石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

いたずらするだけのゲームじゃない! 子供と遊べる優良なインタラクティブ作品

「Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやって来た!~」

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

「Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやって来た!~」のタイトル画面

ガチョウになって人間にいたずらを仕掛けよう

 我が家の7歳児は落ち着きがなく、退屈になるとすぐ余計な迷惑をかけてくれる。程度の差はあれ、どこの子供も似たようなものだろうと思うが、ゲームを遊んでいる時は夢中になっているので面倒がない。

 ではゲームの中でいたずら心を発散していただこう、と今回用意したのは「Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやって来た!~」。プレイヤーはガチョウを操り、街の人々にいたずらを仕掛けていくというゲームだ。

 本作は1人プレイのほか、PC1台での2人同時プレイにも対応している。今回は親子2人でプレイする。

指定のいたずらをこなしていくアクションパズル

2羽のガチョウが農園のおじさんにいたずらする

 ゲームをスタートすると、とあるおじさんが管理している農園が現れる。最初のいたずらポイントはここだ。

 いたずらの内容は、ToDoリストに書かれている。たとえば「おじさんを濡らす」、「熊手を湖に落とす」など。ToDoリストの内容を実行することが本作の目的となっており、全て終わらせると次のマップへ移動できる。

ToDoリストに書かれたいたずらを全て実行するのがゲームの目的

 主人公のガチョウは、物をくわえたり、鳴いたり羽ばたいたりはできるが、特別な能力を持っているわけではない。「熊手を湖に落とす」なら、熊手をくわえて湖まで持っていけばいい。

 しかし、人間側もガチョウのいたずらを許すわけではない。ガチョウが熊手をくわえて持っていこうとすれば、熊手を取り上げて元の場所に戻してしまう。ただ熊手をくわえるだけでは何度やっても同じことの繰り返しになる。

熊手を加えて持っていこうとすると、おじさんが取りに来る

 ガチョウ側は、何か別のいたずらを仕掛けて人間の気を引いておく必要がある。農場に植えられているものを引っこ抜いたり、置いてあるものを持っていこうとすると、おじさんは慌てて駆け寄ってきて元に戻そうとする。その隙を狙って、ToDoリストにある本命のいたずらを仕掛けるわけだ。

別のいたずらを仕掛けておじさんの気を引く

 つまり本作はアクションパズルゲームとなっている。その場にあるものをどのように使って人間の気を引き、目的のいたずらを達成するか、作戦を練って挑まねばならない。さらに操作に手間取る間にも人間はどんどん対処を進めるので、素早く確実にいたずらを遂行せねばならない。

 仕掛けをどう使うかに明確なガイドはない。大人がやっても案外難しく、単にいたずらをするだけのゲームだと思っていると結構苦労させられる。逆に、必ずこうせねばならないという決まりごともないため、力技で何とかなることもある。

本質はいたずらでもパズルでもなく、インタラクティブコンテンツ

2人で役割分担するのが攻略の鍵なのだが……

 本作を2人で遊ぶなら、1人が適当なものを引っ張って人間の気を引く係になり、その間にもう1人が目的をこなしていくという協力プレイができる。互いに意図を理解してタイミングを合わせてやれば、人間の気を引くのはそう難しいことではない。

 ただし相方が7歳児の時には話が違う。ギミックを理解し、人間の行動を見定めて、もう1人の動きに合わせて適切に操作するというのは、なかなかうまくいくものではない。親の目線では簡単な手順も、子供にはそう簡単には理解できない。

複数の手順とタイミングを理解して行動するのは難しい

 それでも、「いつまでも先に進めないで本作を投げ出すのでは?」という心配は無用だ。子供はただそこにあるものをくわえて運んだり、フィールドにある仕掛けを動かしたり、人間をオタオタとさせたりすることで十分楽しんでいる。むしろ一緒に遊んでいる大人の方が、いつまでも消化されないToDoリストにストレスが貯まるかもしれない。

子供は物の引っ張り合いをしているだけでも楽しいらしい

 他人にいたずらするという本作の教育的な是非を問われたら、親御さんの判断にお任せしますとしか言えない。しかしゲームの質にのみ着目すると、自分の行動に反応するというインタラクティブ性が高く、操作が簡単で敵にやられることもない、子供も安心して遊べる優良なコンテンツである。

 子供がもう少し大きくなり、本作のゲームとしての本質を理解してきた頃にまた遊んでくれれば、頭を使うアクションパズルとして遊べるはず。今のうちは、のどかな絵柄で遊べるインタラクティブコンテンツとして楽しんでおけばいいと思う。

【今回使用したPC】
マウスコンピューターG-Tune E4
スペックはCPUがCore i7-12650H、GPUがGeForce RTX 4060(GDDR6 8GB)、メモリが16GB DDR4-3200、ストレージがSSD 500GB(M.2 NVMe PCIe 4.0 x4)、ディスプレイが14型非光沢液晶(1,920×1,080ドット、144Hz)、OSがWindows 11 Home。重量は約1.8kgで、価格は199,800円

 なお、今回本作をプレイするにあたり、GeForce RTX 4060を搭載したマウスコンピューター製ノートPC「G-Tune E4」を使用した。本作のグラフィック設定で「画質優先」を選び、解像度をフルHDにしたところ、安定した動作で快適にプレイできた。映像は2Dに見えて実際は3Dで描画されているが、かなり軽量な部類に入る作品だ。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』 記事一覧