米アマゾンは先月末、AI技術等で顧客と従業員との接触機会を極力減らしたスーパーマーケットをロサンゼルス近郊にオープンした。
この新型スーパーは「アマゾン・フレッシュ」という名称で、その床面積は3000平方メートル以上にも及ぶ大型店舗だ。アマゾンは以前から、主に生鮮食品を配達する「アマゾン・フレッシュ」と呼ばれるサービスを提供してきたが、今回オープンした同名のスーパーも生鮮食品を中心に広範囲の商品を扱っている。
AIショッピング・カートで自動決済
アマゾン・フレッシュの最大の特徴は、AIやイメージ・センサーなど各種技術を使って顧客対応を徹底的に自動化した点だ。入店した顧客は先ず、店舗内の数ヵ所に設置された会話型AIディスプレイ「エコーショー(アレクサ)」と相談して買い物計画を立てる。
たとえば「アレクサ、今日は肉、魚、野菜とパスタを買いたいのだが何処にある?」と訊ねると、アレクサが「それでしたら、こことここの棚にあります」と場所を表示して教えてくれる。
ここから顧客は、持参した買い物袋を「アマゾン・ダッシュ」と呼ばれる特殊なショッピング・カートに入れ、目指す食品棚に向かう。アマゾン・ダッシュは内側にイメージ・センサーが取り付けられており、これと画像認識技術を組み合わせて、顧客がカートに入れた商品を自動的に識別することができる(実際は、どうやら画像認識技術でバーコードを読み込んでいるらしく、これなら単にバーコード・リーダーをカートに取り付けたのと大差ないが)。
顧客がアマゾン・ダッシュを使って買い物をする際には、まず自分のスマホに表示されたQRコードをカートのリーダー部にかざして自己認証する。これ以降は、棚から取り出した商品(食品)を無造作にカート(内の買い物袋)に入れていくだけだ。
前述の技術に従って、アマゾン・ダッシュは自動的に商品を識別し、その情報に基づいて顧客のクレジットカードに代金を課金する。このため顧客はレジで支払う必要はなく、(買い物が終わると)商品の入った買い物袋を持って店を出るだけだ。
以上のようなアマゾン・フレッシュは、実は完全な無人店舗ではない。たとえば食品を調理したり、棚に置かれた商品を補充したりする従業員らが店内で働いている。それでも、顧客は(望むなら)従業員との接触を極力避けて買い物をすることができる。アマゾンは今後、こうした自動化店舗をシカゴやニューヨークなど他の主要都市にも次々出店していく計画だ。
先月、LA近郊のウッドランドヒルズにオープンした店舗はアマゾン・フレッシュの1号店となる。ただし現時点では未だ試験営業の段階で、ここで買い物ができるのはアマゾンが予めメーリング・リストで指定した数千名の地元住民だけだ。が、今から数週間後には一般消費者に向けて営業を開始する予定とされる。