2024.12.14
# 企業・経営

「スマホをパクってるのは絶対にスキマバイトの連中だろ」…150億円の赤字に転落した「ヤマト運輸」で「iPhone窃盗」が頻発している「謎」

東京23区内にあるヤマト運輸の営業所。朝8時、眠い目をこすりながら出勤してきたセールスドライバーの男性は、目の前の光景を目撃した瞬間、「はあ、またこれか…」と言わんばかりにため息を漏らした。

視線の先にあるのは、複数のパレット(台車)に積み残された大量の宅急便。大小さまざまな段ボールが放置されたままで、その数およそ200個はあるだろうか。自身が運転するトラックの荷台には、まだ半分ほどしか荷物が積まれておらず、午前中指定の宅急便もあるというのに配達に向かえない。

そんな男性を尻目に退勤するのは、スキマバイトアプリで集まったスタッフたち。この営業所では、彼らが「早朝仕分け」を担当しているが、日雇いバイトで不慣れなスタッフも多いため、セールスドライバーの出社時間までに荷物の積み込みが終わっている日はほとんどない。

「昔はこんなはずじゃなかったのに…」

朝礼後、荷物が散乱したままの営業所を見渡した男性は、そうポツリと呟くと、もう一度ため息を漏らした。

ヤマトが赤字に転落した理由

11月5日、日本の物流業界に衝撃的なニュースが駆け巡った。宅配大手のヤマトホールディングス(HD)が、今年度の上期の連結決算において、営業損益が150億円の赤字に転落したと発表したのだ。

ヤマト運輸の営業所(本文の内容とは関係ありません)
 

売上高に相当する営業収益に関しても、前年同月比3%減の8404億円に転落。これに応じて下期の業績予想も大幅に見直されることになり、4期連続で下方修正することになった。なぜヤマトは赤字に転落したのか。経済誌記者が解説する。

「栗栖利蔵副社長が、決算会見にて『お客さんとの交渉で単価アップが見込めず、収益が追いつかなかった』と発言した通り、Amazonをはじめとした大口法人顧客の荷物単価を上げられなかったことが業績悪化に繋がった。それに加えて人件費の上昇や、貨物専用機の導入といった費用も逆風となり苦戦を強いられた」

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