近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。
本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。
『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第74回
『あなたは世界を見据えた視野を持っていますか?...「捨てネコ」と「医者」の例から見つかる一般人と180度異なった驚きの起業家視点の正体』より続く
視座が違えば世界は変わる
起業家は夢を描きます。そして、夢を実現するために、ビジョンを持って社会にアプローチします。社会を変えようとします。「起業家は世界を変える」。大学の講義では最初にこの話をします。しかし、同じ話を日本でのセミナーでやると、まったく反応が違います。バブソン大学では、入学したばかりの学生が、私に「ヘイ!先生、俺は世界を変えてやるぜ」と言ってハイタッチを求めてきます。他の学生も、「やってやるぜ」という目をしています。しかし、日本では何か微妙な空気になることが多いのです。
「なんだか、やばいやつが話を始めたぞ」
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そういうときは、いろんな話をします。世界を変えると言っても法律を変えるとか、見たこともない事業を起こすとか、そういったことだけではないのだと。