ドラゴンクエストのモンスターの命名法について

 ドラゴンクエスト3あたりから顕著なんだけれども、ドラクエに多数登場する、グラフィックは一緒だけど、色を変えることで、バリエーションを増やしているモンスター、所謂色違いモンスターの命名法にはあるロジックがある。それは、


 カタカナの名前のモンスターと、ひらがなの名前のモンスターが交互に出るっていうロジックである。


 このロジックをもっとも突き詰めたのが、ドラクエ4である。適当に例を挙げてみよう。


 リリパット→どくやずきん→アローインプ
 ダックスビル→ももんじゃ→メイジももんじゃ
 みならいあくま→ベビーマジシャン→ひとつめピエロ
 ピクシー→おにこぞう→バアラック


 ほらね。例外はいくつかあるけど、、基本的にはこのロジックでモンスターが命名されている。(ドラクエ3あたりはこの規則がまだちょっと曖昧、ドラクエ5では逆に崩れているんだけど、この理由はまた別の機会に)

 
 この命名規則により得られるメリットは、同じような敵なのに、ひらがなとカタカナにするだけで、印象が大幅に変わるってことだ。


 たとえば、序盤に登場する、いたずらもぐらというモンスターの色違い版として、キラースコップというモンスターが出るんだけれども、前者よりも、後者のほうが、明らかに強そうだって感じしませんか?実際強いのは、キラースコップの方です。


 ドラゴンクエストの一作目はこのロジックを採用してはいなかった。ドラクエ1の命名法は
足し算的なロジックで命名されていた。例を挙げよう。


 スライム→スライムベス
 ドラキー→メイジドラキー→ドラキーマ
 リカント→リカントマムル→キラーリカント
 ドラゴン→キースドラゴン→ダースドラゴン


 このように、ベースとなる名称に、付属の名前、メイジだのダースだのを付け加えることで、敵がパワーアップした感みたいなものを演出しようとしている。だが、このロジックはドラクエ2あたりは、まだ引き継いでいた部分があるけれども、ドラクエ3あたりで大分減退する。


 この足し算型のパワーアップ命名ロジックは、ドラクエ1が一対一の戦闘形式だったから、有効だったのではないだろうか?敵が一人しかでない場合、その一体の敵の強さが全てであるため、その敵の強さを正確に把握する必要がある。そこで、敵の強さというものを初見でも感じられる命名にしたほうが、ユーザー的にありがたい部分が多い。だから、このような命名法を採用したのではないかと私は考える。いや、単にウィザードリィとかの影響思いっきり受けてるだけって話かもしんないけど。



 しかし、ドラクエ2以降のパーティー式の集団戦闘となると、敵一体の強さ以上に、敵の組み合わせの強さが重要となる。こうなると重要なのは、敵の強さってよりは、敵のバラエティや、違いなのである。そこで、カタカタ名とひらがな名を交互に登場させるという、よりバラエティに重心を置いた命名法を採用したのだと思われる。


 ちなみに、このパワーアップ型命名を引き継いでいるゲームがポケットモンスターである。ポケモンって3段階くらいに進化したりするし、基本一対一戦闘でしょ?


 とまあこのように、ドラゴンクエストというゲームは、ひらがなとカタカナの響きや、そこから想起されるイメージの違い、みたいなものを最大限活用しながら作られたゲームなのである。
 

 このことをさらに突き詰めて考えていくと、ドラゴンクエストというゲームの本質に行き着きます。なぜ?ドラゴンをクエストしていくこのゲームは、やくそうを8Gで買い、こんぼうやらどうのつるぎをそうびして、冒険の旅に出るのか?なぜ、ドラクエはここまでひらがなを多用するのか?これについては、また機会を改めて。