左が繰り上げ請求書。右は年金申請に必要な裁定(年金)請求書
手続きは、年金の申請書類に1枚の紙を添付するだけ。たとえ減額されようと、早めに受給したい。定年後、無年金に悩むこともない。基礎年金に加えて、厚生年金も繰り上げて受け取る時代が来る。
「政府が信用できない」から
本誌先週号の「年金は60歳からもらった方が賢い」は、大きな反響を呼んだ。
たとえば、ある公務員の男性(54歳・神奈川県)は、編集部にこんな便りを寄せている。
〈私個人としては、「低い金額で構わないので早めに年金をもらおうかな。数年後はもらえるかどうか不安だから」という考えでいます。すなわち、「年金制度を考えている今の政府が信用できない」というのが本音です〉
厚労省が支給開始年齢を70歳まで引き上げる案を検討し始めてから、「年金」への不信感は一気に高まった。リーマン・ショック、欧州危機などによる株式市場低迷などで年金財政は逼迫しており、この先制度が破綻して、年金がもらえなくなるのではないかという不安の声が尽きない。
現在、基礎年金(国民年金及び厚生年金の定額部分)の支給開始年齢は65歳まで引き上げられている。
60歳支給開始となっている厚生年金(報酬比例部分)も今後、受給開始年齢が段階的に引き上げられ、50歳以下の男性は全員が65歳からの支給となる。
このままだと現在の年齢が50歳以下の人は、会社を定年退職した60歳から65歳を迎えるまで「無年金・無収入期間」を耐え忍ばなければいけないのだが、実は別の選択肢もある。