ホワイトハウスの秘密会議
トランプ米大統領が12月26日のTwitterで「我々はすでに十分に知っている。我々は圧倒的勝利を収めたのだ」と語っているように、バイデン勝利を既成事実化する日米の主流メディアの報道とは異なり、米大統領選挙は依然として決着しておらずいまもなお継続中である。
米大統領選挙をめぐる情報戦・心理戦が日々続く中で、注目すべき大きな変化が12月19日以後のメディア報道にあらわれた。日米の主流メディア(NYTやCNN、朝日新聞やNHKなど)が前日(12月18日)にホワイトハウスで開かれた秘密会議の内容をその会議の参加者からのリークに基づき、NYTが「スクープ報道」し、他のメディアも追随したのだ。
それは、トランプ大統領が今月18日、ホワイトハウスに先月自身が恩赦を出したフリン元大統領補佐官などを招き戒厳令を出すことについて協議した、またホワイトハウスでの会合では選挙で大規模な不正が行われたと強く主張する弁護士のパウエル氏を特別検察官に任命し不正があったかどうか捜査すべきだとの議論も行われた、同席していたメドウズ大統領首席補佐官らが強く反対しどなり合いになる一幕もあった、という内容であった(NHK「トランプ大統領“選挙結果覆すため戒厳令協議”米メディア報道」、NYT「Trump Weighed Naming Election Conspiracy Theorist as Special Counsel」)。
これに対して、トランプ大統領は20日のTwitterで、「戒厳令の報道はフェイクニュースだ」と否定している。実際にそのような内容がホワイトハウスの秘密会議で話し合われたかどうかについては諸説ある。
しかし、今回のホワイトハウスの秘密会議では複数の反対者の意見もあって重要な決定がなされたわけではないこと、それにもかかわらずトランプ大統領と彼が最も信頼するシドニー・パウエル弁護士、マイケル・フィリン将軍などが今後取りうるあらゆる選択肢を現時点で排除していないことだけが確かであろう。
私たちはこうした主流メディアとトランプ大統領のやり取りをどのように考えればいいのであろうか。
その報道でNHKは「次期大統領就任が1か月後に迫る中でも選挙結果を争う姿勢を変えない異例の事態なだけに、大統領の動向に関心が集まっています」と指摘している。
しかし本当の「異例の事態」は、トランプ陣営の「不正投票は陰謀論ではなく事実である」「今回の大統領選挙は大規模な不正行為がなければトランプ氏の大勝利であった」との主張を「まったく根拠がない」として、不正選挙が行われたとする内部告発者の告発や各州における裁判・公聴会の動きなどをまともに取材・報道しようとしない主流メディアや大手IT企業が運営するSNSの対応であろう。