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暖房器具の活用が有効!
EVにとって冬は苦手な季節といわれます。理由としては、リチウムイオンバッテリーの温度が低下するとバッテリー内で生成できる電気量が減少してしまうことや、充電効率が低下してしまうことなどが挙げられます。エンジン車のように人を温めるヒーターに使える熱源がなく、すべてバッテリーの電力でまかなう必要があるため、そのぶん航続距離が短くなる傾向にあることも苦手といわれる理由となっています。
事実、EVが市場に出たばかりのころは、寒いからといってエアコンを使いすぎてしまうと航続距離が減ってしまうため、ダウンコートのなかにカイロをたくさん貼り付けて暖を取り、エアコンはオフにしたまま走っているEVユーザーも見かけたほど。まだバッテリー容量が小さく、効率もいまほど進化していなかった時代は涙ぐましい努力をして航続距離を稼いでいたのです。
実際、冬場にEVでエアコンの暖房を使った場合と使わなかった場合では、バッテリー残量にどれくらいの差が出るのでしょうか。JAFユーザーテストで同一車種のEV4台を使って行ったテストがあります。テスト車1はエアコンを25度オートに設定。テスト車2はエアコンはオフのまま電気ソケットから電気毛布を使って暖をとりました。テスト車3はエアコンはオフのまま純正シートヒーターと電気フットヒーターを併用。テスト車4は普通の毛布のみで、体感に応じてエアコンのオン/オフを使用。
この条件で夜7時〜0時までの5時間、バッテリー残量70%の状態からシステムオンで検証した結果は、テスト車1の残量が38%。テスト車2は66%でもっとも残量が多くなりました。テスト車3と4はどちらも60%とまずまずの残量をキープ。ただし、テスト車1以外は決して快適といえる暖かさではなく、部分的な寒さに耐えていたとのこと。
この結果からわかるのは、やはり快適なのはエアコンの暖房を使うことなのですが、航続距離を少しでものばしながら暖を取りたいならば、ステアリングヒーターやシートヒーターを併用したり、電気ソケットからの電源で使える暖房器具を活用する方法が有効だということがわかります。