2009年 11月 06日
失われたアフガニスタン戦争の目的 |
今日のイギリス南部は昼までけっこう晴れていたのですが、午後から西側に雲が増えてきまして、かなり気温も下がっております。
アメリカでは相変わらずアフガニスタンについての戦略会議がホワイトハウス周辺で盛んに行われているようですが、先日のマイケル・ホー氏の辞職事件のおかげで「アフガニスタンのベトナム化」という論調の議論が増えてきました。
この中でも日本に紹介されていない面白い議論が色々とあるのですが、今日はその中で元祖オバマコンの論者であるアンドリュー・ベイセヴィッチのよくまとまった鋭い議論を紹介します。
ここでの彼の議論は「戦略の階層」についても触れており、なかなか興味深いものが。
またいつものようにポイントフォームで。
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Disruptions: Root Causes
by Andrew Bacevich
●最近行われているアフガニスタンについての「戦略」議論は、オバマ政権が前政権から引き継いだ、すでに破綻している戦略問題をごまかすものでしかない。
●アフガニスタンについての議論は「戦略」レベルの話ではないし、「作戦」レベルであるとも言えない。
●アフガニスタンの戦争に何か目的があるとすれば、これはもっと大規模な「テロとの戦争」という(政策/大戦略?)レベルの話から出てこないといけないのだ。
●よって、もしアメリカがアフガニスタンで戦う目的があるとすれば、その目的はこの大規模な戦争の一部であるという面から理由付けがなされないとおかしい。
●ここでブッシュ政権時代のことを考えてみれば、たしかにあの政権には「戦略」とでも呼べるのようなものがあった。これが「全中東の民主化」というものである。
●こうすることによって、彼らは9/11事件を生み出す環境を抹消できると考えたのだ。
●ところがネオコン以外の人々の目からみれば、この試みは完全に失敗したと言える。
●そしてこの失敗の結果が戦略の「真空化」を生み出したのだ。
●おかげで今日のアメリカは暴力的なジハードに対抗するための具体的な計画を持っておらず、その結果としてアフガニスタンとイラクで行っている戦争は無意味になってしまった。
●CFRの上級研究員であるスティーヴン・ビドゥルなどは、この明白な事実を必死に隠そうとしている。
●ここでマクリスタルの戦略が、何百億ドルもの支出と、少なくとも数百人の米兵の命を失ったあとの十年後くらいに「成功」したと仮定して考えてみよう。
●ここでアメリカは何を獲得できるのだろうか?
●イスラムのジハード主義を抹殺し、彼らが及ぼしてくる脅威を減少させることができるというのだろうか?
●そこで問題となるのは、「アフガニスタンはジハードの中心地ではない」という単純な事実だ。
●つまり我々はアフガニスタンを中東のディズニーランドに作り変えることができるかも知れないが、それでもイスラムの過激主義は世界中の到るところで生き残って活動をつづけるのだ。
●その「脅威」が国境を越える性格のものである以上、アメリカがいくら遠い場所で国家建設をやろうとしても意味はない。
●むしろ今後もアフガニスタンを鎮圧しようとすることによって、むしろイスラム過激派の反発を生む確率のほうが高いと言えるのだ。
●アフガニスタンで大量の国家資源や人命を使って反暴動を行おうとしている人々に我々が問いかけなければいけないのは、「目的は何?」ということだ。
●しかし彼らはこの問いに答えることはできない。
●なぜならこれに答えようとすると、「戦争」(これはアメリカが直面している問題の解決法にならないことがすでに明らかになっているのだが)を永遠に続けることが事実上のアメリカの外交政策になっていることを認めてしまうことになるからだ。
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相変わらず手厳しいですな(苦笑
(IEDの爆発の瞬間)
アメリカでは相変わらずアフガニスタンについての戦略会議がホワイトハウス周辺で盛んに行われているようですが、先日のマイケル・ホー氏の辞職事件のおかげで「アフガニスタンのベトナム化」という論調の議論が増えてきました。
この中でも日本に紹介されていない面白い議論が色々とあるのですが、今日はその中で元祖オバマコンの論者であるアンドリュー・ベイセヴィッチのよくまとまった鋭い議論を紹介します。
ここでの彼の議論は「戦略の階層」についても触れており、なかなか興味深いものが。
またいつものようにポイントフォームで。
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Disruptions: Root Causes
by Andrew Bacevich
●最近行われているアフガニスタンについての「戦略」議論は、オバマ政権が前政権から引き継いだ、すでに破綻している戦略問題をごまかすものでしかない。
●アフガニスタンについての議論は「戦略」レベルの話ではないし、「作戦」レベルであるとも言えない。
●アフガニスタンの戦争に何か目的があるとすれば、これはもっと大規模な「テロとの戦争」という(政策/大戦略?)レベルの話から出てこないといけないのだ。
●よって、もしアメリカがアフガニスタンで戦う目的があるとすれば、その目的はこの大規模な戦争の一部であるという面から理由付けがなされないとおかしい。
●ここでブッシュ政権時代のことを考えてみれば、たしかにあの政権には「戦略」とでも呼べるのようなものがあった。これが「全中東の民主化」というものである。
●こうすることによって、彼らは9/11事件を生み出す環境を抹消できると考えたのだ。
●ところがネオコン以外の人々の目からみれば、この試みは完全に失敗したと言える。
●そしてこの失敗の結果が戦略の「真空化」を生み出したのだ。
●おかげで今日のアメリカは暴力的なジハードに対抗するための具体的な計画を持っておらず、その結果としてアフガニスタンとイラクで行っている戦争は無意味になってしまった。
●CFRの上級研究員であるスティーヴン・ビドゥルなどは、この明白な事実を必死に隠そうとしている。
●ここでマクリスタルの戦略が、何百億ドルもの支出と、少なくとも数百人の米兵の命を失ったあとの十年後くらいに「成功」したと仮定して考えてみよう。
●ここでアメリカは何を獲得できるのだろうか?
●イスラムのジハード主義を抹殺し、彼らが及ぼしてくる脅威を減少させることができるというのだろうか?
●そこで問題となるのは、「アフガニスタンはジハードの中心地ではない」という単純な事実だ。
●つまり我々はアフガニスタンを中東のディズニーランドに作り変えることができるかも知れないが、それでもイスラムの過激主義は世界中の到るところで生き残って活動をつづけるのだ。
●その「脅威」が国境を越える性格のものである以上、アメリカがいくら遠い場所で国家建設をやろうとしても意味はない。
●むしろ今後もアフガニスタンを鎮圧しようとすることによって、むしろイスラム過激派の反発を生む確率のほうが高いと言えるのだ。
●アフガニスタンで大量の国家資源や人命を使って反暴動を行おうとしている人々に我々が問いかけなければいけないのは、「目的は何?」ということだ。
●しかし彼らはこの問いに答えることはできない。
●なぜならこれに答えようとすると、「戦争」(これはアメリカが直面している問題の解決法にならないことがすでに明らかになっているのだが)を永遠に続けることが事実上のアメリカの外交政策になっていることを認めてしまうことになるからだ。
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相変わらず手厳しいですな(苦笑
(IEDの爆発の瞬間)
by masa_the_man
| 2009-11-06 09:48
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