やじうまの杜
ノーコードでChatGPTをもっと強力に! 楽々簡単な「GPTs」を作成して情報通になれた話
「Google カスタム検索」よりもっと絞り込める記事検索ツールを作ってみた
2024年2月8日 08:00
昨年2023年11月に米OpenAIがAIチャットサービス「ChatGPT」の有料会員向けに展開した新機能「GPTs」。みなさんはもう使われていますか?「GPTs」は「ChatGPT」をユーザーの目的にあわせてノーコードでカスタマイズできるという機能です。
OpenAIによると、全世界のユーザーにより、すでに300万以上の「GPTs」が作られているそうです。最近だと、自分が作成した「GPTs」を公開してほかのユーザーに使ってもらったり、逆にほかのユーザーが作った「GPTs」を検索して自分で使える「GPT Store」のサービスも開始されました。
「GPT Store」のサービスも始まり、さらに注目度が高まることが予想される「GPTs」。そこで今回は「ノーコードでGPTs作り」に挑戦してみたいと思います。
なお、記事の後半でも触れますが、「GPTs」には入力したデータを悪意を持った第三者が出力してしまう手法が知られています。作成の際には、くれぐれも流出しても問題がないデータやプロンプトを使うように注意してくださいね。
今回作ってみるのは、Webサイトからいい感じに記事を検索できる「GPTs」
まず、ゼロから作成するときに最初の壁になるのが「どんな『GPTs』を作るか」という点です。「こういうものを作りたい」「こういう面倒くさいを解決したい」というテーマを見つけるのが、壁打破へのカギになります。
そこで私なりにいろいろと考えてみた結果、ニュースサイトに掲載されている記事から、自分が読みたい記事をいい感じに検索して出力してくれる「GPTs」を作成することにしました(というわけで『窓の杜』を利用させていただきました)。
その心は、『窓の杜』の場合、Webサイトの右上にGoogleのカスタム検索が用意されているのですが、「前に読んだあの記事をもう1度読みたいな~」といったように、フワッとした記憶から記事を検索するときに、どうしても上手く記事が見つからないことがあったからです。
今回、私が作成した「GPTs」を先にお見せすると、下記の画像のような利用イメージです。完成までの作業時間としては15分もかからない程度でしょうか。実際に作った「GPTs」は下記のリンクから試せますので、ご興味があれば触ってみてください(ただし現時点では、ChatGPTの有料会員のみが利用できる機能になります)。
楽々簡単。ChatGPTと対話しながらの「GPTs作り」
それでは実際に、この「GPTs」の作成手順を紹介していきます。
「GPTs」を使うには、画面左側のサイドバーにある[GPTを探索する]をクリックした後、右上に表示される[GPTを作成する]というボタンをクリックします。そうすると「GPTs」を作成するための画面が表示されます。
画面が表示されると、いきなり英語で面食らってしまいますが、ここからの作業は基本的に日本語で返答して問題ありません。まず、どんな「GPTs」を作るかを入力します。今回は、ChatGPTの機能を使って『窓の杜』の記事を検索する「GPTs」を作りたい、と入力します。
そうすると、作成する「GPTs」の名前を提案してくれました。提案してくれた「Mado Navigator」でもよかったのですが、せっかくなので日本語で「窓の杜ナビゲーター」という名前にするように指定しました。
すると、プロフィール用の画像を生成してくれます。特にこだわりはないので、今回はそのまま進めたいと思います。もちろんここのカスタマイズも可能で、「ほかのイラストをお願いします」や「こういったイメージのイラストをお願いします」と入力すれば、ほかの画像が出力されます。
さらに細かい機能についても詰めていきます。記事のリンクのみを出力するか、記事の要約が必要か、という質問がありました。今回は記事の要約などは必要ないので、この質問は一旦無視し、現時点でどのような動作をするのかを確認してみます。
画面の右半分にプレビュー用の入力欄が用意されているので、プロンプトを入力してみましょう。プレビューでは「ExcelでChatGPTを扱う方法の記事を読みたい」と入力してみました。少しの読み込み時間のあと、該当する記事を要約したものと記事へのリンクが出力されました。目的はほとんど達成されたと言ってもよいでしょう。
作成した「GPTs」は、公開範囲を[私だけ]、[リンクを持つ人のみ]、[公開](「GPT Store」でパブリック公開)の3つから選ぶことができます。ただし、「GPT Store」で公開するためには「ビルダープロファイル」という設定をする必要があったり、OpenAIのレビューを受ける必要があったり、といった条件があります。
では、作ってみた「GPTs」を使ってみます。まずはざっくりと「ChatGPTなどのAIに関する最新のニュースを教えてください」と聞いてみました。そうするとサイト内を検索して、注目すべき情報を教えてくれます。ただし、こういった内容であれば、サイト内にあるGoogleのカスタム検索に「ChatGPT」と入力すれば、似たような情報をキャッチアップできるでしょう。
この「GPTs」が真価を発揮するのは、ChatGPTに対して“よしなに”情報の整理を依頼する場合です。どのニュースサイトもそうですが、大量の記事が更新されるため、自分に関係のあるニュースを探すのが大変なときもありますよね。
そこで「自作ソフトウェアを開発する私に有用なニュースをまとめてください」と指示を出してみます。そうすると、自作ソフトウェアに関する情報を出力してくれます。これはGoogle カスタム検索では難しいところです。「誰が」「どんな情報を求めているか」といった処理は「ChatGPT」の得意分野です。
「GPTs」はとても便利な機能である一方、注意点も
このように楽々簡単に作成できる「GPTs」ですが、最後に注意点を2つ紹介します。
1つが「プロンプトリーキング」という悪用手法の存在です。これは作成した「GPTs」のプロンプトを出力させるものです。悪意のあるユーザーがこの手法を使うことで、入力されている「GPTs」の内容が漏えいしてしまう可能性があります。
今回は利用していない機能ですが、「GPTs」には追加でファイルをアップロードし、そのファイルを参考にしつつ情報を出力できる機能もあります。例えば、過去に使った営業提案資料などを読み込ませれば、より精度の高い結果を生成できるといった具合です。こういった情報も悪意のある第三者により、流出してしまう可能性があるのです。
今回作成した「GPTs」はサンプルのため、プロンプトリーキング対策は行っていません。ですが、もし対策を行ったとしても、完璧に守りきることは難しいのが現状です。アップロードするファイルやプロンプトなどは“関係者以外の誰かがその情報を見ることができる”という前提で「GPTs」を作成してください。
もう1点が、作成した「GPTs」のプロフィールに本名が公開されてしまうことです。「GPTs」には作者のプロフィールという項目があるのですが、この名前の欄は有料プランの決済情報を元に入力されます。多くの方は自分名義のクレジットカードだと思いますので、そこから自分の本名が勝手に入力されてしまうのです。
こちらは対策が簡単で[設定]から[ビルダープロフィール]に飛び、「名前」の欄をOFFにしてください。Webサイトをお持ちの方は、制作者の名前の代わりにWebサイトへのリンクを表示することもできますが、サーバー側で設定を調整する必要があるなど、少し上級者向けになっています。
「GPTs」を上手く使えば「ChatGPT」がさらに強力な道具に
注意点はありますが、「GPTs」を上手く使えば「ChatGPT」がさらに強力な道具になることは間違いありません。
今回のように簡単なアプリであれば、プログラミングや「プロンプトエンジニアリング」と呼ばれるような複雑な内容も求められません。まずは「GPTs」を作ってみて、ぜひその感覚を掴んでいただければと思います。
そして興味がわけば、自分の業務に役立つもっと作り込んだ「GPTs」や、斬新なアイデアを持った「GPTs」の作成に、ぜひチャレンジしてみてください。自信作ができあがったら、ぜひ『窓の杜』にもアピールお願いしますね(もしかしたら紹介されるかも!?)。