「フードロス対策の持ち帰りで浮気が発覚するケースがあります。普段行かない店の名前の紙袋、見覚えのない料理などでバレてしまうことは多いです」と語るのは、探偵の山村佳子さん。横浜のリッツ探偵事務所の代表だ。

今回山村さんのところに相談に来たのは、大手企業に勤務する45歳の大和さん。同じ年の妻25歳で授かり婚し、19歳になる息子がいる。前編「息子が浮気現場を目撃…45歳妻が「持ち帰った食べ物」からわかったこと」で詳細を伝えたように、大和さんは妻の浮気を「持ち帰った桜エビのおにぎり」で気づいたという。

桜エビの炊き込みご飯の残りを握ったようなおにぎりが…Photo by iStock

しかし浮気が発覚したあと、どうするかはその家庭それぞれだ。令和5年度の司法法統計によると、家庭裁判所に申し立てのあった離婚調停は5万6844件。うち婚姻継続を選んだのは10986件(調停成立の中で8752件、容認の中で2834件)。同居での婚姻継続も747件ある。現実を知ったうえでどのようにするかの決断は自分たちですることになる。

果たして妻は本当に浮気をしているのか。そして大和さんはどのように決断するのか。

 

妻のアドバイスで生きてきた

大和さんの夫婦生活を振り返ります。妻とは25歳の時出会いました。当時、美大を卒業し、グラフィックデザイナーをして夢に燃えていたといいます。妻は、海外生活が長く、外資系企業に勤務するエリートで、タイプの異なるもの同士で意気投合し、息子を授かり結婚します。
その時の貯金は妻が300万円、大和さんが0円だったといい、それに激怒した妻は大和さんを強制的に大手企業に転職させます。妻は仕事ができるので、組織の動かし方をわかっている。大和さんは妻のアドバイスに従い、心を殺して仕事をして順調に出世したそうです。

その間、多忙な妻は出張などを繰り返し、幼い息子の世話は大和さんがメインで行います。
妻は魅力的で能力も高い。大和さんは義父母から「もっといい男と結婚すると思った」などという侮辱めいた発言を受けながらも、結婚生活を続けていました。それは、息子への愛もありますが、妻は大和さんにさまざまな配慮をしてくれており、そこに愛情を感じていたからだとか。

大和さんが中でも最も重視していたことは、「大嫌いな食材を家に持ち込まない」ということでした。大和さんはこだわりが強く、苦手なものは見るのも嫌だという性格で、そのひとつがエビです。

妻は食べ残しを持ち帰るドギーバッグ文化が浸透しているアメリカ生活が長いために、飲食店から食べかけの料理を昔から持ち帰っていました。その時もエビが入らないようにしていたのだそう。それなのに、割烹から持ち帰ったと思われる、桜エビが入ったおにぎりを妻のバッグの中で見かけてしまいます。

それ以前から、19歳の息子が、妻の浮気を察知していました。高校生のころ、見知らぬ男性と2人でいるところを目撃したり、トイレの中で「愛している」と電話をしている声を聞いたりしていたそうです。

見知らぬ男性と腕を組んで歩いているところも息子が目撃していた Photo by iStock

決定的だったのは、妻が離婚届を持っているのを見てしまったこと。大和さんは妻から一方的に離婚される可能性があることを感じ取ります。かなり思いは乱れていましたが、証拠を取って妻が有責配偶者になれば、離婚の可能性が低くなると考え、私たちに調査を依頼したのです。