。こちらは昨年末のコミックマーケット103でも頒布された同人誌で、文学フリマでは初頒布となります。

私が寄稿した文章はこちら。

 

『俺ガイル』を含め4作品を扱っており、かなり長めの論考になっています。関心のある章だけ読んでいただいても、結論だけ読んでいただいても、お好きな読み方をしていただいてほんとうに構いません! 読んでくださった方が『俺ガイル』や雪ノ下雪乃について、あるいは好きなキャラクターについて考えたり、〈物語〉シリーズや『はがない』や〈古典部〉シリーズに触れたり読み返したりするきっかけになればいいなと思って書きました。私の寄稿文以外も、寄稿者の方々の俺ガイルへの愛と魂がこもった文章ぞろいの本になっています。ブースで頒布される『レプリカ vol.1』や他の本とともにぜひよろしくお願いいたします!

 

 

こぼれ話。最初は「ちょっと多く書きすぎちゃったかな……?」と様子を窺いながら提出したところ、他の寄稿者の方々はもっと長かったため安心し、完成稿は初稿の1.5倍の分量になった、という経緯があります。たくさん文章を書くのは楽しかったです。楽しんでいるところが伝わったらいいなと思います!

通販はこちら。

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2274973

 

 

②型月伝奇研究センター『型伝研通信Vol.2』(第一展示場J-36)

 

こちらもご縁があり参加させていただいている型月伝奇研究センターの『型伝研通信 Vol.2』にエッセイを寄稿しています。こちらは会場限定頒布の小冊子で、文フリ後にWebで無料公開の予定となっております。

私は「他の誰でもなく私が書く意味、あるいは型月伝奇研究センター加入レポートvol.2」と題しまして、書くことについてのエッセイを寄稿しています。昨年『型伝研通信vol.1』へ寄稿した「批評ぎらいだった昔の私へ、あるいは型月伝奇研究センター加入レポート」の続編を意識しましたが、もちろん単体で読んでいただけます。どこまで行っても私が考えていることの話ではあるのですが、それでも誰かにとっての何かになればいいなと願いながら書きました。少しでも楽しんでいただけますように!

 

ブースのお品書きはこちら。

 

今回は型月伝奇研究センターと少女書類偽造詐欺事件の合同スペースになっております。奈須きのこ・TYPE-MOON評論誌『Binder. 創刊号』も、ダンガンロンパシリーズ二次創作犯人当て小説本『ダンガンロンパFF 雨の記号、そしてハッピィ・バースデイ』も、どちらもとても素敵な本です! 併せてチェックお願いいたします。

 

ひそひそ話。『型伝研通信Vol.2』はワンコインでの頒布となるそうなのですが、どの寄稿者の文章もすさまじいものがあり、またかなりしっかりしたつくりの小冊子なので、自分で10部買って「最近こんなことしてるんだよ~」と言いながら友人・知人に配り歩きたい気持ちでいっぱいです。それくらい好きってことです。

 

ちなみに私の寄稿した『Binder.第二号』の通販ページはこちら。今回は文フリでは頒布されませんので、気になる方は通販を利用していただければと思います。

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2142288

 

以上2冊でした。文学フリマ東京38当日はどうやら暑くなるようですので、参加される方はどうかお気をつけて! 私も気をつけます。一部の時間ですが(詳細未定)、K-18ブースで店番をさせていただくため、声を掛けてくださったら非常によろこびます。

 

などなどの部分。最近Xのスペースでフォロワーさんと『備忘録音』という本の話をするラジオをやっているのですが、お知らせの一環ということでアーカイブを貼っておきます!

 

なんとSpotifyでも聴けます!

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こちら『備忘録音』に関しては近日中に何かあったりなかったりするかも……? 楽しみな方はお楽しみに! ちなみにちなみに、私はお喋りするのとっても楽しいです。

 

ではみなさんよい週末を! 菅谷理瑚でした!

『冬期限定ボンボンショコラ事件』を読み終えて(この時代を忘れないための短い記録)

ああ、終わってしまった。夢にまで見た冬期限定。喉から手が出るほど読みたくて、何度もページを閉じてしまうくらい読みたくなかった冬の物語を、とうとう読み終えてしまった。余韻に浸りながら感想を書いていたら完結がほんとうにつらくなってきて、三時間ばかり不貞寝してしまった。素晴らしい小説だったこととは無関係に、心のどこかが受け入れたくないと叫んでいる。

 

いろいろ予想はしていた。秋はあんな風に終わったけれど、小佐内さんと小鳩くんの関係性は冬が始まる頃にはどうなっているのかな。中学時代に二人が小市民を志すきっかけになった事件は触れられるのかな。小鳩くんは大丈夫かな。小佐内さんや健吾が小鳩くんに情報を持ってくるのかな。でも受験だしな。最後に二人はどんな選択を下すのかな。今の米澤穂信が書く冬は、秋を書き上げたときの米澤穂信が想定していた冬とどれほど違うのかな。何が来ても耐えられる覚悟をしていた、とまでは言わないものの、ある程度までは考えていたのに! やはり本物の『冬期限定』の衝撃は想像よりも遥かに大きかった。それは(こんなことはいまさらわざわざ一読者が言うものでもないがあえて言おう)、米澤穂信の作家としての力量の凄まじさを示すものであるとともに、己の弱さの発露でもあったように思う。

 

どこかで終わらない気がしていた。『冬期限定ボンボンショコラ事件』の刊行予定が発表された2023年12月15日。〈小市民〉シリーズのアニメ化が発表された2024年1月12日(午後6時だったことすら覚えている)。そして冬が終わり春になってもなお、心のどこかで完結の日は、冬がくる日は一生こないと信じたがっていた。その結果がこれだ。いつかは受け止められるだろう、けれど今はまだちょっと難しい。これから何度も何度も読み返して、自分の中でこの冬の物語の形が定まるとき、私はどんな人間になっているのだろう。

 

小佐内さんと小鳩くんは高校三年生で、今の私とはだいたい七歳ほどの開きがあるのだけれど、この小説は間違いなく今・このときの私のための物語だった。もしも七年早く刊行されていればどうなっていただろう、いろいろな決断が違ったかもしれない、と少しだけ悔しくて、その仮定には夢しかないと首を振る。あのときの私が読んでも、今の私ほどには響かなかった。なんせ今よりさらに未熟なので。だからやっぱり、今・このときでよかったのだ。

 

これは完全に余談だが、『冬期限定ボンボンショコラ事件』のクライマックスで米澤穂信が小鳩くんに与えたようなことを、これから私は自分に与えなければいけない。できるかな。とてもとても心配だけれど、幸い七年多く生きてきて、いろいろなおまもりも宝物も側にあるので、なんとかなるにちがいない。時間はかかるだろうけど。一段ずつ、焦らず。

 

さて、心のどこかが受け入れたくないと叫んでいても、区切りはつけなければいけない、ということで! 米澤先生、素敵な物語をありがとうございました。小佐内さん、小鳩くん、高校生活ほんとうにお疲れさまでした。さよならではあるけれど、でもページを開けば私はいつでもあなたたちに会いに行けます。読みながら感じていたすべてを思い出すことができます。だからどうか、これからも生きて行ってください。いつか出るであろう最後の短編集が、今はとても楽しみです。

 

(2024年4月27日 菅谷理瑚)

 

 

ネタバレ込みの感想はまたそのうち。