津波被災の記録147

 あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。
 さて、昨年の後半は調査資料の作成等を含め慌ただしく整理するものが貯まるばかりになり机周りは悲惨な状況となりはてました。

 復興事業もピークは過ぎ、本年はゼネコン各社の撤退も本格的になります。スーパーゼネコン四社の技術者の質の差など様々見る機会があったわけですが、本当に碌でもない技術者をこれでもかというほど投入する会社もあれば、力量等も含め唸るような技術者を送り込む会社もあるなど経営方針の差を見る機会に恵まれたと言うこともできました。若年技術者層の薄さを確保するため大量雇用に踏み切ったゼネコンでさえ社員教育する現場に恵まれていないことも含め「官から民へ」「コンクリートから人へ」が日本の技術力をどれほど低下させ「人への投資」を怠ったかを目の当たりすることに成りました。
 
 世界市場の需要取り込みのためには、国内実績の蓄積こそがその源泉であり「人への投資」へと直結していたのですが、公共投資を「ムダ」として結局は「人への投資」をケチってきた結果、海外投資へと資金を振り向け国内投資を官民とも怠った結果、東芝を始めとして揺らぐことに成りました。

 公的支出の弱体化は「人への投資」を怠ることそのもので、小さな政府が如何に間違った方向だったかを思い知らせる結果となっています。

 「お金を刷れば解決する」のは確かですが、それは「公的支出(地方財政も含む)拡大」と「通貨流通速度」を維持するための「課税強化(消費税増税含む)」はセットになります。復興需要の拡大と縮小は如実に表しているので、わかりやすい事例ですね。

 これから被災地は福島県以外は緊縮財政へと向かい、それが復興需要を取り込んでいた他の地方自治体も税収が減り、日本国内の緊縮財政が強まる向きもあり、阪神淡路大震災、中越地震での経験を生かし切れずに沈むか地方にとっては、東京都の利益移転次第ということに成ります。

 復興税を原資とする復興事業で「交流人口拡大」をした被災地が、内陸部への人口移転を強制させた「嵩上げ」によって減少した人口を回復することはなかなか困難です。経営学での「交流人口拡大」論は公的支出拡大無くしては成立しないビジネスモデルでしかなく、口だけの「観光」では何の足しにもならないです。

 民間主導の経済成長という小さな政府では、地方の縮小は止まらず東京一極集中に歯止めはかからず、技術者が集約する地域は県庁所在地しか残らないかもしれませんね。