銀色の念書

思いの丈を綴ります。

この身の丈で戦う

稲葉浩志 6th Album 只者


当時、還暦間近である稲葉浩志の心情を、その姿をありのまま曝け出す。

※独断と偏見で感想や解釈を語りますので、ご理解いただいた上での閲覧をお願いします

Discography

稲葉浩志

Title: BANTAM

6th Album 只者 2024.6.26 Release

Music/Lyric/Arrangement/Vocal: 稲葉浩志

Arrangement/Background Vocal/Programing & All Other Instruments: 蔦谷好位置

Arrangement/Background Vocal/Programing & All Other Instruments: KOHD

Drums: 玉田豊夢

Bass: 日向秀和

Guitar: DURAN

Background Vocal: 釣俊輔

Thema

稲葉さん自身の心境を歌っている。

そしてタイトルは格闘技で用いられる階級であるバンタム級のことだと思われる。分類としては軽量級になる。稲葉さん趣味で格闘技観戦してるらしいしね。

ちなみにバンタムは小さなニワトリやチャボのことらしい。

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稲葉さんとチャボといったら『チャボエンジニアリング』が記憶の引き出しから出てくる。同じバイク乗りとして。稲葉さんの愛車のハーレーはここでカスタムされている。

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格闘技については福山雅治さんとの対談でも語っているよ。

Sound

B'z初期を彷彿とさせるデジタルロックを現在の稲葉さんがソロワークスの範疇で歌う。重いのに疾走感満載のベースラインが目立つロックサウンドが萎えた心を駆り立てるようだ。

良い意味でこれまでの稲ソロっぽくない仕上がりになっている。

ちなみにアルバム『只者』に収録されている『NOW』と同様に蔦谷さんが編曲している。

Lyric

イントロから重低音の効いた刺々しいベースラインがとってもかっこいい。

痩せっぽちと舐められようと

構わないゾクゾクするくらい

稲葉さんはかなりの細身。若い頃、一時期は筋肉隆々の時もあったが、この時期はやつれ気味だった印象。B'zの35周年ライブやソロワークスもあり多忙だったからか?

それでも周りからとやかく言われようと気にしない。むしろゾクゾクして気持ちよくなっている様子。

無理に自分をデカく見せるのは

つい最近やめたところですわ

虚勢を張らない、ありのままの自分を見せるようになった心境を赤裸々に告白する。稲葉さんらしいね。

天国あたりまで続いてる

階段探して駆けよう

ここでいきなり歌詞のテイストが変化。

嘘偽りを捨て、ありのまま寿命を全うして幸福のある極楽浄土を目指している的な?そこまで大袈裟ではないけど、ニュアンス的にそう感じた。

追いすがれど 恋焦がれど

すり抜けてく夢のshape

問いかけれど 大いに叫べど

返事のない荒れ野に一歩 今一歩

いまだにどんなに夢を追いかけていても掴めない。そしてどこにも答えなんてない。とにかく着々と努力を一歩一歩積み重ねを続けるのみ。

アルバムのタイトル『只者』に通じるものがある。

敵わぬ才能 指咥えて見てる

隠しきれぬ苛立ち

嫉妬心に染められた怒り。他人を羨んで妬む。たとえ稲葉さんであってもそれは同じ。一人の人間だもの。

自分だって代わりの効かない

存在だと思われたいじゃない

個人的には稲葉さんの代わりは誰にも効かないと思うが、他にも面白いバンドやカッコいいボーカリストはいる。そういう人たちにとって代わられるのではないかと心配している様子。

サッカー界ではメッシやクリスティアーノ・ロナウドが第一線から居なくなってしまったが、次世代のスターであるアーリング・ハーランドやエムバペが台頭してきている。どこの業界でも新陳代謝は繰り返しおこなわれている。

この身の丈で戦う

損してるなんて もう思いません

時が経ち、自分自身を理解して他者への尊敬の念も持っているからこそ、達観して物事を理解できたと心境の変化を歌っている。

追いすがれど 恋焦がれど

すり抜けてく夢のshape

弾かれても 忘れられても

皆寝てる間に進め そう進め

周りに拒絶され忘却されようと、とにかく只者はただただ励むのみ。そう言っているようだ。

この後に間奏の途中で変則的にブレイクが入ったりして、初見だとリズムがとりにくいかも。

追いすがれど 恋焦がれど

すり抜けてく夢のshape

足りないなら まだ錆びてないなら

千回でも繰り返せ 繰り返せ

気持ちが挫けず夢への執着が続く限り、何回でも挑戦し続けると宣言。努力の塊だ。

最後は『na na na...』のコーラスで締める。

総評

ベースが主体の激しいデジタルロック。そこに稲葉さんの生き様が反映されている。

リリース当初は稲ソロっぽくなくてなかなか馴染まなかったが、アルバム単位で聴くとバランスよく感じた。

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カッコいいMVもあるので気になったら是非。タイトルの由来でもあるニワトリもちゃっかり出演している。